IN FLAMESはかれこれ20数年間聴き続けてきたバンドで、確固たる個性を保ちながらも「メロディック・デスメタル」という枠に囚われず常に冒険や実験を繰り返して変化を恐れない姿勢に心酔しています。特にそれが8thアルバムで究極ともいえる形で結実した時には、震えるほど感動しました。 それ以後も色々と模索しつつ様々なファン層を切り拓いてきていますが、あまりにも毎回良い曲が多すぎて感覚が麻痺し、名盤なのかいつも通りなのかわからなくなってしまいます。他のバンドであれば大傑作だと太鼓判を押す水準のアルバムでも、彼らだからともっとハイレベルなものを要求してしまうという身勝手さ。 さて、このアルバム。 いつもながら曲は素晴らしい。余裕で90点はいきます。 で、タイトルがなんか面白いぞ。印象度プラス1点。 ジャケのアートワークがなんかかわいいなぁ。印象度プラス2点。 あれれ、発売1周年で『I, The Mask (Arcade Version)』なんておかしなものが配信されているぞ。え? 8bitミュージック・ヴァージョン? ジャケも音楽もファミコン(昔のゲーセン)じゃん!? センスさいこーダヨコレ。プラス10点。 結論。実は合わせ技100点超えの超名盤でした・・・
・・・まあ冗談はさておき、8bitのレトロ・コンピューター・ミュージックにアレンジしても心揺さぶられるくらいに曲自体が良いんですよ。 (2)「I, the mask」を筆頭に、キラー・チューンと言えるものが次々と繰り出され、哀愁と盛り上がりのバランスも良くて、非常に楽しめます。 私の場合メロデスへの未練はもうなくて、「オルタナティヴ」的なものは'90年代からずっと好物なので、初期ファンとは音楽的好みが違うとは思いますが、本当に良いアルバムだと断言します。
The American Power Metal Kingsを名乗る一点の曇りもないメタル・バンドの'15年発表の7thフル・アルバムです。 重々しい語りに続いて2曲目のタイトル・トラックが始まり、サビでのスクリームが炸裂した瞬間、思わずガッツポーズですよ。ショーン・ペックすげえっ!! 他のアルバムでも皆さん引き合いに出していますが、まさしくJUDAS PRIESTの「PAINKILLER」の系譜に連なる正統派パワー・メタル。 微塵の緩みも見せない演奏陣の鉄壁ぶりや怒涛の推進力、音圧十分ながらくっきり音が拾えるサウンドプロダクションも含めて、'10年代のアップデート版ピュア・メタルとしての理想形。文句はありません。 何枚か聴きましたが、今のところこのアルバムが一番楽曲が充実していて、お気に入りです。ただちょっと、曲数が多すぎ。この手の音楽は10曲前後でいいです。
USパワーメタル・バンドCAGEの演奏陣がThe Hell Destroyer(CAGE、DEATH DEALERのショーン・ペック)、The Tyrant(JAG PANZERのハリー・コンクリン)、The Ripper(CHARRED WALLS OF THE DAMNED、元JUDAS PRIEST、元ICED EARTH等のティム・"リッパー"・オーウェンズ)、という濃すぎる3人をヴォーカルに迎えた、とんでもバンドの1stです。(このアルバムの曲を3人がそれぞれソロで歌い直した3枚組『THE SOLO VERSIONS』という好企画盤もあります。ぶっちゃけ本編以上に楽しめます) トゥルー・メタルの伝道師のような人々による純度100%のメタル・アルバム。内容は・・・誰もが想像する通りです。うん、暑苦しい。 ちょっと盛りすぎて渋滞起こしちゃってるように聴こえる部分もありますが、それもご愛敬。 名盤とかそういうのじゃないんですが、ある意味宝物みたいなアルバムというか、こういうのを届けてくれてありがとうっていう気持ちになります。ドリーム・バンドというにはマイナーな面子かもしれませんが、私にとっては贅沢で僥倖。 悪ノリしまくって3人で煽り立てる(11)「Speed to Burn」には頬が緩みます。もっとやれ。 今作の白眉たるタイトル曲(12)「The Three Tremors」レベルの曲を量産できれば、継続可能なプロジェクトになるんじゃなかろーか。次作熱烈希望中。
メタラー心をくすぐる魔法の言葉がタイトルになっていますが、SAXONのあれとは当然違います。どちらかといえばSTEPPENWOLFの「BORN TO BE WILD」の方が近いかな。元ネタは色々あるんでしょーけどわかりません。 けっこうリフはヘヴィで、終盤疾走してメタルっぽくもなります。間に色々お遊びが入り、これはなんとジャンル分けされる音楽なのかとかはわかりませんが、楽しいです。
今は『Quintet: Live In Europe 1969 The Bootleg Series Vol.2』で同時期のライヴをまとめて聴けますが、長らくロスト・クインテットの音源は、この日本のみ発売のライヴ盤(邦題『1969マイルス』)だけが公式音源だったようです。 ウェイン・ショーター(sax)、チック・コリア(key)、デイヴ・ホランド(b)、ジャック・ディジョネット(ds)を迎え、アコースティックからエレクトリックへ、ジャズから得体のしれない何かへと突き進んでいた時期の、凄絶な記録。 大学生の時に中古屋で何気なく手にし、聴いてびっくり。ジョン・ゾーンやビル・ラズウェルを聴いて、アヴァンギャルドをわかったつもりで優越感に浸っていた若造に、メインストリームのジャズの恐ろしさを思い知らせてくれました。 当時もナパーム・デスやブルータル・トゥルースといったグラインドコア・バンドと同じ感覚で聴いていましたが、いま聴き直してもやはり規格外の過激さに打ちのめされます。真のヘヴィ・ミュージック。
01. Kings Of Metal / Manowar 02. Speed / Loudness 03. All Over The Nations / Helloween 04. Decadence Dance / Extreme 05. Beyond The Realms Of Death / Judas Priest 06. Iron Man / Black Sabbath 07. Mystery Of Babylon / 西山瞳 08. Over The Hills And Far Away / Gary Moore 09. The Gift Of Music / Dream Theater 10. THE ONE -Live Version- / BABYMETAL
「Decadence Dance」は冠徹弥(THE 冠)がヴォーカルで参加。また、「Decadence Dance」「The Gift Of Music」にはホーン・セクションが加わっています。 「Kings Of Metal」のアレンジにはぶっ飛びました。全然違う曲にしか聴こえない。 「Beyond The Realms Of Death」の歌いまくるベースも素敵です。
01. In the Dead of Night / U.K. 02. Walk / Pantera 03. Man On The Silver Mountain / Rainbow 04. Skin O' My Teeth / Megadeth (ヴォーカル:小田朋美) 05. Fear of the Dark / Iron Maden (アコギ:馬場孝喜) 06. Upper Levels / ANGRA 07. 悪夢の輪舞曲 / BABYMETAL 08. Demon's Eye / Deep Purple (トランペット:市原ひかり) 09. The Halfway to Babylon / 西山瞳 10. Green-Tinted Sixties Mind / MR.BIG (サックス:橋爪亮督)
'06年録音('07年発表)のたぶん3rdアルバム(ブルー・ノートでの2作目)。ジャケ写はジャズというより、ヒップホップっぽいですね。 ヴィンセント・アーチャー(b)、ダミアン・リード(ds)とのピアノ・トリオ作品。前作『CANVAS』もピアノ・トリオでしたが、けっこう印象が違います。前作の方がオーソドックスでメロディアスな印象。 この後も普通のジャズに留まらず、様々な実験を繰り返していきますが、今作でもレディオヘッドの名曲「Everything in Its Right Place」とハービー・ハンコックの「Maiden Voyage」をごちゃまぜにして同時に演奏するなどという珍妙なことをしでかしています。 まあ、複数の曲をサンプリングして曲を構築するヒップホップの手法をジャズに持ち込んだ感じでしょうか。発想も良いですが、料理の仕方にセンスを感じます。 あと他のアルバムもそうですが、曲の終盤に全然違う展開をぶち込んだり、アルバム後半に実験的な曲を投入したりするのは、この人のこだわりというか癖なんでしょーか。良し悪しはともかく、興味深い。