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うにぶさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1-100

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SEVENTH CRYSTAL - Entity ★★★ (2024-12-15 22:01:09)

スウェーデンのメロディアス・ハード・ロック・バンドの、'24年の3rdフル・アルバムです。
テクノロジーと人間の在り方についてみたいなコンセプト・アルバムになっているようで、インタールードが挟まるなど、ちょっと芝居がかっています。
そのせいかなんか、2ndと比べるとずいぶんパワフルで、情熱的に。
1stから(EP『INFINITY』も含め)どの作品も作風に変化があり、それぞれの個性があるところが良いですね。(1stの魅力の大きな要因だったKeyのヨハン・エルヴソングが脱退してしまったのは残念です)
メロディが充実していて、ドラマティックで高品質なハード・ロックなのはいつもの通り。
リーダーのクリスティアン・フィールはフロンティアーズ・レコードの複数のバンドに関わりながら、昨年このバンドでEPとアルバムを出したばかりというワーカホリック状態だというのに、搾りカス的な曲はなく、燃え尽きるどころか却ってレベル・アップしているように思えます。
驚異的なまでに安定した作曲能力です。
アレンジはさらに緻密になり、例えば繰り返し部分はほとんど全て、歌いまわしやバッキングを偏執狂的なまでに変えてきて、常に新鮮さを保っているため、飽きません。
(2)「Thirteen to One」の、途中でギアを上げていって興奮を誘う展開なんかもう、わかっていても熱狂してしまいます。
(7)「Blinded by the Light」や(8)「Siren Song」のように、典型的なメロハーとは一線を画すアレンジで目先を変える工夫も素晴らしい。
たぶん今作は、プログ・メタル好きな人にかなりアピールする作品になっていると思います。
単純に、メロハーとしてだけ聴いても名盤だと思いますが、狭いジャンルの中に押し込めるのがもったいない、多様なリスナーを魅了する力を持った傑作です。


BLOOD INCANTATION - Absolute Elsewhere ★★ (2024-12-14 22:37:22)

アメリカのデスメタル(?)バンドの'24年の3rd('22年の『Timewave Zero』をアルバムに数えれば4th)アルバムです。
デスメタルって・・・何でしたっけ?

個人的に大半のメロデスと一部プログレデスはデスメタルではない音楽として聴いていますが、これは半々かなぁ。(『Timewave Zero』は全然デスメタルじゃありませんでしたが)
「未来から来た90年代のデスメタルバンドが演奏する70年代のプログレッシヴアルバム」だそうです。
オールドスクールな典型的デスメタルの合間に、全然違う宇宙的/神秘的/幻想的/雰囲気モノな音楽が入ってきます。
自動登録の曲名がわかりづらいので、基本のアルバム曲を並べるとこうなります。実質、組曲が2曲のみで40分超。
1. The Stargate [Tablet I]
2. The Stargate [Tablet II] (feat. Tangerine Dream)
3. The Stargate [Tablet III]
4. The Message [Tablet I]
5. The Message [Tablet II]
6. The Message [Tablet III]
この突き放した曲名。TANGERINE DREAMの現メンバーThorsten Quaeschningの参加。間違っても普通のデスメタルを期待して聴く代物ではありません。
SF系デスメタルは大好物で、アンビエントもプログレ/クラウトロックも好きで、最近はサイケも良いと思えてきた私にとって、このアルバムに出てくる音楽要素は、好きなものばかりです。だからまあ、当然面白く聴けてはいますが・・・デスメタル・・・を聴く楽しみとは違う感覚なんだよなー。
今年発売の色モノとしては、ORANSSI PAZUZU、ZEAL AND ARDOR、SLIFTあたりと並べて聴く感じかな。
EDGE OF SANITY『CRIMSON』やSLEEP『JERUSALEM』、MESHUGGAH『CATCH THIRTYTHREE』、CYNIC 『ASCENSION CODES』あたりが笑って許せる寛容な人にはオススメデス。
が、これ、ドキュメンタリー映画付き3CD+Blu-rayで1万円超って・・・サンタさんにお願いするべきか。


OVERKILL - Scorched - Harder They Fall ★★★ (2024-12-08 21:46:20)

近年屈指のお気に入り曲です。曲だけでもとても印象的なんですが、加えて歌詞が個人的空耳ツボにはまりました。
「腹ペコー!!」と連呼してるように聞こえるし、「ガラガラガラガラヘビー!!」と絶叫してるように聞こえます。
ええ、そんなくだらない理由ですが、とても愛着があり、繰り返し聴いています。


ORANSSI PAZUZU - Muuntautuja - Valotus (2024-12-08 21:38:39)

先日、日没後の荒天時に帰宅中、この曲を車で聴いていたら、事故りそうな気分がしてきたので、慌てて聴くのをやめました。
ノイズと怨嗟の声と、どこかしら不可思議な美を感じさせる音空間。
歌詞を翻訳してみたら「リラックスしてください」とか言ってるんだけど、できません。


NIGHTBLAZE - Nightblaze ★★★ (2024-12-08 21:25:21)

うーん、凄い。'80年代、'90年代の頃のメロディ・センスがそのまま、何の衒いもなく披露されています。往時のゼロ・コーポレーションのメロハー作品を買い漁ったマニアにはたまらないんじゃないでしょうか。
ちょっとむず痒くなるくらい、時代を感じさせるメロディ展開とアレンジなんですが、まさにそれこそが魅力!
いやほんと、突き抜けてますよ。ここまでメロメロな作品がこの時代に聴けるとは。
どこを切っても1ミリのブレもない、"あの時代"から現代にタイムスリップしてきたような、至高のメロディック・ハード・ロックです。


CEMETERY SKYLINE - Nordic Gothic ★★ (2024-12-08 21:03:21)

北欧のメロデス/ブラック界隈の豪華メンバーが集まったゴシック・ロック・バンドの、'24年の1stです。
ミカエル・スタンネはDARK TRANQUILLITYとTHE HALO EFFECTでも間を空けずに新作出してますが、働き過ぎでは?
でもまあ、それぞれ違う楽しみ方ができて嬉しいです。
本作は、メタル耳にはどーなんでしょーか。ギター・ソロなんかも入るのでそういった点では聴きやすいかもしれませんが、ニューウェイヴ系ゴシックとかに免疫のない人にはきついかもしれません。
メロデス/ゴシック・メタルの「慟哭」「絶望」はありません。そっち系の情念の強さを求めると、外れです。
けっこう淡々とした、そしてそこそこダンサブルなメランコリック・ロック。激しく叫ぶことはありません。妖しく艶っぽい声で歌っています。
そういうのがオッケーな人には推薦盤です。良い感じに暗くて、心地よくて、安静効果があります。


EXHORDER - Defectum Omnium ★★★ (2024-12-08 20:44:43)

アメリカのスラッシュ/グルーヴ・メタル・バンドの4thフルです。同名で2種類登録されていますが、2024年となっていて曲名も登録されているこちらに書き込みます。(曲への書き込みはエラーになっちゃってますね)
ギターが二人とも抜けて、ヴォーカルのカイル・トーマスがリズム・ギターを兼任し、リード・ギターで元Cannibal Corpseのパット・オブライエンが参加しています。
第一印象は、「ストイックで無愛想なアルバム」でした。前作と比べてもさらに曲はとっつきにくいと思います。
とにかく手加減なし、妥協なし。ひたすらヘヴィでハードコアなメタルです。
派手に耳を惹く装飾もなく、余計な音は入らない贅肉皆無の音楽。一般受け要素など歯牙にもかけていません。
聴く人は確実に選びます。聴くのに集中力、体力がいるし、向き合うのに気合が必要です。アートワークも白黒ですが、正に白黒はっきりつけなければ聴けないアルバムです。
でも、じっくり聴けば、曲がよく練られています。突貫スラッシュも爆走ハードコアも激重グルーヴも取りそろえ、それぞれがしっかり差別化されつつ、クオリティが落ちる曲がありません。
サウンド・プロダクションは良好で音の分離も良く、ギター、ベース、ドラムスがド迫力でいずれも腹に響きまくります。粘りがありつつ硬質な音づくりで、一音一音に説得力があります。
そしてカイルの歌が凄まじい。凶暴さを保ち、声を振り絞りながらも破綻することのない、鋼のごとき強靭な喉には驚嘆しました。(4)「The Tale of Unsound Minds」なんてもう、圧倒的歌唱に金縛り状態です。
個人的には今年の新譜で最もよく聴いたアルバムで、2024年ベスト3には余裕で入ります。
好きな曲は、全曲です。
中でも(7)「Taken by Flames」は、この曲だけでスラッシュ・メタルとグルーヴ・メタルの両方に跨って、その旨味の神髄を垣間見ることができます。耳福。


DGM - Endless ★★ (2024-11-24 20:15:24)

イタリアのプログレッシヴ・メタル・バンドの、'24年の12thフル・アルバムです。
7thからメンバーはずっと一緒なんですが、今作は以前のネオクラシカル・プログ・パワー・メタルな作風とは全然違います。
レトロなプログレの、ちょっとメタル風味なやつといった印象。
同じバンド名で出すのはほとんど詐欺だよなー(でもPoSより常識の範囲内か)。
けっこうツボなメロディが多くて、これはこれで好きです。あと、フルートの音に和みます。牧歌的とすら思えるほんわか系の曲もあり。
“もし別の道を選んでいたら、人生はどう変わっていたか?”がテーマのコンセプト・アルバムになっているとのことです。
普通そんなテーマだと内省的で地味で難解な作品になりそうなものですが、特に小難しさはなく、爽やかでメロディアス。
この先この路線でいくのか、またヘヴィに戻るのかは不明ですが、たまにチェックすると驚かせてくれるバンドのようなので、追っていきたいなと思いました。


ORANGE GOBLIN - Science, Not Fiction - False Hope Diet ★★ (2024-11-24 19:56:54)

これはかなりの名曲じゃないでしょーか。
タイトルから皮肉が効いていて、風刺的な歌詞も尖っています。
舞曲風の軽やかなオープニング・リフとだみ声の組み合わせの不思議なマッチング。
1番目のサビが終わったところで登場するリフはMEGADETHを思わせる不穏な雰囲気がかっこいい。
ギター・ソロもよく練られていて、男臭いヴォーカルと相俟って妙に泣ける感じ。


LINKIN PARK - From Zero - Stained ★★ (2024-11-24 19:45:22)

新作の中でも特にお気に入りの曲です。歌メロが好き。
特にエミリーのサビメロのところは、Joan Osborneの「Pensacola」とか、ミュージカル『アニー』の曲とかを思い起こさせて、個人的なツボを突きまくりなのです。
この曲でエミリーの声が好きになりました。良い歌い手です。


METALITE - Expedition One - CtrlAltDel ★★ (2024-11-24 19:35:35)

曲名が洒落てますね。
冒頭の特徴的なリズムや途中のピコピコ・リフも、相乗効果で楽しいです。
歌メロも合唱を誘う感じで、ライヴで盛り上がりそう。


AMARANTHE - The Catalyst ★★★ (2024-11-23 21:28:54)

スウェーデンのモダン・メタル・バンド(「MASSIVE.MODERN.METAL!」とオフィシャルサイトにありました)の'24年の7thフル・アルバムです。
尤も、ジャンル分けに関してはエレクトロニコア(ピコリーモ/エレクトリーモ)/ポップメタル/メロディックデスメタル/メタルコア/パワーメタル/シンフォニックメタル/オルタナティヴメタルなど諸説あるようですね。要は電子音多めでグロウルも取り入れた男女混声メタルです。
曲作りが巧い、トリプル・ヴォーカルの分業が明確な上に各自の力量が卓越している、曲調が幅広く多様なリスナーに訴求する音楽性である。そんなとんでもない条件を満たしながら、メンバーチェンジを挟みつつもテンションを落とさずに高品質のアルバムを制作し続けてきました。
結論を先に言ってしまえば、過去6枚に勝るとも劣らぬ出来かつ、新規要素も取り入れた傑作、文句なしの名盤です。
が、初めに聴いた時は、ちょうど激しめなメタルを重点的に聴いていた時期でしたので、ちょっとなんか攻撃力が足りないかも、なんて思っていました。
ちょっとABBA風味強めで、疾走感も控えめで、メタル耳には物足りないかなー、と。で、半年くらいはあまり聴きませんでした。
しかしながら最近、REASONS BEHINDやMETALITE、BRING ME HORIZENやWHILE SHE SLEEPS、BABYMETALやENTER SHIKARIなんかの電子音多めのバンドを聴くモードになり、AMARANTHEの過去作を聴き直したくなって順繰りに聴いてみたところ・・・この新譜もやっぱり、とんでもねーなという評価に相成りました。
初期2枚ほどの疾走感はありません。ハイテンションでキラキラ爆走してトリプル・ヴォーカルが畳みかけるあの刺激を至上とすれば、それには劣ります。
それでも、2~3分台に凝縮された楽曲に詰め込まれた技巧・工夫・メロディの密度、本気度、情報量の多さには、これまでの傑作群をも上回ろうというバンドの意気込みがあふれていて、圧倒される勢いがあります。
PCのスピーカーで聴くと、あんまり迫力がないんですよね。爆音で流すと、すげーことやってんなこいつら、と納得してもらえるんじゃないでしょーか。
少なくとも今年の似た系統の新譜で、このアルバム以上に魅力的な作品を知りません(あればぜひそれも聴きたい)。
今年イチ推しの逸品です。


Leprous - Melodies of Atonement - Self‐Satisfied Lullaby ★★★ (2024-10-20 22:42:50)

今年のベスト・チューン候補です。ジワジワはまってきました。美しい。
ジャンル分けとかもう無理に決まっているので、ただ子守歌もどきってことで。
そこらのメタルよりよほど過激ですが。


MR. BIG - Defying Gravity - Forever and Back ★★★ (2024-10-20 22:20:37)

ビリーの曲。この曲なんかは初期3枚に入っていても違和感がないとゆーか、ふつーに代表曲になりそうなバラードです。
この曲が聴きたくなって、何十年か後にアルバムを聴き直していそう。


MR. BIG - Defying Gravity - 1992 ★★ (2024-10-20 22:08:48)

'92年に「To Be With You」で1位をとった当時を振り返った曲?
ポール作。バラードじゃなくて速弾きしまくってる曲でこの歌詞なのが彼らしい。
ライヴ映像で、パットも含めた5人で合唱しているのが印象的でした。


MR. BIG - Defying Gravity ★★ (2024-10-20 21:59:58)

'17年の9thアルバムです。
いたずらっ子な雰囲気が感じられるユーモラスな曲が多くて、トリッキーなプレイも随所に聴けるのが嬉しいです。
テクニックをシリアスになりすぎずに有効活用している、大人なエンターテイメント作。
もちろん、バラードも良曲がそろってるし、しっとり大人な空気もあります。
でもなんか遊び心というか、笑顔でじゃれ合ってる感じが全体に漂っているところがお気に入り。
前後のアルバムがおとなしめなこともあり、この弾けっぷりが貴重に感じます。
けっこう聴く頻度の高いアルバムです。


MR. BIG - Ten - What Were You Thinking (2024-10-19 21:42:43)

ポール作のロケンロー。'50年代の曲のカヴァーと言われても信じちゃいます。ノリノリです。
ライヴ映えしそうだなー。


MR. BIG - Ten - Sunday Morning Kinda Girl (2024-10-19 21:32:36)

口笛を吹きたくなります。エリック作の、笑顔を誘う愉快な曲。
肩の力が抜けたこういう曲をアルバムに入れるチョイスができているところに、バンド内の雰囲気のよさを感じます。


MR. BIG - Ten ★★ (2024-10-19 21:17:49)

'24年の10thです。まさか出るとは思わなかった新譜なので、聴けるだけでもありがたい。
もうパットはいないわけですが、ポール不在のリッチー期もありましたし、これもまた彼らのアルバムの一つとして楽しんでいます。
キャッチーで朗らかな曲がそろった、温かいアルバムです。前々作に近いイメージ。
昔ながらのブルージーなロックも、理屈抜きのロケンローも取りそろえた、爽快作です。
派手さや激しさを求めると肩透かしでしょうが、コンパクトでポップなロックを聴きたい気分の時にはマッチします。
リラックスして、日常のBGMとして聴くのにぴったりのアルバムです。


SEBASTIAN BACH - Child Within the Man - Crucify Me (2024-09-29 20:21:30)

誰が聴いても、アルバムの中では地味な曲に入ると思うんです。
ミドル・テンポの、そこそこヘヴィな箸休め的曲。そこにこれだけの切迫感/説得力を加味できるアーティストがどれだけいるのか。
「全てが名曲」のアルバムよりも、まあまあな曲にすら圧倒されるアルバムに、凄みを感じる今日この頃です。


SEBASTIAN BACH - Child Within the Man - (Hold on) To the Dream ★★ (2024-09-29 20:14:34)

この曲を優れたシンガーが(常識的な展開で)歌えば、よくできたパワーバラードとして、それなりの評価を得られるでしょう。
それが、バズが歌うことで、狂気を感じさせるヤバい曲に変貌してしまいます。
こういう、バラードがただのバラードで終わらないところに彼の真骨頂があるんですよね。突き抜けています。


SEBASTIAN BACH - Child Within the Man - Everybody Bleeds ★★★ (2024-09-29 20:06:23)

最初に聴いた時、「これは期待できるぞ」的評価止まりだったことを白状します。まだ上から目線で分析的に聴いていました。
繰り返し聴くと、冒頭のリフからもう、実は最高のオープニングだったなと理解できます。
こういう、「聴けば聴くほど熱量が増す」「自然に首を振ってしまう」ロックに出会うのって、いつ以来でしょう。
メタル/ロックが好きな自分で良かった。泣けてきます。


SEBASTIAN BACH - Child Within the Man ★★★ (2024-09-29 19:58:20)

今年発売の新譜の中で、最も燃えるアルバムです。あまり期待せずに聴いたのですが、即ヘビロテになり、のめり込みました。
10年ぶりだけど、衰えは感じません。むしろ若返ってる?
ポップなメロディを甘く歌う部分もあり、キャッチーなハード・ロックとも言えるのですが、どの曲にも必ず激しく声を振り絞る熱い盛り上げ箇所が用意されていて、「キタキタキターーーッ!!」って感じで、ゾクゾクします。
このザラついた声、特徴的な節回し、感情移入たっぷりのスクリーム。戻ってきたなー。これが聴きたかったんですよ。お帰り、バズ!!
そして何より、曲がいい。かっこいい。歌メロもいいけど、特にギターのフレーズが凝っていて印象的です。
ほとんどの曲づくりにギターのデヴィン・ブロンソンとプロデューサーのマイケル・“エルヴィス”・バスケットが関わっているからか、寄せ集め感のない、しっかりしたバンドの作品という感じになっています。
豪華ゲスト陣も、目立ち過ぎず、アクセントになるように彩を添えています。スティーヴ・スティーヴンスとまた組んで今後何かやってくんないかな。
SKID ROWの『THE GANG’S ALL HERE』は、エリックの歌も曲も素晴らしかったのですが、コーラスの掛け合いやメロディが陽性で朗らかな印象でした。こちらはベクトルが陰性で歌詞も凄惨な印象があり、メロディアスではあれどシリアスで刺々しい。
でもそこに惹かれます。心を揺さぶられる音楽です。
久々にいいもの聴かせてもらいました。'20年代の名盤を選ぶなら、絶対入れるなー、これ。


EXHORDER - The Law - Un-Born Again ★★★ (2024-05-19 20:56:31)

正直、ぶっ飛びました。
なんでこんな超名曲を今まで知らなかったかなー。
スラッシュ/ファンク/グルーヴ・メタル史上に残る、熱すぎる激烈曲です。'90sヘヴィネスの文化遺産。
全部が聴きどころです。燃えます。


IRON BUTTERFLY - In-A-Gadda-Da-Vida - In-a-Gadda-da-Vida ★★★ (2024-05-19 20:42:50)

妖しすぎるリフに降参です。この長さも含めて、色々とトリップさせてくれます。大名曲。
複数のメタル・バンドにもカヴァーされていますが、私はこの曲をINCREDIBLE BONGO BANDがカヴァーしたものをヒップホップMCのNASが曲中でサンプリングしていたことで知りました。
多様なジャンルのリスナー/ミュージシャンに愛される、魔性の魅力を持った奇々怪々な曲です。


FLEETWOOD MAC - English Rose ★★ (2024-05-19 20:31:50)

'69年発表のアメリカ向け編集盤です。邦題は『英吉利の薔薇』。ジャケのインパクトが絶大。
半分は2ndの曲で、2曲が3rdから、他に4曲のアルバム未収録曲という微妙な選曲。
とはいえ、他のアルバムでは聴けない「Jigsaw Puzzle Blues」「Something Inside of Me」「Black Magic Woman」「Albatross」がどれもこれも良い曲なもんだから、ベスト盤なみの満足度です。
ゲイリー・ムーア経由で興味を持ち、学生時代に何度も店頭で手にとっては結局買わなかったのですが、今になって聴いてはまっています。
酒が進む音楽。


CREAM - Disraeli Gears - Tales of Brave Ulysses ★★ (2024-05-19 20:16:57)

ユリシーズ(オデュッセウス)を取り上げた曲。うーんファンタジーだ。
渋くて重々しくて、やたらかっこいい。


MELVINS - Bullhead - Cow (2024-05-19 20:03:00)

スカスカで、ドラムスがメインで、結構テキトーさも感じるんだけど、その辺が最近の個人的嗜好からなんだかそこはかとなくお気に入りなのデス。


TROUBLE - Manic Frustration - The Sleeper ★★★ (2024-05-19 19:56:50)

ジャンル分け無用のハードなロックの傑作曲。
鼻血モノの激熱グルーヴと推進力に降参です。


RAGE - Soundchaser - Defenders of the Ancient Life ★★ (2024-02-18 22:56:10)

趣向を凝らして、次から次へと耳をとらえる展開を用意してくれます。うーん、変幻自在だ。
こんなに個性的なのに基本はキャッチー。良い曲つくるなー。


RAGE - Wings of Rage - Let Them Rest in Peace (2024-02-18 22:38:11)

リフはグルーヴ・メタルとして秀逸だと思います。だみ声で凄むとマッチします。
が、一転、サビのコーラスがさわやか系で、困惑させられます。
でも変てこで楽しー。


RAGE - 21 - Destiny (2024-02-18 22:31:35)

緩急があって、落差が面白い曲です。彼らならではのひねりが効いています。
出だしは普通の曲っぽいので騙されます。


RAGE - End of All Days - Deep in the Blackest Hole ★★ (2024-02-18 22:24:28)

久々に聴いたら、心に響きまくりな泣きメロ曲で、ついつい何度もリピートしてしまいました。
こういう陰のある地味めな曲をかっこよく聴かせる手腕に痺れます。沁みるなー。


DEEP PURPLE - Shades of Deep Purple - Mandrake Root ★★ (2024-02-17 22:28:10)

あんまりハードでびっくりしました。
ズンドコ重々しいリズムに、ドラムってゆーより太鼓って言いたくなるイアン・ペイスの暴れまくりっぷりが好きです。


WINGER - Seven ★★ (2024-01-08 18:57:14)

'23年の7thです。
『KARMA』『BETTER DAYS COMIN’』が、工夫されたアレンジと多彩さに驚かされる傑作だったため、さらに上の刺激を求めてしまったので、初めの印象は「ストレートで地味なアルバム」でした。
が、繰り返し聴くと、しみじみ良い。
何曲かは若作りで軽いけど、全体的には骨太で、ちょっとブルージーなところもあるオーソドックスなハード・ロックです。
毎度、彼らのアルバムを聴くと、「巧いなー。プロだなー」と思うのですが、本当に細かな表現を疎かにしていない。
日常でふと聴きたくなる、ストレスなく聴けるアルバムです。


KK's Priest - The Sinner Rides Again ★★★ (2024-01-08 18:34:26)

'23年の2ndです。色々吹っ切れて、本格的に集中してバンド活動に勤しんでいるようで何よりです。
1stではJP色が過去を引きずっているように思えたのですが、2ndまできて、K.K.は「SINNER」や「THE SENTINEL」といったJPの曲世界の続きを描いていきたいんだなーというのがはっきりしました。
ここまでタイトルと歌詞を盛り込むんだもの、相当こだわりあるんですね(「SINNER」は手元のCDじゃK.K.のクレジットはないんだけど、もう自分の一部みたいなもんだったんでしょーか)。
前作にあったようなポップ曲を廃し、ひたすらヘヴィに攻め立てるところが良い感じ。うーん、メタルだ。
日本盤ボーナスのインスト・ヴァージョンを聴くと、(4)「ONE MORE SHOT AT GLORY」はショーンとトニーが主役級でギター隊がいぶし銀の働きをした曲、(9)「WASH AWAY YOUR SINS」はリッパーの歌が入らないと曲が成立しないアレンジになっていて、バンド全員が目立つようになっています。そういうところも仲良さそうで、なんか好き。
超名曲が入っているとか超名盤とかいう作品ではないのですが、凄まじい歌唱と熱いツイン・リード・ギターが入った高品質ピュア・メタルとして末永く愛聴するであろう宝物です。


CRYPTA - Shades of Sorrow ★★ (2024-01-08 18:16:14)

様々な苦痛や悲しみの色合いがテーマということで、前作に比べるとだいぶ暗く情緒的な作品という印象です。
新ギターのジェシカのソロはけっこう泣き泣き系で、前任のソニアとは別方向の古典メタル的要素を感じます。
Edu Falaschiにも参加しているPablo Gregがキーボードでアルバムのイントロ/アウトロ他を切々と演奏していますが、アルバム全体を通して振幅・強弱が大きく、メロディも増量されています。
期待していたのは1stのように素直なオールドスクール・邪悪デスであったため、思っていたのとは違う路線ですが、聴き込むとこれはこれでありそうでない悲哀デスとして優れた逸品。
メロデス化はせず、それでいて叙情的な音楽を奏でて、感情をうまく音楽で表現しています。


EDUARDO FALASCHI - Eldorado ★★ (2024-01-08 17:53:23)

3部作の2枚目に当たるらしい、'23年のアルバムです。
アステカ好きの人には魅力的なコンセプトじゃないでしょーか。ケツァルコアトルとか出てきます。
いくつかあるソロ作のうち、オリジナル曲のフル・アルバムとしては『VERA CRUZ』に次ぐ2作目かな。アーティスト名は「EDU FALASCHI」名義の方が正式でしょうか。
大仰でメロディアス、スピーディーでシンフォニックでエスニックでスパニッシュなメタル。
彼のキャリアの美味しいところがみんな入った音楽です。バンドのテクニックも凄まじいし、エドゥの歌声も完全回復して全盛期に戻っており、素晴らしい。
歌メロが「Z.I.T.O.」を想起させる「TENOCHTITLáN」や、サビで「I WANT OUT」って叫びたくなる「REIGN OF BONES」なんかは、ルーツへのオマージュでしょうか。懐かしい感覚が呼び覚まされます。こういうメタルが大好きだったなぁ。
ただメロスピとして聴いても極上なんですが、なんたって凝りまくってて、聴くたびに発見があるので、長く付き合っていきたいアルバムです。


PAIN OF SALVATION - Road Salt Two - Through the Distance (2023-12-30 00:02:55)

「1979」の歌メロを使っているので、対になる曲なのでしょうか。
サイケデリック・ロック的な揺らぎ感が癖になります。
このバンド、たまに聴き返すと変なところで耳が引っかかって、毎度新たな嗜好を掘り出されてしまいます。
常に新鮮。


Leprous - Aphelion - On Hold ★★ (2023-12-29 23:39:43)

静かで、メタル的攻撃性はないのですが、ものすごく「盛り上がる」激情曲。
暗いので「盛り下がる」と言うべきかもしれませんが、これほどに熱い歌を聴けばやはり興奮してしまいます。


ANEKDOTEN - Vemod - Thoughts in Absence ★★★ (2023-12-29 23:22:22)

消え入りそうなメロトロンの音色がたまりません。幽玄の美を感じさせる穏やかなバラード。


DEEP PURPLE - Deep Purple - Lalena ★★ (2023-12-10 21:19:37)

この曲、「ハード・ロック・バンド」の曲(しかも全盛期と別Vo.)だからスルーされているんでしょうけど、「(マイナーな)プログレッシヴ・ロック・バンド」の曲として聴かれていたら、プレミアの付くレア名曲扱いなんじゃないでしょーか。
バンド名伏せて聴かせたら絶賛されそう。
陰鬱プログ・メタル・バンドやゴシック系バンドにカヴァーしてほしい、悲哀に満ちた絶望系バラード。
(って、この曲自体オリジナルはDPじゃなく、Donovanのカヴァーでした。いつか原曲もたどって聴こう)


DEEP PURPLE - The Book of Taliesyn - Shield ★★ (2023-12-10 21:05:04)

ここのところ、'60年代後半のロックの多くがドゥーム/ストーナーに連なるものとして聞こえてしまっています。なんだこの変てこフィルター。
この曲の妖しい仄暗さに囚われて、何度もリピートしてしまうこととか・・・。
20年前の自分なら絶対スルーしてる曲です。「眠くなる」とか言って。それが今聴くと絶品なんだもの。
ロッド・エヴァンスの声の魔力を今更思い知りました。


ECTOPLASMA - Inferna Kabbalah - Filth-Ridden Flesh (2023-12-10 20:50:15)

どストレートな温故知新デスです。色々と展開はしていくのですが、余計な色目を使わずにシンプルなフレーズで押していくので素直に楽しめます。
そしてやっぱりどこかユーモラス。この雰囲気が嬉しい。


ECTOPLASMA - Inferna Kabbalah - Infestation of Atrocious Hunger ★★ (2023-12-10 20:44:18)

1分30秒あたりからの愛嬌のあるリフが好きです。何かが現れそう。
冒頭のリズムも工夫があって印象的。


ARTI & MESTIERI - Giro di valzer per domani - Valzer per domani ★★ (2023-11-25 22:32:42)

たぶんこの曲、ジョン・コルトレーンのスタジオ盤ヴァージョンの「MY FAVORITE THINGS」へのオマージュなんじゃないかなと、勝手に解釈して聴いています。
ピアノのフレーズとか、とても巧みな本歌取り。
ジャズとロックの境界線なんて軽々と越える、泣きたくなるくらい瑞々しいインストの小品。
なんて軽やかで、すてきなんでしょう。すべての楽器が歌い、踊っています。


GENTLE GIANT - Octopus - Knots ★★ (2023-11-25 22:20:08)

コーラスの面白さというものに興味を持つようになってからGENTLE GIANTを聴き直したら、こんなに魅力的なのに今まで気づかずに聞き流してしまっていたのだと、ショックを受けてしまいました。
それも去年だか今年という、最近。・・・遅かりし由良之助。
ともあれ、この曲も楽しくてしょーがない。コーラスも楽器も遊んでますね。AREAより不真面目かつポップな感じが好きです。


OSANNA - L'uomo - In un vecchio cieco ★★ (2023-11-25 21:59:40)

危うさと哀愁とあどけなさが混じり合ったようなアンバランスさに弄ばれる耽美的な前半と、つんざくようなサックスによるノイズや絶叫に塗りつぶされる後半。
このギャップはなんなんだろー。
でもすげー。
前半はマジうっとりモノなんですよ。この人たちはブチ壊し展開が好きだよなー。


VOIVOD - The Outer Limits - Jack Luminous ★★★ (2023-11-25 21:48:04)

久々に聴きましたが、やっぱり宇宙に連れて行かれました。
何年かに一度聴き直すのですが、毎回別世界に連れ去られます。
そして毎回、新たな発見があります。ちくしょー、本当に名曲だ。今回もねじ伏せられました。
それにしても個性的すぎる。唯一無二。


OBSIDIAN SEA - Pathos ★★★ (2023-11-25 21:20:13)

気品の漂う美しい音楽。聴き惚れてしまいます。蕩けます。
グルーヴィーでシンプルな、でも旨味にあふれたヘヴィ・ロック。
穏やかな歌声はメタル的ではなく、楽器の音づくりも磨き抜かれていて粗雑さは皆無。ギターのトーンがもう絶品。
ドゥーム/ストーナー系に分類されているバンドですが、私は今作を'70年代前半頃のユーロ・プログレ(美声系のちょっと妖しいやつ)を聴く時に似た感覚で聴いています。
これ、PINK FLOYDが好きな人にも受けそう。あ、そうだ『THE OUTER LIMITS』の頃のVOIVODにも似てる。
音数が少ないんだけど、無駄な音がなくて、どこを切っても魅惑的。
トリオ編成で、ギター兼ヴォーカルの紡ぐメロディがツボですが、ベースのフレーズやドラムのオカズなど、一つひとつの音が必然性を感じさせます。
全然音楽性は違うんだけど、スティーリー・ダンのアルバムみたいに、こだわりまくってサウンドを組み立ててんじゃないかなー。逆にセンス一発で感覚的につくっていたとしても、それはそれで納得。なんたって全編通しての空気感に一本芯が通っています。
これたぶん、30年後も聴いてるだろうなー。今のところダウンロードで聴いていますが、ジャケも良いし、円盤購入必須のお宝盤です。


ECTOPLASMA - Inferna Kabbalah ★★★ (2023-11-23 21:41:20)

いや、本当に完璧デスね。お宝に巡り合わせてくれてありがとうございます。
このいかがわしいジャケ、心地よいゲボゲボ声、初聴時からすでに懐かしい楽曲・・・。
ビリビリ響くギター・サウンドのヴィンテージ感も、ヨダレものです。
オールドスクールなデスメタルの鑑と言える、驚異の完成度。トータルで磨き抜かれてるなー。ホント、「わかってる」バンド。
疲れなくて何時間でも流していられそうな、エヴァーグリーンな輝きを放つ音楽デス。
これはCRYPTAに匹敵するくらいはまりそうな気がします。これ、去年知ってたら確実に年間ベストに入れてました。


GREAT WHITE - ...Twice Shy - Once Bitten Twice Shy ★★ (2023-11-23 21:10:31)

私もいくつか昔発言したはずなのに消失してるものがあります。サイト改変時とかに消えちゃったのかなーと思っていました。
GREAT WHITEのこのアルバム、尖っていないこういう曲の雰囲気が好きで、よくお世話になりました。
余計なことを考えたくない、ただ心地よくて明るいロックが聴きたい気分の時に、心を救ってくれる曲です。


POWER QUEST - Master of Illusion - Kings of Eternity ★★ (2023-11-23 20:41:56)

日本語を乗せても歌えそうな、このポップな歌メロがツボです。
爽やかだー。


DOMINE - Stormbringer Ruler (The Legend of the Power Supreme) - The Hurricane Master ★★★ (2023-11-23 20:24:13)

この曲だけでもう、伝説レベルで語り継がれちゃってませんか。
他にも良い曲があるんだけど、まず真っ先にこれを思い出しちゃうもんなー。
メタルって極端さ、熱さが大事なんだなぁ。


CIRITH UNGOL - Frost and Fire ★★ (2023-11-23 20:10:56)

最新作『DARK PARADE』がけっこう人気(?)っぽいので、全く知らないバンドだったのですがチェックしてジャケを見てみたら、「エルリックじゃん!?」と驚き、バンドに興味を抱きました。
マイクル・ムアコックのエルリック・サーガの表紙を描いたマイケル・ウィーランの絵を、この1st以降全てのアルバムのジャケで使ってるんですね(私が読んだエルリック・サーガは天野喜孝のイラストですが)。
イタリアのDOMINEのジャケもエルリックが多いですが、本家本元の絵の使用許諾が出てるって、CIRITH UNGOLすげーな(フランク・フラゼッタの「バーサーカー」がMOLLY HATCHETに先に使われたから、ウィーランに「ストームブリンガー」使用をお願いすることになったのがきっかけのようですね)。
マイケル・ウィーランはMEAT LOAF、SEPULTURA、OBITUARY等のアートワークも手掛けているので、ロックやメタルに理解があるのかな。
さて肝心の音楽について。
事前情報が賛否両論だったので覚悟して聴いたのですが、あれ? 全然悪くないぞ。リマスターされてるせい?
時代を感じさせるのは、'71年から活動しているHM/HRバンドであることを考えれば許容範囲。アメリカの元祖パワーメタルの一つ。
歌も演奏も十分魅力的です。何より味があり、フレーズが印象的です。
このベース、好きだなー。
Wikipediaによれば、ロック・ハード誌の「史上最も偉大なロック & メタル アルバム500枚(2005年)」で362位にランクインしたらしいです。ドイツでは歴史的名盤という評価?
ほの暗いファンタジックな世界を、ちょっと垢抜けないながらもシリアスに重々しく描く様は、失恋船長さんも指摘されてますが、初期JPっぽく感じます(JUDAS PRIESTの1stや2ndはもちろん、エキセントリックさはJAG PANZERの1stにも通じるかも)。
NWOBHMのバンド群にも似た妖しい雰囲気が魅力で、古臭いHM/HRが平気なメタルマニアにはおすすめできます。


BUCK-TICK - 狂った太陽 - MAD ★★ (2023-11-14 22:57:08)

高校時代に友人に借りたのだったか、レンタルCDをダビングしたのだったか、記憶はおぼろげです。
カセット・テープで聴いていたのですが、彼らの曲は独特すぎて、当時の私には難しくて魅力が分かりませんでした。
ただ、この曲だけは歌詞のインパクトもあり、ずっと印象に残っていました。
いま聴いても強烈です。


ANDROMEDA - Manifest Tyranny ★★★ (2023-11-12 23:22:54)

'11年発表の5thアルバムです。
1stの鮮烈な印象の後、いくつかの作品はファンの望む方向性ではなかったのでしょうか。このアルバムに至るともう、聴いた人も少ないかもしれません。
でも私はこのアルバムが彼らの作品で一番好きです。
相変わらずの曲芸的超絶技巧は健在。テクニカルで凝りまくっています。
でもそれより何より、ピンポイントで投入される哀メロの美しさにノックアウトされました。
初期PAIN OF SALVATIONを彷彿とさせる多彩かつ繊細な表現力と陰鬱美メロ。
Martin Hedinのリリカルなキーボード、David Frembergの情感のこもった歌声、ここぞというところで泣きむせぶJohan Reinholdzのギター。
捨て曲なしの名盤だと思っています。特に(3)(4)(5)の流れには、たまらないものがあります。
これ以降はスタジオ・アルバムが出ていないようですが、このように優れた作品を生み出す才能の集まりには、末永く活動してほしいなー。


ANUBIS GATE - Interference - Emergence ★★ (2023-11-12 22:52:58)

サビの歌メロやギター・ソロはキャッチーなのですが、他の部分は一般受けしなさそうなヒネクレメタル。
でもそんなところがなおさらメロディを引き立て、印象的にしています。


ANUBIS GATE - Interference ★★★ (2023-11-12 22:39:13)

デンマーク出身のプログレッシブ・メタル・バンドの'23年の9作目です。(オリジナル・アルバムとしては8th)
このバンドについては、歌メロがキャッチーなメロディなのに、曲が根暗系(PORCUPINE TREEやRIVERSIDE並み。ちょっとFATES WARNINGも連想)な人達、という印象を持っていました。
良いんだけど地味というアルバムが多いのですが、本作は驚かされることが多く、繰り返し聴く中で捕らえられつつある今日この頃です。
曲ごとの落差が大きく、絶対に全曲違う曲調にしてやるぞというようなこだわりを感じさせるあたりが私のツボを突きまくるのです。今年発売のアルバムでは上位のお気に入り作。
3曲目までの流れが特に好きです。サビメロがキラーな(1)から、不気味さと可愛らしさが均衡を保つベース主導の異色曲(2)、コーラスの織り込み方が刺激的で泣き泣きギターに持っていかれる(3)と、並べ方が心憎いばかり。そして4曲目に全部ぶち壊されて、5曲目のやけくそスクリームに苦笑し・・・結局最後まで翻弄されてしまいます。
一聴目で気に入る人は少ないと思われます。でも何か引っかかりを覚えて聴き込むと、バンドそのものにズブズブはまってしまうであろう、仕掛け満載の意欲作です。


HAKEN - Fauna ★★★ (2023-11-03 23:29:04)

イギリスのプログ/プログメタル・バンドの'03年の7thアルバムです。もう傑作、名盤と太鼓判を押してしまいます。
私の大雑把な印象では、1stと3rdは昔ながらの取っ散らかった奇想天外なプログレッシヴロック、2ndと6thはかっちりしたDT系プログメタル、4thと5thはエレクトロニカやジェント系のリズム実験を取り入れたモダン・プログメタルという感じでした。
で、このアルバムの印象はというと、「おいしいとこ全部盛り」です。
変態的でしっちゃかめっちゃかながらも整合感もしっかりありモダンでヘヴィでメタリック。面白いったらありゃしない。
一聴目に最初の2曲でこれはヤバいとなり、3、4、5と聴くうちにこれとんでもない作品じゃないかと身を乗り出し、終盤に至っては脳みそからなんか変な汁が出てるんじゃないかってくらい興奮しちゃってました。
私の中ではINSIDE OUT MUSIC所属のHAKENとFROST*とLEPROUSとPAIN OF SALVATIONが四天王的に次々刺激的な作品を提示してくれているバンドとして外せないのですが、今年はこのアルバムにガツンとやられました。
全曲「動物」関連ということで歌詞も面白そうだから日本盤で対訳も読みたかったのですが、こんな変態的なアルバム、インスト・ヴァージョンも聴かなきゃ絶対損ということで、輸入盤2枚組を購入。邦盤もインスト盤付けてくれたらなー。


IN FLAMES - Foregone ★★★ (2023-11-03 23:08:10)

んーと、このアルバム、以前に誰か登録して発言されていらっしゃいませんでしたか?
見覚えあった気がしたのですが、発言しようと思ったらアルバムの一覧にありませんでした。勘違いかなぁ?
とりあえず新規で書き込みます。
'23年14thです。
冒頭で初期作を彷彿とさせるフォーキーなインストからいかにもメロデスな2曲目が始まった途端、ガッツポーズした人も多かったんじゃないでしょうか。
とはいえ、全体的には脱メロデスを更に推進した実験作です。
事前に "初期メロデス期への回帰" "これぞイエテボリ・サウンド" みたいにアナウンスされていましたが、その売り方はだめでしょう。
ほとんどの曲はノーマル・ヴォイスが入り、途中でスピード・ダウンし、メロディアスに歌い始めます。また、最後までグロウルで通す曲もありますが、全然昔のメロデスではありません。
昔ながらのアレを求めて聴いたらがっかりしちゃいますよ。でもさらなる前進を求めるリスナーにはきっと素晴らしい名盤。
いやー、攻めてくれますねー。類型とは無縁のユニークな曲がずらりです。面白くて何度もリピートしちゃいます。
彼らの形容に「オルタナティヴ」という枕詞が使われることが増えている気がしますが、ほんと、「このバンドにしかできない、主流メロデスとは決定的に異なる」個性派メタルです。4~6曲目の流れには感涙でした。
もっとどんどんやってほしい。どんなに変化しても、曲が魅力的だから全然退屈しない。リズムもメロディも音づかいも歌唱法も、アイディアが活きています。


VEKTOR - Terminal Redux - LCD (Liquid Crystal Disease) ★★★ (2023-11-03 22:30:53)

この曲のリフやソロを聴くと、リムスキー=コルサコフの「熊ん蜂の飛行」を思い出します。
忙しなく飛びまわる虫の羽音のようなスピード感が圧巻。
スピード・ダウンした時のリフはSLAYERのような不気味さがあってこれまた絶品。


ANUBIS GATE - Interference - The Phoenix (2023-10-29 23:42:48)

前曲までの流れをぶった切るようなポップさにギョッとする不思議曲です。
この曲があるせいで、アルバム全体に油断できない仕掛けがあるんじゃないかと身構えてしまいます。
他の曲の方が好きなのですが、スパイスとしてよく効いているので、やたら印象に残ります。
してやられました。


WINGER - Seven - Heaven’s Falling ★★ (2023-10-29 23:23:09)

新譜の中で真っ先に心に響いたのはこの曲でした。哀愁のまとわせ具合が絶妙。
彼らにしてはひねりが少なく素直かなとも思いますが、やっぱり一つひとつの表現がしっかりしてるよなー、プロだなーと感じます。
簡にして要を得た感じのギター・ソロも素晴らしい。


EXTREME - Six - Other Side of the Rainbow ★★ (2023-10-29 23:10:48)

嘘くさいくらい爽やかで若々しくて、初めはウゲゲってなりました。
でもそんな曲を今やれちゃう彼らは本当に瑞々しくて、きっと音楽を心から愛しているんだろうなと思っちゃいます。
むず痒いけれども、なんだかんだで好きです。


VAN HALEN - Van Halen III - Fire in the Hole ★★ (2023-10-29 22:47:10)

数年ぶりに聴いたら驚くくらい良くて、何で以前はスルーしていたのかと、自分の感性を疑いました。
やはりどの時代も、どのヴォーカルも素晴らしいバンドです。
年をとったなりの表現ではありますが、非常にエネルギッシュで、興奮させられます。


VAN HALEN - OU812 - Source of Infection ★★ (2023-10-29 22:27:57)

いかにもアメリカ、これぞVAN HALENというような曲調です。
サミー巧いなー。尖っているのに整っています。
なんか最近、こういう曲がやけにまぶしい。


VAN HALEN - Van Halen II - Outta Love Again ★★ (2023-10-29 22:16:22)

このアルバムで一番好きです。こんなとっ散らかった曲をかっこよさげに着陸させられるデイヴィッド・リー・ロスのセンスに脱帽です。
お奇麗に整ったハード・ロックでは決してない、勢いに任せたワイルドな曲です。


NEEDLESS - Heresy ★★ (2023-10-29 00:01:02)

ハンガリーのプログデス/テクニカルデス・バンドの1stです。
テクニカルと言っても超高速で突っ走る系ではなく、物語性を感じさせる楽曲を様々な手練手管で聴かせる系デス。
スラッシュ/メロデスと言っても構わないくらい、メロディも充実しています。
2ndが大好きで、遡って聴いたのですが、1stと言っても結成15年目と言うことで未熟さはなく、細部までコントロールされた緻密な作品になっています。
とにかく彼らの曲は私にとってひたすら気持ちよく、どの曲も初めて聴いた瞬間から胸にしみこんで心を洗い流してくれます。
うーん、好きだ。


ICE AGE - Waves of Loss and Power - Riverflow ★★ (2023-10-28 23:42:06)

あまりに自然に曲が流れていくのでただ身を委ねちゃいますが、これだけ色々凝った展開を盛り込んでおいて違和感を感じさせないって、実はとんでもないことなんだろうなー。
10分超の曲にも関わらず、淀みも退屈さも感じずに最後まで楽しめます。


ICE AGE - Waves of Loss and Power ★★ (2023-10-28 23:32:44)

アメリカのプログレ/プログレメタル・バンドの、22年ぶりの3rdアルバムです。
前2作は未聴なので比較はできませんが、メロディを大事にした適度にスリリングでほどほどにハードな音楽性は非常に心地よく、CAIROやMAGELLANやFROST*あたりと似た感覚で聴いています。
歌詞は戦争や人権問題、チベット併合について歌っているようですが、音を聴いている分には重苦しさはなく、メロディと展開の妙に浸ってしまいます。
楽曲はよく練られていて、長く複雑な構成であっても最後まで聴かせる魅力があります。全体的にまろやかな音づくりで、歌や演奏がキンキンしていないところも良いです。


NOCTURNUS - The Key - Lake of Fire ★★ (2023-10-15 23:37:55)

キラキラして神秘的なイントロを完全にぶち壊して、トチ狂った演奏が空間を引き裂いて暴れまくる始まりで勝負ありデス。
いやー、何が起きたのかと思いましたよ。
曲自体はけっこうかっこいい暴虐スラッシュ/デスなのですが、間奏部分のキーボードがSF感丸出しの効果音を飛び道具的にぶち込んでくるところがクレイジーで最高。
ネタ曲として語り継がれるべき個性あふれる名(迷)曲。


NAPALM DEATH - Utopia Banished - Discordance ★★ (2023-10-15 23:26:37)

初めてこのアルバムを聴いたとき、このオープニング曲のヘヴィさに驚き、どれほど凄まじい音楽が始まるのかとゾクゾクしたことを覚えています。
ただのSEかと思ったら、重々しいベース・サウンドが鳴り響き・・・この重さのままで次の曲が疾走を開始したらどれほどかっこいいのかと夢想したものです。
実際には2曲目につながった途端、拍子抜けしてしまったのですが・・・。(たぶん、2曲目が「Cause and Effect, Part II」あたりだと、より満足できたはず)
凄まじいヘヴィネスを保った疾走――それはその時以来の私の理想音楽の一つです。


AUTOPSY - Mental Funeral - Dark Crusade ★★ (2023-10-15 23:15:05)

極端から極端へ。
近頃聴いて感嘆したのですが、20年くらい前の私が聴いたら歓喜していたであろう、エクストリーム・ミュージックの「やりすぎ」を集めたような名曲です。
既存の楽曲モデルをぶち壊して突き抜けたことをやる。これこそメタルの醍醐味じゃないですか。


AUTOPSY - Mental Funeral - Robbing the Grave ★★ (2023-10-15 23:10:24)

ドゥームとしか思えないパートも、デスメタルならではのパートもあり。
当時はそんな区別はあまり重要ではなかったんでしょうね。今聴くと実に個性的で新鮮です。
おもしれ~。


ACRIMONY - Hymns to the Stone - Leaves of Mellow Grace ★★ (2023-10-15 22:59:48)

何か昔話の始まりのようなメルヘンチックなオープニングが素敵です。
この、ネットリとズッシリとしてビリビリと空間を震わすベースの音色も心地よく、浸ってしまいます。
たっぷり2分半ほど引っ張って、いよいよ歌の入るタイミングでテンポ・アップする展開も心憎い。何度も聴きたくなります。


ASPHYX - Asphyx ★★★ (2023-10-15 22:44:50)

オランダのデスメタル・バンドによる'94年の3rd(『EMBRACE THE DEATH』を1枚目と数えれば4作目)アルバムとなるセルフ・タイトル作です。
ヴォーカル・ベースはこのアルバムのみのRon van Pol。ドラムスとキーボードも今作限りのメンバーなため、ギターのEric Danielsだけが以前からのメンバーという微妙なラインナップ。
しかも私が彼らに惚れた出会いの作品である4th『God Cries』のみEricが不参加だったため、なんとメンバーが一人もかぶらない。完全に次作とは別バンドです。
ちなみにTheo Loomansが歌う『God Cries』の後に聴いたのはMartin van Drunenが歌う1st『The Rack』で、結局私が聴いた3枚はみな歌声が違うんですよね。でも3人ともタイプは違えど私好みで、しかも3枚とも「ああ、ASPHYXだ。良いアルバムだなぁ」と聴き惚れてしまうのです。
それでこのアルバムなのですが、とにかくドゥーム感が強い。重々しいスロー・ナンバーが快感な、ズッシリ系デスメタルになっています。1stにもその傾向はありましたが、更に徹底しています。 特に(1)「Prelude of the Unhonoured Funeral」と(5)「Initation Into the Ossuary」は沈み込み具合や荘厳さが素晴らしく、ドゥーム・デス/ゴシック・デス系を好むリスナーには堪えられない名曲です。
かと思えば(7)「Abomination Echoes」はインダストリアル系バンドのような機械的ズンズン・リフがたまらんし、(8)「Back Into Eternity」のイントロのシンセなんて「これ絶対ブラックメタルが始まるヤツ」って雰囲気で、おいしいったらありゃしない。
ジャンル分けが固まる前の型にはまらないデスメタル。しかもこのラインナップは1枚のみ! 個性的で味のあるメタルが好きなマニアにはおすすめです。


DEFILED - The Highest Level - Inquisition ★★ (2023-10-15 22:15:41)

アルバム中屈指の不思議曲。カテゴライズが難しい。
冒頭のリフなんてデスメタルでこれ使うかよっていう奇天烈さだし、ドラムスの変幻自在っぷりは頭おかしいレヴェルだし、何度聴いてもなぜこれが自然につながるのかがわからない展開が狂っていて実に味わい深いのです。
タイトルが「異端審問」で魔女狩りがテーマのようですが、理不尽なテーマには理不尽な曲が適うということでしょーか。


TNT - My Religion ★★★ (2023-10-15 22:01:32)

このアルバムを聴いていないTNTファンに12曲目から聴かせてどのバンドか当てさせようとしたら、皆目見当がつかないのではないでしょうか?
トニー・ハーネルとロニーの組み合わせの底知れぬ可能性に寒気を覚えるほどの多彩さ、多様性。
普通に最良のハード・ポップとして受容しても違和感のない親和性や完成度と、通常のバンドではありえないほどの実験性や自由度が両立しています。
やりたい放題でカオスなアルバムなのに各曲のクオリティが高すぎてケチがつけられない。
例えば(9)「Live Today」の歌メロをBON JOVIに提供したら、世界中で大ヒットしていますよね? そんな曲がこのアルバムでは地味な扱いです。
「怪物」と形容したくなるような、強烈な才能の組み合わせによる、隠れ過ぎた名盤がこのアルバムです。


TNT - Knights of the New Thunder ★★★ (2023-10-15 21:32:26)

ジャケは再発盤でしか知らず、ロニー・ル・テクロのCADAVER加入をきっかけに本作を聴いた自分はTNTファンを名乗る資格もないかもしれません。それでも、北欧メタル黎明期の名盤であることを喧伝することに関しては一切のためらいを感じません。(恥ずかしながら3rdから聴いて長年分かった気になっていた身ですが・・・)
時代を感じさせるところはありますが、そこを含めて本当に魅力的なメタル作品。
リフのキレ、ギター・ソロのセンス、突き抜けるヴォーカルの尖りっぷり、バンドとしての勢い、どこをとってもHM/HRの旨味があふれています。こういうのが元々のメタルだよなーという、'80年代の名盤です。


CADAVER - The Age of the Offended - Deadly Metal ★★ (2023-10-15 21:11:54)

TNTのカヴァーです。もはや違う曲に聴こえますが、よくできたアレンジで、はまっています。
ドラマーはMEGADETHやSOILWORKにいた人なので、こういう曲もかっこよく叩けてますね。
ギター・ソロをロニー・ル・テクロに入れてもらおうと、彼の所有スタジオにアンダース・オデンが行ったら、曲全体を弾いた上に他の曲もみんな弾かせろとロニーが言い出し、一週間もスタジオに留められたとか。
そんな興奮状態のロニーを想像しながら聴くと、ニヤニヤが止まりません。


CADAVER - The Age of the Offended - The Age of the Offended (2023-10-15 21:01:06)

この曲のMVを観ると、ウッドベース使ってますね。2nd『…In Pains』に参加したアイラート・ソルスタッドが復帰したらしいです。なんだか手の甲や指に刺青(ペイント? いやただの体毛???)があってヤバそうな人だと思いました。
ロニー・ル・テクロは指になんか金属をはめて変な効果音出して遊んでます。
曲としては地味なんだけど、映像を観てるだけで楽しい。
次作は曲作りからロニーが参加すると考えると、どんな奇天烈な音楽になるかとワクワクしちゃいます。


DEFILED - The Highest Level ★★ (2023-10-09 21:01:32)

'23年発表の7thフルです。
たぶん今年、デスメタルの中で一番このアルバムを聴いている気がします。お気に入りで、というよりは理解できなくて。
前作『INFINITE REGRESS』は全然違和感なくしっくりきて、「ああ、いいなこのアルバム」と気持ちよく聴いていました。
このアルバムはまず音づくりに引っかかりました。なんだかリヴァーブが少ないせいか、乾いた音で、デスメタルらしい重々しさが感じられません。『IN CRISIS』の頃とは全く違い、前作と比べても生っぽいと言うかハードコアっぽい音な印象です。
速く激しくヘヴィなデスメタルなのは間違いなく、複雑で色々凝った展開があるのもいつものこと。だからサラサラと聞き流すこともできます。
でもなんか違うんです。
デスメタルってけっこう音で空間を埋め尽くし、邪悪な雰囲気で持っていけばOKみたいなところがあると思うんですが、残響が少なく各楽器の音が分離して聴こえることで、誤魔化しが効かない作品になっているためでしょうか、一人一人が演っている「変なこと」がいちいち意識に入ってくるんです。
「え、何でこの展開でドラムがそんなこと始めちゃうの?」「えー、リフの合間にそのアクセント要る?」「何この珍妙なリズム!?」みたいな。
自分の中で「こういうのがデスメタル」と思うような型にはまってくれない。こう来るだろうなみたいな予測が外れて、非常にキモチワルイ。
だったらこれが嫌いなのかと言えば、聴くたびに新たな刺激や発見があって飽きないために、徐々に徐々にのめり込んでいってしまうのです。結局やたらリピートしちゃっています。
あと、とにかく曲それぞれの個性がはっきりしていて面白いです。(6)(7)(8)あたりを続けて聴いていただければわかりますが、振り幅が大きくて雰囲気がガラッと変わります。
完全に我が道を行っている作品です。ここでしか聴けない音、このバンドしか作れない音楽。こういうバンドは追い続けないと後悔しちゃいます。


CADAVER - The Age of the Offended ★★ (2023-10-08 21:47:24)

'23年発表の、5th(CADAVER INC.時代を含めれば6th)アルバムです。まあ、私は今作が初CADAVERですが。
で、今作をなぜ聴いたのかというと、ロニー・ル・テクロが加入したっていう驚愕のニュースを目にしたせいです。
同郷ノルウェーのレジェンドであるTNTの、『KNIGHTS OF THE NEW THUNDER』収録曲「DEADLY METAL」をカヴァーさせてくださいって言ったら、ギター俺に弾かせてよって本人がノリノリで、そのままアルバム全部とバンドそのものにまで参加しましたとさ・・・って、どんなおとぎ話だYO!
そんな流れからの想定としては、漆黒のデス(一時期ブラック)メタル・バンドがメロデス化する悪夢しか思い浮かばないのに、実際出てきたのはプログ・デスとかサイケ・デスと言いたくなるような狂った音楽っていう斜め上展開。
ロニー・ル・テクロって、透明感のある北欧メタルなんて一時期しかやってなくて、TNTもソロもやりたい放題のごった煮プログなクレイジー野郎でしたね。ついでに自分のスタジオでエクストリーム・ミュージックの収録に立ち合い続けた人みたいです。
DEFILEDの新作もそうでしたが、最近のデス・メタルは本当に自由も自由、みんな尖ってればなんでも良いって好き放題やらかしてくれてます。このアルバムも類型にはまらないんで説明が難しいったらありません。
「ヤバいメタル」って感じの音楽デス。ロニー・ル・テクロの所業かどうか知りませんが、変なギター満載の、マニア必聴な異色作。


UNLUCKY MORPHEUS - Change of Generation - REVADAC ★★ (2023-10-08 21:11:26)

前の曲の「CADAVER」の楽譜を逆に演奏するとこの曲の演奏になるそうです。EPでは1・2曲目、このアルバムでは3・4曲目。
当然演奏時間は2曲とも同じ。
ただし歌詞は別です。「CADAVER」は曲名通りに屍体になる内容で、逆に「REVADAC」は神や因果に背いても蘇らせようとする歌詞。音も詞も2曲セットで楽しみたいですね。
メロディもスピード感も見事な曲で、演奏力も歌唱力もヴィジュアル面も文句なしな上に、こうしたギミックまで凝ってくれるという、全部盛りメタル。
おまけで、冒頭の歌詞が意味不明で翻訳もできないなーと思っていたら、大文字の位置があれっていうのがヒントで、だからこう読めば良いのかと(自分鈍すぎ。ドイツ語でした)。
やってくれるなー。こういう仕掛け満載の音楽、大好きです。


TRISTANIA - Beyond the Veil - A Sequel of Decay ★★ (2023-10-08 20:48:52)

神々しいクワイア(けっこう早口でかっこいい)からTHE SINS OF THY BELOVEDでも弾いていたピートのヴァイオリンにつながる冒頭の展開が素晴らしい。ウキウキしちゃいます。
途中の男声クワイアと電子音の組み合わせは何だかENIGMAみたい。
色々組み合わせながらゴシック・メタルの範疇を拡大して行ったんだろうなーと想像しながら聴くと、そうやってシーン全体が成熟していった経緯が想起され、尊いなーと思っちゃいます。


THE SINS OF THY BELOVED - Perpetual Desolation - The Flame of Wrath ★★ (2023-10-08 20:36:17)

とにかくアニタ・オーグレンドの表現力というか、狂気に満ちたお芝居にぶっ飛びます。可愛らしいソプラノで歌っていたかと思うと妖しく囁き、蔑みつつ嘲笑してきます。
歌詞は恋愛こじらせ系ですね。「怒りの炎」って、どんだけ怒らせたのよ。
ただのゴシック・メタルでは終わらない、イっちゃった世界観にゾクゾクします。
そしてもちろんこの曲でも、ピート・ヨハンセンのヴァイオリンは流麗なメロディに酔わせてくれます。
もっともっと活動してほしかったなー、このバンド。


LIV MOON - Our Stories - Anemone ★★ (2023-10-08 20:24:58)

語りで始まるところなんかは気恥ずかしくなってしまうのですが、クッサクサ、泣っき泣きのゴシック/シンフォ・プログレが好きな人にはたまらない曲だと思います。
なぜかこれを聴いていたらLACRIMOSAの『ELODIA』を思い出しました。
透明感、キラメキ感、哀愁がヤバい。中毒性があります。


LIV MOON - Our Stories ★★★ (2023-10-08 20:16:48)

'22年の5thフルです。オリジナル・フル・アルバムは10年ぶり。
以前から音楽性を変容させつつ独自の立ち位置を築いていたとは思いますが、このアルバムでさらに新境地を切り拓いて、魅力を増した気がします。
'16年のミニ・アルバム(EP)『R.E.D』はかなり実験的で不気味で、あれはあれでかっこよかったのですが、今回は全体にまとまりがあり、シンフォ・メタル風味の良質なミュージカルを聴いているみたい。
soLiの二人が参加していますが、特に星野沙織は9曲中8曲でヴァイオリンを弾いているのでほぼ全面参加です。唯一不参加の(5)「Symphonia」も作・編曲の西脇辰弥がヴァイオリンの音を入れているので、結局全曲にヴァイオリンが入っています。そのせいか、曲提供者が6人もいるのに全体のカラーは統一感があります。
AKANE LIVの歌い方も今回は過去数作で見られた極端に芝居がかった声の使い分けをしておらず、このアルバムにはそれが合っている印象です。
同じくヴァイオリンを全面導入しているUnlucky Morpheusほどスピード・メタル化していないこともあり、メタル/J-POP/プログレの折衷度合いが独特で他との差別化ができて個性が発揮されています。面白いバンドです。
買ってからしばらく経ちますが、まだまだ新鮮で、繰り返し再生しちゃっています。


LACRIMAS PROFUNDERE - Memorandum - The Crown of Leaving ★★ (2023-10-08 19:52:25)

美と醜の対比という言葉がこれほど似合う曲もそうそうありません。
ハープやヴァイオリンや女声ソプラノが美しくも儚い世界を描いているところに、ブラック・メタル風の汚いギャンギャン声が乱入して叫びまくる落差ときたら・・・。
なんたる冒涜。しかしこれぞメタルの世界!


SILENT STREAM OF GODLESS ELEGY - Návaz - Zlatohlav ★★★ (2023-10-07 21:10:53)

この曲には、かなりハマりました。優美な舞踏曲といった趣の、チェロとヴァイオリンのゆったりとしつつも踊るような演奏。チェコ語の異国情緒あふれる響き(あの巻き舌がたまらない!)が魅力的な、深みのある歌。
しっかりメタルのバンド・サウンドではあるのですが、メタル関係なく幅広く様々な音楽ファンに訴求できそうな可能性を持った名曲です。
一度聴き始めると、何度もリピートしてしまいます。


KANSAS - Kansas - Bringing It Back ★★ (2023-10-07 20:55:16)

J.J.Caleのカヴァーですが、完全に自分たちのものにしています。原曲をハードにするのはもちろん、よりカントリー(ロカビリー? ブルーグラス?)色を強め、ヴァイオリン(フィドルと言うべき?)大活躍の元気いっぱいな曲に変貌させています。こりゃ楽しい。'70年代ならではの、伸びやかで自由度の高いジャンル横断音楽。
ライヴ・ヴァージョンだとさらにDEEP PURPLEみたいなエネルギッシュかつ長尺のハード・ロックに大変身。強烈です。


U.K. - Danger Money - Caesar's Palace Blues ★★ (2023-10-07 20:40:57)

エディ・ジョブソンのヴァイオリンをたっぷり堪能したいときにはやっぱりこの曲でしょう。
縦横無尽に弾きまくり、エレクトリックならではの小技も色々あって、飽きません。
おまけに歌もリズムもノリノリで、実に楽しいのです。名曲。


CURVED AIR - Second Album - Everdance ★★ (2023-10-07 20:32:27)

うーん、妖しい。
ドタバタ感のあるリズムに、ちょっとかすれた、早口で語るようなソーニャ・クリスティーナの声が乗り、ダリル・ウェイのヴァイオリンが揺らめく不思議メロディで彩っていく。
歌詞も怖いし、踊れそうで踊れなさそうで、なんだか不気味な曲です。


DARK LUNACY - Forget Me Not - Serenity ★★ (2023-10-07 20:21:38)

影山ヒロノブ & BROADWAYの「聖闘士神話 〜ソルジャー・ドリーム〜」を思い起こさせるリフに、胸が熱くなります。
ピアノ、ストリングスがもの悲しさを増強し、叙情性と煽情性のバランスが秀逸です。泣ける。


DUNGEON CRYPT - Twilight of the Stone Age (2023-09-02 20:26:30)

氷河期に突入した石器時代にマンモスが歩いている(?)アートワークが印象的です。
寒そうなジャケだから、聴いたら涼しくなるかなーと思ったんですが、もっさりしすぎて全然ヒンヤリしませんでした。
演奏・歌はひどすぎてある意味「寒い」のですが、聴いていると妙なテンションになってしまい、ついついニヤケがちになり体温が上昇してしまうのです。なんだか変な汗まで出てきます。
音質劣悪すぎる初期ブラックみたいなストレスはなく、けっこう聴きやすいところが凶悪な罠で、たまに聴き直してしまうのでした。
しかし・・・いつ聴いてもかっこよさのかけらもない音楽なのに、「どう聴いてもメタル」なのは間違いないっていうのがショックです。私の好きな「HM/HR」はこんな音楽じゃなかったんだけど・・・。
作り手の破壊的な才能に降参デス。


OBITUARY - Frozen in Time ★★ (2023-09-02 19:45:37)

あまりの猛暑・酷暑に心を折られる毎日の中、涼しげな音楽が聴きたいなーということで手を出した1枚。
実のところ、今年新作が出たので色々聴き返そうと思ったら、このジャケに目がとまって、新作そっちのけでこればかり聴いてしまったという、なしくずし聴きでした。
内容は、「手堅い」の一言です。飛び抜けたインパクトはないのですが、無駄に熱くならない冷厳サウンドが実に心身を癒してくれて重宝しました。
今後も夏になったら思い出して聴きそうな気がします。
最近OBITUARYとかBOLT THROWERとかASPHYXなんかに鎮静効果を感じちゃうんですよねー。年のせいかな。


GODFLESH - Purge ★★★ (2023-09-02 19:25:53)

イギリスのインダストリアル・メタル・バンドによる、'23年の9thアルバムです。他は1stと2ndしか聴いていませんが、相変わらずの圧力と冷徹性です。バンドのアイデンティティは健在でした。いやー、快感。
じっくり、ズッシリ、そしてクール。
テンポは似通っていてメロディもないのに、これだけ多様で飽きさせないんだからセンスが飛びぬけています。
意外にノリも良いのですが、ラスト2曲の(7)(8)は遅重圧殺曲で、しっかりカタルシスを味わわせてくれて大満足です。
別プロジェクトのJESUやJK FLESHも面白いけど、やっぱりGODFLESHのメタル的重さは理屈抜きにかっこいい。
暑さで朦朧とする出勤時のBGMとして、この夏大活躍した1枚です。頭がスッキリする納涼音楽。


EXTREME - Six - Rise ★★ (2023-08-10 22:45:34)

最近のお気に入り曲です。
全然老いや衰えを感じさせない、現役のかっこいいハード・ロック。
耳に残るコーラス、切れ味鋭い演奏。惚れ直しました。


EXTREME - Six ★★★ (2023-08-10 22:44:39)

'23年の6枚目です。40年近く活動していてこれしかアルバムなかったのかと、ちょっと驚きました。
でも相変わらず良い曲作るなー。コーラスワークが実に巧みなんですよねー。そして何かしらアクセントのあるアレンジの曲が多くて面白い。1曲目からインパクトあるし、3、6、10曲目も楽しい。
メロディアスで、グルーヴィーで、頭空っぽにしてもノれるし、しみじみ聴くも良し。
今年の個人的ベスト10枚には普通に入りそう。このアルバムが良すぎて、過去作もとっかえひっかえ。前作も聴き直したら今頃はまっちゃいました。