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うにぶさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 401-500

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うにぶさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 401-500

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MAGMA - Udu Wudu ★★ (2016-06-26 21:58:21)

1曲目から明るくも怪しい歌入りジャズ・ロックで軽快にスタートしながら、徐々に不穏さを増し、中盤から後半はベースの重くうねる音に翻弄されつつ硬直状態で聴き入るしかない怪作。
ジョン・コルトレーンの影響をどう咀嚼すればこういうものができあがるのか謎ですが、スリリングなロックとして、今でも現役でかっこいー。
特に反復の魔力を用いつつもテンションの高さで一切冗長さを感じさせない大曲(6)「De Futura」は、時代を超えて衝撃的。


MANDRAKE - UNRELEASED MATERIALS VOL.1 ★★ (2016-06-26 21:47:47)

震撼しました。ヤバすぎ。
もともと平沢進、P-MODELに衝撃を受け、遡って聴いたわけですが、あまりの凄まじさに開いた口がふさがりません。
'73~'79年に平沢進が在籍したプログレッシヴ・ロック・バンド(うち3名が解散後P-MODEL結成)で、1枚もアルバムを残さなかったマンドレイクの、未発表音源集その1です。
音質的には様々な時期のもの(含ライヴ)が入り混じっていて玉石混淆ですが、楽曲の質となれば超絶。ナニコレ、完全に'70年代の世界トップ・レヴェルじゃん。
いま聴いても古びていないどころか、かっこよすぎ。イエスよりも前に「錯乱の扉」という曲を発表し、世界に類のないストレンジ劇的ロックを構築しています。
(1)「飾り窓の出来事」なんて現在の耳にも新鮮/激熱。本物のプログレです。


MAXWELL - Embrya ★★ (2016-06-26 21:34:26)

こういった系統のジャンル分けには詳しくないのですが、ネオ・ソウルとかニュー・クラシック・ソウルとかに分類されるようですね。
ゆったりしたBPMに生々しくも重低音の効いたサウンド、やたら色っぽい歌声と心地よいゆらぎ感に酔い痴れるこのアルバムのもたらす安息効果には、お世話になっています。
同系統ではエリカ・バドゥなんかも大好物。ディアンジェロも後追いでけっこうはまりそう。バックの音だけでも快感。


MANOWAR - Fighting the World ★★ (2016-06-26 20:58:10)

買ったことすら忘れていて、最近段ボール箱の底から発掘しました。潔癖なメタルマニアの頃に買って、QUEENみたいな「Carry On」のあたりでCDを止めて心の中で踏み砕き、火にくべていたのかもしれません。
冗談はさておき、久々に聴き返したら後半のピュア・メタルっぷり、特にラスト3曲の畳みかけにヤられました。
時代を感じさせる乾いてスカスカな軽い音づくりが、けっこう今聴くとツボだったりします。古き良きアメリカンHR/HMの音。それをこんな大仰なメタル曲に採用するなんて、面白い。いや、真面目に好きです。


MANOWAR - Gods of War - Sleipnir ★★ (2016-06-26 20:48:13)

このアルバムでは一番のお気に入りです。さすがのMANOWAR節。
耳に染みついて離れないレインボウブリッジに、拳を振り上げずにいられません。


MANOWAR - Gods of War ★★ (2016-06-26 20:43:56)

まず女性店員には差し出しにくい(家族に見せられない)踏み絵アートワークに、どんな羞恥プレイですかと問い質したくなります。さすがのMANOWARクオリティです。
大仰なオープニングのインストが終わったら今度はナレーションで引き延ばされ、なかなか激しくメタルを轟かせてくれない焦らしっぷりもさすが。
でもこれって、時代劇大作映画を楽しむのと同じ感覚で聴くと楽しいですね。そこは疾走曲でしょってタイミングで重々しく語っちゃう間の悪さも含め、愛すべきドラマティック・ワールドが展開されています。
北欧神話を大真面目に取り上げ、仰々しくこってりと謳い上げるテーマ設定といい、彼らの辞書に妥協とかほどほどという文字はありません。
正直ナレーションやSEが多いこともあり、全部通して繰り返し聴くには根性が要り、ついついお気に入り曲を飛ばし聴きしてしまうのですが、たまに余裕のある時に通し聴きしてもけっこう乙な作品。


MACHINE HEAD - The Blackening ★★ (2016-06-11 21:33:17)

MACHINE HEADには長らくヘヴィ・グルーヴ系のバンドとしての激烈さ、それも極北にあたるモノを求めていたので、このアルバムを聴いたときにはメロディアス過ぎる作風にどうにも違和感をぬぐえなかったのですが、最近ようやくこのダークでメランコリックな世界を楽しめるようになってきました。
メタルの表も裏も知った上で、90'sヘヴィネスにスラッシュやメタルコアの要素を巧みに取り入れ、融合させた模範作。ある意味メタルの理想形の一つだと思えます。
捨て曲もなく、長尺曲を長く感じさせない点を含め、本当にメタル巧者の実力を味わわせてくれる、稀有な逸品です。本物が本気を出せばどれほど凄いか、納得できました。
ちょっとした音使いとヴォーカルの持って行き方に泣ける。いやあ、巧い。そして旨い。


MAGNUM - Chase the Dragon - Sacred Hour ★★★ (2016-06-11 21:27:15)

胸が震えるような感動を味わえる1曲です。
少し時代を感じさせる変てこな音使いも残っているのですが、そんなことがどうでもよくなるくらい圧倒的な名曲。


MAGNUM - Kingdom of Madness ★★ (2016-06-11 21:21:29)

初めて聴いたアルバムが『BREATH OF LIFE』で、大人しいバンドだと思っていたので、この作品のはっちゃけぶりには耳を疑いました。
ちょっと待て、何が起こっているんだ? と、思わずジャケを見直したくらい。実にエネルギッシュで瑞々しい。
珍妙な音使いやクレイジーなコーラスが随所で炸裂し、実験的でとっ散らかった印象もあるけれど、ドラマティックで胸熱なメロディも盛り込んで、色々な意味で興奮できます。
4曲目の表題曲が皆さんおっしゃるようにインパクト大ですが、後半6~9曲目の充実っぷりも特筆ものです。


MARILYN MANSON - Holy Wood (In the Shadow of the Valley of Death) ★★ (2016-06-11 20:27:44)

今日は朝からこのアルバムを聴きつつ行動していたのですが、何度も色々としくじってしまい、落ち込みかけました。
しかしこの作品全編に漂う退廃的雰囲気が、失敗しても、ダメ人間でも良いじゃないかと語りかけてきているようで、不思議にポジティヴに考えて乗り切ることができました。
攻撃性と爛れ具合が絶妙のバランスで、曲数が多い割にストレスも少なく、良い意味でダラダラ聴きに最適。
ダメ人間音楽の傑作デス。


THE ROLLING STONES - Undercover ★★ (2016-06-05 02:17:18)

ジャケ、歌詞、サウンドのいずれも煽情的なアルバム。
金太郎飴のように評されることもあるバンドですが、前進/実験も厭わなかったことは、この1枚でも分かります。
リズミカルで、押せ押せで、いま聴いても相当尖っています。


THE BEATLES - Revolver ★★ (2016-06-05 01:32:35)

初期のキャッチーでコンパクトな曲が好きで、小難しくなってゆく前作あたりからの作風がいまひとつ苦手だったのですが、なんだかこのアルバムを最近聴き直して、改めてこのバンドの多様性に新たな魅力を覚えつつあります。
以前は「Eleanor Rigby」が最高に好きで、あとはほとんど聴かないもしくは聞き流し状態だったのですが、今ではアルバム通して、どこを切っても面白く感じます。
20代の時に初ボーナスでビートルズのアルバム・ボックスを大人買いしたのに、40歳近くなってやっと良さがわかってきた、自分の感性の鈍感さに呆れます。
以前は整合感のあるきちっとした音楽が好きで、'50~'60年代のロックの、ごちゃごちゃした演奏が苦手だったんですよね。今はかなりこういう昔のロックに免疫ができ、楽しめるようになりました。


RETURN TO FOREVER - Light as a Feather ★★ (2016-06-05 00:28:47)

RTFとしての2枚目で、第1期の最終作です。
前作よりも都会的でスピーディーな印象。ラテン風味は健在ですが、洗練された分、1stにあった神秘性は薄れたかも。でも前作は眠くなるという疾走好きなリスナーには、こちらの方がとっつきやすそう。(メタル耳的には速さと激しさを兼ね備えた第2期の方が良いですが。)
チックの曲としては最も有名であろう「Spain」が入っている重要作。ラテン/スパニッシュ風味が前面に出ていて、軽やかでテクニカルで、哀愁も帯びていて、ドラマティック。


Chick Corea - Return to Forever ★★★ (2016-06-05 00:17:04)

名義としてはチック・コリアのソロ作ですが、バンドとしてのReturn to Foreverにとっての1stアルバムとしてもカウントされます。
ジャズらしくない、けれども音楽のイメージを増幅させる効果的なカモメ・ジャケから、通称「カモメ(のチック)」と言われるらしいです。
極太うどん野郎さんのおっしゃる通り、ジャンルを問わず幅広いリスナーに受け入れられる魅力を持った作品。
4曲(メドレーを分ければ5曲)で1枚ということで、1曲が長すぎると尻込みされそうですが、永遠への回帰を謳うこのアルバムは、時間を忘れさせてくれます。
神秘的でラテン風味(ブラジルも含む?)なメロディ、エレピとフルートの音色の温かさ、妖しく超俗的な歌声・・・実はけっこう過激で怖いようなところもあるのに、トータルで感じるのは南国の楽園の穏やかさ。なんて不思議。
いつ聴いても、全く古さを感じさせません。時を超えた名盤です。


Chick Corea - Now He Sings, Now He Sobs ★★★ (2016-05-07 18:24:44)

例えばバド・パウエルやビル・エヴァンス、ソニー・クラークあたりを聴いて、アコースティックの「ピアノ・トリオ」なるもののイメージを固めていたとして、似たようなものを想像してこのアルバムを聴けば、ぶっ飛ぶこと間違いなしです。
この目くるめくスピード感、奔放で枠にはまりきらないエネルギーは、既存のピアノ・トリオの概念をすっかり塗り替えてしまいます。
過激で変幻自在なリズムと瑞々しいピアノのメロディの、奇跡的なバランスによる両立。
ミロスラフ・ヴィトウス(ベース)とロイ・ヘインズ(ドラムス)の圧倒的なパフォーマンスと拮抗する迫力を保ちつつも、チック・コリアが奏でるメロディが清涼感を生み出し、何とも言えず気持ちいいのです。
『A.R.C.』(フリー・ジャズ要素強)や『Akoustic Band』(整合感強)もピアノ・トリオですが、問答無用で興奮させてくれるのは、断然こちら。


MILES DAVIS - Filles de Kilimanjaro ★★ (2016-05-07 17:55:46)

私にとっては、トニー・ウィリアムスのドラムスを聴くためのアルバムです。『Nefertiti』でも目立ちまくってましたが、こちらの方が摩訶不思議。
アコースティック期からエレクトリック期への移行時期で、メンバーも楽器も興味深い組み合わせなのですが、とにかくドラムスが面白すぎます。
曲としては落ち着いた部類のものが多くを占めるのに、「なぜこの曲にこのドラミング?」という奇怪千万なリズムに耳がくぎ付けになります。地味なのに派手。
過渡期の実験作ということもあるのでしょうが、ギャップが激しすぎて、1秒先の展開が読めません。天才と変態の紙一重という印象。
スクエアプッシャーでも聴いてるみたい。ドラムスだけ取り出してリミックスしたら、面白いブレイクビーツができそうだなー、なんて思います。


MILES DAVIS - Kind of Blue ★★★ (2016-05-07 17:27:37)

ハード・バップ期やエレクトリック期を先に聴いていたので、初聴時はあまりの大人しさに耳を疑いました。
ロング・セラーとなって、トータル1000万枚以上売れたらしく、ジャズの定番のようになっていますが、ジャズとしてはかなり異端な作品ではないでしょうか。当時における斬新さのみならず、以後にもあまり類がないという点でも。
この後のマイルス作品はもちろん、ジョン・コルトレーンやビル・エヴァンス、ハービー・ハンコックあたりの諸作品を聴くと、「ああ、それまでのジャズとは違うんだな」とはなりますが、皆それぞれ違う表現をしているため、このアルバムと同じような作品が増えたわけではない気がします。(強いて言えば、エヴァンスだけがこの空気感を持ち続けたかも。)
ハード・バップからモード・ジャズへの移行という点での革新性がよく言及されますが、モードに則った曲もそうでない曲も、うまくカラーを合わせて統一感を持たせているところが魅力です。
最初は、買って損したななんて思いましたが、何度か聴くうちにこの抑制された緊張感と美しさの虜となり、今では大好き。鎮静効果が高く、精神安定剤としてよく聴きます。
特に1曲目、「So What」は、ベースとピアノによるメイン・フレーズの提示から、「青っぽさ(蒼・藍・群青・青緑・薄闇)」が広がってゆく雰囲気づくりに降参です。
その後のライヴ盤ではスピード・アップして完全に別ものの曲になってしまいますが、やっぱりこのオリジナル・ヴァージョンが一番です。


MILES DAVIS - 'Round About Midnight ★★★ (2016-05-07 16:57:28)

ウィスキーをあおりながら、夜にかっこつけてジャズでも聴いてみるかーというような時に手を伸ばしたくなるイメージの作品。
このジャケ、出だしのトランペットの音色、あー、大人な気分。
でも2曲目はいきなり勢いよくかっ飛ばすので、しんみり落ち着いた気分は吹き飛んでしまうのでした・・・。
タイトルやジャケから辛気臭そうと思うかもしれませんが、実はけっこうエネルギッシュで溌剌としています。
曲調も多彩で、モダン・ジャズのおいしいところの詰まった、歴史的名盤。
同じクインテットでのアルバムでは、『Cookin'』『Relaxin'』に並ぶくらい好きです。


MILES DAVIS - Bags' Groove ★★ (2016-05-07 16:28:11)

表題曲の出だしを聴いただけで、「ああ、これこれ」と思います。テーマ・メロディが印象的で、ミルト・ジャクソンのヴィブラフォンがとても心地よく、和みます。モダン・ジャズ・カルテットでのヴァージョンよりも好き。
「Airegin」や「Oleo」も、2年後のマラソン・セッション時の録音よりもゆとりが感じられます。
休日の午後に部屋を片付けてゆっくり読書なんぞする時に、かけたくなるアルバム。
ケンカ・セッションの伝説で有名で、緊張感に満ちた強烈なアルバムという評判ですが、私には大人の余裕の感じられる、落ち着いたリズムのメロディアスな作品という位置づけです。


MILES DAVIS - You're Under Arrest ★★ (2016-04-10 23:35:15)

黒ずくめの男が物騒なものを持ってにらみつけてくるジャケからハードな内容を予想して買うとずっこける、けっこうポップなアルバムです。
スティングが語りで参加したり、マイケル・ジャクソンやシンディ・ローパーのカヴァーが入っていたりと、一般音楽ファンには入り込みやすい作品じゃないでしょうか。
こういうのも楽しいです。


MILES DAVIS - Star People ★★ (2016-04-10 23:16:35)

ロック/メタル耳に最も即効性がありそうなスタジオ盤は、これな気がします。
'69年から'75年あたりまでのエレクトリック期における混沌暗黒ファンクの方がそりゃ強烈ですが、曲が長すぎたり難解すぎたりして、とっつきにくいので。
'81年に6年ぶりに復活してからの3作目、'83年発表の本作は、全体にすっきりしたサウンドで、エレキ・ベースやギターが目立ち、ジャズ未経験者でも問題なく聴けそうです。
いや、1曲目「Come Get It」なんて、完全にプログレもしくはジャズ・ロックです。マーカス・ミラーのチョッパー・ベースが煽りまくりの疾走曲。
ゆったりした曲でもブルージーにむせび泣いているところなんかは、ハード・ロックのブルージーなバラードと同様の感覚で聴けます。
'70年代に比べれば整合感が増し、言ってみれば普通のフュージョンになったようなもので、この時期を退化・堕落ととる人もいるでしょうが、私は聴きやすくて気に入っています。


MILES DAVIS - Agharta ★★★ (2016-04-09 02:07:16)

'74年までの、『Get Up With It』や『Dark Magus』を聴くと、まだ'70年頃からの「得体のしれない異形音楽」感がありありと残っていますが、この'75年ライヴの吹っ切れ具合はどうでしょうか。
御大がボロボロに燃え尽きて引退する直前のこの演奏には、前年までの作品と比べると、段違いに整合感が感じられ、圧倒的にわかりやすくなっています。
まず一聴して、ギター・リフが、ちゃんとロケンローしてます。ギター・ソロまであります。トランペットやサックスのソロも、断片的なノイズではなく、まさしくジャズのそれに戻っています。メロディアスで熱い!
ファンク要素もばっちりで、ちゃんとノることができ、踊れます。
これが成長か後退かは評価の分かれるところでしょうが、一つの到達点として貴重な記録だと思います。
横尾忠則のアートワークも素晴らしい。ジャケ買いでも後悔しません。
今作が昼の部で、『Pangaea』が夜の部。スピード感は、夜の方が上かな。爽快さは昼の方が感じられます。
前年までが眉間にしわを寄せて鑑賞するような演奏だとすれば、このアガ・パン昼夜の演奏は肉体的悦楽です。素直に身を委ね、気持ちよく聴き入ってしまいます。


MILES DAVIS - Get Up With It - Rated X ★★★ (2016-04-09 01:42:13)

'72年のスタジオ録音曲。凶悪にして苛烈な人力ドランベース・ジャズです。
オルガン、フェンダー・ローズ、エレクトリック・ピアノ、ギター、ベース、シタール、ドラムス、パーカッション、タブラによるグチャドロ・ノイズ。
金縛り状態で、音楽の可能性というものについて考えさせられます。


MILES DAVIS - Get Up With It ★★★ (2016-04-09 01:34:16)

一時引退する前に、'70年から'74年までの音源で急遽出されたアルバムらしいです。ジャケ地味、30分以上の曲が2曲、中身寄せ集め。買う気になる要素が薄いですが、実は内容の衝撃度は最高級。
個性の強い曲たちが期せずしてそろい踏みの、超過激な隠れ名盤です。
デューク・エリントンを追悼する1曲目がゆったりとした曲で30分超というところで挫折しそうですが、2曲目以降、徐々に盛り上がり、リズムの奔流に身を任せていると、4曲目、恐怖のオルガン・ノイズとドラムンベースが炸裂する「Rated X」で唖然茫然。
あまりに衝撃的な演奏に、「できましたできました、人間にもこんなことできました」という教育テレビのネタを口にしたくなります。これは環境が許す限りの大音量で聴くことをおすすめします。
そこから先はもう、サイケもブルースもファンクも呑み込んだ圧倒的な雑食プログレ・ジャズに翻弄させられます。21世紀に聴いてこそ楽しい、情報過多ジャンルレス・ミュージックです。
40年以上前にこれを聴いていたジャズ・ファンなんて、もう70歳前後? 下手したら90歳くらいもいるかな。
年寄りを見る目が変わっちゃいますね。こんな危険な音楽を、当時から聴いていたなんて……。そして今も何食わぬ顔で、若者が過激ぶるのを眺めているんだろう。


MILES DAVIS - On the Corner ★★★ (2016-04-09 01:16:07)

実にヒップな感じのジャケに、これはノリノリで踊れそうだぞ、そういやクラブ・シーンですげー評価高いアルバムだよな、なんて思って買うと大火傷しそうになるアルバム。
またはジャケがポップで軽薄そうで敬遠している硬派な人に、後々聴かず嫌いを後悔させる罪深い作品。
『Bitches Brew』よりもずっと性急なリズムで、やたら熱い演奏が続きますが、相変わらずジャンル分けの難しい異形音楽。ぐっとファンク色は強まっていますが、素直にノれない奇妙なリズムのギクシャクさが何ともエグいです。これ、踊れますか?
正直、楽しいより怖いです。
でもこんなの、これ以外じゃ聴けません。なんてオリジナリティ。そして圧倒的に面白い。大好きです、このアルバム。


MILES DAVIS - Bitches Brew ★★ (2016-04-09 01:03:48)

『Round About Midnight』や『Kind of Blue』と並んで、マイルスの名盤として有名・・・ですが、前記2枚とは全くの別物です。
いわゆる「ジャズ」なるものを期待して聴くと、だいぶ趣が違います。エレクトリックでノイジーですが、銘菓ひよこさんのおっしゃるように、フュージョンやロックとも言い難い。ファンクの影響はあっても踊れない。
実際はファンクやロックのファン層にも受けて、よく売れたアルバムのようですが、わけわからんし、けっこうダルいというのが正直なところ。
とはいえ、まずジャケが素晴らしい。LPサイズで買って、飾りたい衝動に駆られます。タイトルとあいまって、どことなく淫靡で呪術的。この圧巻の音絵巻にぴったりで、そそられます。
そしてメンバー超豪華。ウェザー・リポートと、リターン・トゥ・フォーエヴァーと、マハヴィシュヌ・オーケストラはここから派生しています(フュージョンの大元締めみたい?)。
リズム隊大増強による混沌ポリリズムと刺激的なエレキ・サウンドにとんがったホーンの突き刺さり具合は独特で、わけわかんないなりに、大音量で聴くと気持ちいい。特にタイトル曲はゾクゾクします。
聴いていて普通にかっこいいのは、皆さん挙げられている「Spanish Key」です。けっこう盛り上がります。
正直、この前後のライヴ作品(『1969 Miles Festiva De Juan Pins』や『At Fillmore』や『Live Evil』)の方が断然ノリがよくて好きですが、電化マイルスの基準点的作品として、けっこう頻繁に手の伸びるアルバムです。


Nas - Illmatic ★★★ (2016-03-20 22:27:11)

歴史的名盤との呼び名も高い、'94年発表の1stアルバムです。超豪華プロデューサー陣が才能ある若者を盛り立てて作り上げた、世紀の一枚といった感じ。
シンプルで落ち着いた、実に渋い、陰気とさえ感じられる作品なのですが、中毒性も高く、ついついじっくり聴いてしまいます。
即効性ということでいえば『It Was Written』や『Hip Hop Is Dead』の方がすんなりと聴けましたが、繰り返し聴くなら、このアルバムが一番。
コンパクトにまとまっていて、密度が濃く、隙がない作品です。


RUN-D.M.C. - Back From Hell - What’s It All About ★★ (2016-03-20 22:19:19)

めちゃくちゃ聴き覚えあるけどなんだっけこれ……と、しばらく悩みました。THE STONE ROSESの「Fool's Gold」が元ネタ。
こういうのをすんなり使っちゃう姿勢が面白い。気だるい原曲が元気に生まれ変わっています。


RUN-D.M.C. - Raising Hell ★★★ (2016-03-20 22:08:54)

'86年発表の3rdアルバムです。
AEROSMITHとの「Walk This Way」共演でメタラー的にも認知度の高い作品。数々のメタル名盤にも関わってきたリック・ルービンによるプロデュース。
このアルバムで聴けるRUN-DMCのノリって気持ちよくてたまらないのですが、それがなぜかというと、「ロックンロール」してるからなのかなと思っています。ほとんどファンク・ロック的な、タテノリのグルーヴ感がノリノリ。
ヒップホップのドラム・ループのリズムって実際のところファンキーさは希薄なことが多く、慣れるまではロック耳に厳しいのですが、彼らのリズムはすんなり耳になじみました。
THE KNACKの「My Sharona」を引用した「It's Tricky」等、一聴目から楽しく踊れる曲が満載。
ギターやスクラッチの音も多めで、今どき時代遅れすぎるこんな音のヒップホップ作品には、新作でお目にかかることはまずありえません。しかし理屈抜きで楽しめるので、重宝しているアルバムです。


DMITRII SHOSTAKOVICH - Shostakovich Symphony Works - 交響曲第5番 ニ短調 Op.47 ★★★ (2016-03-20 21:38:16)

とにかく聴いていて楽しい、カタルシスを味わえる曲です。勇壮でもあり、メロディも印象的で、ショスタコーヴィチの15の交響曲中、最もとっつきやすい作品です。
泣いたり笑ったり、落ち込んだり興奮したり。起伏に富んで感情を刺激してくれます。
遅めのテンポをとる指揮者でも速めのテンポをとる指揮者でも、メロディや構成が十分に魅力的なので、どちらにしても楽しめます。
ロジェストヴェンスキー/ソ連国立文化省交響楽団で聴いたらプログレのコンセプト・アルバムみたいに情景が浮かび、冒険の旅に出た気分が味わえました。
感情移入の激しい演奏なら、ロマンティックにすら感じられるバーンスタイン/ニューヨーク・フィルのライヴ盤がお気に入り。
定番のムラヴィンスキー/レニングラード・フィルはテンポにしても激しさにしても、メタラー好みで文句なし。
朝比奈/大阪フィルの不思議な雰囲気も味わい深い……と、きりがないくらい、誰の指揮/演奏で聴いても面白い曲。


DMITRII SHOSTAKOVICH - Shostakovich Symphony Works - 交響曲第4番 ハ短調 Op.43 ★★★ (2016-03-20 21:21:29)

Dr.Strangeloveさんのおっしゃる通り、スラッシュ・メタルを連想させる超高速っぷりにのけぞる奇天烈な交響曲です(前の3作も変てこな交響曲ですが)。
そのまま発表すれば命の危険もあると考えつつ、作曲者が捨て去らずに初演まで20年以上温存した、大編成の超過激な自信作。ど派手なところもあるのですが、全体としてはとっつきにくさもあり、決して「キャッチーな疾走曲」ではありません。
慣れて魅力を感じられるようになるまではちょっと時間のかかるタイプの曲だと思いますが、良い演奏に当たった時の衝撃度も抜群です。
私のお気に入りはラトル/バーニンガム市響のもの。ものすごくクリアな録音で情報量が格段に多く、音の奔流に圧倒されます。得体のしれない恐ろしさという点には欠けるのですが、「え、こんな曲だった!?」と初聴で耳を疑いました。
コンドラシン、ロジェストヴェンスキー、ゲルギエフといったロシアの指揮者で聴いていたときはスレイヤー的暴虐スラッシュだと思っていたんですが、英国のラトルで聴いたらドラゴンフォース的新世代メロスピだったので、びっくり。
あっけらかんと、新たな可能性を示してくれました。難解な曲のようでいて、今後も新たな顔で楽しませてくれそうな作品。


THE PILLOWS - Please Mr. Lostman ★★★ (2016-03-20 21:01:43)

後にも先にも、店頭(中古CD屋でした)で流されていた曲に関して店員にアーティスト名を尋ねたのは、このアルバムを聴いたときだけです。
なんだか好みだなーと思いながら、1曲なら流してしまうところ、何曲か聴いた段階で、このアーティストをスルーしたら一生後悔しそうだと感じ、店員に訊きました。
当時の印象は、PALE SAINTSとサニーデイ・サービスを混ぜたようなバンドというわけのわからないもので(メロディアスで繊細でどこか過激な感じ?)、買って聴いてみて、「ああ、これは一生もののバンドだ」と思いました。THE CUREなんかにも通じるかな。
ポップセンスは抜群ながら、何作も聴くと歌詞のテーマが似通っているなとも思いますが、本当に才能のある、名曲の多いバンドです。このアルバムも2~6曲目は文句なし。「ストレンジカメレオン」は掛け値なしの名曲。
名盤です。


LIV MOON - Symphonic Moon ★★ (2016-03-20 20:34:36)

清水昭男の参加と美麗ジャケに惹かれて買ったアルバムですが、これは大いにはまりました。
多少のJ-POP臭さや、声の線の細さは感じたにしても、これだけの高品質であれば文句は言いません。むしろ男声コーラスの方が邪魔。
1曲目の「Amen!」から、エロさ満点で魅了されてしまいますが、そういう妖美的要素はほとんどのメタル作品で味わえないだけに、希少価値が高いです。多少、陰陽座にも通じるかも。
曲毎にけっこう歌詞(歌声)のキャラクターが違い、その辺が白と黒というコンセプトなのでしょうが、最初は違和感を禁じえませんでした。が、それこそこのアルバムの個性であると考えれば、完成度の高い、考え抜かれた作品だと評価できます。
今後も追って行きたいバンドです。


ANGRA - Aurora Consurgens ★★★ (2016-03-20 20:03:37)

私はこの作品でエドゥ期のANGRAを見直しました。これだけテクニカルで情熱的なメタルも、そうありません。なんてスリリング。
まぎれもなくこの人たちでしか作り得ない、個性派メタル作品です。展開が全く読めず、初聴時には翻弄されました。メタルで久々に予定調和を超えて、ドキドキワクワクさせられました。
メロスピ的疾走曲とはちょっと違うのかもしれませんが、音数はかなり多く、緊張感は相当なもので、全体的にスピーディーで過激な作品に聞こえます。
コンセプトも面白いし、やっぱりANGRAってすげーなーと思い、前2作も含めてANGRAへの評価を改めた1枚です。プログレッシヴなメタルの傑作。


3 INCHES OF BLOOD - Long Live Heavy Metal ★★★ (2016-02-28 21:56:54)

タイトルにあふれ出るメタル愛に、思わずニヤリとさせられますが、中身にもオールド・スクールなHR/HMへの愛情があふれかえっています。
3rdアルバムを先に聴いていましたが、かなりメロディが増量された印象で、良い意味で驚きました。
それでもウド系のダミ声ハイトーンと粗削りなサウンドは健在で、メイデン系メロディとのバランスは程よいなと思えます。(これでさわやかプロダクションな優等生バンドでは、ゲンナリ……)
言いたいことはほぼ火薬バカ一代さんが言い尽くされていらっしゃいます。本当に愛すべき正統派バンド。
ディオへのオマージュには、泣けてきました。末永く活躍してほしいと願っています。


BEETHOVEN - Orchestral Music - 交響曲第5番ハ短調op.67(『運命』) ★★★ (2016-02-28 21:17:39)

クラシックをこれから聴いてみようというメタラーやロック・ファンにとりあえず交響曲を薦めるとしたら、まずこのベートーヴェンの5番からだろうなと思います。
印象的な主題の繰り返しがリフ主体で展開されるメタル曲に通じ、疾走感や激しさもあり、総じてメロディもわかりやすい上にメタラーの好きな短調で、構成もかっちりしていて、何より長すぎない。
実にメタル耳に優しい作品です。その上、指揮者もオーケストラも演奏し慣れていて、よっぽどでなければ外れをつかむ危険がない。
私もこれまで何十種類か聴いても、拒否反応を覚えたのは1枚だけで、それも何回か聴けば受け入れられたので、誰の指揮で聴いてもそれなりに楽しめる曲だなーと思っています。冒頭だけ聴き比べても面白い作品です。
初めに聴くなら、やはり定番のカルロス・クライバー/ウィーン・フィルでしょうか。聴いていて、いささかも不満を覚えることがありません。激しさと美しさのバランスが絶妙。
聴いていてドキドキするのは、激しいけれど歌心にあふれたトスカニーニ/NBC響(特に第2楽章は大好き)と、アレンジが鮮烈(奇天烈?)で空を翔るようなジンマン/チューリッヒ・トーンハレ管(第4楽章はファンタスティック!)です。
ヘヴィでメタリックな演奏なら、カラヤン/ウィーン・フィル(’48年)が強烈。後のフィルハーモニア管やベルリン・フィルとの演奏もヘヴィですが、これには驚愕しました。ダイソーで100円+消費税で買えるところもお得。


BEETHOVEN - Solo Piano Music - ピアノソナタ第23番 ヘ短調「熱情」 Op.57 ★★ (2016-02-28 21:02:56)

ピアノソナタの中でも、「悲愴」と「月光」とのセット(+1の場合も)になったCDでよく売られている入門曲で、タイトル的にもまずメタラーが聴きたくなる1曲です。
今は輸入盤であれば、国内盤1枚の値段で全集32曲がそろってしまいますが、バラ売りで買ったCDに一番多く入っているのは、やはりこの曲かも。
情熱的もしくは暑苦しい録音の多い曲でもあり、ロック・ファンとしてはやはり初めに聴く1枚に入っていてほしい曲ではないでしょうか。
私は普段聴きなら、バックハウスかギレリスがしっくりきます。
メタル耳的には、耳が痛くなるほどヘヴィに轟音で押しまくるコルスティックや、パンキッシュにゴリゴリ爆走するロックしまくったグルダ、ドゥームのように重くグロテスクで最後だけあほみたいに疾駆するグールドなど、魅力的な盤が目白押しです。
音がキラキラきれいなのに考えすぎなのか、細か過ぎる上に振幅が激しすぎて心臓に悪いポリーニは、プログレ・ファンにおすすめ。


YES - Time and a Word ★★ (2016-02-28 20:24:35)

オケも導入して、既にプログレッシヴ・ロック然としている、’70年の2ndです。
常に名盤として紹介されるのが4thと5thであることもあり、私もこのアルバムを軽視していて、まともに聴いたのは最近でした。
無心に聴けば、実に爽快な作品。大作主義が行き過ぎたりポップ過ぎたりすることもなく、ロックとしての勢いを保っています。
肝は間違いなく、完全に主役と化したクリスのベース。再生装置のバランスを確認したくなるほど、前面に出て暴れまわっています。
バンド全体としても、前進しよう、変化しようという意欲が満々なところはまさしくプログレ。
イエス作品の中でも、これから個人的な聴く頻度が上位に来ること間違いなしの、鮮烈なアルバムです。


MONTROSE - Montrose - Rock the Nation ★★★ (2016-02-28 20:07:52)

リフの印象度はピカイチ。
身体を動かさずにいられなくなるノリと、熱い歌唱に燃え上がらずにいられません。
青春時代、深夜2時から、伊藤政則さんのラジオ番組「ロック・ザ・ネイション」のオープニング・ナンバーとして聴いた記憶が強い曲でもあります。


MONTROSE - Montrose ★★ (2016-02-28 19:53:59)

乾いてスカスカな見通しの良い音の、直球アメリカン・ハード・ロックです。
'73年発表ですが、40年以上経ったいま聴いても全く古びない、実に気持ち良いサウンド。こういう音のロック、好きだなー。
即効性があるのは勿論ですが、ほどよくハードに歪みつつストレスのない音づくりとかっこよくロックしたフレーズの数々には、病みつきになってしまいます。


Death Dealer - War Master ★★ (2016-01-05 00:24:08)

メンバーの豪華さはもちろん、アートワークの酷さもといスバラシサからして、「買うしかない!」という気分にさせられますね。
(実際は、よく参考にしている上の御三方のレビューを読んで、こりゃ買わねばと思いました)
皆さんおっしゃるように、凄まじく濃い、正統派ゴリゴリ・パワーメタル。純度100%、これぞメタルな1枚です。
まさしくこの手のものが好きな選ばれし者だけが手に取るであろうジャケやタイトルが良心的。間違って買ったら火傷じゃすみません。
「正統派」/「ハイトーン」/「暑苦しい」/「疲れる」
これらのキーワードが大好物な真のメタル・マニアにはたまらない逸品です。(と言いつつ、私も胸やけ気味で、5回くらい聴いてやっと素直に楽しめました。けっこうスルメ盤です)
頭3曲の畳みかけっぷりは特筆ものです。それから、雄々しいコーラスにトキメイてしまいそうになる9曲目「Heads Spikes Walls」もお気に入り。


NICKELBACK - The Long Road ★★★ (2016-01-04 23:51:00)

近年、嬉しい廉価アルバム・セットを連発してくれているRhinoレーベルの5枚セット(3rd~7th)を昨年の初めに買って以来、通勤途中に最も車内で再生したのは、たぶんこのアルバムです。
重量感と軽快さのバランスが最もツボにはまり、何度聴いても心地好い作品。アレンジは次作以降の方が凝っていますし、ヘヴィさでもメロディアスさでも勝るアルバムはありますが、理屈抜きの快感度合いでは、断トツ。
『METALLICA』~『RELOAD』のあたりのMETALLICAがやりたかったことを、コンパクトかつ理想的な形で示したアルバムじゃないかと思っています。
勢い抜群の1曲目「FLAT ON THE FLOOR」でつかみはOK、その後もほんのりと哀愁を帯びつつ、ミドル・テンポ主体ながらもノりがよい曲が続き、重みと刺激を保ちつつ最後までキャッチーさを保ちます。
ハード・ロックとヘヴィ・ロックの双方をつなぐ橋渡しとも言える、普遍的な魅力をもったロック/メタル作品。これはもう紛れもなく、傑作です。


ANNIHILATOR - Annihilator - The Trend ★★ (2016-01-04 23:32:29)

イントロだけで、「ああ、こういうの好きだったな~」と、高校生の頃の自分の嗜好を思い出しました。
もちろん、今でも好物です。
メタルに何を求めてたかって、こういうメロディアスかつ攻撃的でスカッとする音楽だったのですよ。
これをカッコいいと思える感性が、自分をメタラーにしたのだなと納得しました。ギター・リフ/ソロのメロディがいちいちツボです。


ANNIHILATOR - Annihilator ★★★ (2016-01-04 23:11:18)

長いことこのバンドの作品に触れていなかったのですが、セルフ・タイトルだから力が入っていそうだなと思い、ずいぶん久しぶりに買ってみたアルバム(もう2年くらい前だけど)。
一聴して、どストライクだなーと、笑いがこみあげました。実際、ここ数年で最もはまったメタル作品はこれだった気がします。
これだけ美味しいメロディを激しくぶちまけてくれるメタルは、久々に味わいました。メタル・ギターを存分に堪能できる逸品です。
1曲目のイントロからおなかいっぱいになるくらいに、これでもかとクサクサなギター・メロディが展開しまくりつつ、切れのあるリフに男らしい吐き捨て歌唱が乗るところにしびれました。
思わず頭を振りながら声を合わせて歌いたくなる(4)「Betrayed」もお気に入り。
冒頭に勢いのある曲を固めながら、全体ではかなり多彩な曲調になっているところも飽きなくて良いです。


MOTORHEAD (2015-12-29 19:41:43)

昨日、レミーの「コーラのジャックダニエル割り」を真似て、数年ぶりにウィスキーのコーラ割りを飲んで、メタルを聴いていたところでした。
レミーのダミ声と快いベース、数々の名曲には、青春時代のストレス解消で、何度もお世話になりました。
どうか安らかに・・・でもあの世でもロックしてるんでしょうね、レミー。
今夜はNo Sleep 'til Hammersmithを聴いて寝ます。


Public Enemy - Apocalypse 91… The Enemy Strikes Black ★★★ (2013-10-05 23:26:08)

'91年発表の4thアルバムです。
メタラー的にはANTHRAXが共演して、「BRING THE NOISE」をリメイク収録したアルバムということで、知名度が高い作品でしょうか?
これだけ最初から最後までテンションの衰えないアルバムも珍しく、興奮しっ放しで一気に聴き通せます。
このアルバムの流れで最後に「BRING THE NOISE (with ANTHRAX)」が流れると、アドレナリンが噴出して、最高。


Public Enemy - Fear of a Black Planet ★★★ (2013-10-05 23:14:49)

'90年発表の3rdアルバムです。
サウンドの過激さは最高潮に達し、「911 IS A JOKE」等の痛烈な批判も盛り込み、当時最も過激にロックしていた作品の一つでしょう。
ちょっと曲数が多く、集中して最後まで聴くのは難しいところもありますが、1曲ごとのインパクトは強烈。
これまた歴史的名盤です。


Public Enemy - Yo! Bum Rush the Show ★★ (2013-10-05 23:04:45)

'87年発表の1stアルバムです。
まだトラックが若干シンプルなこともあり、次作以降の問答無用で衝動を喚起するような凶暴性は抑えめです。
とはいえ時代を考えれば十分にノイジーで過激な音で、メッセージ性を押し出す姿勢も含め、既に彼らのスタイルは確立されている印象。
タイトル曲や「RIGHTSTARTER (MESSAGE TO A BLACK MAN)」なんかは、いま聴いても耳が痛くなります。
まあチャックDのラップが乗れば、軟弱な作品など生まれようはずもなく、「公衆の敵ナンバー1」たるパワーは示されています。


Public Enemy - It Takes a Nation of Millions to Hold Us Back ★★★ (2013-09-29 00:45:50)

'88年発表の2ndアルバムです。専門誌の歴代ヒップホップNo.1アルバムという評価も納得の、刺激にあふれた名盤。
ヒップホップなんてほとんど知らなかった頃に買って、激しさとメッセージ性の強さ、そして楽曲の完成度にヒップホップへの偏見(メロディのない気楽なパーティー音楽という誤解)が吹き飛びました。
ボム・スクワッドによるノイジーなトラックづくり、ターミネーターXのスクラッチ・ノイズはエレキ・ギターに勝るとも劣らない強烈さで、刺激がないと眠くなるメタル耳にも快かったのが、何よりも馴染みやすかったです。
そして強い主張を持った歌詞を激しく吐き出す手法が、ラップという表現にメッセージを効果的に伝える手段としての必然性を感じさせてくれて、抵抗を取り除いてくれました。
タイプの違うMCが交互にラップすることで飽きにくいのもプラス要素。
初めて聴いてから十数年経ち、新しいヒップホップ作品に数多く触れてもなお、改めて聴き返すと楽曲の印象度は飛びぬけていて、まさにクラシックなアルバム。
現在でも興奮できる、名曲ぞろいの逸品です。


A TRIBE CALLED QUEST - The Low End Theory ★★ (2013-09-29 00:34:27)

'91年発表の2ndアルバムです。ジャズとヒップホップとの融合を高いレベルで実現した歴史的名盤という位置づけでしょうか。
低音にこだわった音づくりが魅力で、リズム・トラックの音の良さだけでも買いです。ベースとドラムが気持ち良ければおっけーという人には心地よいアルバム。特にジャズのベースが好きならおすすめです。
マニアにはたまらないサンプリングづかいなのでしょうが、彼らの他のアルバムのように多彩なネタの面白さを楽しむ感じは少なく、この手の音楽に免疫がないとストイックすぎて厳しい内容かもしれません。しかし抑制を効かせていてもここまで真剣に作られて緊張感があると、退屈は感じません。それでいてマッチョさを誇示しないネイティヴ・タン一派ならではの穏やかなラップが作風にマッチしていて疲れないのが良いです。


MILES DAVIS - In a Silent Way ★★ (2013-09-29 00:02:06)

'69年発表。この年には唖然とするほど暴力的な作品もあるし、エレクトリック期のマイルスといえばノイジーな轟音ファンク・ロック・サウンド……という先入観を見事に裏切られたアルバム。
黒い透明感なんて矛盾した形容をしたくなります。私の中でこの作品は白に反転して明滅する黒と、広がる波紋のイメージ。
無愛想なのに美しい、厳めしいのに涼しげ、エレクトリックなのにアコースティックな印象を持ってしまう。常に音は鳴っているのに静寂を感じ取ってしまう、どうにも不思議な音楽です。
参加メンバーたちのその後の作品にも色彩は違えどこのアルバムに通じるイメージが感じ取れますが、やはりこれは独特で、ここでしか聴けない音があります。


上原ひろみ - Brain ★★ (2013-09-28 23:49:36)

'04年発表の2ndです。
1曲目の「KUNG-FU WORLD CHAMPION」からして、耳に突き刺さるキーボードにエレキ・ベースとドラムで、まるっきりプログレなロック・サウンド。ロック・リスナーにとってはとっつきやすいと思います。
全体的にはピアノ・トリオでの抒情的な曲が多く、1stよりも落ち着いている印象ですが、メロディはかなりポップで、ジャズという意識なしにインスト曲として聴ける感じ。昔ながらのジャズは苦手という人も聴きやすいアルバムだと思います。


ORIANTHI - Believe ★★ (2013-09-28 23:38:52)

ラジオで数曲聴いて、ギターの爽快な弾きまくり度合いと歌メロの良さに一発KOされました。
こんなに心地よくギターをたっぷり聴かせてくれるハードロック、久々だなーというのが第一印象。
どの曲も耳になじみます。これは買いです。


SOUNDGARDEN - King Animal - Non-State Actor ★★ (2013-09-28 23:23:26)

醒めているようでいるようで熱い、彼らならではの切迫した雰囲気がヒリヒリ伝わってきます。
懐かしいなあ、この空気感。
メロディはあくまでキャッチーなところもさすが。


SOUNDGARDEN - King Animal ★★★ (2013-09-28 23:08:34)

1曲目から、SOUNDGARDENでしかありえない音が鳴っています。
彼らの解散後も様々なバンドに触れてきましたが、まさしく唯一無二の音/グルーヴを作り出していたバンドなんだなぁと、しみじみ。
帰ってきたクーカイさんがおっしゃるように、ドロドロ具合やブチ切れ具合は以前に及ばないまでも、味わい深いハードなロック。私にはかなり刺激的な音。
歌詞はダークで含蓄があり、歌は相変わらず巧い上に情念がこもり、演奏陣は全員が主役と言える活躍ぶり。メロディもよく、アレンジも多彩。
編成や曲の骨格だけ見ればシンプルなのに、どこを切っても感心してしまうクオリティで、気づけば繰り返し聴いてしまいます。
近年、こんなにリフが魅力的なアルバムってあったかな?
これはもう、ハード・ロックの理想形と言っても過言ではないんじゃなかろうか?
そんなことを考えながら、今日も聴いてしまっているスルメ作品です。


IN FLAMES - A Sense of Purpose - Move Through Me (2013-09-28 22:48:08)

およそメロデスらしくないリフに、不思議に浮いたキーボードのフレーズ。
ジャンル横断的な曲なのに違和感なくアルバムに溶け込んでいるところが、彼らの懐の深さでしょうか。
前後の曲とのつながりも好き。(というか、前後の曲もやはり単純にメロデス的ではないところが面白い)


IN FLAMES - A Sense of Purpose ★★ (2013-09-28 22:40:45)

前作があまりにも傑出していて、その衝撃から抜け出せずに聴いたため最初は印象が薄く、今頃になってから、はまっています。
涙腺を刺激するメロディはそのままに、幅広い曲調を無理なく取り込み、デジタルもアコースティックもごちゃまぜなハイブリッド・メロデス。
以前から色々やってきていますが、どんどんこなれて違和感がなくなってきています。安住せず常に実験を繰り返す姿勢が好ましいですね。
作曲能力の高さと、個性の強さに改めて感服しました。


RADWIMPS - 絶体絶命 ★★ (2013-09-14 23:28:53)

前作よりも重苦しいというか真剣な雰囲気が増し、世界(社会)と自分との関係・距離感に関する歌詞が増えた印象。ちょっとBUMP OF CHICKENを連想するような曲もいくつか。あと筋肉少女帯とヤプーズを混ぜたようなぐちゃぐちゃ具合。
とはいえユーモア感覚も置き去りにせず、勢いと韻にこだわった言葉選びのセンスと新世代的なリズム感も健在。
特に「君と羊と青」の息もつかせぬたたみかけ具合は強烈です。J-POPならではの面白さ。
刺激的で、今後も注目していきたいバンドです。


RADWIMPS - アルトコロニーの定理 - One man live ★★ (2013-09-14 23:17:13)

中学・高校生の時にこんな曲が聴きたかったなーと思わせる、青春の鬱屈を吹き飛ばすようにまっすぐなポップ・ナンバー。


RADWIMPS - アルトコロニーの定理 - おしゃかしゃま ★★ (2013-09-14 23:14:42)

ふざけたタイトルだけで嫌悪感を抱かれそうですが、宗教と人生に関する素直な疑問をダジャレ満載でぶつけた歌詞は実際のところ真面目。
凝りまくったリフと爽快なスピード感覚は、テクニカル・メタル好きにもアピールするんじゃなかろーか。


RADWIMPS - アルトコロニーの定理 ★★ (2013-09-14 23:09:15)

アルバムや曲のタイトルからしてある種の諧謔、もしくはひねくれた照れ隠しを感じさせますが、歌詞も期待どおりに作り込まれています。巧みに韻を踏みながらも軽やかに哲学しつつ、英詞も日本語も無理なく乗りこなし青春の傷つきやすさも演出する多面性が実に面白いです。
どうやら歌詞が子供っぽいと不評らしいのですが、これだけ考えて歌詞を構築しているバンドって少ないと思うのだけれど……。青春時に捕まる問題を、言葉を選びながら真摯にかつユーモアを忘れずに描写しています。
音楽性は、現代の若者ならではのハイブリット感覚と確かな技巧に依って、ポップもロックもハードでヘヴィなのもアコースティックもあれもこれもミックスし、新世代プログレちっくな21世紀ポップスを聴かせてくれます。
何でもできる実力があるからこそ、何でもやってしまっちゃってる印象。そんでもって何だかんだで、振幅が大きいのにどの曲もキャッチーにしてしまえるところが大きな魅力。


MR. BIG - What If... - Once Upon a Time ★★ (2013-09-14 22:50:41)

アルバム中でもかなりのお気に入り。
グイグイ引っ張ってゆく強靭なグルーヴが気持ちよい、ご機嫌な1曲。
エリックの歌唱も無理なくマッチしています。


MR. BIG - What If... ★★ (2013-09-14 22:47:06)

発売当時、懐古趣味的な気分で買ったら、思った以上にゴリゴリにハードな作品で耳が痛くなりました。
嬉しいなあ、青春時代にはまった人たちが大人げなくロックしてるのを聴けるなんて。
歌に合うかどうかなんて知らんとばかりにエゴ丸出しで弾きまくる演奏陣に、あくまで俺が主役だとエヴァーグリーンな歌声(ちょっとドスも利いてきたけれど)を乗せてくるエリック。
サウンド・プロダクションのせいも大きいのでしょうが、以前よりもスリリングになって、新鮮な気分で聴くことができます。
震災後のライヴも、到底行けやしないと思っていたけれど、体験することができて感激しました。


CYNIC - Re-traced ★★★ (2013-09-14 22:32:19)

『TRACED IN AIR』も大好きですが、こちらの方が浸れます。もはやメタル要素なんかどうでもいいとさえ思えるようになりました。
過激な実験作とも言えますが、穏やかな非メタル音楽とも言える作風。
何をしても持ち味を保ちつつ、音を聴いているだけで心地よい。
加工されていながらも、より切なさが増し、まどろみに通じる暖かさとやさしさが付加されているようにも感じます。
聴いている間、別世界に連れて行ってくれる。それだけで貴重な作品。手放せない、一生ものの一枚です。


AMON AMARTH - Twilight of the Thunder God ★★ (2013-04-17 23:33:00)

'08年発表の7thフル・アルバムです。これしか持ってませんが、いずれ他も買いたい。
タイトル通り雷神トールがヨルムガンドを倒そうと鎚を振り上げているジャケからもう、ワクワクしてしまいます。
北欧神話をテーマに、勇壮かつキャッチーなメロディがギターで奏でられ、漢クサい濁声と渾然一体となり盛り上げまくるスタイルがたまりません。実にノリノリ。
これ絶対、ライヴじゃギター・メロディを合唱しちゃいますね。……快感デス。


上原ひろみ - Another Mind ★★ (2012-07-02 23:23:51)

ジャズ・ピアニスト上原ひろみの、'03年発表の1stです。
基本的にはピアノ、ベース、ドラムのピアノ・トリオ編成での演奏で、たまにサックスやギターも加わります。
本人作曲による楽曲の大半はジャズというよりもロック・インスト風で、プログレ感覚で聴けます。後に共演するチック・コリアにも似てストレートなノリの演奏で、黒人音楽的グルーヴやスウィング感は希薄。ハイスピード超絶技巧曲をエネルギッシュにあっけらかんと演奏しています。
これはジャズか否か、なんてどうでもいいことは気にせず、ただ楽しく元気をもらえる音楽です。
疾走曲(7)「Dancand No Paraiso」が特にお気に入り。


WEATHER REPORT - I Sing the Body Electric ★★ (2012-07-02 23:12:22)

'72年発表の2ndアルバムです。日本で収録されたライヴ音源もあり、途中で日本語のMCが入ります。
先日のブラッドベリの訃報もあり、なんとなく聴きたくなりました。
私の中では、ウェザー・リポートの1stとこれは、マイルスの『IN A SILENT WAY』につながるイメージがあったのですが、1stは通じていてもこのアルバムに関しては記憶していた以上にゴチャゴチャで騒がしく、あのアルバム独特の透明感とは全然別物でした。
しかし、断片的なフレーズが現れては消えてゆくところなど、共通点もやはりあります。
即興性の高さからくる予測のつかなさや、緊張感が心地よいです。音も刺激的。
後のアルバムではメロディや曲の形がしっかり構築されてまるで別のバンドのようになりますが、どちらもそれぞれ魅力的です。


JEAN SIBELIUS - SYMPHONIES - 交響曲第3番ハ長調OP.52 ★★★ (2012-07-02 22:31:18)

シベリウスは交響曲第2番が好きで好きで、そればかり集めて聴いていたのですが、改めてこの3番に向き合ってみると、これほど哀切なメロディが味わえる交響曲もそうそうありません。
特に第2楽章がお気に入り。どっぷりひたってしまいます。ブラームスの4番の第1楽章やドヴォルザークの8番の第3楽章と同じくらい好きです。


JEAN SIBELIUS - SYMPHONIES - 交響曲第4番イ短調OP.63 ★★ (2012-07-02 22:19:42)

シベリウスの交響曲はベルグルンド/ヘルシンキ・フィルの全集でそろえたのですが、1~3番が魅力的なメロディにあふれた名曲なのに対し、この4番のとっつきにくさといったら相当なもので、辟易しました。
何か森の中で迷い、彷徨っているような音楽。晦渋・難解な作品と評されるのも納得です。
つきあいにくいのでとりあえず年寄りになるまでとっておこうかなと思っていたのですが、自分が道に迷っているような時、悩みにつかまっている時に聴くと、なかなか心にしみわたる音楽なのだと気づきました。
心がひねくれていて分かりやすい主題も聴きたくない。穏やかで安らぐ音楽にも苛立つ。かといってうるさいのも癇に障る。そんな時に聴きたい静謐な緊張感に満ちた音楽。
……とまあ、ベルグルンドの指揮では思ったのですが、カラヤンで聴いたら全然別物で、鬱蒼としたおそろしい森ではなく美しい木立に囲まれた景勝地でした。どちらが曲の真の姿かは知りませんが、いずれにしても気分しだいで味わい方の変わる、たまに聴きたい音楽です。


STRAVINSKY - STRAVINSKY BALLET WORKS - 春の祭典 ★★★ (2012-06-30 01:03:28)

朗らかなタイトル(邦題)からは想像もつかない強烈な曲。
クラシックが実は過激で凶悪な音楽であることを思い知らされます。
神のいけにえとなるために踊る乙女というエロくて残酷なイメージもあいまって、そこらのデス/ブラック・メタル以上に邪悪さを感じます。
癒しなどという言葉と対極にあるおぞましい不協和音メロディと、原初的興奮を呼び覚ます暴虐リズムに金縛り状態。まったくもって心臓に悪い。
プログレ/アヴァンギャルド感覚で大音量で聴きたい曲です。
何人かの指揮で10枚くらい聴きましたが、お気に入りは作曲者本人指揮(コロンビア響)の盤。指揮はそれほど巧くなかったらしいですが、初めて聴いておどろおどろしさに驚愕した1枚なので、思い入れがあります。
ファジル・サイのピアノ版も面白かった。


MILES DAVIS - Sketches of Spain ★★ (2012-06-30 00:48:47)

'60年発表。ロドリーゴのクラシック・ギター協奏曲「アランフェス協奏曲」をギル・エヴァンス編曲で演奏したアルバム、というのがこのアルバムの一番の特色でしょう。
スペイン風のメロディが多く、楽譜に書かれたオーケストレーションに従って演奏された作品。いったい、これはジャズ? それともクラシック?
現代音楽としてとらえるべきなのでしょうか。「フラメンコは我々のブルースのスペイン版だ」とか言われても、これってフラメンコともブルースとも別物に聴こえちゃいます。
最初は地味すぎて、「わけわかんない」と片付けていました。フラメンコを激しくジャズ風に演奏して、例えばピアソラみたいなラテン/クラシック/ジャズが融合した派手な音楽なんだろうと予想して買ったので。
じっくり聴くとこの緊張感と独特の響きにだんだん病みつきになり・・・結局はまってしまうのでした。面白い音楽だなー。


MILES DAVIS - Doo-Bop ★★ (2012-06-30 00:37:29)

マイルスの生前には完成しなかったヒップホップ・アルバム。'92年発表です。
ヒップホップ・プロデューサーのイージー・モー・ビーが残された音源を使って完成させた作品ですが、ヒップホップの制作手法としては音源のつぎはぎによる構築は普通のことなので、問題なく聴けます。大体、エレクトリック期のマイルスのオフィシャル作品だってテオ・マセロのつぎはぎ編集作品ばかりだし。
このアルバムを聴いたのはジャズを取り入れたヒップホップもヒップホップを取り入れたジャズも色々と聴いた後だったため、特に衝撃も感じず、単にマイルス作品の変わり種と言う印象でした。おそらくリアルタイムでは相当に革新的だったのでしょうが。
それでもこの作品を試作品として、この後、生きていれば(元気でいれば)どんな面白い音楽ができたかなー、と想像するのもまた、楽しいです。やっぱり変化し続けるのがマイルスの魅力であり、だからこそ何十枚もアルバムを買ってしまうのだから。
そしてこのアルバムが不出来かと言えば、じっくり聴いてみると当然ながらマイルスのトランペットはピリッと締まっていて、十分個性的で相変わらずクール。良いんですよね~。他の傑作群と並べて、長く聴き続けるであろう作品です。


COMMON - Finding Forever ★★ (2012-06-30 00:19:58)

'07年発表の7thです。このアルバムの懐かしくも未来的な音像に触れて、ヒップホップってプログレなんだなーと、発売当時思ったものです。
5年経ったいま聴いても先進的でありつつ、時代を超えて楽しめそうな音。これを聴いてカニエ・ウェストの作る音に興味をひかれました。
前作『Be』の発展形と捉えられる作品のようですが、私にとっては衝撃度は段違いでした。
レトロなキーボードやサンプリングを駆使した、暖かくカラフルできらびやかな、そして重層的で複雑かつポップな音づくりにはゾクゾクさせられます。カニエ以外が作ったトラックもおもしろいし、アルバムとしてのバランスも良いです。
コモンの声の心地よさもあり、夢見心地で聴き入ってしまうアルバム。お気に入りは奇想天外なサンプリングづかいが印象的な(3)「THE PEOPLE」です。


COMMON - Like Water for Chocolate ★★ (2012-06-29 23:56:17)

これと3rdの『ONE DAY IT'LL ALL MAKE SENSE』は、ついついジャケ買いしたくなります。
タイトル、アートワークがイマジネーションを広げさせ、そこに統一感のある生々しい質感のトラックが使われて、トータルな作り込みの見事なアルバムです。
ただし、コモンのアルバムの中でもかなり渋い部類なので、踊れるものなんかを求めると厳しいでしょうね。
しかし噛めば噛むほどといった部類の地味ながら滋味のある作品なので、地道に味わいたい感じです。
就寝前とかにじっくり聴きたい1枚。


BRAIN DRILL - Quantum Catastrophe ★★ (2012-06-29 23:41:08)

この手のバンドは、もはやどれがどれだけ速いとかどうでもよくなるくらい極端で、楽しいですね。
曲が長くても短くても常に凄まじいので、ただただきもちいーです。
極端に速いデスメタルで癒されたくなったら聴くアルバムです。


UNEARTH - III: In the Eyes of Fire - The Devil Has Risen ★★ (2012-06-29 23:27:57)

この曲の弾むようなノリが好きです。
展開やリズムも凝っていて、耳に残ります。アクセントのつけ方が巧い。


UNEARTH - III: In the Eyes of Fire ★★ (2012-06-29 23:23:08)

勢い命で突進しつつも、リフやリズムに工夫があって、だれることなく最後まで楽しめます。
歌の入れ方も、同じ叫ぶにしてもタイミングや重ね方にひとひねりあって、実にかっこいい。
メロディも決して軟弱にならない程度にほどよく導入され、バランスが絶妙。
数年、ただ聞き流していたアルバムだったのですが、いまごろになってはまりました。
特にドラムのおかずの入れ方が快感。センスいいなあ。


RIOT V - Immortal Soul ★★★ (2012-05-19 23:39:09)

ベテランの枯れた作品ではなく、瑞々しいくらいに元気のよい、メタルらしいアルバムです。
何枚か緊張感が緩んだようなメロディアスだけれどもパンチに欠ける作品があって、しばらくはライオットに関心を失っていたこともありましたが、これは若手新人バンドの作品と言われても信じてしまいそう。
もちろんベテランならではの味や、ライオットらしさも多いアルバムですが、新鮮な印象を強く受けました。
演奏は当然、安心の出来ですが、今回は特に歌メロが良いですね。印象に残る歌が多く、楽曲が差別化できています。
それから言葉がメロディに乗りきっていなくて字余り気味だったり、勢い余って崩しちゃってますみたいなトニーの歌い回しがアクセントになって気持ちいいです。
感傷を抜きにして、純粋に優れたメタル・アルバムとして長く聴けそうな傑作です。


PAIN OF SALVATION - Road Salt Two ★★★ (2012-02-25 20:03:45)

'11年発表。音楽性はまさしくONEの続編といった印象で、続けて聴くといっそう味わい深いです。(疲れるけれど)
オープニングとエンディングのテーマがあることもあり、「人生」をテーマにした長編映画のようで、前作以上にスケールが大きい感じ。『RS1』ではあまり思わなかったけれど、今作はLED ZEPPELINっぽさも感じました。まあ、ブルース、フォーク(エスニック)の要素があるエモーショナルなハード・ロックとなれば、ZEPPっぽくなるのですが。
2枚ともに「プログレ」的イメージからすると曲が短めで、2~5分くらいの曲ばかりですが、それらが有機的なつながりを持って2枚のアルバムで1つとなる「作品」を見事に形成するあたりは、まさしく「プログレ」的。クラシックの標題音楽を聴くような感覚で聴いています。
結局、POSって過剰なまでの感情表現と暗欝なメロディとわけわかんないけど切ない歌詞と面白いアレンジは鉄板だから、飽きずに楽しめるんだなーと思う今日この頃です。


PAIN OF SALVATION - Road Salt One ★★★ (2012-02-25 19:21:44)

'10年発表の7thアルバムです。人生という道をテーマにしたコンセプト・アルバム(2枚で完結)ということで、1stからずっと共通して彼らが追及しているテーマとも言えます。人と人(社会)との関わり、人生の痛みに向き合う重み。タイトルからして傷口に塩を連想させ、やはり苦痛・苦悩は常につきまとうバンドなのね、と安心ブランドぶりは健在。
POSなので当然、過去のアルバムから音楽性はガラリと変わっています。予告EP『LINOLEUM』から予想された通りの生々しいロック・アルバム。もはや「メタル」というイメージからは遠く、しかし絶品の「(根暗)ハード・ロック」作品です。1stの段階からごった煮音楽だったので、元からチラチラ示されていた音楽性をアルバムごとに一部を強調して出しているような印象もあります。引き出しの中身を初めに見せておいて、リスナーに分かりやすく改めて開け閉めして示している感じ。
今回の音楽性は古くて新しい陰鬱ロックとでも言えばよいでしょうか。'60年代・'70年代のロック、それから'90年代のグランジが好きな人にはツボだと思います。それでいてやっぱり個性的で挑発的な2010年代のオルタナティヴ・ロック。
サウンドづくりが巧いのもこのバンドの特徴ですが、生々しくも古臭くならない、荒々しくも雑ではない音づくりと、細やかでヴァリエーション豊かなアレンジには感心させられます。
最初はとっつきにくい印象で、繰り返し聴くと中毒的にハマってしまうのも毎度のこと。1年くらいはあまり聴かないアルバムだったのですが、いつの間にやらドップリとのめりこみ、最近は毎日のように聴いてしまっています。
地味にメロディが胸を打つんです、このアルバム。

しかし……上でk.s.m.2さんも触れていらっしゃいますが、ボーナス・トラックの挿入位置がどうにもこうにも……。


GALNERYUS - Resurrection ★★★ (2012-02-18 11:58:14)

2010年に最もよく聴いたメタル・アルバムはたぶんこれです。
小野正利がメタル・バンドで歌ってくれる。しかもGALNERYUSで。ということで発売前から興奮状態だったのですが、中身も鼻血ものでした。
劇的なインストから耳馴染みの良い疾走曲という大好物の展開含め、お約束をしっかり守ってテクニックとメロディをふんだんに詰め込んだメタル曲に、ストレスのない稀有なハイトーン・ヴォーカル。
一聴目にしてもう拳を握りしめて頭を振ってしまったほど、ツボでした。
たまに恥ずかしくて苦笑してしまう歌詞やメロディもありますが、そんなところもご愛敬。
キラー・チューンは多いですが、1曲選ぶなら(10)「DESTINY」が白眉でしょうか。
ライヴは行けなかったけど、ライヴDVDも良かったです。


GRIM REAPER - Fear No Evil ★★★ (2012-02-18 11:40:39)

メタルに対する情熱が減衰し、「もう自分にはメタル魂がなくなったのでは?」などと思っていた時に聴きました。
もう、いきなり1曲目で瞬間点火です。
あまりの熱さ、直球さに感動を覚えました。
これぞメタルです。たぶん、60歳、70歳になって聴いても感動するんじゃなかろうか。
音質は悪いしダサいしどこかで聴いたリフなんかも見られますが、そんなところもまた魅力。
アルバム通して愛しいけれど、お気に入りの曲は(1)FEAR NO EVIL、(6)LET THE THUNDER ROAR、(8)FIGHT TO THE LASTといったあたり。


RIOT V ★★★ (2012-02-18 11:19:25)

高校・大学時代によく聴いたバンドでした。
何回か手放してまた買いなおしたり。17年くらい聴いたのでしょうか。
過去のアルバムを聴きなおしたいと思ったら、全部実家の小屋の中でした。iPodには『THUNDERSTEEL』しか入っていないので、それを聴いています。
新譜、すぐ買えばよかったなぁ。これから購入してじっくり聴きます。


JIMMY PAGE & ROBERT PLANT - Walking Into Clarksdale - When I Was a Child (2009-06-03 22:30:05)

音の揺らぎがまどろみに誘うような、まったりした曲。
プラントの歌が切ない。


COVERDALE・PAGE - Coverdale・page - Take Me for a Little While ★★ (2009-06-03 22:19:11)

なんかこの曲だけ浮いちゃってるような気もしますが、でもやっぱり、じ~んとしちゃうなぁ。泣ける。


ERIC CLAPTON - Slowhand - The Core (2009-06-03 22:17:07)

まったりした曲の多いアルバムの中で、けっこうロックしてる曲。いい気分転換になります。
8分以上あるのもご愛嬌。


QUEEN - A Night at the Opera - '39 (2009-05-04 14:04:14)

こういうSF的歌詞でカントリー調の曲というセンスが非凡ですね。
好きです。


QUEEN - News of the World - We Will Rock You ★★★ (2009-05-04 13:59:10)

ズンズンチャ、を思いついた時点で勝負ありだったんでしょう。
本能に訴える曲。原始人類だって、気に入っちゃうはず。
赤ん坊も泣きやんでにこにこでした。


QUEEN - A Night at the Opera ★★ (2009-04-26 20:54:00)

聴き始めの何回かは、あまりにも曲調が幅広くて面食らいましたが、それでも何度か聴くと、アルバム・トータルでバランスが取れて聴こえるのが凄いですね。
これだけ濃厚な作品なのに12曲で43分少々という短さなのも、集中力が切れなくてグッドです。


QUEEN - News of the World ★★ (2009-04-26 20:48:00)

ジャケのあんまりな悪趣味さに、購入を躊躇っちゃいましたが、音を聴くと、このジャケでぴったりかもと思っちゃうのが不思議。変なバンドだなー。
問答無用の有名曲はもちろん、「FIGHT FROM THE INSIDE」「GET DOWN, MAKE LOVE」「WHO NEEDS YOU」とかのユニークな曲もお気に入り。


QUEEN - Queen II - Nevermore ★★ (2009-04-26 20:38:44)

ため息しか出ません。
なんという歌でしょう。


QUEEN - Queen II - White Queen (As It Began) ★★★ (2009-04-26 20:32:12)

なんて切なく、ドラマティックな曲なんでしょう。
メロディも歌詞も、悲しく美しい。泣けます。


QUEEN - Queen II ★★ (2009-04-26 20:26:00)

以前ロック入門みたいな本を読んで、その中で「クイーンはシングルが良いバンドで、アルバムはつまらない」みたいなことが書いてあって、それを鵜呑みにしていたことがありました。
それで廉価盤の怪しいベストを買い、気に入ったので次に正規のグレイテストヒッツ2枚組を買い、あとはいいやと思っていました。(だってクイーンのアルバムっていつまでたっても安くならないし)
でも、ベストに入ってるのってSTORMBRINGERさんもおっしゃってますが、1曲だけなんですよね。
後でアルバムを聴いて、なんて馬鹿なことをしていたんだろうと思いました。こんな凄いアルバムを、聴き逃すところだったとは。
トータルでのつくりこみ具合も、個々の曲も、見事です。
これがまだ2ndで、しかも前作から1年も経たずにささっと作られたものというんだから驚異的。
やっぱり、良いバンドはアルバム単位で聴かなきゃいかんと思い知らされました。


MENNEN - Mennen - World Affair ★★ (2009-04-08 22:34:44)

7分半を、ドラマティックな構成と、叙情メロディで一気に聴かせてくれます。
歌メロも良いけれど、ギターソロの構築美が素晴らしい。


MENNEN - Mennen - Killerdog ★★ (2009-04-08 22:24:12)

ヘッドバンギング必至のアップテンポナンバー。リフが熱い!
キレのあるツインリード、そしてシャウトも強烈。


MENNEN - Mennen ★★ (2009-04-07 20:46:00)

元ZINATRAのヨッツ・メネン率いる、オランダの正統派HM/HRバンドの1stです。'94年発表。
'90年代にこれはないだろうという、あんまりなジャケに、大して期待もせずに買ったら、見事なまでの正統派っぷりにしびれました。オランダのバンドって、何かピュアな感じの、まっすぐなバンドが多い気がします。
中古叩き売りでよく見かけて、よっぽど評価されていないバンドのようですが、多少のダサさには目をつぶれて、古き良きHM/HRが大好物という人には、大いにおすすめできます。
コーラスはキャッチーで、ライヴで一緒に歌いたくなりそうだし、哀愁や雄々しさ、情熱や力強さといった要素もしっかりと持ち合わせた、硬派なサウンド。
2曲のカヴァー含めて、全曲良い。
P.P.とエリック・ヴァン・デ・カーコフという二人のギタリストも、無名ながらツボを心得たメロディで酔わせてくれます。
メロスピでもメロハーでもない、それこそ正統派(どちらかと言えばメタルよりハードロック寄り?)という音楽性は、今の時代には地味かもしれませんが、それでもやっぱり良いもんだなーと思わされた作品です。


VALENSIA - Gaia Ⅱ - Phantom of the Opera (2009-04-07 20:32:29)

元ネタがボヘミアン・ラプソディなのは、本人も認めてましたっけ。
でもやっぱりこういう劇的な曲って、そそられるなぁ。
まさしくオマージュ的で、ちゃんとヴァレンシア印なところも良いです。


VALENSIA - The White Album - Singing the Swan ★★ (2009-04-07 20:28:05)

生まれてこなかった妹へ向けた歌?
あまりに切ないメロディと歌詞に、胸が痛みます。


VALENSIA - The White Album ★★ (2009-04-07 20:23:00)

'94年発表のミニ・アルバムです。
オリジナルのクリスマス・ソングや、「OO7 美しき獲物たち」のカヴァーとか、いったいどういうファン層を想定しているのか謎な作品ですが、この奇天烈さが、らしいなぁ。
曲は良いです。やっぱりクイーンのフォロワー程度で片付けられる人じゃない、エキセントリックなミュージシャンです。


VALENSIA - VⅢ ★★ (2009-04-07 20:14:00)

'98年発表の3rdフル。
正式なタイトルは『VALENSIA '98 MUSICAL BLUE PARAPHERNALIAN DREAMS OF EARTH'S EVENTIED WHITER FUTURE & DARKER PRESENT SOUNDSPHERES FROM NEW DIAMOND AGE SYMPHONIAN ARTWORKS TO YESTERDAY'S WESTERNWORLD ROCKCRAFT UNDER THE RAGING NINETIES' SILVER PROMIS OF THE HAPPY HUNDREDS ON THE BREAK OF THE NEW MIILLENIUM'S HAZY MISTY DOWN.』
まるで嫌がらせです。ギネスを狙ったらしいですね(載ったのかな)。フィオナ・アップルの『真実』の原題とどっちが長いでしょう。
これ以前のシンフォニックな作風に比べると、このアルバムはもうちょっとラフで、またリズミカルになっています。
この人のメロディって面白いなと思っていたら、オランダだけでなくインドネシアやマレーシアにもルーツがあるみたいですね。クイーンやケイト・ブッシュに、そういうのがプラスされると、こんな独特の味になるのかな。おもしろい。