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うにぶさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 301-400

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うにぶさんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 301-400

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JAY-Z - The Blueprint ★★ (2016-12-26 21:14:43)

'01年発表の6thアルバムです。ものすごく器用な人で、彼のアルバムは基本的にどれを聴いても外れがないという印象があります。特に3まで出ている『ザ・ブループリント』のシリーズはどれも良いのですが、今のところ一番好きなアルバムはこれです。
サンプリング・ソースの人懐っこさやサウンドづくりの心地よさ、曲順や全体構成の巧みさから、グイグイ引き込まれて聴いてしまいます。
ゲストが控えめで主役のラップがたっぷり聴けるところも嬉しい。ストレスのないバランスの取れた良作です。


KANYE WEST - Graduation ★★ (2016-12-26 21:01:01)

'07年発表の3rdアルバムです。様々な形で話題を振りまき、当然のように売れまくりました。当時のポップ・ミュージックの最先端でもあり、ヒップホップの新たな方向性を感じさせてくれた作品です。
前2作と比べるとポップすぎてもうヒップホップじゃないなんて非難も受けていた気がしますが、次作は歌ものだったわけで、それと比べればまだ十分にヒップホップです。
村上隆のアートワークもポップ。何がやりたいんだかもう意味不明ですが、他と違うことだけは一目瞭然で、インパクト大。
名盤とされる前2作はあまり好きではなかったのですが、このアルバムからはまりました。カラフルでポップで、どこを切っても面白い。お気に入りはループのつなぎ方に意外性があって癖になる(3)「CHAMPION」です。


COMMON - Electric Circus ★★ (2016-12-26 20:39:55)

不気味な色合いのジャケにぎょっとしますが、中身もなかなか不穏というか、インパクトの強い曲のそろった、異色作です。'02年発表の5th。
前作のソウルフルで落ち着いた作風から一転、激しく派手なエレクトリック・サウンドや男臭いシャウトも交えた、ハードで攻撃的な内容に。
ヒップホップではあまり聴けないようなヘヴィなビートや尖って歪んだ上音が斬新で、ロック・ファンには逆に聴きやすいかも。
プログレッシヴすぎるということでヒップホップ界隈では不評のようですが、門外漢にはかえって魅力的な傑作アルバムです。このくらい冒険してくれたら、応援したくなります。


LUPE FIASCO - Tetsuo & Youth ★★★ (2016-12-26 20:26:03)

5thアルバムです。2nd~4thはどれも悪い出来ではないし、かなり売れもしたらしいけれども、どうにものめり込むまでは至らなかったのですが、今作は塚本晋也監督の『鉄男』にインスパイアされたという驚愕のオタクっぷり発揮アルバムというところに面白みを覚え、期待して購入。
一聴して、ぶっ飛びました。凄い! なんだこれ!?
なんというファンタジックでプログレッシヴなヒップホップでしょう。こんな衝撃は、COMMONの『Electric Circus』を聴いたとき以来。空気感が一般的なヒップホップと全然違います。
美麗で清涼感あふれる、しかしインパクトの強い風変わりなトラック群に、よくもまあここまでリリックを詰め込むものだと呆れるほどに饒舌で多彩なラップ。
売る気のなさそうなアーティスティックなアートワーク(2nd以来どれも地味ですが)、ヒップホップにあるまじきやたらに長い曲(8分超3曲)、間に挟み込まれる季節を表すインストゥルメンタルと、商業主義とは一線を画して作品としてトータルで組み上げた《アルバム》。
1st以来、ようやく心底から驚嘆させてくれる作品を出してくれました。たぶん今後何十年も聴き続ける一枚になりそうです。


LUPE FIASCO - Food & Liquor ★★★ (2016-12-24 17:40:27)

シカゴ出身のヒップホップMC、ルーペ・フィアスコの1stアルバムです。酒も薬もグルーピーもお断りな、健全スケートボーダーにして、日本サブカルオタク。
表の華やかな音楽おもちゃ箱的ジャケも魅力的ですが、内側のアートワークも善悪の価値観を逆転させて描く風刺の効いたコンセプトが実に巧みで、アメリカ人イスラム教徒ならではのアイデンティティがよく出ているなあと、感心しました。
トラックにしろラップにしろ、もっと激しくガツンとくるタイプの方が好きなのですが、それでもヒップホップで最も好きなアルバムは、このアルバムかもしれません。なにしろ曲が良い。
激しさには欠けますが、哀愁と躍動感が同居していて、いつ聴いてもドキドキワクワクさせてくれるフレッシュさがあります。煌びやかでメロディアスで、比較対象としてはOUTKASTやKANYE WEST、The Black Eyed Peasあたりのファンに受けそう。
(3)~(13)はもう、圧巻。特にI Monsterの「Daydream In Blue」を使った(9)「DAYDREAMIN'」とReturn to Foreverの「The Romantic Warrior」を使った(13)「AMERICAN TERRORIST」は、いつ聴いてもうっとりします。なんて美しいヒップホップ。


BEETHOVEN - Orchestral Music - 交響曲第6番ヘ長調op.68『田園』 ★★★ (2016-12-24 17:21:34)

確かに一番和む、楽しく口ずさみたくなるような曲です。ベートーヴェンの交響曲の中では最も「歌っている」メロディアスな作品。
各楽章に説明的なタイトルがついていて、情景が浮かんでくるあたり、コンセプト・アルバム好きな方におすすめ。
ただし、嵐を描く第4楽章以外は激しさを求めるような音楽ではないので、メタラー的には微妙かも。(メタル耳的ストーリー仕立てなら、ベルリオーズの「幻想交響曲」やショスタコーヴィチの交響曲11番「1905年」の方が刺激的)
初っ端から速い、過激な演奏の盤もありますが、「田舎に着いて晴々したなー」「小川のほとりで自然を満喫しよー」といった内容の音楽を奏でるのだから、のんびり、ほんわかさせてくれる演奏こそがしっくりきます。
呼吸が浅かったり、重々しすぎたりするのは嫌。
そんなこんなで、第1楽章冒頭で好き嫌いがもうはっきり出てしまう難しい曲。まず聴くならワルターやベーム、アバドあたりの優美かつゆったりとした演奏から入りたいところです。
お気に入りはアーノンクール/ヨーロッパ室内管弦楽団のもの。仰々しくなりすぎず、テンポも抑えめで、自然な呼吸で浸ることができます。


ZABADAK - 遠い音楽 - 二月の丘 ★★★ (2016-12-24 16:30:04)

高校時代、周囲の友人にザバダックを聴かせまくってましたが、特に友人がはまっていたのがこの曲です。
ファンタジー色の強い歌詞には、ファンタジーがブームを巻き起こした後に育った今の若い人たちもはまりそうな気がします。


Jethro Tull - Aqualung - My God ★★ (2016-12-24 16:19:11)

最近のヘヴィ・ローテーションNo.1曲です。
風変わりな展開、フルートの妖しさ、荒々しさに、色々と興奮してしまいます。聴くたびに新鮮。


IRON MAIDEN - Killers - Wrathchild ★★★ (2016-12-24 16:12:08)

たまにふと、頭の中に蘇って、延々とリピート再生されて困る曲です。
中毒性の高い独特のノリに降参です。


JOHN LENNON - Imagine - Imagine ★★★ (2016-12-24 16:02:36)

シンプルなメロディの良さと、歌にこめられた勇気と希望に、いつ聴いても心がかき乱されます。
誰かの理想は誰かにとっての悪夢かもしれず、この歌詞が許せない人も多いことでしょう。
たぶん、宗教に無節操な人が多く、国家への盲目的忠誠心にアレルギーのある人が多い日本では、あまり抵抗なく受け入れられると思いますが、外国での反応は強烈そう。


サカナクション - DocumentaLy - 『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』 ★★ (2016-12-19 01:51:55)

妙に頭に残って、困ってしまう曲です。
眠れない夜に聴きたくなります。


RADWIMPS - 絶体絶命 - 君と羊と青 ★★★ (2016-12-19 01:35:56)

息もつかせず一気にたたみかけて持っていくキラー・チューン。よくこんな曲思いつくなぁ。
耳にこびりつくリズミカルでキャッチーなメロディと歌詞が癖になります。実に爽快。
PVのスピード感とカラフルさも印象的。しかし群青色って冷静に見るとなんか怖い。


RADWIMPS - 絶体絶命 - 学芸会 (2016-12-19 01:29:08)

私も「乗車権」を連想しました。焦燥感や救いの無さに、通うものがあります。声もちょっと似てる。
肥大化した自意識と世間的評価とのギャップから生じる、思春期の鬱屈した感情の暴発。ありそうな話なのがまた怖いです。
ブラックなストーリーをシニカルに表現しながら、でもノリノリ。


MISSY ELLIOTT - Miss E ...So Addictive - Get Ur Freak On (2016-12-19 01:16:31)

ヘンテコすぎる。日本人なら思わず笑ってしまうことは避けられないでしょう。
何度聴いてもギャグにしか思えない曲ですが、これがきっかけで苦手だった彼女のラップへの抵抗感が薄れました。


GALNERYUS - Angel of Salvation - Hunting for Your Dream ★★ (2016-12-19 01:04:58)

もうメタルとJ-POPとの垣根はないんだなーというのが、心から実感できた曲。
コテコテのメタルで演奏や歌は凄まじく、音数もとんでもないのに、実にポップです。新世代だなー。


JUDAS PRIEST - Redeemer of Souls - Down in Flames (2016-12-19 00:48:15)

うーん、ポップだ。
でも『POINT OF ENTRY』や『TURBO』といったアルバムを作ってきた彼らのこと、こういった曲もまた本質なのでしょう。
今更ヘヴィなものを求めても仕方がないので、こういう自然体の曲が心地よく染みてきます。


BABYMETAL - BABYMETAL - おねだり大作戦 (2016-12-19 00:29:42)

何気なく流して聴いていたら、クリスマス前のこの時期にあまりにはまりすぎて、背筋が凍りました。
歌詞とサウンド、歌声の親和性に白旗です。ロックしてるなー。


ROBERT GLASPER - Black Radio ★★ (2016-12-10 01:34:42)

タイトルは様々な黒人音楽を網羅したような音楽の紹介を意味するのかと思ったら、飛行機のブラックボックス・レコーダーのことらしいですね。
とはいえ、本業のジャズにR&B/HIP HOPをメインとしてゴスペル、ブルースやロックを融合させているあたりは、ブラック・ミュージックの集大成的内容とも言えます。
vuoyさんのおっしゃるように、'90年代にかなり流行った音楽性でもあるので、さほど新鮮でもなく、普通のR&Bコンピレーションのような印象もあります(実際R&B部門でグラミー賞を受賞)。
真っ先に思い浮かんだのはハービー・ハンコックの『POSSIBILITIES』で、あれもジャズというよりR&B/POPS/ROCKでした。
前作の折衷アイディアが面白かったので、その延長線上の進歩的なジャズを期待して聴いたため、ちょっと肩透かしでしたが、それでも今風に洗練された音作りは巧みで、刺激は少なくてもやたらに聴いていて気持ちいい。
注目を集めるために、戦略的に狙って、こうしたキャッチーなR&B/HIP HOP路線を選択したようなので、それはそれでOK。いつか突き抜けた新しい音楽を作ってほしいと思っています。


HERBIE HANCOCK - Future Shock ★★ (2016-12-10 01:14:10)

シンセサイザーやスクラッチを取り入れ、ヒップホップやテクノに近い、一般的なジャズとは大幅にイメージの異なる音楽です。
ビル・ラズウェルの影響が強いのでしょうが、こういう新しい音楽に積極的にチャレンジしていく姿勢はさすが。これも売れて、時代を代表する音楽とされたはず。
確かに今となっては時代を感じさせる音楽性/音色ですが、当時は最先端の衝撃的音像だったのでしょう(後追いなので推測)。
今聴いても2周くらいして逆に新鮮な音で、しかも刺々しい音づくりが未だに刺激的。面白い音楽です。


HERBIE HANCOCK - Head Hunters ★★ (2016-12-10 00:58:06)

'73年発表の、たぶん12thアルバムです。ご機嫌なエレクトロ・ファンク・ミュージック。マイルスみたいな屈折したのじゃなく、誰でもノレる、踊れる音楽です。ゆえにジャズかどうかは賛否あるところですが、かなり売れたアルバム。
4曲のみですが、楽曲がそれぞれキャラ立ちしていて、飽きさせません。
ファンキーでノリノリな(1)、1stにも収録されてましたが別物アレンジで南国風脱力系になった(2)、スリリングに突っ走る(3)、ゆったりムーディーな(4)と、うまく表情を変えつつも、ファンキーさは保って、楽しませてくれます。


HERBIE HANCOCK - Speak Like a Child ★★★ (2016-12-10 00:45:54)

ジャケの美しさとタイトルの優しさ、そしてタイトル曲の美しさに降参です。
管楽器のチョイスの面白さや編曲の妙、ジャズとしての楽しさや躍動感と繊細さとのバランスにも脱帽。
非常にとっつきやすく、それでいて深みのある名盤です。


HERBIE HANCOCK - Maiden Voyage ★★ (2016-12-10 00:35:38)

'65年発表の、リーダー作としては5枚目でしょうか。ハンコック(p)のほか、コールマン(ts)、カーター(b)、ウィリアムス(ds)がマイルス・デイヴィスのクインテットにも在籍していたメンバー(コールマンは「元」で他は一時休止中の現役)で、そこにフレディ・ハバード(tp)が加わっています。
マイルスの影響も濃いとはいえ、ここで聴かれる音楽はマイルスの作品とはまた別種の斬新さがあり、独特。帰ってきたクーカイさんのおっしゃるように恐ろしさも美しさも兼ね備えたような音楽です。
次作の『SPEAK LIKE A CHILD』や、ウェイン・ショーターの『ADAM'S APPLE』(ハンコック参加)と並び、この数年だけの彼らの作品から感じられる独特の雰囲気が気に入って、よく聴いています。
ジャケやタイトルや曲からイメージされる青みがかった透明感や雄大さ、ストーリー性、たまに垣間見える狂気や前衛性がうまくバランスをとっています。和み、開放感があるのに緊張感もあります。
ピアノ・ベース・ドラムスはずっと一緒にやっていたのでとにかく自由自在で、そこにはまるコールマンのサックスの音色が気持ち良いです。ショーターっぽいとCD解説で言われ、さらに曲によってはコルトレーンっぽくもあるように感じますが、そりゃ同時期だし、とにかくしっかり各楽曲に合っています。
ハバードのトランペットも、マイルスとはだいぶ趣が違い、息苦しくない。(マイルスはやっぱり暗いし怖い)
ゆったり聴くにも、集中して手に汗握って聴くにも良い、バランスの取れたアルバムです。未だに代表作とされるのも納得の出来。


上原ひろみ - Voice - Labyrinth ★★ (2016-11-27 00:43:37)

郷愁を誘うテーマ・メロディに、耳が釘付けにされます。
ピアノはもちろんですが、ベースの美しさにも陶然となります。
繊細で胸に響くメロディを奏でながら緊張感も損なわれておらず、最後まで息をのむ3人のやりとりが続くところが、何とも言えません。


上原ひろみ - Voice ★★ (2016-11-27 00:29:57)

'11年発表の7thアルバムで、この後続いていくサイモン・フィリップス(ds)、アンソニー・ジャクソン(b)とのザ・トリオ・プロジェクトの1作目です。
ハード・ロック界隈でも名を馳せてきたサイモン・フィリップスの参加ということで期待して聴いたのですが、やはり強烈。この音数でこの安定感は異常です。
ジャズのピアノ・トリオというよりもロック・インストに分類されるような、白熱の競演を堪能できます。整合感が強く、メロディに哀愁が漂うところも、ロック・リスナー向け。


寺井尚子 - Night Flight ★★ (2016-11-27 00:16:06)

ジャズ・ヴァイオリニスト寺井尚子による、'06年発表の、オリジナル・スタジオ盤としては8枚目のアルバムです。
タンゴ風な曲が多い印象で、哀愁を振りまきつつ、鋭く突き刺さってくるヴァイオリンがたまりません。
音をあまり重ねずにいるせいか、どの楽器も目立っていて、バンド内の楽器バトルが面白い。ピアノの北島直樹作の曲が多いせいか、特にピアノが主役に感じることも多いです。
勢いや激しさの感じられる曲が多いうえ、ゆっくりした曲でもだれることなく緊張感を保っていて、かなり好み。もろにタンゴだけというのではなく、「Birdland」のような曲も入れているバランス感覚も良いです。


寺井尚子 - Naoko Live ★★ (2016-11-27 00:00:14)

ライヴ・アルバムです。'00年の愛知でのライヴらしいです。『Princess T』のツアーであるため、同アルバムの曲が多くなっています。
このアルバムは、以前ヴィレさんからライヴがアグレッシヴだという話をうかがって、しかしなかなか生では行けなかったため、代わりに買ったのでした。
リー・リトナーやハーヴィー・メイソンといった大御所が参加し、大人の余裕が感じられる内容です。
初っ端からチック・コリアの軽快な「Spain」をロドリーゴの「アランフェス協奏曲」もしっかり入れて演奏しているところに引き込まれます。「Rio Funk」もご機嫌です。
全体的には和み系の落ち着いた曲が多いので、強烈なライヴ盤が聴きたくてタンゴが好きであれば、『Libertango In Tokyo』の方が良いかもしれませんが、フュージョン好きの人にはこちらがお薦めです。


寺井尚子 - Princess T ★★ (2016-11-26 23:44:59)

'00年発表の3rdです。ジャズのヴァイオリンというと、マハヴィシュヌ・オーケストラのジェリー・グッドマンとジャン=リュック・ポンティ(こちらはソロも聴きました)ぐらいしか知らず、そうした過激なイメージで聴いたら、あまりに違っていてびっくりしました。
ラテン風味で、整合感の強いフュージョン風の曲が多い印象です。リー・リトナーがプロデュースし、曲も提供している点も関係しているかもしれません。
「Black Market」「St. Thomas」「Cantaloupe Island」「Gymnopedie No.1」等の有名曲を聴いて思うのは、テーマ・メロディを崩さずしっかり演奏したうえで、アドリブもしっかり練られた(?)自然なメロディで奏でられることで、実にスムーズでストレスのない音楽になっているということです。
それを刺激が足りないと感じるか、プロの類まれなセンスによる優れた技と捉えるかは、人それぞれでしょう。私はあまりの心地よさに参りました。
表題曲は元がラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」なのですが、ピアノ版・管弦版ともに好きな曲でもあるので、ジャズ・ヴァイオリン・アレンジも興味深く聴きました。


MAHAVISHNU ORCHESTRA - Apocalypse ★★ (2016-11-26 23:27:59)

こんなジャズ・ロックとオーケストラとの共演なんて、よく許されたなーというのが、正直な印象です。よくやってくれました、コロンビア!
しかもマイケル・ティルソン・トーマス(ジャズの素養あり)指揮のロンドン響(応用力のあるプロ集団でインド音楽との共演経験もあり)との組み合わせというところに、レコード会社の本気を感じます(プロデューサーのジョージ・マーティン人脈かもしれませんが)。
普通のオケと指揮者では、こういうアイディアの実現は難しそう。プログレ隆盛期の'70年代という時代も良かったんでしょうね。
第1期の激烈さには及びませんが、目指している方向性も違うので、問題ありません。ジャン=リュック・ポンティにナラダ・マイケル・ウォルデンなんていうメンバーに、文句などあろうはずもありません。
チック・コリアの奥さんのゲイル・モランの歌声が聴けるのも貴重です。
基本的にはマハヴィシュヌ・オーケストラらしさ満載の雰囲気たっぷりかつ激熱なジャズ・ロックを、オケがドラマティックに盛り上げるという内容。
せーらさんのおっしゃるように、特に2、5曲目はオーケストラとの共演の旨味が出ていて、素晴らしい。


JOHN MCLAUGHLIN - Shakti with John Mclaughlin ★★ (2016-11-20 22:57:21)

先日、「題名のない音楽会」でタブラとドラムが凄まじいリズムで『となりのトトロ』の曲を演奏しているのを聴いて、このアルバムを思い出しました。
マクラフリンの速弾きアコギに絡む、インドの音楽家達のヴァイオリン、ムリダンガム、ガタム、タブラによる複雑怪奇な超絶演奏が凄まじすぎ。リズムの細かさには眩暈がします。
ジャズと言うには特異で、純粋なインド音楽というわけでもない、異種格闘ワールド・ミュージックの白熱ライヴ盤('75年)です。(オリジナルのシャクティはこの後スタジオ盤2枚を残し解散)
アコースティック音楽ですが、熱さ、過激さはメタルに勝るとも劣らず、興奮させてくれます。


KULA SHAKER - K ★★ (2016-11-20 22:45:42)

発売当時、ブリットポップのブームでUKロックに注目が集まっていたこともあってか、様々な音楽雑誌で大きく取り上げられていた記憶があります。
このアルバムのインド風味で雰囲気たっぷりかつキャッチーなメロディや、グルーヴィーで躍動感のある演奏と歌には、いま聴き返しても興奮してしまいます。
緩急のつけ方が巧く、勢いよく飛ばすところは飛ばし、サイケデリックでゆったりした曲でもアレンジの意外性で飽きさせずに聴かせてくれるのが素晴らしい。
THE BEATLESやTHE STONE ROSESの影響なんていうのもあるのでしょうが、しっかりオリジナリティを出して、時代を超えたロックを鳴らしています。


SANTANA - Supernatural ★★ (2016-11-20 22:04:43)

どれほどタイプの違う個性的ゲストを迎えたとしても、ギターが入ってきた時点でサンタナが主役であることが明示されるところに凄味を感じます。
ラテン音楽って、ただ心地よいだけで耳を素通りしてしまうことも多いのですが、耳を惹きつけるユニークで刺激的な曲がそろっています。傑作。


THE ROLLING STONES - Some Girls ★★ (2016-11-20 21:44:14)

1曲目の「Miss You」から、身体を動かさずにいられません。
メロディ的には正直、そう感銘を受けないのですが、このアルバムのファンキーさ、ノリの良さには白旗を上げるしかありません。
直線的な疾走曲しか受け入れられなかった昔は、こういうアルバム/バンドが苦手だったのですが、最近はこういうのを聴くと、ロックンロールって強烈だなと思えます。


THE BOOM - Tropicalism -0° ★★ (2016-11-20 21:30:22)

'96年発表の7thアルバムです。曲数が多い上、ゆったりした曲が多く、以前は途中で寝てしまっていました。いま聴くと実に刺激的。やっと音楽の豊饒さに耳が追い付いてきました。
同じブラジル音楽を取り入れたアルバムでも、前作『極東サンバ』が踊りやすく、わかりやすい曲が多かったのに比べ、このアルバムは張り詰めた空気が強く、シリアスな雰囲気があります。
レゲエもサンバもボサノバも沖縄民謡もその他様々な音楽も自由自在に混ぜ合わせたユニークなこの音楽は、ほかでは聴けないものです。
(2)「TROPICALISM」では、パーカッション/ホーンセクション/ピアノ/DJとバンドとが一体となり、レゲエ/ダブとブラスロック/ラテンジャズと沖縄民謡が融合したような物凄い情報量の音楽を作り上げています。歌詞も熱い。
またエキゾチックなサンポーニャや各種パーカッション、ストリングスが雰囲気を盛り上げ、哀愁をまとって疾走するラテン・ロックの(4)「TIMBAL YELE」は隠れた名曲です。
その他、アルバムのどこを切り取ってもジャンル分けの難しい、日本ならではのクロスオーヴァー/ミクスチャー・ロックです。


BO GUMBOS - BO&GUMBO ★★ (2016-11-20 21:08:41)

このアルバムを買った頃は、ふざけた歌詞や明るい音楽がそれほど好きではなく、ソウル・フラワー・ユニオンやザ・ブームの影響からさかのぼって聴いたものの、ボ・ガンボスもローザ・ルクセンブルグもあまり好きになれず、すぐにお蔵入りさせてしまいました。
その後、ズボンズにはまり、アフロ・ビートやファンクも聴けるようになってから聴いたら、エネルギッシュでファンキーでキャッチーなこのアルバムに魅惑されました。2ndも好き。
怒号さんが「ライブバージョンはここで聴けるものの100倍位凄い」とおっしゃっているので、ライブ盤もいつか聴いてみたいものです。
あと、影響を受けたらしいニューオーリンズのセカンド・ラインも聴いてみたい。


KATE BUSH - The Sensual World ★★ (2016-11-05 01:03:24)

'89年発表の、オリジナル・アルバムとしては6枚目です。
しっとり、落ち着いた曲調の歌が多く、クレイジーなロックを期待すれば厳しいアルバムでしょう。
しかし、ズブズブと深みに引きずり込むような底の知れなさ、音の温もりとしなやかさ、ゆらぎの心地よさには、他に代えがたい魅力があふれています。タイトルにも表れているような官能性に、ねっとりと絡めとられてしまいます。
アイリッシュ音楽やブルガリアン・ヴォイスを取り入れながらも、自身の個性で全てをまとめあげてしまうところも、さすが。
聴くたびに別世界へ連れて行ってくれる、素晴らしい作品です。


KATE BUSH - The Dreaming ★★★ (2016-11-05 00:48:06)

好きな作品なのかと問われると悩みますが、傑作かと問われれば議論の余地もなくそうだと即答できます。
男には作り得ない、ジャンルも何もかもを飛び越えて情念を放つ、本能の音楽。美しくもあるけれども、あまりに闇が深くて精神的に辛くなります。
私の中ではジョニ・ミッチェルやビョークを聴くときと似た感覚の、しかし比較を超越した絶対的な音楽。抗うこともできないけれども、毎日聴きたいものではありません。
(他のアルバムはまだ矢野顕子やフェイ・ウォンあたりと似た感覚でも聴けますが、これは無理)
事前情報一切なしで聴いても、一聴目にして身体が凍りつき、最後まで聴かずにはいられないと思います。音楽が現実を超えて夢に結びつくものであることを知らしめる名盤です。


PETER GABRIEL - Peter Gabriel Ⅳ ★★ (2016-11-05 00:13:06)

1~4枚目までは同じ『PETER GABRIEL』というタイトルで出されているソロ作のうち、'82年発表の4thアルバムです。ちなみに私は、番号のないセルフタイトルのCDだから1stだろうと勘違いして買いました。
それまでジェネシスの諸作品や『SO』や『US』といったアルバムを聴いて、ピーター・ゲイブリエルはあんまりピンと来ないなーと思っていました。しかしこのアルバムが中古で安かったのでダメもとで聴いてみたところ、ガツンとやられました。
(1)「The Rhythm of the Heat」のトライバル・リズムの躍動感や緊迫感あふれるアレンジ、(2)「San Jacinto」の効果的なシンセや感動的な歌メロには初聴時からノックアウトされました。
ワールドミュージックへの傾倒や当時最先端のシンセサイザーの導入という要素が強く表れた実験的作風でありながらも、メロディとのバランスが絶妙で、聴いていて引き込まれます。
躍動感のある曲が半数を占めながらも、全体的なトーンは暗く、内省的な空気が支配的なところに、独自性を感じます。美しくも強靭な、芯の強い音楽です。


STING - The Soul Cages ★★ (2016-11-04 23:56:54)

20年ほど前にこのアルバムを買った当時は、彼の他のアルバムで取り入れられたジャズの要素やラテン音楽の魅力が理解できず、私にとってスティングは馴染めない曲の多い「難しい」ミュージシャンでした。
でも、このアルバムだけは切ないメロディが多かったせいもあり、すんなり好きになって、よく聴きました。
特にノーザンブリアン・パイプス(バグパイプと区別つきません)を用いたアイリッシュ・メロディの哀愁あふれる(1)「ISLAND OF SOULS」には、歌詞も含めて泣かされます。(8)「THE SOUL CAGES」でも曲の一部が繰り返されるあたりからも、この曲はアルバムの中で重要な位置を占めていると思いますが、実に印象深いオープニングです。
コンセプト・アルバムではないようですが、繰り返し出てくる魂・父と子・船・海・川・空・星・王国・檻・自由といった歌詞の題材に共通性があり、有機的なつながりを感じます。
いまでも最も思い入れがあり、大切に聴いている作品です。


THE POLICE - Synchronicity ★★ (2016-10-30 00:47:33)

以前はおしゃれでポップな音楽のように感じて聴いていたのですが、改めて聴き直してみたら、1曲毎に実験を繰り返しているような音楽性の幅広さに唖然としました。
先にスティングのファンになって、後追いで聴いたせいもあるかもしれませんが、有名曲ばかり飛ばし聴きするような接し方をしていました。
最近、以前は古臭く感じていた'80年代の音楽を新鮮に感じるようになっているのですが、この時期に聴き直してよかった。シンプルなようでいてとても深い音楽です。
メロディも臭すぎず、メロディアスながらも抑制が効いているところが実にかっこいい。そしてリズムが、いま聴いても風変わりで、面白いです。


TALKING HEADS - Remain in Light ★★★ (2016-10-30 00:25:06)

実に奇妙な音楽です。アフリカン・リズムを取り入れているのでしょうが、楽器の組み合わせ方や音色、コーラスの重ね方やメロデイのせいか、あまり民族音楽的な印象は受けません。
複雑で性急なのに整合感もあり、物凄い熱量と醒めた視線を同居させたような、歪んだ雑種ロック。なんだこりゃ。
先に『NAKED』を聴いていて、あちらはこれほど変てこじゃなかったので油断して聴いて、度肝を抜かれました。
どことなく都会的で機械的・近未来的な音楽に聞こえますが、ポリリズムの組み合わせ方のセンスが独特で、集中して聴くと頭が混乱します。
デイヴィッド・バーンとブライアン・イーノのアルバム『MY LIFE IN THE BUSH OF GHOSTS』も、同じようにひねくれていて頭が疲れますが、こちらの方が変態というか、おかしな感じに洗練されて、かえってグロテスクに感じます。
ノリノリで楽しむことも可能なのでしょうが、私にとっては肉体ではなく頭で味わう類の音楽。いつ聴いても金縛りにあってしまう、刺激的な超名盤です。


PUBLIC IMAGE LIMITED - The Flowers of Romance - Francis Massacre (2016-10-30 00:00:35)

しっちゃかめっちゃかな演奏に、ぶっ飛んだ歌。
まとめる気なんてさらさらありませんといった感じの、前衛的な疾走曲。メタル耳にはこれが一番激しくて快感かも。
とはいえ、整合感があってテンポもゆっくりなほかの曲も、同じくらい前衛的に響くのが、このアルバムの面白いところです。


PUBLIC IMAGE LIMITED - The Flowers of Romance ★★ (2016-10-29 23:54:44)

長らく手に取っていなかったのですが、最近ヘヴィ・ローテーションなアルバムです。何度聴いても新鮮。
無機的なドラムのリズムとエキセントリックというか神経症的なヴォーカルに、どうにもわけのわからない歌詞。アラビア的なものまで取り入れているところも(イスラム教徒の人には怒られそうな感じですが)エキゾチック。
日本盤解説でTALKING HEADSやTHE POP GROUPと比較されていますが、レゲエやアフリカ音楽や東洋音楽の影響を白人が取り入れたら別物の何か前衛的なものになっちゃいました的なところは共通しているように思えます。
ベースが脱退したのが逆に功を奏したのか、普通の感覚とは違う異形のロックになっています。ポスト・パンク/ニューウェイヴに分類されるのでしょうが、ジャンルに囚われない独自性を持った、過激でプログレッシヴな音楽です。
リズムが主体なのに踊れないし、無表情なようで多彩、シンプルなようで情報量は多く、冷たいようで熱い。どこを切っても退屈しません。


ORPHANED LAND - All Is One - All Is One ★★ (2016-09-25 21:30:43)

演奏技術や編曲的にはとても凝っているのでしょうが、1リスナーとして聴くと「すごく分かりやすい」曲。
アラビア音階の魅力的なメロディに重厚なコーラス、グイグイ引き込む曲展開、ポジティヴなメッセージ。
メタルもロックも嫌いな人だって、この曲は楽しめるし、共感できると思います。


ORPHANED LAND - All Is One ★★ (2016-09-25 21:10:00)

'13年発表の5thフル・アルバムです。
同じ神を信仰し同じ聖地を持ちながら(あるいは持つゆえに)殺しあうイスラム教/ユダヤ教/キリスト教の融和を説くこのバンドのメッセージには感銘を受けますし、ノーベル平和賞云々という話が出るのも頷けます。
今作では40人にも及ぶミュージシャンを起用しているらしく、コーラス隊とストリングスが壮大に盛り上げる前代未聞のエスニック・シンフォ・メタルを創り出しています。
正直に言えば整合感の増した本作よりも前作までの方がメタル音楽として魅力的に感じるのですが、より普遍性を身につけつつ、危険を冒して挑戦を続ける姿勢には頭が下がります。
たぶんこれ、メタラー以外にも普通に魅力的な音楽になっているように感じます。普段ロックを聴かない人でも楽しめそう。
歌詞に関しても救世主的な戦士の物語を扱ったコンセプト・アルバムである前作より生々しく現実的で、より多くの聴衆から共感を得られそう。
一聴してのインパクトは他のアルバムに譲りますが、繰り返し聴き込んでの発見が多く、ズルズルと深みに引き込まれるスルメ作品ではないでしょうか。
私は、何十年か後にも聴き続けていたいと思っています。(叶うならば、憎悪の連環が収まった世の中で)


KINGSTON WALL - II - We Cannot Move (2016-09-11 21:39:37)

アラビア~んな雰囲気あふれる妖しさ満点のリフが始まった途端に、心を鷲づかみにされます。
インパクトだけではなく、リズム隊やコーラスも細かいところに工夫があって、飽きずに聴ける佳曲です。


KINGSTON WALL - II ★★ (2016-09-11 21:21:38)

アラビア風味をはじめ、色々とエキゾチックなメロディが聴ける異色作ですが、アレンジが洗練されおり、スッキリ整ったサウンドで、非常に聴きやすいです。
多彩な音楽性ながら、曲間がけっこうつながっていたりして、アルバムとしての流れや統一感は重視されている感じ。歌詞はさほどアラビアっぽくありません。
ORPHANED LANDやMYRATHが好きな人におすすめできます。でも私が聴いた時に真っ先に思い浮かんだのは、『THE OUTER LIMITS』の頃のVOIVODでした。
なんとなくリズム展開や音づくり、コーラスの浮遊感等に共通点を感じます。まー、泣きのギターがたくさん入るところなどは全然別物ですが。
メタル度は低く、'60~'70年代のハード・ロックやプログレに近い感じで、インスト・パートはフュージョンっぽくもあります。
こういうのがフィンランドから出てきたというのが面白い。
とにかくやたら耳に心地よく、聴いていてリラックスできるので、重宝しているアルバムです。


KAMELOT - The Fourth Legacy - Can You Remember ★★ (2016-09-11 21:01:46)

何の気なしに聞き流していたら、日本語が入っていて驚かされました。
こういうファン・サービスって、嬉しくなります。生でこんな風に歌ってもらったら、泣いてしまいそう。
普通にメロディも良くて、曲だけでも好きになりますが。


KAMELOT - The Fourth Legacy ★★ (2016-09-11 20:55:24)

以前はメタルとしてしか意識していなかったのですが、最近聴き直したら、レインボウやディオで聴けたエスニックなメロディを活かした様式美HR的な要素も強いんだなーと、改めて感じて、↑のかつおさんの分析に共感しました。
カーンの歌の粘着度合いや没入度も、少しディオっぽいかも。もちろん、カーンやKamelotの独自性は十二分に発揮され、オリジナリティあふれるアルバムとして完成されていますが。
全体的に静と動のコントラストが見事で、全編を哀愁が覆っているところが、好みにマッチし過ぎです。フルートが尺八っぽく聞こえる「Desert Reign」から「Nights of Arabia」へのドラマティックな流れなんて、たまりません。


KAMELOT - Karma ★★★ (2016-09-11 20:34:05)

リオ五輪の日本シンクロ演技(乾&三井ペア)での「Karma」「The Spell」(と「Ghost Opera」)使用をきっかけに、改めて聴き直したのですが、やはりこの雰囲気たっぷりの哀メロ満載メタルには陶然としてしまいます。
歌も演奏もただただ美しく、ねっとり濃厚に艶っぽく奏でられる、メロディック・メタルの最高峰。いつ聴いてもうっとりします。
全アルバムを聴いたわけではありませんが、メロディとサウンドのバランスという点で、今のところこのアルバムが一番好きです。


B'Z - LOOSE - ザ・ルーズ (2016-09-11 20:18:37)

今年の夏は例年よりは比較的多く休みを取ることができたのですが、その反動で、休み明けに学生時代の夏休みやモラトリアム期間が恋しく思い出されました。
そんなわけでこの曲の見逃してくれよ的な歌詞にぐっと来たのが先月後半で、久々に繰り返し聴いていました。
こんなテーマであっけらかんと曲を作ってしまえるセンスが好きです。


SEX MACHINEGUNS - Barbe-Q★マイケル - とうちゃん (2016-09-11 20:09:06)

最近なんか、身につまされた曲です。
最初はもちろんあの曲にそっくりということでふざけた印象が強かったのですが、歌詞にちょっとずつ共感が深まり、応援ソングとして聴いています(冷静に考えると寂しい)。
アルバムの流れでは次曲と一緒に聴くと、さらに切なくなります。


LED ZEPPELIN - Led Zeppelin Ⅱ - Moby Dick ★★ (2016-07-24 00:20:35)

繰り返し聴くにつれ、荒れ狂う巨大な何かの存在を感じさせるド迫力のドラミングに圧倒されました。
ライヴ・ヴァージョンも強烈で、恐怖すら感じます。「燃焼」とか「灼熱」という言葉の浮かぶ、熱すぎる演奏です。
現在のドラマーの方が技術的には凄いのでしょうが、こういうのを聴くと、情念の音楽に与える影響を考えさせられます。


MASTODON - Leviathan ★★ (2016-07-24 00:07:35)

乾いたヘヴィな音像から、まず最初にイメージしたのは、海、鯨よりも土煙を挙げて爆走する重騎兵隊でした。
ただし、このうねり、のたうつ音楽の巨大さは、聴き込むうちに白鯨の圧倒的で理不尽な暴威を思わせ、徐々に違和感を感じなくなりました。
いずれにせよ、このバンドの音が想起させるのは(他のアルバム含め)超自然とも言うべき巨大な抗いがたいモノの存在です。
後の間口の広い音楽性も好きなのですが、LOUD PARK生で聴いた時の衝撃を最もストレートに感じさせてくれるのは、このアルバムです。


THE MARS VOLTA - Frances the Mute ★★ (2016-07-23 23:45:00)

刺激の強さはたぶん、このアルバムが1番という感じがします。ほかのアルバムは抒情性や面白みも感じられるんだけれど、これは最後まで刺々しい。
1枚通して聴けば疲労困憊するし、歌詞もサウンドも怖い。ほどほどを求める人には向かず、過剰を希求するロック・リスナーには名盤。
私はこれを年に何度も聴きたいとは思えない軟弱なリスナーですが、これほどの熱量を放射する音楽を無視することもできません。
似たような印象を受ける音楽は、凛として時雨やBLANKEY JET CITYかな。声質の印象や歌詞の刺々しさで同じように感じるのですが、あれらも普段は聴きたくないです。でもたまには必要。
実験性や複雑さ、ジャンルの融合具合をプログレとして楽しむこともできると思いますが、「エモーショナル」という要素こそが彼らを聴く上で常に中心に感じられます。情念の濃さに辟易する、苛烈極まりない一枚です。


MASSIVE ATTACK - Mezzanine ★★ (2016-07-23 23:35:51)

複数のROCK雑誌で評価が高く、またクワガタジャケから、激しいデジ・ロックなんだろーなーと類推して買った過去が懐かしい。
当然、BPM遅めでまったりした音楽性に付いて行けず、当時は速攻でラックの肥やしと化しました。
しかし、アンビエントやダブ、ヒップホップに慣れ親しんでから聴くと、この極上低音サウンドの快楽には抗えません。
スルメ盤として、未だにふつーに現役盤です。トリップホップなんて死語なのかもしれませんが、時代を超えて気持ち良いです。


MARVIN GAYE - What's Going On ★★★ (2016-07-23 23:10:38)

R&Bやソウルといった系統の楽曲を聴く際には、ファンキーなノりや泣き泣きのバラード、激しいシャウトなどを期待してしまうため、時代を切り拓いたコンセプト・アルバムとしての本作を初めて聴いた時には、あまりの柔和さに拍子抜けしたというのが正直なところです。
しかし、当時の常識を突き破るアルバム作りの姿勢や、真摯なメッセージを表現するにあたってなぜこのようなソフトな音楽性を選択したのかを考えると、熱さ・峻烈さに眩暈を覚えるほどです。そして実際、時代を超えて多くの人々に衝撃を与え続けています。
なんて美しい、そしてなんて慈愛にあふれた音楽でしょうか。対立と冷笑と憎悪をあおる今の時代にこそ新鮮で過激なメッセージ音楽であり、音楽がいかに多くのものを伝え得るかを教えてくれる作品です。


MATCHING MOLE - Matching Mole ★★ (2016-07-23 22:43:44)

ジャケがかわいらしく、序盤がポップな歌ものなので安心して聴いていると、徐々にうねうねぐにょぐにょしてきて、やはり前衛/プログレなのですね、と納得します。
全体的にひねくれたユーモアを感じさせ、独特のゆらぎ感が癖になるアルバムです。あまり突き刺さる激しさはなく、酔っぱらって聴くと気持ちいーです。


松任谷由実 - DA・DI・DA ★★★ (2016-07-23 22:31:05)

'85年発表の17thアルバムです。1stが'73年で、この時点で17枚目っていう多作ぶりがもう規格外。
ユーミンのアルバムの中でも存在感は地味な方だと思います。有名曲は「シンデレラ・エクスプレス」「青春のリグレット」くらいでしょうか。あとはシングルの「メトロポリスの片隅で」かな。
しかし何度聴いても寸分の隙も無い、圧倒的完成度を誇る超名盤です。1曲目で耳が釘付けになり、3曲目までで曲調の幅広さに翻弄され、中ダレどころか最後の最後まで想定を超えたハイ・クオリティなメロディの連発に度肝を抜かれます。
どんなにつまらないアルバムでも、このアルバムの収録曲のうちのどれか1曲でも収録されていたなら、手放すなんて考えられない。そんなレベルです。(実際に特定の1曲のためだけに所有し続けているアルバムは何枚もあります)
自分がもしミュージシャン志望であれば、こんなものを聴いてしまったら彼我の絶望的な差に打ちひしがれ、夢を諦めてしまうでしょう。天才っているんだなー。
まあ、松任谷正隆の編曲による部分も大きいのかもしれませんが(どこを切っても感嘆を禁じ得ないアレンジ)、尋常でないメロディ展開(典型的ユーミン節とも言えるかもしれませんが)や、楽器としての独特な声質、日本語詞のセンス等、全てをひっくるめて、時代を超えた普遍性(非常に'80年代的ではあるけれども)と個性とを持ち併せた極上J-POP。
荒井由実時代の方が、才気の迸りや鋭さに気圧される感じがしますが、軽みと余裕とを兼ね備えたこの時代も、斬新で刺激的。
私が心底恐ろしいと感じるのは、代表作でもないこういうアルバムに比肩する品質のアルバムを思い浮かべようとしても、彼女以外のアーティストの作品から、ほんの数枚しか浮かんでこないという事実です。(もちろん私個人の価値観/好みであり、私自身はポップス全般に造詣が深いわけでもないのですが)
彼女の作品なんてせいぜい10枚前後しか聴いていませんが、それでも「代表作」「名盤」が数多い中でこんな地味なアルバムがこれだけのインパクトを与えるとしたら、40枚にも届かんとする彼女のアルバムを聴き逃すことはどれほどの損失なのでしょうか。
きっとそのうち、ユーミンの全作品を聴かずには済ませられないのだろうなと確信せずにいられない。そんな衝撃を与える、天才の真価を伝える傑作です。


MAGMA - Udu Wudu ★★ (2016-06-26 21:58:21)

1曲目から明るくも怪しい歌入りジャズ・ロックで軽快にスタートしながら、徐々に不穏さを増し、中盤から後半はベースの重くうねる音に翻弄されつつ硬直状態で聴き入るしかない怪作。
ジョン・コルトレーンの影響をどう咀嚼すればこういうものができあがるのか謎ですが、スリリングなロックとして、今でも現役でかっこいー。
特に反復の魔力を用いつつもテンションの高さで一切冗長さを感じさせない大曲(6)「De Futura」は、時代を超えて衝撃的。


MANDRAKE - UNRELEASED MATERIALS VOL.1 ★★ (2016-06-26 21:47:47)

震撼しました。ヤバすぎ。
もともと平沢進、P-MODELに衝撃を受け、遡って聴いたわけですが、あまりの凄まじさに開いた口がふさがりません。
'73~'79年に平沢進が在籍したプログレッシヴ・ロック・バンド(うち3名が解散後P-MODEL結成)で、1枚もアルバムを残さなかったマンドレイクの、未発表音源集その1です。
音質的には様々な時期のもの(含ライヴ)が入り混じっていて玉石混淆ですが、楽曲の質となれば超絶。ナニコレ、完全に'70年代の世界トップ・レヴェルじゃん。
いま聴いても古びていないどころか、かっこよすぎ。イエスよりも前に「錯乱の扉」という曲を発表し、世界に類のないストレンジ劇的ロックを構築しています。
(1)「飾り窓の出来事」なんて現在の耳にも新鮮/激熱。本物のプログレです。


MAXWELL - Embrya ★★ (2016-06-26 21:34:26)

こういった系統のジャンル分けには詳しくないのですが、ネオ・ソウルとかニュー・クラシック・ソウルとかに分類されるようですね。
ゆったりしたBPMに生々しくも重低音の効いたサウンド、やたら色っぽい歌声と心地よいゆらぎ感に酔い痴れるこのアルバムのもたらす安息効果には、お世話になっています。
同系統ではエリカ・バドゥなんかも大好物。ディアンジェロも後追いでけっこうはまりそう。バックの音だけでも快感。


MADONNA - Music ★★ (2016-06-26 21:11:05)

夢のように美しかった前作とはうって変わって、刺々しくヘヴィなアルバム。エレクロ・ビートを用いている点では共通しているのですが、『Ray of Light』が「暗い=美しい」だったのに対し、今作は「暗い=怖い」という感じ。
まずジャケに騙されました。爽やかでカントリー風なアルバムかなと思ったら、ドぎついビートに、ダウナーな楽曲。ギターが入ってカントリー風なメロディの曲ですらも、生々しい刺々しさの方を強く感じます。(次作は、ダークさも厳つさもジャケのイメージ通り)
このギャップと、前進や変化を恐れない貪欲な姿勢に圧倒され、「マドンナ」という存在への軽視や偏見が拭い去られ、ファンになりました。
お気に入りの楽曲を選ぼうにも、どこを切っても刺激的で、切り捨てるところがありません。1曲毎に様々な実験が繰り広げられていて、当時としての最先端であることは勿論、現在の耳で聴いても強烈。
前後の作も方向性が振り切っていて強烈ですが、今作の精神の在り方、何もかもが過激なスタンスに痺れました。名盤。


MANOWAR - Gods of War - Sleipnir ★★ (2016-06-26 20:48:13)

このアルバムでは一番のお気に入りです。さすがのMANOWAR節。
耳に染みついて離れないレインボウブリッジに、拳を振り上げずにいられません。


MANOWAR - Gods of War ★★ (2016-06-26 20:43:56)

まず女性店員には差し出しにくい(家族に見せられない)踏み絵アートワークに、どんな羞恥プレイですかと問い質したくなります。さすがのMANOWARクオリティです。
大仰なオープニングのインストが終わったら今度はナレーションで引き延ばされ、なかなか激しくメタルを轟かせてくれない焦らしっぷりもさすが。
でもこれって、時代劇大作映画を楽しむのと同じ感覚で聴くと楽しいですね。そこは疾走曲でしょってタイミングで重々しく語っちゃう間の悪さも含め、愛すべきドラマティック・ワールドが展開されています。
北欧神話を大真面目に取り上げ、仰々しくこってりと謳い上げるテーマ設定といい、彼らの辞書に妥協とかほどほどという文字はありません。
正直ナレーションやSEが多いこともあり、全部通して繰り返し聴くには根性が要り、ついついお気に入り曲を飛ばし聴きしてしまうのですが、たまに余裕のある時に通し聴きしてもけっこう乙な作品。


MAGNUM - Chase the Dragon - Sacred Hour ★★★ (2016-06-11 21:27:15)

胸が震えるような感動を味わえる1曲です。
少し時代を感じさせる変てこな音使いも残っているのですが、そんなことがどうでもよくなるくらい圧倒的な名曲。


MAGNUM - Kingdom of Madness ★★ (2016-06-11 21:21:29)

初めて聴いたアルバムが『BREATH OF LIFE』で、大人しいバンドだと思っていたので、この作品のはっちゃけぶりには耳を疑いました。
ちょっと待て、何が起こっているんだ? と、思わずジャケを見直したくらい。実にエネルギッシュで瑞々しい。
珍妙な音使いやクレイジーなコーラスが随所で炸裂し、実験的でとっ散らかった印象もあるけれど、ドラマティックで胸熱なメロディも盛り込んで、色々な意味で興奮できます。
4曲目の表題曲が皆さんおっしゃるようにインパクト大ですが、後半6~9曲目の充実っぷりも特筆ものです。


MARILYN MANSON - Mechanical Animals ★★ (2016-06-11 20:50:16)

一時は激烈さの限界を求めるメタル原理主義者だったこともあり、最初は全然ピンとこなかったのですが、改めて聴き返すと全体的に曲が良く、固定的イメージや先入観を忘れて聴けば刺激的な快作です。
ジャケを含め、荒々しいメタルとは別路線なのですが、そこにこそ個性と過激さが表れていると思います。
メロディもリズムも親しみやすく、小難しいこと抜きにノリノリで聴けます。(歌詞は暗いかもしれませんが)


MARILYN MANSON - Holy Wood (In the Shadow of the Valley of Death) ★★ (2016-06-11 20:27:44)

今日は朝からこのアルバムを聴きつつ行動していたのですが、何度も色々としくじってしまい、落ち込みかけました。
しかしこの作品全編に漂う退廃的雰囲気が、失敗しても、ダメ人間でも良いじゃないかと語りかけてきているようで、不思議にポジティヴに考えて乗り切ることができました。
攻撃性と爛れ具合が絶妙のバランスで、曲数が多い割にストレスも少なく、良い意味でダラダラ聴きに最適。
ダメ人間音楽の傑作デス。


THE ROLLING STONES - Undercover ★★ (2016-06-05 02:17:18)

ジャケ、歌詞、サウンドのいずれも煽情的なアルバム。
金太郎飴のように評されることもあるバンドですが、前進/実験も厭わなかったことは、この1枚でも分かります。
リズミカルで、押せ押せで、いま聴いても相当尖っています。


BEATLES - Revolver - Eleanor Rigby ★★★ (2016-06-05 01:40:56)

メロディのインパクトにやられ、初聴時からぞっこんだった曲です。
弦楽八重奏であるとか、そういうアレンジの奇抜さは全く分からず、歌詞のインパクトも知らず、それでもこの物悲しく美しいメロディだけでノックアウトされました。


THE BEATLES - Revolver ★★ (2016-06-05 01:32:35)

初期のキャッチーでコンパクトな曲が好きで、小難しくなってゆく前作あたりからの作風がいまひとつ苦手だったのですが、なんだかこのアルバムを最近聴き直して、改めてこのバンドの多様性に新たな魅力を覚えつつあります。
以前は「Eleanor Rigby」が最高に好きで、あとはほとんど聴かないもしくは聞き流し状態だったのですが、今ではアルバム通して、どこを切っても面白く感じます。
20代の時に初ボーナスでビートルズのアルバム・ボックスを大人買いしたのに、40歳近くなってやっと良さがわかってきた、自分の感性の鈍感さに呆れます。
以前は整合感のあるきちっとした音楽が好きで、'50~'60年代のロックの、ごちゃごちゃした演奏が苦手だったんですよね。今はかなりこういう昔のロックに免疫ができ、楽しめるようになりました。


RETURN TO FOREVER - Light as a Feather ★★ (2016-06-05 00:28:47)

RTFとしての2枚目で、第1期の最終作です。
前作よりも都会的でスピーディーな印象。ラテン風味は健在ですが、洗練された分、1stにあった神秘性は薄れたかも。でも前作は眠くなるという疾走好きなリスナーには、こちらの方がとっつきやすそう。(メタル耳的には速さと激しさを兼ね備えた第2期の方が良いですが。)
チックの曲としては最も有名であろう「Spain」が入っている重要作。ラテン/スパニッシュ風味が前面に出ていて、軽やかでテクニカルで、哀愁も帯びていて、ドラマティック。


Chick Corea - Return to Forever ★★★ (2016-06-05 00:17:04)

名義としてはチック・コリアのソロ作ですが、バンドとしてのReturn to Foreverにとっての1stアルバムとしてもカウントされます。
ジャズらしくない、けれども音楽のイメージを増幅させる効果的なカモメ・ジャケから、通称「カモメ(のチック)」と言われるらしいです。
極太うどん野郎さんのおっしゃる通り、ジャンルを問わず幅広いリスナーに受け入れられる魅力を持った作品。
4曲(メドレーを分ければ5曲)で1枚ということで、1曲が長すぎると尻込みされそうですが、永遠への回帰を謳うこのアルバムは、時間を忘れさせてくれます。
神秘的でラテン風味(ブラジルも含む?)なメロディ、エレピとフルートの音色の温かさ、妖しく超俗的な歌声・・・実はけっこう過激で怖いようなところもあるのに、トータルで感じるのは南国の楽園の穏やかさ。なんて不思議。
いつ聴いても、全く古さを感じさせません。時を超えた名盤です。


Chick Corea - Now He Sings, Now He Sobs ★★★ (2016-05-07 18:24:44)

例えばバド・パウエルやビル・エヴァンス、ソニー・クラークあたりを聴いて、アコースティックの「ピアノ・トリオ」なるもののイメージを固めていたとして、似たようなものを想像してこのアルバムを聴けば、ぶっ飛ぶこと間違いなしです。
この目くるめくスピード感、奔放で枠にはまりきらないエネルギーは、既存のピアノ・トリオの概念をすっかり塗り替えてしまいます。
過激で変幻自在なリズムと瑞々しいピアノのメロディの、奇跡的なバランスによる両立。
ミロスラフ・ヴィトウス(ベース)とロイ・ヘインズ(ドラムス)の圧倒的なパフォーマンスと拮抗する迫力を保ちつつも、チック・コリアが奏でるメロディが清涼感を生み出し、何とも言えず気持ちいいのです。
『A.R.C.』(フリー・ジャズ要素強)や『Akoustic Band』(整合感強)もピアノ・トリオですが、問答無用で興奮させてくれるのは、断然こちら。


MILES DAVIS - Filles de Kilimanjaro ★★ (2016-05-07 17:55:46)

私にとっては、トニー・ウィリアムスのドラムスを聴くためのアルバムです。『Nefertiti』でも目立ちまくってましたが、こちらの方が摩訶不思議。
アコースティック期からエレクトリック期への移行時期で、メンバーも楽器も興味深い組み合わせなのですが、とにかくドラムスが面白すぎます。
曲としては落ち着いた部類のものが多くを占めるのに、「なぜこの曲にこのドラミング?」という奇怪千万なリズムに耳がくぎ付けになります。地味なのに派手。
過渡期の実験作ということもあるのでしょうが、ギャップが激しすぎて、1秒先の展開が読めません。天才と変態の紙一重という印象。
スクエアプッシャーでも聴いてるみたい。ドラムスだけ取り出してリミックスしたら、面白いブレイクビーツができそうだなー、なんて思います。


MILES DAVIS - Kind of Blue ★★★ (2016-05-07 17:27:37)

ハード・バップ期やエレクトリック期を先に聴いていたので、初聴時はあまりの大人しさに耳を疑いました。
ロング・セラーとなって、トータル1000万枚以上売れたらしく、ジャズの定番のようになっていますが、ジャズとしてはかなり異端な作品ではないでしょうか。当時における斬新さのみならず、以後にもあまり類がないという点でも。
この後のマイルス作品はもちろん、ジョン・コルトレーンやビル・エヴァンス、ハービー・ハンコックあたりの諸作品を聴くと、「ああ、それまでのジャズとは違うんだな」とはなりますが、皆それぞれ違う表現をしているため、このアルバムと同じような作品が増えたわけではない気がします。(強いて言えば、エヴァンスだけがこの空気感を持ち続けたかも。)
ハード・バップからモード・ジャズへの移行という点での革新性がよく言及されますが、モードに則った曲もそうでない曲も、うまくカラーを合わせて統一感を持たせているところが魅力です。
最初は、買って損したななんて思いましたが、何度か聴くうちにこの抑制された緊張感と美しさの虜となり、今では大好き。鎮静効果が高く、精神安定剤としてよく聴きます。
特に1曲目、「So What」は、ベースとピアノによるメイン・フレーズの提示から、「青っぽさ(蒼・藍・群青・青緑・薄闇)」が広がってゆく雰囲気づくりに降参です。
その後のライヴ盤ではスピード・アップして完全に別ものの曲になってしまいますが、やっぱりこのオリジナル・ヴァージョンが一番です。


MILES DAVIS - 'Round About Midnight ★★★ (2016-05-07 16:57:28)

ウィスキーをあおりながら、夜にかっこつけてジャズでも聴いてみるかーというような時に手を伸ばしたくなるイメージの作品。
このジャケ、出だしのトランペットの音色、あー、大人な気分。
でも2曲目はいきなり勢いよくかっ飛ばすので、しんみり落ち着いた気分は吹き飛んでしまうのでした・・・。
タイトルやジャケから辛気臭そうと思うかもしれませんが、実はけっこうエネルギッシュで溌剌としています。
曲調も多彩で、モダン・ジャズのおいしいところの詰まった、歴史的名盤。
同じクインテットでのアルバムでは、『Cookin'』『Relaxin'』に並ぶくらい好きです。


MILES DAVIS - Bags' Groove ★★ (2016-05-07 16:28:11)

表題曲の出だしを聴いただけで、「ああ、これこれ」と思います。テーマ・メロディが印象的で、ミルト・ジャクソンのヴィブラフォンがとても心地よく、和みます。モダン・ジャズ・カルテットでのヴァージョンよりも好き。
「Airegin」や「Oleo」も、2年後のマラソン・セッション時の録音よりもゆとりが感じられます。
休日の午後に部屋を片付けてゆっくり読書なんぞする時に、かけたくなるアルバム。
ケンカ・セッションの伝説で有名で、緊張感に満ちた強烈なアルバムという評判ですが、私には大人の余裕の感じられる、落ち着いたリズムのメロディアスな作品という位置づけです。


MILES DAVIS - You're Under Arrest ★★ (2016-04-10 23:35:15)

黒ずくめの男が物騒なものを持ってにらみつけてくるジャケからハードな内容を予想して買うとずっこける、けっこうポップなアルバムです。
スティングが語りで参加したり、マイケル・ジャクソンやシンディ・ローパーのカヴァーが入っていたりと、一般音楽ファンには入り込みやすい作品じゃないでしょうか。
こういうのも楽しいです。


MILES DAVIS - Star People ★★ (2016-04-10 23:16:35)

ロック/メタル耳に最も即効性がありそうなスタジオ盤は、これな気がします。
'69年から'75年あたりまでのエレクトリック期における混沌暗黒ファンクの方がそりゃ強烈ですが、曲が長すぎたり難解すぎたりして、とっつきにくいので。
'81年に6年ぶりに復活してからの3作目、'83年発表の本作は、全体にすっきりしたサウンドで、エレキ・ベースやギターが目立ち、ジャズ未経験者でも問題なく聴けそうです。
いや、1曲目「Come Get It」なんて、完全にプログレもしくはジャズ・ロックです。マーカス・ミラーのチョッパー・ベースが煽りまくりの疾走曲。
ゆったりした曲でもブルージーにむせび泣いているところなんかは、ハード・ロックのブルージーなバラードと同様の感覚で聴けます。
'70年代に比べれば整合感が増し、言ってみれば普通のフュージョンになったようなもので、この時期を退化・堕落ととる人もいるでしょうが、私は聴きやすくて気に入っています。


MILES DAVIS - Agharta ★★★ (2016-04-09 02:07:16)

'74年までの、『Get Up With It』や『Dark Magus』を聴くと、まだ'70年頃からの「得体のしれない異形音楽」感がありありと残っていますが、この'75年ライヴの吹っ切れ具合はどうでしょうか。
御大がボロボロに燃え尽きて引退する直前のこの演奏には、前年までの作品と比べると、段違いに整合感が感じられ、圧倒的にわかりやすくなっています。
まず一聴して、ギター・リフが、ちゃんとロケンローしてます。ギター・ソロまであります。トランペットやサックスのソロも、断片的なノイズではなく、まさしくジャズのそれに戻っています。メロディアスで熱い!
ファンク要素もばっちりで、ちゃんとノることができ、踊れます。
これが成長か後退かは評価の分かれるところでしょうが、一つの到達点として貴重な記録だと思います。
横尾忠則のアートワークも素晴らしい。ジャケ買いでも後悔しません。
今作が昼の部で、『Pangaea』が夜の部。スピード感は、夜の方が上かな。爽快さは昼の方が感じられます。
前年までが眉間にしわを寄せて鑑賞するような演奏だとすれば、このアガ・パン昼夜の演奏は肉体的悦楽です。素直に身を委ね、気持ちよく聴き入ってしまいます。


MILES DAVIS - Get Up With It - Rated X ★★★ (2016-04-09 01:42:13)

'72年のスタジオ録音曲。凶悪にして苛烈な人力ドランベース・ジャズです。
オルガン、フェンダー・ローズ、エレクトリック・ピアノ、ギター、ベース、シタール、ドラムス、パーカッション、タブラによるグチャドロ・ノイズ。
金縛り状態で、音楽の可能性というものについて考えさせられます。


MILES DAVIS - Get Up With It ★★★ (2016-04-09 01:34:16)

一時引退する前に、'70年から'74年までの音源で急遽出されたアルバムらしいです。ジャケ地味、30分以上の曲が2曲、中身寄せ集め。買う気になる要素が薄いですが、実は内容の衝撃度は最高級。
個性の強い曲たちが期せずしてそろい踏みの、超過激な隠れ名盤です。
デューク・エリントンを追悼する1曲目がゆったりとした曲で30分超というところで挫折しそうですが、2曲目以降、徐々に盛り上がり、リズムの奔流に身を任せていると、4曲目、恐怖のオルガン・ノイズとドラムンベースが炸裂する「Rated X」で唖然茫然。
あまりに衝撃的な演奏に、「できましたできました、人間にもこんなことできました」という教育テレビのネタを口にしたくなります。これは環境が許す限りの大音量で聴くことをおすすめします。
そこから先はもう、サイケもブルースもファンクも呑み込んだ圧倒的な雑食プログレ・ジャズに翻弄させられます。21世紀に聴いてこそ楽しい、情報過多ジャンルレス・ミュージックです。
40年以上前にこれを聴いていたジャズ・ファンなんて、もう70歳前後? 下手したら90歳くらいもいるかな。
年寄りを見る目が変わっちゃいますね。こんな危険な音楽を、当時から聴いていたなんて……。そして今も何食わぬ顔で、若者が過激ぶるのを眺めているんだろう。


MILES DAVIS - On the Corner ★★★ (2016-04-09 01:16:07)

実にヒップな感じのジャケに、これはノリノリで踊れそうだぞ、そういやクラブ・シーンですげー評価高いアルバムだよな、なんて思って買うと大火傷しそうになるアルバム。
またはジャケがポップで軽薄そうで敬遠している硬派な人に、後々聴かず嫌いを後悔させる罪深い作品。
『Bitches Brew』よりもずっと性急なリズムで、やたら熱い演奏が続きますが、相変わらずジャンル分けの難しい異形音楽。ぐっとファンク色は強まっていますが、素直にノれない奇妙なリズムのギクシャクさが何ともエグいです。これ、踊れますか?
正直、楽しいより怖いです。
でもこんなの、これ以外じゃ聴けません。なんてオリジナリティ。そして圧倒的に面白い。大好きです、このアルバム。


MILES DAVIS - Bitches Brew ★★ (2016-04-09 01:03:48)

『Round About Midnight』や『Kind of Blue』と並んで、マイルスの名盤として有名・・・ですが、前記2枚とは全くの別物です。
いわゆる「ジャズ」なるものを期待して聴くと、だいぶ趣が違います。エレクトリックでノイジーですが、銘菓ひよこさんのおっしゃるように、フュージョンやロックとも言い難い。ファンクの影響はあっても踊れない。
実際はファンクやロックのファン層にも受けて、よく売れたアルバムのようですが、わけわからんし、けっこうダルいというのが正直なところ。
とはいえ、まずジャケが素晴らしい。LPサイズで買って、飾りたい衝動に駆られます。タイトルとあいまって、どことなく淫靡で呪術的。この圧巻の音絵巻にぴったりで、そそられます。
そしてメンバー超豪華。ウェザー・リポートと、リターン・トゥ・フォーエヴァーと、マハヴィシュヌ・オーケストラはここから派生しています(フュージョンの大元締めみたい?)。
リズム隊大増強による混沌ポリリズムと刺激的なエレキ・サウンドにとんがったホーンの突き刺さり具合は独特で、わけわかんないなりに、大音量で聴くと気持ちいい。特にタイトル曲はゾクゾクします。
聴いていて普通にかっこいいのは、皆さん挙げられている「Spanish Key」です。けっこう盛り上がります。
正直、この前後のライヴ作品(『1969 Miles Festiva De Juan Pins』や『At Fillmore』や『Live Evil』)の方が断然ノリがよくて好きですが、電化マイルスの基準点的作品として、けっこう頻繁に手の伸びるアルバムです。


Nas - Illmatic ★★★ (2016-03-20 22:27:11)

歴史的名盤との呼び名も高い、'94年発表の1stアルバムです。超豪華プロデューサー陣が才能ある若者を盛り立てて作り上げた、世紀の一枚といった感じ。
シンプルで落ち着いた、実に渋い、陰気とさえ感じられる作品なのですが、中毒性も高く、ついついじっくり聴いてしまいます。
即効性ということでいえば『It Was Written』や『Hip Hop Is Dead』の方がすんなりと聴けましたが、繰り返し聴くなら、このアルバムが一番。
コンパクトにまとまっていて、密度が濃く、隙がない作品です。


RUN-D.M.C. - Back From Hell - What’s It All About ★★ (2016-03-20 22:19:19)

めちゃくちゃ聴き覚えあるけどなんだっけこれ……と、しばらく悩みました。THE STONE ROSESの「Fool's Gold」が元ネタ。
こういうのをすんなり使っちゃう姿勢が面白い。気だるい原曲が元気に生まれ変わっています。


RUN-D.M.C. - Raising Hell ★★★ (2016-03-20 22:08:54)

'86年発表の3rdアルバムです。
AEROSMITHとの「Walk This Way」共演でメタラー的にも認知度の高い作品。数々のメタル名盤にも関わってきたリック・ルービンによるプロデュース。
このアルバムで聴けるRUN-DMCのノリって気持ちよくてたまらないのですが、それがなぜかというと、「ロックンロール」してるからなのかなと思っています。ほとんどファンク・ロック的な、タテノリのグルーヴ感がノリノリ。
ヒップホップのドラム・ループのリズムって実際のところファンキーさは希薄なことが多く、慣れるまではロック耳に厳しいのですが、彼らのリズムはすんなり耳になじみました。
THE KNACKの「My Sharona」を引用した「It's Tricky」等、一聴目から楽しく踊れる曲が満載。
ギターやスクラッチの音も多めで、今どき時代遅れすぎるこんな音のヒップホップ作品には、新作でお目にかかることはまずありえません。しかし理屈抜きで楽しめるので、重宝しているアルバムです。


DMITRII SHOSTAKOVICH - Shostakovich Symphony Works - 交響曲第5番 ニ短調 Op.47 ★★★ (2016-03-20 21:38:16)

とにかく聴いていて楽しい、カタルシスを味わえる曲です。勇壮でもあり、メロディも印象的で、ショスタコーヴィチの15の交響曲中、最もとっつきやすい作品です。
泣いたり笑ったり、落ち込んだり興奮したり。起伏に富んで感情を刺激してくれます。
遅めのテンポをとる指揮者でも速めのテンポをとる指揮者でも、メロディや構成が十分に魅力的なので、どちらにしても楽しめます。
ロジェストヴェンスキー/ソ連国立文化省交響楽団で聴いたらプログレのコンセプト・アルバムみたいに情景が浮かび、冒険の旅に出た気分が味わえました。
感情移入の激しい演奏なら、ロマンティックにすら感じられるバーンスタイン/ニューヨーク・フィルのライヴ盤がお気に入り。
定番のムラヴィンスキー/レニングラード・フィルはテンポにしても激しさにしても、メタラー好みで文句なし。
朝比奈/大阪フィルの不思議な雰囲気も味わい深い……と、きりがないくらい、誰の指揮/演奏で聴いても面白い曲。


DMITRII SHOSTAKOVICH - Shostakovich Symphony Works - 交響曲第4番 ハ短調 Op.43 ★★★ (2016-03-20 21:21:29)

Dr.Strangeloveさんのおっしゃる通り、スラッシュ・メタルを連想させる超高速っぷりにのけぞる奇天烈な交響曲です(前の3作も変てこな交響曲ですが)。
そのまま発表すれば命の危険もあると考えつつ、作曲者が捨て去らずに初演まで20年以上温存した、大編成の超過激な自信作。ど派手なところもあるのですが、全体としてはとっつきにくさもあり、決して「キャッチーな疾走曲」ではありません。
慣れて魅力を感じられるようになるまではちょっと時間のかかるタイプの曲だと思いますが、良い演奏に当たった時の衝撃度も抜群です。
私のお気に入りはラトル/バーニンガム市響のもの。ものすごくクリアな録音で情報量が格段に多く、音の奔流に圧倒されます。得体のしれない恐ろしさという点には欠けるのですが、「え、こんな曲だった!?」と初聴で耳を疑いました。
コンドラシン、ロジェストヴェンスキー、ゲルギエフといったロシアの指揮者で聴いていたときはスレイヤー的暴虐スラッシュだと思っていたんですが、英国のラトルで聴いたらドラゴンフォース的新世代メロスピだったので、びっくり。
あっけらかんと、新たな可能性を示してくれました。難解な曲のようでいて、今後も新たな顔で楽しませてくれそうな作品。


THE PILLOWS - Please Mr. Lostman ★★★ (2016-03-20 21:01:43)

後にも先にも、店頭(中古CD屋でした)で流されていた曲に関して店員にアーティスト名を尋ねたのは、このアルバムを聴いたときだけです。
なんだか好みだなーと思いながら、1曲なら流してしまうところ、何曲か聴いた段階で、このアーティストをスルーしたら一生後悔しそうだと感じ、店員に訊きました。
当時の印象は、PALE SAINTSとサニーデイ・サービスを混ぜたようなバンドというわけのわからないもので(メロディアスで繊細でどこか過激な感じ?)、買って聴いてみて、「ああ、これは一生もののバンドだ」と思いました。THE CUREなんかにも通じるかな。
ポップセンスは抜群ながら、何作も聴くと歌詞のテーマが似通っているなとも思いますが、本当に才能のある、名曲の多いバンドです。このアルバムも2~6曲目は文句なし。「ストレンジカメレオン」は掛け値なしの名曲。
名盤です。


LIV MOON - Symphonic Moon ★★ (2016-03-20 20:34:36)

清水昭男の参加と美麗ジャケに惹かれて買ったアルバムですが、これは大いにはまりました。
多少のJ-POP臭さや、声の線の細さは感じたにしても、これだけの高品質であれば文句は言いません。むしろ男声コーラスの方が邪魔。
1曲目の「Amen!」から、エロさ満点で魅了されてしまいますが、そういう妖美的要素はほとんどのメタル作品で味わえないだけに、希少価値が高いです。多少、陰陽座にも通じるかも。
曲毎にけっこう歌詞(歌声)のキャラクターが違い、その辺が白と黒というコンセプトなのでしょうが、最初は違和感を禁じえませんでした。が、それこそこのアルバムの個性であると考えれば、完成度の高い、考え抜かれた作品だと評価できます。
今後も追って行きたいバンドです。


ANGRA - Aurora Consurgens ★★★ (2016-03-20 20:03:37)

私はこの作品でエドゥ期のANGRAを見直しました。これだけテクニカルで情熱的なメタルも、そうありません。なんてスリリング。
まぎれもなくこの人たちでしか作り得ない、個性派メタル作品です。展開が全く読めず、初聴時には翻弄されました。メタルで久々に予定調和を超えて、ドキドキワクワクさせられました。
メロスピ的疾走曲とはちょっと違うのかもしれませんが、音数はかなり多く、緊張感は相当なもので、全体的にスピーディーで過激な作品に聞こえます。
コンセプトも面白いし、やっぱりANGRAってすげーなーと思い、前2作も含めてANGRAへの評価を改めた1枚です。プログレッシヴなメタルの傑作。


3 INCHES OF BLOOD - Long Live Heavy Metal ★★★ (2016-02-28 21:56:54)

タイトルにあふれ出るメタル愛に、思わずニヤリとさせられますが、中身にもオールド・スクールなHR/HMへの愛情があふれかえっています。
3rdアルバムを先に聴いていましたが、かなりメロディが増量された印象で、良い意味で驚きました。
それでもウド系のダミ声ハイトーンと粗削りなサウンドは健在で、メイデン系メロディとのバランスは程よいなと思えます。(これでさわやかプロダクションな優等生バンドでは、ゲンナリ……)
言いたいことはほぼ火薬バカ一代さんが言い尽くされていらっしゃいます。本当に愛すべき正統派バンド。
ディオへのオマージュには、泣けてきました。末永く活躍してほしいと願っています。


BEETHOVEN - Orchestral Music - 交響曲第5番ハ短調op.67(『運命』) ★★★ (2016-02-28 21:17:39)

クラシックをこれから聴いてみようというメタラーやロック・ファンにとりあえず交響曲を薦めるとしたら、まずこのベートーヴェンの5番からだろうなと思います。
印象的な主題の繰り返しがリフ主体で展開されるメタル曲に通じ、疾走感や激しさもあり、総じてメロディもわかりやすい上にメタラーの好きな短調で、構成もかっちりしていて、何より長すぎない。
実にメタル耳に優しい作品です。その上、指揮者もオーケストラも演奏し慣れていて、よっぽどでなければ外れをつかむ危険がない。
私もこれまで何十種類か聴いても、拒否反応を覚えたのは1枚だけで、それも何回か聴けば受け入れられたので、誰の指揮で聴いてもそれなりに楽しめる曲だなーと思っています。冒頭だけ聴き比べても面白い作品です。
初めに聴くなら、やはり定番のカルロス・クライバー/ウィーン・フィルでしょうか。聴いていて、いささかも不満を覚えることがありません。激しさと美しさのバランスが絶妙。
聴いていてドキドキするのは、激しいけれど歌心にあふれたトスカニーニ/NBC響(特に第2楽章は大好き)と、アレンジが鮮烈(奇天烈?)で空を翔るようなジンマン/チューリッヒ・トーンハレ管(第4楽章はファンタスティック!)です。
ヘヴィでメタリックな演奏なら、カラヤン/ウィーン・フィル(’48年)が強烈。後のフィルハーモニア管やベルリン・フィルとの演奏もヘヴィですが、これには驚愕しました。ダイソーで100円+消費税で買えるところもお得。


BEETHOVEN - Solo Piano Music - ピアノソナタ第23番 ヘ短調「熱情」 Op.57 ★★ (2016-02-28 21:02:56)

ピアノソナタの中でも、「悲愴」と「月光」とのセット(+1の場合も)になったCDでよく売られている入門曲で、タイトル的にもまずメタラーが聴きたくなる1曲です。
今は輸入盤であれば、国内盤1枚の値段で全集32曲がそろってしまいますが、バラ売りで買ったCDに一番多く入っているのは、やはりこの曲かも。
情熱的もしくは暑苦しい録音の多い曲でもあり、ロック・ファンとしてはやはり初めに聴く1枚に入っていてほしい曲ではないでしょうか。
私は普段聴きなら、バックハウスかギレリスがしっくりきます。
メタル耳的には、耳が痛くなるほどヘヴィに轟音で押しまくるコルスティックや、パンキッシュにゴリゴリ爆走するロックしまくったグルダ、ドゥームのように重くグロテスクで最後だけあほみたいに疾駆するグールドなど、魅力的な盤が目白押しです。
音がキラキラきれいなのに考えすぎなのか、細か過ぎる上に振幅が激しすぎて心臓に悪いポリーニは、プログレ・ファンにおすすめ。


CYNIC - Kindly Bent to Free Us ★★ (2016-02-28 20:49:21)

1stから2ndへの変化に比べると、今回は前作の延長線上という感じで、衝撃度はさほどでもありませんでした。
が、この彼ら独自の音楽の中毒性は相変わらず。
神秘的なアートワーク、儚いメロディと複雑なリズム、浮世離れした歌に酔い痴れてしまいます。
少し気になったのは、何ヵ所かのギター・ソロがけっこう普通で、夢見心地から醒めてしまうところ。もうちょっと不思議なメロディにしてほしい。
曲展開も、少し普通に「プログレ・メタル」的なときがありますが、もっともっと脱メタルしてくれた方が魅力的になりそう。
期待が大きい分、注文もつけたくなりますが、唯一無二のバンドによる高品質のアルバムです。


KORN - The Path of Totality ★★★ (2016-02-28 20:36:33)

うひゃー、楽しい! というのが第一印象でした。もう10枚目、ベテランになってもなおこんな冒険をしてくれるなんて、本当に音楽バカなバンドです。
自然に身体がノリノリになります。洗い物や掃除の際にかけると、仕事がはかどるので重宝します。ダブステップやブレイクビーツ/ドラムンベースと融合した、エレクトロ・ビートの目立ちまくるダンサブルなアルバム。
この衝撃度は、5th以来かなぁ。(アンプラグド・ライヴも逆ベクトルのアレンジで衝撃的でしたが)
これまでも色々取り入れてきた雑食バンドですが、一気に踏み込んだ結果、中途半端さがなくて気持ちよいアルバムになりました。実験的でありながら融合具合も自然で、らしさは健在です。
原点回帰を謳った前作には正直、さほど強い印象を受けなかったのですが、今作でスッキリ、溜飲が下がりました。
ダブステップはよく知らないので、その分、新鮮さもひとしお。ポップで過激、軽やかでヘヴィ。こうやってリスナーを翻弄してくれるから、KORNは買い逃せないんですよねー。
個人的にはこの作品が起死回生の一撃、中興の祖といった位置づけとなりました。


MONTROSE - Montrose - Rock the Nation ★★★ (2016-02-28 20:07:52)

リフの印象度はピカイチ。
身体を動かさずにいられなくなるノリと、熱い歌唱に燃え上がらずにいられません。
青春時代、深夜2時から、伊藤政則さんのラジオ番組「ロック・ザ・ネイション」のオープニング・ナンバーとして聴いた記憶が強い曲でもあります。


MONTROSE - Montrose ★★ (2016-02-28 19:53:59)

乾いてスカスカな見通しの良い音の、直球アメリカン・ハード・ロックです。
'73年発表ですが、40年以上経ったいま聴いても全く古びない、実に気持ち良いサウンド。こういう音のロック、好きだなー。
即効性があるのは勿論ですが、ほどよくハードに歪みつつストレスのない音づくりとかっこよくロックしたフレーズの数々には、病みつきになってしまいます。