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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) 時系列順 401-450
中山七里-さよならドビュッシー
山本弘-プロジェクトぴあの
BOTANIST-IV: Mandragora
GEHENNA-Unravel
CSEJTHE-Réminiscence
SORGELDOM-Inner Receivings
Child of Light
IN MEMORIUM-From Misery... Comes Darkness
SAN LA MUERTE-Lipreading of the Dead
HINSIDES-Universe Aspire in Mysticism
A HILL TO DIE UPON-Holy Despair
BLOOD RED FOG-Death Cult
LIK (LEKAMEN ILLUSIONEN KALLET)-Lekamen Illusionen Kallet
HERESIARCH SEMINARY-Dark Ages of Witchery
PROGENIE TERRESTRE PURA-U.M.A.
GEVURAH-Necheshirion
CREPUSCULUM-Illuminatus
VENEROR-Percussimus Foedus cum Morte
宮部みゆき-長い長い殺人
東野圭吾-マスカレード・ホテル
LES CHANTS DE NIHIL-Ma Plus Douce Vermine
DEATHROW (ITALY)-Desolating Cosmic Intuition
それゆけ!ぶるにゃんマン Portable~とりもどせ!あいとせいぎときぼうのつにゃ缶~
SOMNIA-Above Space and Time
NOVAE MILITIAE-Affliction of the Divine
REVELATION'S HAMMER-Revelation's Hammer
MEANS TO AN END-Weathered by Time
SCHAMMASCH-Contradiction
山本弘-神は沈黙せず
BEYOND YE GRAVE-Ester Panim
VERDUN-Sov Du Lilla Samvete
HAVOC (BRAZIL)-Destroy the Planet
WEHRHAMMER-Wir Ziehen in Den Krieg
KORPBLOD-Uråldrig Samklang
シャリーのアトリエ~黄昏の海の錬金術師~
VIDHARR-Cryo
MORTUARY DRAPE-Secret Sudaria
ARS MACABRA-III
ATHERIA-Echo from Another Kingdom & Spectral Regression
WORMLUST-The Feral Wisdom
CLAYMORE-Vengeance is Near
CLAYMORE
THANTIFAXATH-Sacred White Noise
MONTE PENUMBRA-Heirloom of Sullen Fall
コープスパーティー ブラッドカバー
KRYPT-Preludes to Death
UNDER THAT SPELL-Black・Sun・Zenith
山本弘-詩羽のいる街
高野和明-ジェノサイド
DIVINE CODEX-The Dark Descent
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中山七里-さよならドビュッシー ★★★ (2014-08-22 23:50:24)

2010年にハードカバー、翌年に文庫版で発売されたミステリー小説。

中山七里さんの作品はどれも素晴らしいんですが、漫画や映画にもなっているこの作品が一番有名でしょうか。彼の作品ってどれも読者を楽しませることを第一義に置いているかのような、エンターテイメント精神に溢れている事が特徴だと思うんですが、この作品は最も有名にして、最も良くその特徴が表われた本だと思います。

まず第一に特筆したいのは、漫画やライトノベル並に登場人物が「キャラ立ち」していること。大きな壁を乗り越えていく様が胸を打つ主人公を始め、万能に見えて、実はある苦悩を背負っている岬洋介、スピンオフ作品では主人公も張るカミナリ爺さん香月玄太郎、これはどう見てもツンデレな医師の新条など、キャラが良い意味で漫画っぽい。変にリアルに人を描く事でキャラが凡庸になるよりも、思い切った性格付けをしてる辺り、若い作家
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山本弘-プロジェクトぴあの ★★ (2014-08-22 23:48:27)

つい先日(今週の頭)発売されたSF小説。

同作者の「地球移動作戦」の前日譚に当たる話で、宇宙技術に革新をもたらした装置「ピアノ・ドライブ」の製作者である、結城ぴあのという人物の物語。ちなみに「地球~」のストーリーを踏まえていないと意味不明になる箇所とかは特にないので、そちらを読んでなくても問題なく楽しめます。新刊と繋がりがあるという事で「地球~」を同時購入した人は、むしろ先にこっちを読むのもアリかも。「地球~」の冒頭はある意味盛大な(そして公然の)ネタバレですし。

…実は私は、どうもガチのSF小説って苦手なんですよね。宇宙が舞台となるSFって、例えば宇宙船だとか宇宙ステーションだとかの描写だったり、宇宙の航行を可能にするための理論だったりに文章を割いてる事が多くて、ぶっちゃけ読んでて面倒臭くなっちゃう。映像ならともかく、小説ならもっとドラマ的なものが読みたいな
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BOTANIST-IV: Mandragora (2014-08-22 21:34:47)

2013年発表の4th。

ショップの紹介で、シューゲイザー/カスカディアン系のブラック好きにお勧めされていたのと、セールで安かったこと、「植物学者」というブラックとしては意外性のあるバンド名に惹かれ購入したんですが…なんか、バンド名以上に音楽性が奇妙で、人を選びまくる感じですね…ぶっちゃけて言うと、私は若干付いていけてないです(苦笑)。

最大の特徴はギターの代わりにダルシマーを使用したというリフの音作りで、これがシューゲイザー系の轟音やスラッジ系の引き摺りとも異なる、悠遠で迂遠な音色を奏でてます。それが妙にパーカッシブなチャカポコ言うドラムと絡み、まるでアジアの密教の儀式に立ち会っているかのような、宗教的なムードを醸し出してますね。…密教的な割に、暗黒っぽさや邪悪さがあまり重視されていないような雰囲気で、ひたすらに不条理さだけが膨れ上がっていくような感じ。
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GEHENNA-Unravel ★★★ (2014-08-19 19:48:53)

2013年発表の7th。

前作では当初シンフォニック・ブラックとして評価が高かったバンドとは思えない、不穏な真性ブラック路線で、初期とは異なり、かつ初期並かそれ以上に魅力的な作風を提示してくれましたが、今作は前作で提示した「不穏な真性ブラック」という部分自体は変えることなく、また違った情景を見せる事に成功したアルバムだと思います。

前作はどす黒くダウナーなメロディを孕むリフと、Frostのテクニカルでキレの良いドラミングを生かしたクリアな音質で、戦争状態の重苦しく破滅的な雰囲気と攻撃性を両立させていましたが、今作はリフがどす黒さを残しつつ、よりノイジーかつ有機的なドロドロさを加味したものに変化し、音質も前作ほどドラムが前に出ず、ムードを重視する傾向が強まったように思います。

更に前作よりもミッドテンポによるおどろおどろしいパートが増えた事もあって
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CSEJTHE-Réminiscence ★★★ (2014-08-19 19:42:51)

2013年発表の2nd。

冒頭の、音が割れまくりのチャーチオルガンのSEで若干イヤな(?)予感が走りましたが、本編を聴いてその予感は的中。何なんだ、この暴力的な音像は!イヤフォンで聴くと、耳孔内に限界を超えた音の濁流をぶち込まれるかのような轟音。ULVERの3rdのような「耳に刺さる」系のノイジーさではなく、ノイジーながら「物量で攻めてくる」ような印象を受ける音。ノイジーなリフの音が膨らんで、常に割れる寸前になっているかのような感じ。

ただこの作品、他のポスト・シューゲイザーブラックと比較しても、トレモロによるメロディの美しさは群を抜いているように思うんですよね。バンド名にバソリー伯爵夫人の居城の名を冠している通り、中世の歴史をテーマにしているようですが、この悲壮感に溢れた美メロは見事にそれを体現してますね。一聴でリスナーを引き込めるだけの力のあるメロディを書
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SORGELDOM-Inner Receivings ★★ (2014-08-16 21:40:20)

2010年発表の2nd。

元はWHIRLINGのJododen氏による独りアコースティック・プロジェクトとしてスタートしたらしいですが、ここで聴けるのは北欧産らしい叙情的なトレモロリフを多用した、メロディアスでかつドラマティックなブラックメタル。中世的なメロディの使い方を始め、フレーズの端々にメロディック・ブラックの名盤であるSATYRICONの「Nemesis Divina」アルバムからの影響を感じ取れるのは気のせいでしょうか。

この作品がNemesis Divina」を始めとしたメロブラと異なるのは、ポストブラック的な側面もかなり強い事ですね。アルペジオにうっすらとトレモロの残響を重ね、美しくも現実から遊離したような感覚を味合わせるパートなんて、殆どシューゲイザー路線のブラックを聴いているかのよう。ただし、ブラック本来の凶悪さもしっかり根付いており、メロデ
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Child of Light ★★★ (2014-08-16 21:35:55)

2014年にフランスのゲーム会社Ubisoftから発売されたRPG。
様々な機種で発売されており、現在のところPS3、4、VITA、XBOX 360、One、WiiU、Windows版がリリースされている模様。ちなみに本編のみなら価格は約1500円で、一般的なJRPGと比較するとややストーリーは短めなのを差し引いても、かなりリーズナブルな値段設定。私はVITAのDL版スペシャルパックを購入しました。

元は海外のゲームのローカライズと言う事ですが、このソフトを制作するにあたって日本のRPGやアニメ等をかなり参考にしたらしく、国産RPGとそう変わらない感覚で遊べるのが良いですね。絵本風のファンタジックなグラフィック、その情景に見事に調和したBGM、主人公のパートナーである、ホタルのイグニキュラスの「光」を利用した謎解き、タイムライン制を採用した戦闘など、RPGの王道をがっ
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IN MEMORIUM-From Misery... Comes Darkness ★★★ (2014-08-13 22:39:30)

2003年発表の1sr。

これ、凄まじいです。ちょっと検索して、あまりレビューがないことに驚きましたもん。…路線としては、刻みリフとトレモロリフを組み合わせてブリザードの如き寒々しさを演出する、DISSECTIONやNAGLFARの手法を踏まえつつ、キーボードを利用した中世的な雰囲気作り、スラッシュに先祖返りしたような凶悪で狂気的な疾走パートなどを盛り込んだ、ドラマティック極まりないメロディック・ブラック。

パートによってはそれこそDISSECTIONやNAGLFARよりもメロデスに近かったりしますが、メロディに込められたサタニックさ、音の分離はしっかりしつつ、若干ノイジーな生々しさを残したプロダクション、闘争本能剥き出しでがなるような凶悪なヴォーカルなど、メロデスのメタリックさとブラックの美学をバランスよく共存させている感じなんですよね。メロブラって、「これ
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SAN LA MUERTE-Lipreading of the Dead ★★ (2014-08-13 22:34:51)

2013年発表の6曲入りEP。

「聖なる死」を意味するバンド名、赤黒いアートワークからは何となくフレンチブラックのような、病んだ音を想像していましたが、全然違いました(笑)。オーストラリア産のバンドですが、出音は南米産のウォー・ブラックのようなダーティさの込められたオールドスクールなブラック。ズンズンと刻まれるリフはなかなかに圧迫感がありますね。

バンド名は南米のカルト宗教の名前でもあるらしいですが、由来通りのカルト性に満ちた音だと思います。低音で呻くようなヴォーカルを重ね、どこか洗脳的な雰囲気を醸し出したり、真っ黒い靄の立ちこめるようなドスの効いたRawさのあるプロダクションだったり、出音の全てが「おぞましさ」に直結しているような音。メロディも赤黒く、生贄の儀式に立ち会うようなグロテスクさ。

ダーティでおぞましい音ながら、メロディアスな部分でア
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HINSIDES-Universe Aspire in Mysticism (2014-08-13 22:32:36)

2010年発表の2nd。

…一言で言ってしまえば、プリミティブ(Raw)ブラックとアトモスフェリックブラックの良い所取りの作品ですね。プリミティブ系に通じる2ビートでのツタツタした疾走を中心に、緩急付けたドラマ性を持たせて展開する、如何にもなブラック。ヒリヒリした、刺々しいノイジーさを演出する音質が、リフの寒々しさをより強調しつつ、バンドの音にオブスキュアな感触を加味する作風。

ほんとに「如何にも」って感じの音なので、普段からブラックメタルをメインで聴いているリスナーに取っては、家に帰ってきたような落ち着きを感じるのではないでしょうか。ただ、ブラック好きには耳馴染みの良い音ながら、何か他のバンドと比べて突出したものがあるかどうかというと少し疑問も。刺々しい音は勢いも感じさせ、「やってやんよ」的な攻撃性の高さが感じられるのは良いんですけど。

という
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A HILL TO DIE UPON-Holy Despair ★★★ (2014-08-12 18:46:27)

2014年発表の3rd。

何となくバンド名がかっこよかったので興味を惹かれたんですが、これがかなりハイクオリティな作品で驚きました。簡潔に言えば、WATAINの骨太さや邪悪さ、KEEP OF KALESSINのメタリックさに加えて、中期BEHEMOTHの攻撃性を上手くミックスさせたようなメロディック・ブラック。例に挙げたバンドからも分かる通り、アングラ度はそこまで高くはないものの、ヘヴィメタルとしてもがっつり聴かせる質の高さのある音。

音作りそのものがそんな感じなのと、押韻をしっかり行い、印象的に聴かせるヴォーカルライン、ヴォーカル自体のドスの聴いたキレの良いデス声のせいもあって、ブラックとしては1曲1曲のキャラが立っていて、尚且つキャッチーに聞こえます。ブラック特有の甘美さ・邪悪さを伴うトレモロ、うっとりさせる美メロのリードなど、メロディセンスが良いのみなら
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BLOOD RED FOG-Death Cult ★★ (2014-08-10 13:29:34)

2012年発表の編集盤。
同年に発売されたEP「Death Cult Ⅰ」「Death Cult Ⅱ」を纏めたもの。

一言で表すなら、ミッドテンポ中心のRawブラックをベースに、VED BUENS ENDE的なグロテスクなオーガニックさを一滴垂らしてより異形性を強めたような、独特のムードのあるブラックメタル。どこか頭のネジが飛んでるような、ダウナーな狂気を孕んだ声でがなるヴォーカルや、ファジーな音色のディストーションはかなり強烈なカルト性を感じさせますが、漏れ聴こえてくるギターのフレーズは意外にもメロディアス。

この作品の場合、そのメロディアスさが、全然聴きやすさとかマイルドな方向に作用していないのが良いんですよね。音の狂気をより濃くするような、ギラついた感触の強いメロディ。ギターリフの音色とも相俟って、どす黒い靄の中に大量のカミソリが隠れているかのよう
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LIK (LEKAMEN ILLUSIONEN KALLET)-Lekamen Illusionen Kallet ★★★ (2014-08-10 13:14:20)

2007年発表の3rd。

関連バンドに目を通してみると、ARMAGEDDAを始め、BERGRAVENやWHIRLINGなど、スウェーデンのオカルト系・スピリチュアル系なグロテスクなブラックを演ってるバンドが名を連ねている時点で、音楽性の方は「お察しください」って感じですね(笑)。このバンドも当然その流れを汲んでおり、地下で密やかに行われる、淫蕩で変態的な儀式をこっそり覗くかのような、妖しいムード満点のアヴァンギャルドブラックが展開されています。

路線としては、VED BUENS ENDE辺りが近いでしょうか。あのバンドの持つ有機的な薄気味悪さを殊更に強調したような、ミッドテンポ中心で妖気漂うメロディを聴かせる、ダウナーで如何わしい音。個人的には、その如何わしさをより強調するようなヴォーカルがなかなかにツボですね。デス声ではなく、マイルドなクリーンやウィスパーで
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HERESIARCH SEMINARY-Dark Ages of Witchery ★★★ (2014-08-09 22:17:13)

2010年発表の1st。

SATANIC WARMASTERの名作「Carelian Satanist Madness」の頭2曲をカヴァーするという、偏愛っぷりに興味を持って購入しましたが、これがなかなか良質なプリミティブブラック。当然のようにSATANIC WARMASTERから強い影響を受けたようなメロウなプリブラで、SxWxの作品で例えるなら1stのプリブラとして分かりやすい衝動性と、3rdのドラマティック・メロディックさを上手く折衷させたような感じでしょうか。流石にインテンスさでは一歩譲るように思いますが、単なるフォロワーで片付けられない質の良さがあると思います。

ヴォーカルも(SxWxの)Werwolf氏を意識したような喚き声ですが、このヴォーカルは更に悲痛さ・壮絶さを感じさせるホイッスル気味の絶叫と、地の底から響くような低音でのタメなどを使い、単な
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PROGENIE TERRESTRE PURA-U.M.A. ★★★ (2014-08-09 12:08:06)

2013年発表の1st。

アンビエンスを重視したキーボードや、サイバー・インダストリアルな要素を取り入れ、近未来的な雰囲気を演出する、アヴァンギャルドなブラック。サイバー要素は味付け程度ではなく、時折バンドサウンドよりそちらがメインになる展開すらあるくらい、楽曲の芯にまで食い込んでいる感じですが、バンドサウンドも音質・フレーズ共にしっかり骨太に作られており、全く疎かになっていないのが良いですね。

この作品、あるレビューサイトにて、サイバー系なのにBURZUMが引き合いに出されていたのが、購入の最後の一押しになったんですが…実際に聴いてみて、割と納得出来る意見だと思いましたね。まずバンドの音と、アトモスフェリックな音色が交じり合い、聴き手を世界に惹き込んでいく導入部はBURZUM屈指の名盤「Hvis~」を髣髴とさせるし、演出している情景は全く違えど、アンビエンス
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GEVURAH-Necheshirion ★★★ (2014-08-09 12:01:58)

2013年発表の5曲入りEP。
MALIGNのカヴァーが入ってる辺りかなり渋いです(笑)。

様々な暗黒メタルを扱いつつ、アトモスフェリックブラックやポストブラックの名産レーベルとしても名高い名門、Profound Loreからのリリースですが…ギターリフの、空間志向があるというか、バンドのアンサンブルの一つとして機能しながらも、周りの空気を蝕んでいくような感触は、如何にもこのレーベル発のバンドらしいと言えるかもしれません。ブラックの禍々しいトレモロが、より血腥く聴こえるようなどす黒い音色。

このバンドはレーベル名通りの「深遠さ」を、全力で邪悪方向に傾けているのが素晴らしいですよね。特にリフ、空間的でありながら、変に高尚な方向に行こうとしない、ひたすらに冒涜的であろうとする意志すら込められているかのよう。NED系のバンドを追っていた人なんかは、このリフだけ
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CREPUSCULUM-Illuminatus ★★★ (2014-08-07 22:29:03)

2013年発表の2nd。

ポーランド産のバンドながらノルウェー産のバンドに通じるような土着性と、寒々しいメロウさを込めたトレモロ、スラッシーな疾走を中心としつつ、緩急付けてドラマティックに聴かせる構成、ブラックとしてはクリアなプロダクション…と、かなりハイクオリティなメロディック・ブラックで、個人的にはメタリックなかっこよさにブラックらしい土着的な邪悪さと凶悪さが上乗せされた感じから、近年のノルウェーのRAGNAROK辺りに近い印象を受ける作品。

初期MAYHEMの邪悪さと、DARK FUNERALの凍てつくメロウさの中間を行くようなメロディセンス、時におぞましさすら感じさせるヴォーカルのがなりなど、ブラックとしてのカルト性を演出しつつも、抜けの良い乾いたドラム、刻みリフもしっかり魅力的に聴かせる厚みのあるリフなど、音作りはしっかりとメタルの魅力が息づいている
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VENEROR-Percussimus Foedus cum Morte ★★★ (2014-08-07 22:22:44)

2013年発表の1st。

これは不思議な雰囲気のある作品ですね。
使っているパーツ自体は、メロディアスに楽曲を彩るトレモロリフ、ブラストビートを多用した苛烈極まりないリズム構成、歪み切ったがなりヴォーカルと、どこを切り取ってもブラックメタルでしかない…という感じで、トレモロのメロディが前面に出ており、ブラックとしてはメロウで聴きやすい路線の作風ですが…。

個人的にはこのアルバム、邪悪さよりも神秘性というか、語弊を恐れずに言えば「神聖さ」のようなものを感じるんですよね。メロディに他のブラックで聴かれるようなおどろおどろしさが希薄で、アトモスフェリックな感覚が強いからかもしれません。しかしアンビエント志向を持たず、時折DISSECTIONリスペクトと思しきパートすらある、バンド感の強い音というのがまた興味深いです。

おどろおどろしくはないけど、
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宮部みゆき-長い長い殺人 ★★★ (2014-08-07 22:18:33)

1989年から1992年に渡り小説誌で連載され、文庫化されたミステリー小説。感想を書こうと思って検索してみたら、意外にも昔の小説なんですね。でも今読んでも古さを感じさせない面白さがあります。

内容は、端的に言えばある保険金殺人を、何人かの関連人物の財布を擬人化し、その視点で見た、オムニバス形式のミステリー。一見奇を衒ったような試みですが、これがストーリーの面白さを演出するのに非常に効果を発揮してるんですよね。財布の持ち主と事件との距離感も様々なら、持ち主と財布の距離感も様々。その10者10様の視点の違いが、読んでいて飽きさせない楽しさに繋がっているように思います。

また、10話+エピローグという構成で全体の大きな話を語る流れになっているんですが、1話ごとに視点が変化するからか、1話1話が独立して読んでも楽しめるような、起承転結のある話になっているのが素晴らしい
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東野圭吾-マスカレード・ホテル ★★★ (2014-08-07 22:17:32)

2011年にハードカバーで発売された小説。
2014年に文庫版も発売。

実は以前ハードカバーを読んでましたが…もうすぐ関連作品「マスカレード・イブ」が発売される事もあって、予習の意味も兼ねて文庫版も購入・読破しましたが、やはり面白いですよね。東野さんの作品って、作品の質が凄く安定しているというか、どれをハードカバーの新品で買ったとしてもお値段以上に楽しめた感があるのが素晴らしいと思う。そんな東野さんの近年の作品の中でも面白い小説だと思います。

ホテルのフロントマンに扮して潜入捜査をする刑事である新田浩介と、彼の教育係的な立場であるホテルのスタッフの山岸尚美という、立場の異なる二人が主人公なんですが、この主人公の立場の違いが作品をより面白いものにしてると思う。職業意識の違いゆえに擦れ違ったり、歩み寄ったりしながら成長していく様は、サスペンス・ミステリーな色
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LES CHANTS DE NIHIL-Ma Plus Douce Vermine ★★ (2014-08-05 20:50:13)

2009年発表の4曲入りEP。
と言っても一曲が長く、トータルの演奏時間は50分を超え、ほぼフルアルバムと言っていい内容。

作風としては、スローテンポを基調にノイジーなリフ、ネガティビティに満ちたメロディ、喉が張り裂けるような絶叫ヴォーカルと、鬱系の用件を満たした陰鬱なブラックメタル。ただ、このバンドはチャーチオルガン系やアトモスフェリック系のキーボードを多用し、アンビエンス重視の指向も持っていて、抑鬱的な感情をそのまま描くというよりも、頽廃的なアートを演出しているような感覚が強いです。

…もちろん、頽廃アートな雰囲気は十二分に醸し出せており、そういう音源としては申し分ない出来だと思うんですが…鬱ブラックのレビューで言うのも何なんですが、2曲目のタイトルトラックのトレモロ・疾走パートが余りにもかっこいいんですよね(笑)。このバンドの持つ頽廃芸術っぽい雰囲
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DEATHROW (ITALY)-Desolating Cosmic Intuition ★★ (2014-08-05 20:35:05)

2011年発表の3rd。

この「死刑囚の列」を意味する単語を冠したバンドといえば、80~90年代に活躍したジャーマンスラッシュのバンドの方が知名度が高いようですが、こちらは現在も活動するイタリアの鬱ブラック。葬式ドゥームのような極端に遅いテンポではなく、ミッドテンポを中心で展開する作風で、様々なバンドを渡り歩いてきた経歴を持つThornsことGionata Potenti氏による独りバンドだけあって、ジャンルの王道ながら外さない音。

実は鬱感情を華々しく込めるようなトレモロリフはメインではなく、平坦に刷り込むようなリフが中心の作風で、ぶっちゃけて言うと少々地味めな作風…ではあるんですが、リフは取り立ててフックがあるという訳ではないものの、誰が聴いても鬱れるような分かりやすい陰湿さが込められているのが良いんですよね。地味目だからといって、聴き手に鬱感情を共有させ
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それゆけ!ぶるにゃんマン Portable~とりもどせ!あいとせいぎときぼうのつにゃ缶~ ★★★ (2014-08-04 23:09:19)

2012年にPSPで発表された横スクロールSTG。
ベスト版が出てるせいか、VITAでもDL版を安価で購入できます。

…パッケージを見てみると、猫耳にブルマ、スクール水着、メイドといわゆる「萌え属性」を盛り過ぎて、逆に訳の分からない事になったキャラクター達が描かれ、更にこのふざけたタイトルですからね…一体、誰がこれでこのゲームが面白く、そして遊びやすいシューティングゲームという事が分かるのでしょう…(笑)。私も友人から教えられたときは「冗談でしょ(笑)」みたいなリアクションしてしまいましたが…マジでした。

内容は、ごくシンプルな面クリア型横スクロールSTG。通常ショットと、移動速度が低下する代わりに攻撃力の上がるレーザー、ストックアイテムを消費して画面全体を攻撃出来るボムを駆使し、ステージ最後のボスを倒せばクリア…という、触ってすぐに楽しみ方の分かるゲー
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SOMNIA-Above Space and Time ★★★ (2014-08-03 00:17:38)

2012年発表の1st。

バンド名はラテン語のsomnium(「夢」の意)の複数形でしょうか。どこか女性的な響きを持つ単語を冠したバンド名ですが、出音は繊細さを垣間見せるパートはありつつも、基本的にヴァイキング的な野太さ・力強さを感じるブラック。時折プログレッシブな側面を見せつつ、キメやメロディのハモり、ギターソロなどを多用した、ブラックとしてはロック的なバンド感やダイナミズムを感じさせる音。ヴォーカルのがなり声も太さがあってかっこいいです。

リフには漢達の悲哀を滲ませるような、民族的なメロウさも込められており、近年エクストリームメタルとしての強靭さを増したKHORSや、「Isa」「Ruun」期のロック色強い頃のENSLAVED辺りに通じる雰囲気を持っていると思います。ブラックとしてはメジャー志向がやや強めの音に思えますが、「Like Ashes」の冒頭など、
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NOVAE MILITIAE-Affliction of the Divine ★★ (2014-08-03 00:12:35)

2011年発表の1st。

最早ブラックメタル界隈ではDEATHSPELL OMEGAはひとかどの存在になっているせいか、「DSOに通じる作風」とか「DSO好きにお勧め」とか書くと、それだけで宗教的な邪悪さがあり、カオティックさ、アーティスティックさ、前衛性、文化性など、単なる邪悪さ以上の何かも備えたブラック…というのが概ね伝わるので、音源を探したい側としては助かりますね(笑)。このバンドも、そんな感じの売り文句に釣られて買ってしまいました。現時点ではメンバーの写真や名前等の情報を公開していない辺り、バンド側も意識しているのかもしれませんね。

この作品はDSOで例えるなら、まだプリミティブ・ブラックとしての側面を残していた「Si~」アルバムと近い雰囲気を持っているように思います。ただキリスト教が根付いていない日本人には完全には理解できそうにない世界観、プリブラベ
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REVELATION'S HAMMER-Revelation's Hammer ★★★ (2014-08-01 22:43:24)

2013年発表の1st。

ドラムにサポートを入れているものの、基本はACCUSER氏による独りブラック。独りブラックとしては珍しく、鬱系やポスト系などの作り手の自意識と作品の魅力が直結するようなタイプではなく、WATAINやDISSECTION辺りが引き合いに出される、バンド然としたややメロディックなブラック。音質や楽曲のメリハリの付け方など、エクストリームメタルとしてもかなり質の高い音で、自己満足っぽさは全く感じられないです。

実はこのアルバムを買ったきっかけは、店頭での解説文に上記のバンドに加えて、EMPERORが引き合いに出されてたからなんですよね。WATAIN系のドス黒い系のメロブラで、EMPERORとは珍しい…と。で、実際に聴いてみた印象としては、強ち誇張でもないかな…と思います。例えば一曲目の2分30秒くらいのパートを始めとして、「Anthems」
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MEANS TO AN END-Weathered by Time (2014-08-01 22:36:16)

2010年発表の1st。
鬱系やポスト系好きなブラックメタルファンにはお馴染みのPest Productionsからリリースされましたが、これを出した後にバンドは活動を停止している模様。

一曲目が雰囲気物のインストで始まることは鬱ブラックとしては珍しくないですが、この作品はその中でもかなり良いムードが出せてますね。ピアノメインの、美しくも頽廃的な楽曲で、アンティークな装飾の施された部屋が、主を失って物悲しいモノクロームに染まっているような情景を思い浮かべました。この繊細な情景で、本編への期待も高まるというものですが…。

肝心の本編は、個人的な趣向からするとちょっと微妙。陰湿さや絶望感など、鬱ブラックとしては及第だと思いますが、私はわざとらしいくらい暗いメロディが好きなので、これは若干地味めに感じるかも。ヴォーカルは振り絞るような叫び声で、時々野々村竜太郎
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SCHAMMASCH-Contradiction ★★ (2014-07-29 21:58:42)

2014年発表の2nd。
TRYPTICONやSECRETS OF THE MOONのメンバーがゲスト参加している、新進気鋭のバンドとしては何気に豪華な作品。

神秘的な雰囲気を発しているジャケットと、前衛的な要素も含むブラックという触れ込みから、単純な邪悪さだけではない、スピリチュアルで形而上学的な領域に踏み込んだどす黒さの音を聴かせてくれる事を期待していたんですが、概ね期待通りですね。厚みのあるプロダクション、ドゥーミーで凄みの聴いたスローパートに重きを置いた展開、不協的で精神をダイレクトに汚染するような、どす黒く有機的なリフ、厳かに呪言を紡ぐようなヴォーカルが、蠢き侵食するような暗黒性を演出する、深遠な雰囲気のあるブラックメタル。

楽曲に取り入れられた前衛要素が悉く邪悪さに直結しているのも特徴で、スラッジに通じる音響処理が施されたリフであったり、宗教
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山本弘-神は沈黙せず ★★★ (2014-07-29 21:52:42)

2003年にハードカバーにて発表された小説。
2006年には上下巻仕様で文庫化もされています。

この人の小説はこの作品で初めて読んだんですが、衝撃を受けましたね。こんなアイデアをこんなスリリングに見せてくれる作家がいたんだ!と。小説にしろゲームにしろ、本当に優れたエンターテイメントって、その面白さを他の人にも知ってもらいたくていてもたってもいられなくなるような衝動に駆り立てる力があるものですが、私にとっては正にそんな作品でした。

「世界が実は××である」というネタ自体は、ちょっと読書好きな人ならすぐにでも似たような設定の話を幾つか挙げられるくらい良くあるものですが、その掘り下げ方が「良くある」というレベルを明らかに逸脱していて、そこが非常に面白い。例えば、世界の軋みの一例として、「パイオニア減速問題」や「ウェッブの網目」など、虚実織り交ぜて具体的な現象が
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BEYOND YE GRAVE-Ester Panim ★★★ (2014-07-27 09:57:08)

2012年発表の3rd。

実は国内のレーベルからのリリースという事もあって、購入してみましたがこれがかなりハイレベルなメロディック・ブラック。ロシア産ながらNAGLFARやDARK FUNERALなど北欧勢に通じる、寒々しいトレモロ疾走を軸に据えつつ、刻みリフを用いたノリの良いパートも挿入するドラマティックな路線ですが、プロダクションがクリアかつ重さもしっかりあるので後者のようなパートも心地良く聴かせてくれますね。エクストリーム・メタルとして純粋に質の高い音と言えると思います。

また、このバンドの特徴としては、所々で正統派メタル的というか、ハードロックに通じる哀愁を感じさせるパートが出てくる事でしょうか。疾走パートでの暴虐さ、邪悪さ、寒々しさの撒き散らし振りからすると意外な感じではあるんですが、こういうパートがあるお陰で更にドラマティックさを増し、より聴き応え
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VERDUN-Sov Du Lilla Samvete ★★ (2014-07-27 09:51:53)

2011年発表の1st。
元はテープだったものをSelf Mutilation ServicesがCD化し再発。

タイプとしては、ディプレッシブ・ブラックの典型と言ってもいい作風だと思います。ノイジーに作られた音が「ズン…」と沈み込むような質感を演出し、そこに生きる気力を奪い去るかのような、鬱力高いメロディを挿入していく音。メロディには陰鬱さだけでなく、物悲しさも多分に含まれている感じで、かなり「聴かせる」音だと思います。

そしてSILENCER辺りとは別のベクトルでインパクトのあるヴォーカルも必聴。ただ叫ぶだけでなく、涙目で悔しさを噛み締めているかのように呻いてみせたり、人生を諦めたかのようにブツブツ呟いたり、ある意味表現力はかなり高いヴォーカルだと思う。感情を込め過ぎたせいで、裏返ったりヨレたりする辺りが生々しくて良い感じです。

ディプ
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HAVOC (BRAZIL)-Destroy the Planet ★★★ (2014-07-23 21:31:07)

2012年発表の2nd。

南米産のブラックで、レーベルもHammer of Damnationとなれば、ダーティでオールドスクールなブラックを連想しそうですが…このバンドはかなり北欧産に近い、しかも北欧産に勝るとも劣らないクオリティのブラックを演ってますね。各レビューやショップのコメントでも評価が高かったんですが、実際聴いてみたら予想していた以上に素晴らしかったです。

DARK FUNERALなどスウェディッシュ勢に通じる寒々しさや、(De Mysteriis期の)MAYHEMを思わせる、ノルウェー産ブラック的土着性の強い禍々しさを込めたトレモロ、フィンランドのプリブラに通じるオールドスクールな勢いなど、北欧の各国のバンドの影響を受けつつも、良いとこ取りで消化・昇華する楽曲作りのセンスが、まず素晴らしいんですよね。北欧の評価の高いバンドの中にあっても、埋没する
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WEHRHAMMER-Wir Ziehen in Den Krieg (2014-07-23 21:08:12)

99年発表の1st。
2011年にNebelklangにより再発された盤を購入しました。

基本的には、紙を引き裂くような、バリバリしたノイズの乗せ方に、スラッジにも通じる響きを感じさせるリフと、かつての(DARKTHRONEの)Nokturno Culto氏のがなりを、より喉に負担を掛ける方向に突き詰めたようなエグエグしいがなりが、強烈な衝動性を感じさせる、オールドスクールな要素強めのブラックメタル。

このバンドは安易に寒々しいトレモロ疾走パートを挿入する事を避けているのか、展開に結構工夫が見られるんですが…その工夫が、逆にマニアック度を上げてしまっている感じですね…。音数を少なくして、隙間を感じさせる音作りにしてみたり、ノイジーさを殊更に強調してみたり…。普通にメロディアスなパートでは、ペイガン系に通じる叙情性があって悪くないんですが。特に5曲目「Br
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KORPBLOD-Uråldrig Samklang ★★ (2014-07-23 21:03:39)

2009年発表の1st。
最初の盤は自主制作で100枚が刷られたのみでしたが、後にEwiges Eisが再リリース。
こちらは500枚限定で、手書きナンバー入りの仕様。

吹雪に巻き込まれるが如き、ノイジーさを強調したプロダクション、獰猛さを隠そうともしない、歪み切った絶叫を聴かせるヴォーカルなど、荒々しさも目立つブラックメタルですが、同時にミディアムテンポの多い、ゆったりとした展開を好む曲作り、10分超えの楽曲も多いアルバム構成など、アトモスフェリックさも強い音ですね。寒気を感じるような、邪悪な霊気が垂れ流されているようなトレモロリフは、音質とも相俟って「如何にも」な雰囲気が出せているように思います。

ペイガン系と言い切るには余りにも陰鬱なサウンドなんですが、楽曲の端々でペイガン風の意匠が垣間見えるのも大きな特徴ですね。アコギや男女クリーンヴォーカ
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シャリーのアトリエ~黄昏の海の錬金術師~ ★★ (2014-07-23 21:01:30)

2014年発表の、アトリエシリーズ最新作。
「黄昏」シリーズとしては3作目ですね。

携帯機用の作品等も合わせれば20作品ほど出ているシリーズだけあって、根幹となるシステムである、錬金術によるアイテム練成は面白く、そして洗練されてますね。どの素材を使うかだけでなく、素材を投入する順番、素材投入時に使うスキル等で結果が大きく変わってくるので、強いアイテムを作るのに頭を悩ませるのが楽しい。特に今作、同じ属性のスキルを同じ属性の素材に使い続けると、ボーナスが発生する「チェインシステム」が採用されているんですが、これは非常に強力な代わりに、大きなボーナスを狙い過ぎると本当に使いたかったスキルを使う枠が足りなくなったり、値が大きすぎて狙った属性値を超えてしまったりするので悩ましいです。それだけに、試行錯誤の末狙った効果のアイテムを生み出せたときの喜びもひとしお。


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VIDHARR-Cryo ★★★ (2014-07-13 17:57:10)

2013年発表の2nd。
日本のレーベル、Zero Dimensional Recordsからの発売。

鬱ブラックにはSHININGやFORGOTTEN TOMBなどを始めとして、豪速や激遅などの極端なリズムに頼り切らない、ロック的なリズムを取り入れたバンドも少なくないですが、大雑把に言えばこのバンドもそんな中の一つですね。ロックのダイナミズムを取り入れたリズム構成、ハードロック的な意匠の取り入れられたアレンジが、妙に血の通った絶望感を演出する音。部分的に取り入れられた女性ヴォーカルによるクリーンも、楽曲に漂う不条理なムードを強調。

何気にこのアルバム、音質がかなりヘヴィなんですよね。特にブラックの生々しさを残しつつ、低音の効いたギターの音色がインパクトあります。鬱ブラらしい感情を込めつつも、ドスを効かせるべき箇所ではブルデスのヴォーカル並に野蛮な響きを
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MORTUARY DRAPE-Secret Sudaria ★★ (2014-07-13 17:51:28)

97年発表の2nd。
2011年にDark Descent Recordsよりリイシュー盤が出てます。

…で、私はそのリイシュー盤を購入したんですが…これ、本当に2011年の再発なんですよね?そうとは思えない程録音レベルが小さく、他の同年代のブラックを聴いた後そのまま再生するとこそばゆいような音量で再生されるんですが…音の小さい作品が嫌いな私としては、大分この時点で心証が悪くなりましたね…(苦笑)。ただ、肝心の音楽性の方は悪くないです。再発されて然るべきかっこよさを持つブラックだと思います。

路線としては、スラッシュや初期デスメタルからの影響の色濃い、オールドスクールなブラックメタル。この手のバンドらしい、衝動を感じさせるスラッシーな疾走パートを主軸に展開していく作風ですが、緩急付けた曲作り、ベースも絡めつつのオカルティックなメロディ使いなど、どこか「鮮
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ARS MACABRA-III ★★★ (2014-07-12 11:04:34)

2013年発表の3rd。

これ、相当良い作品だと思いますよ。
暴虐なブラストや、邪悪なトレモロ、狂性に満ちた絶叫ヴォーカルなどブラックの王道部分もガッツリと押さえつつ、緩急付けたドラマ性に富んだ展開、時にゴリゴリと厚みを演出し、時にメロウさを強調するように絡むベースなどを武器に聴かせる、高品質なブラックメタル。クオリティの確かさはありつつも、ややRawで湿り気を残したプロダクションなど、メジャーバンドとは一線を画したムードがあるのも良いですね。

英語の「macabre」(「気味が悪い」の意)という単語には、「死を思わせるような不気味さ」のニュアンスが篭もっているらしいですが、正にそれを体現するような、トレモロのオカルトめいたメロディが実に素晴らしい。この作品、前述したようにベースが結構目立ってるんですが、それがメロディの陰影を濃くするように働いていて、よ
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ATHERIA-Echo from Another Kingdom & Spectral Regression ★★ (2014-07-08 22:25:00)

2012年と2013年に発表されたEPを2枚カップリングした再発盤。
なんと国内盤仕様が発売されてます。

これ、最初聴いた時は驚きました。NEPTUNE TOWERSなどを思わせる、宇宙的アンビエントに、耳が痛くなるようなノイジーなブラックを足したような音で、一応ミステリアスだったりクラシカルだったりするメロディは耳を惹くし、音像も捉えようによっては神秘性や深遠さを感じられるものではありますが…国内盤がリリースされる作品としては、余りにもニッチというか、マニアックというか…(笑)。

ただ、後半の「Spectral Regression」を聴いて、「さもありなん」と思いましたね。ノイジーなギターと絶叫ヴォーカルが引っ込み、よりキーボードの音像と溶け合うようなミックスになってるんですが、この音でのプリミティブな疾走が非常にかっこいい。特に「Neverendi
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WORMLUST-The Feral Wisdom ★★★ (2014-07-06 10:53:38)

2013年発表の1st。

これはかなり凄まじい…一言で言うなら、BLUT AUS NORDが持つ暗黒趣味的で捻じくれた実験精神と、FYRNASKが持つどす黒いアンビエンスを掛け合わせたような、尋常でない禍々しさを発散するブラックメタル。ブラックの持つ特性として「邪悪さ」「暴虐性」など、色々な要素が挙げられますが、この作品は「異形性」に特化したような作風。

まずギターワークの前衛性と、そこから生み出される禍々しい雰囲気が素晴らしい。脳髄を冒す毒素を帯びた電波でも含まれているんじゃないかと思うような、引き攣ったトレモロと、聴覚を通じて聴き手の筋肉を弛緩させるかのごとき、BLUT AUS NORD的な奇妙なエフェクトの掛かったフレーズなどの波状攻撃で、サイケデリックで毒々しく、どす黒い異形の空間を形成。

生温かいようなメロディを奏でるベースも何気に主張
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CLAYMORE-Vengeance is Near ★★★ (2014-07-05 23:17:50)

2013年発表の2nd。
今年に入り、なんと日本盤がリリースされましたが…これ、日本盤のリリースを決定したスタッフにはグッジョブと言わざるを得ないですね。この素晴らしいシンフォニック・ブラックを日本のシーンに知らしめた功績は大きいと思いますよ。

この作品でまず特筆したいのは、「シンフォニック・ブラックとしての音のバランス」が物凄く良いんですよね。ストリングスやクワイアの音色を用いたキーボードは、バンドサウンドを包み込み壮麗さを醸し出しますが、ギターも埋もれることなくクサメロを主張、ベースもしっかりメロディの連に絡んでくる音作りが素晴らしい。クリアながら、「ヘヴィネス質」が抑え目で、「メロディ質」が前面に出されたプロダクションも、こういう楽曲には完璧に合っていると言えるでしょう。オーバープロデュースの陥穽に嵌まらない、ナイスな音作りです。

そしてシンフォ系
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CLAYMORE ★★ (2014-07-05 23:17:02)

ブルガリア産シンフォニック・ブラック。
90年代の終わりに結成され、遂に今年日本盤デビューを飾りました。

THANTIFAXATH-Sacred White Noise ★★★ (2014-07-03 21:20:23)

2014年発表の1st。
これ、今年聴いたブラックの中でもベスト候補かもしれません。

まず特記しておきたいのは、このバンドが優れた「トレモロリフ師」であるという事ですね。例えばドップラー効果の如き音程変化を取り入れ、より悪意的で非日常的な音色を実現してみせたり、粗いノイズと高音のトレモロを組み合わせることで宗教的恍惚感や浮遊感を演出したり、メロディの起伏に合わせトレモロのオン/オフを巧みに切り替えることで、傷口に蛆虫が蠢くかのようなおぞましさを醸し出したり…トレモロの使い方一つでもかなりのアイデアが用いられており、しかもそのどれもがベクトルが「邪悪さ」の方向を向いてるんですよね。

トレモロリフのフレーズ自体のセンスも群を抜いていて、例えば「Panic Becomes Despair」で聴ける、作中ではストレートに寒々しさを表現するメロディは、「Trans
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MONTE PENUMBRA-Heirloom of Sullen Fall ★★★ (2014-07-03 21:19:06)

2013年発表の1st。

邪悪なブラックを世に送り出し続ける優良レーベル、DEAMON WORSHIP発のアヴァンギャルドブラックという触れ込み、セールで安くなっていたこともあり購入。…一言で言うなら、VED BUENS ENDEの流れを汲むブラックメタルですね。暴虐性や寒々しさなど、他の多くのブラックが持つような特性はあまり重視しておらず、代わりに沼地に引き込まれていくかのようなドロりとしたバンド・アンサンブルで聴き手の精神をジクジクと汚染していくかのような音。

VED BUENS ENDEがどこかサイコっぽい雰囲気を漂わせていたのに対し、個人的にはこちらはオカルトめいたおどろおどろしさを感じるんですよね。絶叫するだけでなく、生気のない声で語りかけるようなヴォーカルも楽曲の不気味さを助長。レーベルがレーベルだけに、VED BUENS ENDEやVIRUSより
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コープスパーティー ブラッドカバー ★★ (2014-07-03 21:16:02)

私はPSP版(2010年発売)が約1000円でダウンロード出来るキャンペーンがやっていたので、そちらを購入したんですが、実は96年が初出の作品だったんですね。結構メディアミックスとかもされているみたいなので、もっと最近だと思ってましたが…確かに、携帯電話とかの描写が一昔前って感じだったかも。

個人的な評価としては、確かに怖くて面白くはあるけど、若干…というか大分不親切さも残るゲーム、という感じですね。システム上、シナリオ前半の行動が元で後半にバッドエンドを迎える可能性もあるのに、クイックセーブ/クイックロードが無いのは正直快適とは言いがたい。文章スキップすらないので明らかに既知バッドエンドを迎える事が分かってもすぐにはリトライ出来ません(苦笑)。逆にこれらの機能と、探索時のダッシュが実装されていれば名作として扱われてもおかしくないと思います。

このゲーム、恐怖
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KRYPT-Preludes to Death ★★★ (2014-06-29 23:54:02)

2008年発表の1st。

一時的に活動停止状態にあったTSJUDERのメンバーにより結成されたという経歴、そして裏ジャケに燦然と輝く「True Norwegian Black Metal」のロゴ…この時点で、混じりっ気のないピュアなブラックメタルを演っているのは容易に予想が付きますね(笑)。TSJUDERと比較すると、こちらはブラストでの暴虐な爆走の頻度は抑え目な代わり、オールドスクールなミッドテンポやスラッシーな疾走をより多く取り入れている感じ。

このバンド、流石に「TNBM」ロゴを掲げるだけあって、音作りが「分かってる」んですよね。オールドスクールなリフの中にアクセントとして用いられるトレモロは、ノルウェー産特有の土着的な邪悪さを帯びているし、プロダクションも綺麗過ぎず、ブラックの生々しさを残した上で聴きづらくない音で良質。オールドスクールな作風に上手くマ
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UNDER THAT SPELL-Black・Sun・Zenith ★★ (2014-06-29 00:11:19)

2011年発表の2nd。
残念ながらこのアルバムのリリース後バンドは解散している模様。

Metal Archivesで調べたんですが、このバンドはメンバーがドイツのペイガン/メロディックブラックとしては割りと知名度の高い、HELRUNAR絡みなんですね。そのせいか、主にトレモロリフによって奏でられるメロディには、神秘性や叙情性が強く押し出されているという印象。これがノイジーなトレモロを伴う、寒々しい音像と合わさると更に神秘性を増すんですよね。

メロディは幽玄さやメロウさの感じられるものですが、暴虐性もガチ。体感速度をぶっちぎるブラストをメインに据えたリズム構成は完全にファストブラックのそれですし、音像の中を木霊するように絶叫するヴォーカルの声もかなりエグい。若干、ミドルパートが淡白な傾向があるようにも感じますが、ツーバスのフレーズを上手く仕込んだり緩急の
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山本弘-詩羽のいる街 ★★★ (2014-06-29 00:07:33)

2008年に単行本として出された小説。2011年に文庫版も出てます。

お金や家を持たず、人との繋がりの中で暮らす女性、詩羽。人と人とを繋げる触媒としての才能を持ち、「人に親切にする事」を生業として生きる彼女の、日常や人々との触れ合いを描いた作品。ぶっちゃけあらすじだけ読むと、そこまで好奇心を掻き立てられるような感じはしないんですが…これ、滅茶苦茶面白かったです(笑)。

まず言いたいのが、これは「物凄く贅沢な小説」だという事。
作中に登場する作品が、それだけで単行本出せそうなくらい面白そうなんですよね。例えば、幽体離脱の能力を持つ少女が、あるきっかけで大気圏外に人々の叶わなかった想いの残滓が漂う場所を見つける「衛星高度の魅祐姫」や、ほぼ全能の力を手にした少女の顛末を描いた「戦場の魔法少女」は、筋書きだけ読んでもエンターテイメントとして非常に面白く、かつ教訓
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高野和明-ジェノサイド ★★ (2014-06-26 01:43:11)

2010年より雑誌で連載が開始、2011年に単行本、2013年に文庫版という形でリリースされた小説。私は安生正氏の「生存者ゼロ」を読み終えて「何か面白そうな本ないかな?」と探していてつい手に取ってしまったんですが、この小説も「生存者ゼロ」同様に、人類が滅亡の危機に晒される作品。なんか壮大なスケールの話が読みたい気分だったのかもしれません(笑)。

この小説、結論から言えばかなり面白かったです。
特に人類滅亡の原因となりうるものの正体が明かされたときには、センス・オブ・ワンダーを感じられて凄くゾクゾクし、「これが小説を読む醍醐味だ」とも感じました。また、作中でのエピソードの挿入も上手く、人類滅亡の要因を研究した資料「ハイズマン・レポート」はここだけ読んでも興味をそそられるし、余りにもむごい少年兵の生い立ち、及びその救いのない結末はハリウッド的なエンタメ感に溢れる作品に、ピ
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DIVINE CODEX-The Dark Descent ★★★ (2014-06-22 13:18:46)

2011年発表の2nd。

BEHEMOTHやARKHON INFAUSTUSなどを始め、デスメタル的な重さ・禍々しさを取り入れるブルータルブラックは多く存在しますが、これはその中でも素晴らしい逸品と言えるのではないでしょうか。基本的には、ある程度の緩急は付けつつも、暴虐なブラストと重々しいリフで殲滅する、直接的なブルータリティを叩き込むような凄絶なブルータル・ブラック。

このバンドは更に、そこにアトモスフェリック・ブラックのバンドがやるような、神秘的な魔的トレモロリフを被せてくるのが特徴なんですが…これが凄まじくかっこいい。単にメロウとか邪悪とかじゃなくて、どこかカリスマ性を感じさせるのが素晴らしいです。また、ヴォーカルも低音中心ですが、ただのグロウルではなく、Attila Csihar的な呪わしさを感じさせてくれる雰囲気のある声なのがまた良いです。

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