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Usher-to-the-ETHERさんの発言一覧(評価・コメント) 時系列順 351-400
啟示錄-神州賦
SORCIER DES GLACES-Ritual of the End
SLAKTARE-Love is Always Painful
INFINITY-Back to the Source (Summon the Black Flame)
TORTORUM-Katabasis
PÕHJAST-Thou Strong, Stern Death
KARG-Malstrom
AVERSION TO MANKIND-Suicidology
SECRETS OF THE SKY-To Sail Black Waters
CREST OF DARKNESS-In the Presence of Death
HARVEST-Forgotten Vampyres of the Melancholic Night
INFINITY-The Birth of Death
ULVEGR-The Call of Glacial Emptiness
SEPTUAGINT-Negative Void Trinity
WORTHLESS LAMENT-Worthless Lament
GRIMOIRE-À la lumière des cendres
BARBAROUS POMERANIA-Bloody Mystery of War God
HAGL-Irminsul
SAMMATH-Godless Arrogance
KURSED-In the Labyrinths of Death
DEADLY FROST-Voices from Hell
THE LAST KNELL-Æon Vmbra Genesis
NOCTEM-Oblivion
NON ESSENCE GENESIS-Genesis of the Fall
中山七里-ヒートアップ
KAOTEON-Veni Vidi Vomui
ÆVANGELIST-Omen Ex Simulacra
ATRUM EXTEMPLO-L'Ira dell'Arcano Manto
SALTUS-Słowiańska Duma
HAMMEMIT-Spires over the Burial Womb
SUN OF THE SLEEPLESS-Poems to the Wretches Hearts
KRIEGSMASCHINE-Enemy of Man
INFERNO (CZECH)-Black Devotion
MASSEMORD (POLAND)-The Madness Tongue Devouring Juices of Livid Hope
MASSEMORD (POLAND)
COLORLESS FOREST-Those Who Come with the Rain
COLORLESS FOREST
HATE PROFILE-Opus II: The Soul Proceeds
MYRD-Forbandet Fra Foedsel
NUMENOR-Colossal Darkness
中山七里-アポロンの嘲笑
NIGHT OF THE WORLD-Drive the Knife Deeper
THE TRUE ENDLESS-Legacy of Hate
THORNS OF BEAUTY-The Libra
NAHAR-The Strange Inconvenience
PEST (SWEDEN)-The Crowning Hprror
GREY WATERS-Below the Ever Setting Sun
OIZYS-Hymns to the Furies
VOLUNTARIA-Solitary Songs
東野圭吾-マスカレード・イブ
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発言している13曲を連続再生 - Youtube



啟示錄-神州賦 ★★ (2014-10-01 20:05:34)

2002年発表の1st。
同郷のCHTHONICが1stアルバムを発表した頃から存在したバンドで、1枚目のアルバムを残した後解散してしまったようですが、これはその唯一のフルアルバムとなる作品。

台湾のシンフォニックブラックと言うとどうしてもCHTHONICやANTHELIONと比較したくなりますが、このバンドは大分路線が異なりますね。前述のバンドがエクストリームメタルとしての暴虐性や緊張感に満ちたハイクオリティな作風を提示していましたが、このバンドは正直言ってB級な魅力があると思います。前述のバンドなど、メジャー志向なバンドにはない緩い魅力があるというか。

作風としては、暴虐性こそ高くないものの、リードギターによるメロウなフレーズ、はっきり聴こえるベースラインなどメロディアスなバンドサウンドに、ピアノやヴァイオリン、アトモスフェリックなキーボード、女性ヴ
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SORCIER DES GLACES-Ritual of the End ★★★ (2014-09-29 14:43:11)

2014年発表の5th。
これは素晴らしいです。97年から活動するバンドで、既にフルだけで5枚も出しているベテランなのに、今まで知らなかったのを思わず恥じてしまうくらい素晴らしい。

CDを取り外すと、ケース下に「Primitive Cold Metal」とのキャッチコピーが記載されてますが、正にその言葉をそのまま音にしたかのような、寒々しさに満ちたブラックメタル。叩き具合によるスネアの音の変化まで伝わるような、やたら生々しい音のドラム、ややノイジーで刺々しいながら、厚みもあるリフの音色、それだけで聴き手を凍りつかせるかのように、鋭い声でがなるヴォーカル…と、「Primitive」の単語通りの、剥き身の衝動と向き合う事を聴き手に強いる音。この「こだわり」の感じられる音は、ケベック州のバンドならではといったところでしょうか。

そして「Cold」の単語も、恐ろ
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SLAKTARE-Love is Always Painful ★★ (2014-09-29 14:34:16)

2010年発表の4曲入りEP。
日本のHidden Marly、韓国のMisanthropic Artの共同リリース。
バンド自体はドイツ産で、何気にインターナショナルなリリースですね。

中心人物のMardroem氏はかつてNARGAROTHのライブメンバーを務めた経験もあるようですが、作風も大分影響を受けている感じがします。基本ミディアムテンポを保ちながら、トレモロリフやリードギターによりエモーショナルで儚げなメロディを紡ぎ上げていく、美しくも鬱なブラック。NARGAROTHの「Regens~」「Rasulka」辺りに通じる雰囲気がありますが、こちらの方が楽曲がコンパクトで分かりやすく、より身近な感情の感じられる音。

この作品、メロディといいヴォーカルといい、やるせない感情のダダ漏れっぷりが良いですよね。メロディの儚さは前面に出たトレモロの音色に
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INFINITY-Back to the Source (Summon the Black Flame) ★★★ (2014-09-29 14:31:07)

2012年発表の企画盤。
1stと2nd収録曲の再録6曲と、IMMORTAL、BATHORYのカバーを収録。
限定666枚。250枚限定で手書きナンバー入りデジパック盤もあり。

2ndを聴いた時は、黎明期~発展期の北欧産ブラックメタルバンド、例えばMAYHEMやSATYRICON、DISSECTION、IMMORTALなどのバンドが90年代半ばから後期にかけて発表していた、ジャンルの顔たる名盤群…それらに近いような雰囲気のある楽曲を演っているものの、癖のある辛口な音質で若干人を選ぶ仕上がりになっているような印象でしたが、その音質問題が改善された今作はブラックとして本当に非の打ち所がない作品になってますね。

上記のバンドを挙げられるほど、ストレートに北欧ブラックの路線を引き継いでいるのも素晴らしいですが、何より楽曲が良いです。例えば2曲目の「Autu
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TORTORUM-Katabasis ★★★ (2014-09-28 20:21:11)

2014年発表の2nd。
バンド名の響きがGORGOROTHっぽいと思ったら、メンバーは実際にGORGOROTHのライブメンバーも務めているらしいですね。多分関係ないですけど(笑)。

路線としては、不協的に響く不気味なギターワークや、重苦しいミッドテンポも重視したダイナミックなリズム構成を交え、ドラマ性豊かに展開していく、典型的ながらハイクオリティなブラックメタルという感じですが…フレーズの端々から強烈で深遠な宗教性・オカルトめいた雰囲気を感じられるのが特徴ですね。この手の暗黒趣味な宗教色の強いバンドと言えば、フランスのDEATHSPELL OMEGAを始め、ドイツのCHAOS INVOCATION、ギリシャのACHERONTASやSEPTUAGINTなど、何故かブラックの爆心地たるノルウェー以外から現れる事が多い印象なんですが、ノルウェー産のバンドでこういう音を出し
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PÕHJAST-Thou Strong, Stern Death (2014-09-28 20:14:27)

2012年発表の1st。
何気にSpinefarmからのリリースなんですね。

ジャケ的には、如何にもペイガンメタルっぽい佇まいですが…なんでしょう、むしろ実際の出音としては、山賊っぽいイメージがありますね(笑)。ハードロック色の強い、グルーヴィなリフとリズムでイカつくノリノリなサウンドを構築しつつ、おっさん風のダミ声がアジテーションするようなメロディをがなる感じで、正直一般的なブラックメタルからはかなりかけ離れた音だと思う。調べてみると関連バンドにはAJATTARAがいるようですが、ブラックからのかけ離れ具合では良い勝負かも。

確かに音作りとか、リフのフレーズとかに時折ブラックらしさは覗かせるんですが…う~ん、正直これは私の好みではないですね…。イカつい音ではあるんですけど、ネガティビティや禍々しさが感じられず、なんか健全な印象。特にヴォーカルの暢気な感
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KARG-Malstrom ★★★ (2014-09-26 22:41:41)

2014年発表の4th。

「プロビデンスの目」を象ったと思しきバンドロゴが目を惹き、中古で安価であったのとレーベルが有名どころだった事もあり、何となくでレジに持っていってしまったんですが…これは良いですね。タイプとしては鬱系に分類されるであろうブラックですが、葬式ドゥーム的凌遅系サウンドではなく、ロック的リズムも取り入れたドラマ性に富んだものでLIFELOVERやVIDHARR辺りに通じる音。

この作品は上記したバンドに見られるようなアヴァン要素は薄く、トレモロリフを中心とした「メロディで聴かせる」事を最重視したかのような作風。バンドロゴのおどろおどろしさとは裏腹に、儚さや哀愁の感じられるメロディのセンスは、鬱ブラックでもかなり秀でているように思います。人生に対するやり場のない怒りをぶつけるような、感情の篭もったハーシュなヴォーカルもあり、決して甘い雰囲気には
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AVERSION TO MANKIND-Suicidology ★★★ (2014-09-26 22:37:25)

元は2013年にデータで発表されていた1stアルバムの音源を、日本のレーベルであるMaa ProductionsがCD化して2014年にリリースしたものらしいですね。Maa盤には以前にリリースされたEP「Apotheosis」が丸々ボーナスで入っており、かなりお得。

一言で言うなら、閉塞感特化型のディプレッシブブラック。楽曲はバラエティに富んでおり、どす黒いエネルギーで塗り潰すかのごとき、低音も効いたリフが息の詰まるような感覚を演出しつつ、ブラストも使用し攻撃的な印象の「Shrouded in Thorns」が動の閉塞感を描いてるとしたら、歪みの少ないサウンドで、アルペジオの残響音が空虚に響く「Tripolarity」は静の閉塞感を描いている、とでも言えそう。

凶暴なバンドサウンドを挟む、澱んだアルペジオが凄まじく印象的なタイトル曲を始め、曲展開のパターンは少
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SECRETS OF THE SKY-To Sail Black Waters ★★ (2014-09-26 22:33:21)

2013年発表の1st。

どこか耽美趣味の感じられるジャケのアートワーク、個人的に好きなバンドであるSECRETS OF THE MOONに似たバンド名に惹かれ購入したんですが…目論見通り(?)、SECRETS OF THE MOONやPORTA NIGRA辺りに通じる、知性的な雰囲気を持ったプログレッシブなブラックでした。特に事前知識とかなく勘と直感だけで買ってしまいましたが、結構当るもんだと自分でもびっくり(笑)。

幽玄でミステリアスな雰囲気を醸し出すアルペジオや、楽曲の持つ美しさを引き立てつつも、陰惨さを与えるヘヴィな引き摺り系リフを多用し、深遠なムードを描き出していく作風で、一般的なブラックというよりはゴシック寄りのドゥームに近い感じでしょうか。ウィスパーやクリーン、一部で女性ヴォーカルを導入しつつ、絶叫部分にはブラックメタルらしい獰猛さを感じさせるヴ
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CREST OF DARKNESS-In the Presence of Death ★★ (2014-09-26 22:28:56)

2013年発表の6th。

このバンドの作品は初めて聴きますが…路線としては、デスメタル的なヘヴィネスとブラックメタル的邪悪さを上手く合わせた、マッシブで力強いエクストリームメタルですね。このバンドはかなり知名度の高いテクニカルメタルバンドCONCEPTIONのメンバーが絡んでおり、尚且つ93年より活動するキャリアの長いバンドであるというプロフィールのせいか、エクストリームメタルの中でも伝統的なメタル本来の熱さが強いように思います。

音質にしろフレーズにしろ、「キレがいい」という印象のアルバムなんですよね。ブラストで攻めるパートは暴虐に、ミディアムパートは重量感と躍動感を上手く両立させつつ力強く、刻みを多用するギターワークは厚みがありつつも、トレモロリフやソロを聴かせるべき部分ではかなりメロディアスに攻め…と、ツボを押えた曲作りがとにかく光ってる感じ。プロダクシ
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HARVEST-Forgotten Vampyres of the Melancholic Night (2014-09-24 22:18:02)

2013年発表の1st。

店ではオーストラリア産の正体不明のブラックということでしたが、実はDROWNING THE LIGHTのAzgorh氏による独りプロジェクトらしいですね。自身が運営するレーベル、Dark Adversaryからの発売。ちなみにプロジェクトは既に活動を停止しているらしく、オリジナルフルアルバムとしてはこれが唯一の作品という事です。

路線としては、正にRawでポンコツを絵に描いたような、アングラ感丸出しのブラックメタル。紙ヤスリを思わせる薄っぺらくノイジーなギターリフと、生々しいミックスが逆に心地良いドラムが絡む音質、無理矢理エッジ感を出したような喉を潰す系のがなりが如何にもカルトバンドといった風情を醸し出してます。時折キーボードやアルペジオにサイケな要素が見えたり、教会音楽的な荘厳なオルガンが脈絡なく登場したりする辺り、衝動のままに曲を
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INFINITY-The Birth of Death ★★ (2014-09-24 22:12:24)

2004年発表の2nd。

本編に期待しつつ、オープニングのメロウなアルペジオを聴いていると…突然雷の至近弾を喰らったかの如き、痛烈なドラムの一撃が!!…びっくりした、というか耳が痛いんですが(笑)。その後プリミティブブラック的なノイジーさを伴うギターリフが入ってくると、大分音のバランスはマシになりますが…やっぱり金物が地味に耳に痛い。この時点で、聴き手を選別している気すらします(苦笑)。

そんな訳で音作りは結構辛口なんですが、楽曲自体はブラックメタルとしてかなり良質なんですよね。例えば1曲目で言うと2分半くらいのリフなんかがそうですが、印象的なフレーズをトレモロリフに乗せるセンスに於いては、北欧の黎明期のバンド達にも劣らないとすら思いますもん。5曲目のリフとか、一部MAYHEMっぽい不穏さでかなり良いですし。民族調のアコギパートがあったり、土着的な暗黒性が色濃
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ULVEGR-The Call of Glacial Emptiness ★★★ (2014-09-23 12:01:41)

2014年発表の3rd。
ULVER好きには何となく親近感の持てるバンド名ですね(笑)。

NOKTURNAL MORTUMの元メンバーであるOdalv氏のバンドという事で店で推されていたので購入。調べてみると、KHORSやYGGの現メンバーであるHelg氏も在籍している模様。完全にウクライナのペイガンブラック絡みの人脈のバンドですが、メロディに土着的な陰湿さは感じますが、あからさまな民族音楽要素の導入はなく、プリブラやメロブラに通じるような荒涼感のある寒々しいリフで聴かせる、ストレートなブラックメタル。

ただ、リフの寒々しさにプリミティブに通じるものはありますが、出音はヘヴィで、デスメタル的と言っても差し支えないくらい厚みがあり、所謂プリブラとは大分離れている感じ。ベースをゴリゴリ言わせた低音の聴いた音作りは関連バンドのKHORSにも通じるものがあります
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SEPTUAGINT-Negative Void Trinity ★★★ (2014-09-22 21:44:00)

2014年発表の5曲入りEP。

ショップで「楽曲のレベルが高い」「DEATHSPELL OMEGA好きに推薦」とかなり高評価だったので、トレイラーを試聴してみましたが…即購入確定余裕でした(笑)。出音は典型的なブラックのそれですが、この作品、本当に楽曲やフレーズが素晴らしい。それに付きます。レベルが高いというのも良くある褒め言葉だと思いますが、この作品は「感銘を受けるほど」高いと思う。

まず楽曲の軸となる、フレンチブラック的な病的な暗黒性の中に、オカルトめいた神秘性や、サイコティックなおぞましさがブレンドされたかのような、メロディアスながら禍々しいトレモロリフはカリスマ性すら感じさせ、「どす黒い」なんて言葉が陳腐に感じるほど。このおぞましいリフが吹き荒れるだけでも感動ものの邪悪さですが、そこにKenose以降のDSOから影響を受けたと思しきカオティックなリフや
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WORTHLESS LAMENT-Worthless Lament ★★★ (2014-09-22 21:37:27)

2014年発表の1st。

メンバーが関与しているCOLORLESS FORESTの作品がかなり素晴らしかったのと、国内のレーベルからのリリースという後押しもあって購入に踏み切りましたが、こちらもまた素晴らしいですね。優れたディプレッシブ・ブラックであることはCOLORLESS FOREST同様ですが、音響的な演出力に秀でていたあちらに対し、この作品はメロディの良さが特に際立っているように思います。

この作品、メロディにおける、「叙情・哀愁」と「鬱・絶望感」のバランス感覚が凄く良いんですよね。単に物悲しかったり、救いが無かったりするだけでなく、例えば不安感や嘆き、虚無感などの様々なネガティブな感情が、渦を巻いているような印象。その様をトレモロだけでなくリードフレーズも交えたギターワークで、非常に美しく描いてます。

鬱ブラックとしては展開に起伏もあり
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GRIMOIRE-À la lumière des cendres ★★★ (2014-09-21 12:17:52)

2010年発表の1st。

バンド名の「Grimoire」は魔術書を意味する単語ですが、出音としては自然崇拝系のアトモスフェリック・ブラックに近い印象ですね。若干篭もり気味なバンドサウンドに、神秘的な音色のキーボードが絡み、メロウで美しい情景を演出していく作風。この手としては、バンドサウンド部分にオールドスクールな色が強いのが、少し珍しい気もしますね。バンドサウンドの歪め方も、耳に痛くないRawさで個人的にはかなり好み。

もう一つ、特記したい事項としては、メロディが非常に美しい事ですね。バンドサウンドをヴェールで包むように、神秘性を与えていくキーボード、涙腺に来るような泣きも感じられるトレモロの相乗効果でメロウ度が半端なく高くなってます。3曲目のピアノインストの儚さなんかも絶品。調べてみると、CSEJTHEのメンバーが関与しているという事で、なんか納得。ただ音作
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BARBAROUS POMERANIA-Bloody Mystery of War God ★★ (2014-09-21 12:15:04)

2011年発表の4th。

日本人からすると、「やたら攻撃的なポメラニアン」を連想して微笑ましくなってしまうバンド名ですが、実際は「ポメラニア」はポーランド~ドイツにかけての地域で、かつてポメラニア公国があった場所だとか。そんな地名をバンド名に掲げるだけあって、世界観はペイガン色が強く、漢臭く好戦的な音。ファーストインプレッションで抱くような可愛いイメージは全くありません(笑)。

作風としては、近年のGRAVELANDが近いでしょうか。そこまで主張の強くない音のバンドサウンドに、北欧の戦場の冷たい空気感が流れ込んでくるような冷たいキーボード、ペイガニズムを直接的に描写するようなSEが絡み、どこか神話的な景観を描くようなアトモスフェリックなペイガンブラック。

ただ、GRAVELANDが結構思い切って景観を描くことに徹してるのに対し、こちらはメロディや
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HAGL-Irminsul ★★★ (2014-09-20 21:24:43)

2011年発表の2nd。

バンドロゴやアートワーク等から、なにかマイナー臭というか、垢抜けなさみたいなものを感じていたんですが…音を聴いたら土下座して謝りたくなりました(笑)。これはメロディックさとブルータリティ、そしてアングライズムがバランスよく共存した、メロブラやペイガンブラックとしてかなりの良盤なのではないでしょうか。

ブラックメタルらしい寒々しいトレモロを基調としつつ、スラッシュメタル由来のキレの良さや、正統派メタル由来のドラマティックさも感じられるリフを聴かせる作風は、初期~中期DISSECTIONに近いでしょうか。ただしこちらは、ペイガニズムをテーマにしているからか、メロディに民族的な哀愁が感じられるのも特徴ですね。お祭り系の笛などの導入は無く、あくまで民族色はギターメロに練りこんで聴かせる感じ。

そしてDISSECTIONと異なるの
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SAMMATH-Godless Arrogance ★★★ (2014-09-20 21:19:37)

2014年発表の5th。

バンド名の字面から何となくイカツイ印象を受けてたんですが、中身もばっちりイカツかった(笑)。大量の岩が山の斜面を転がり落ちるかの如き、聴き手を圧倒するようなブルータル極まりないドラミングに、多用される刻みリフが音に厚みと血腥さを加え、更なる暴虐に発展していく凶暴性の強いブラックメタル。イントロ無しでいきなり始まるので、訳も分からず問答無用で戦場に放り出されたような感覚に。

有無を言わさずぶっ殺す系の、ブルータルな音ではあるんですが、それが綺麗に整いすぎた音ではなく、リフのブラック特有の生々しいノイジーさも込みでなのが、また良いんですよね。決して甘くならない程度に、神秘性を感じるメロディをトレモロリフに込める辺りも上手いと思う。個人的には、何気にヴォーカルのギャーギャー喚くような声も好きなんですよね。悪魔が世界を呪う産声を上げているよう
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KURSED-In the Labyrinths of Death ★★★ (2014-09-19 22:10:56)

2010年発表の1st。
既に脱退しているようですが、この作品ではドラムでTHE LAST KNELLやANIMUS MORTISのN. Onfray氏が参加。

デジパック内側の声明文に、「全ての形態の死のアートを支持せよ」とありますが、これは地でそれを実践しているような作風ですね。地下臭さを色濃く残した、ややノイジーでRawな音作りに、陰鬱さとメロウさの同居したトレモロが映える、鬱要素のかなり強いブラック。かつてのBURZUMソックリな裏返り系絶叫も、負の感情が込められていて胸を打ちます。

この作品、死霊を思わせるコーラスが入ってたり、基本は不気味さに特化した、鬱系の音なんですけど、何気にドラムがかっこいいんですよね。カンカンと抜けの良い音で存在感があるだけでなく、緩急付けた展開に合わせての押し引きが上手く、メリハリのある曲作りにかなり貢献してるように
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DEADLY FROST-Voices from Hell ★★ (2014-09-19 22:07:56)

2012年発表の1st。
これまでにデモやスプリットは数多く出しているようですが、フルアルバムとしては初。

個人的に、このバンドの音を聴いて思い起こしたのはアメリカのABSUですね。スラッシュの影響を色濃く残した、刻みリフを多用しテンションの高い、ダーティな熱気を孕んだ感触はあのバンドと通じるものがあると思う。ABSUが時々演るような、痴漢にあった女の子の悲鳴を思わせる、ブラックにそぐわない素っ頓狂なハイトーンが聴けるのが、あのバンドを想起した大きな要因かもしれません(笑)。

ただし、ABSUはキレの良いリフ捌きと、テクニカルな演奏、持ち前の暴虐性で特に近年エクストリームメタルとしてはかなりメジャーな作風になってきていると思いますが、このバンドはRawで地下臭いムードや、カルトでインモラルな空気感を重視していて、プリミティブ志向が強めなのが大きな違いです
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THE LAST KNELL-Æon Vmbra Genesis ★★★ (2014-09-18 20:51:22)

2011年発表の1st。

南米のブラックってオールドスクールなバンドが多い印象で、このバンドも少々プリミティブ的なRawさはありつつも、基本オールドスクールなブラックを演っているんですが…このバンドの音は、その「オールドスクールさ」が、凄く丁度良い按配なんですよね。昔ながらのブラックメタルのスタイルであることは間違いないんですが、MAYHEMの「De Mysteriis~」やGORGOROTHの初期作など、黎明期でもスラッシュと完全に分化され、固有のジャンルを築き上げつつあった時期のシーンの音に近い作風。

極端なノイジーさや反復だったり、過度なメロディアスさやブルータリティだったりに頼ることなく、ひたすらにブラックど真ん中の音を浴びせていく様はストイックさすら感じるほど。ただ、完全に黎明期ブラックの作風をなぞったという訳ではなく、カオティックなリフ捌きがあった
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NOCTEM-Oblivion ★★ (2014-09-17 22:26:42)

2011年発表の2nd。

これはかなりレベル高いですね。デスラッシュ由来の突進力とメロディアスながらギラついたギターワークを軸に据え、ブラックメタル的な甘美な邪悪さを秘めたメロディ、デスメタル的なダイレクトなブルータリティと、エクストリームメタルの各ジャンルの良い所を上手く合わせたかのような、質の高い作品で、ちょっと前のトイズファクトリーなんかが聴いたらすぐにでも日本盤をリリースしそうな感じの、メジャー感のある音。所々で聴ける寒々しいトレモロに顕著ですが、メジャー感ありつつもブラックの甘美さも備えてるのが個人的にはツボ。4曲目の中盤のリフとか完全にEMPERORに影響を受けてそうだし。

エクストリームメタルとしては間違いなく一級品で、プロダクションも一聴してクリアかつヘヴィな、クオリティの高い音に聞こえはするんですが…実はこのプロダクションが一番の欠点かもしれ
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NON ESSENCE GENESIS-Genesis of the Fall ★★ (2014-09-17 22:20:01)

2013年発表の1st。
…ジャケ横にアルバムタイトルを書かない(ジャケ表にのみ記載)仕様はどうかと思います(笑)。一瞬セルフタイトルかと思って、それで登録しそうになりましたもん…。

黒をバックに、金色でバンド名とアルバムタイトルの書かれたジャケットのシックなデザインからは、なにやら気高そうな雰囲気が伝わって来ますが…実際はブラストビートを多用した、ややノイジーで凶暴なブラック。まああ激烈ブラックのAD HOMINEM絡みという事でお察しですが(笑)。この作品、ヘヴィメタルとブラックメタルとしてのバランスが、なかなか面白いことになっているように思います。

楽曲自体は、キメを多用したり、ブラストで畳み掛けるだけでなく、ミッドテンポのパートも魅力的に聴かせる緩急の付いた展開を見せたりして、ヘヴィメタルとしてのドラマティックさも申し分なし。しかしギターリフに極
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中山七里-ヒートアップ ★★★ (2014-09-16 10:04:34)

2012年にハードカバー、2014年に文庫化された小説。

文庫化にあたって再購入し、読み返してみたんですが、やっぱり中山七里さんの作品は面白いですね。ハードカバーでの最新刊「アポロンの嘲笑」にはかなりガッカリだったんですけど、この作品の文庫版を読んでそれを再認識しました。まず驚いたのは、麻薬取締捜査官が主人公という舞台設定ですね。今までの中山さんの作品って、作中において「音楽」が重要なキーになるものが多く、どこか上品な印象があったんですが…まさかこんな泥臭い刑事モノ(厳密には主人公は厚生労働省所属の公務員だけど)を書くとは…。

今までと舞台は大きく異なっても、中山さんの作品の特徴である、「キャラ立ちした登場人物」と、「スリリングな展開」、「リーダビリティの高い読み口」は変わらないのが素晴らしいです。今作も、麻薬の中毒性が効かない特異体質を持ち、おとり捜査も辞さ
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KAOTEON-Veni Vidi Vomui ★★★ (2014-09-16 10:03:14)

2011年発表の1st。

個人的に中東のブラックって、剣呑な雰囲気を持ってる事が多い印象なんですが、このバンドの作風は正にその印象に当てはまりますね。メンバーの写真を見なくても、如何にもイカツイ男どもが演ってるのが伝わってくるような、デスメタル的な攻撃性、スラッシュメタル的な炸裂感の強いブラックで、サタニズムを説くよりも凶器で殴り殺しにくるかのような音。

ただし、そんな剣呑さとは裏腹に、サウンドクオリティはかなり高く、抜けの良いドラムの音が楽曲の炸裂感を更に助長しているのが良いですね。時にハイなテンションでアジるようにがなり、時におぞましさすら感じるように呻き、時に鋭くノイジーな叫びを聴かせるヴォーカルの表現力もなかなかのもの。リリース元のOsmoseはデス色も強いレーベルという印象ですが、このダイレクトに攻撃性を伝える作風はレーベルカラーにも合致すると言える
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ÆVANGELIST-Omen Ex Simulacra ★★ (2014-09-16 10:00:08)

2013年発表の2nd。

これ、カルト臭という点では他のデス/ブラックの追随を許さないものがあるのではないでしょうか。基本的には、低音の効いた、ドス黒く禍々しい雰囲気を醸し出す、サタニックなデス/ブラックという感じなんですが、それを圧縮し押し潰したような音作りが最大の特徴。この音作りのせいで、バンドの音が何やら訳の分からない、邪悪さのみを放つ黒い塊になってしまったかのように聞こえます。

パッと聴いた感じ、ひたすらに黒く塗り潰すような音の塊という感じなんですが、良く聴くとリフにデスメタル的な、ドロドロした蠢きが感じられるのがまたおぞましさを煽るんですよね。そこにクワイア風のサンプリングや、洞窟の底から響いてくるかの如き低音咆哮が重なり、より邪悪なムードを濃密さを増していきます。最早終末的な光景しか見えてこないというか、今正に恐怖の大王でも降臨してるんじゃないかっ
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ATRUM EXTEMPLO-L'Ira dell'Arcano Manto ★★★ (2014-09-13 22:43:31)

2013年発表の1st。
日本のレーベル、Hidden Marlyからの発売。

作風は、最早どこからどう聴いてもプリミティブブラック以外の何物でもないっていうくらい、立派にプリブラの要件を満たしたブラック。氷の礫が吹き付けてくる様を連想させるような、刺々しくノイジーでありながらメロディを殺さないリフの音色、そんなリフの音色に負けないくらい歪んだ、エグいがなりを聴かせるヴォーカル…完全に厭人感・厭世感剥き出しの音ですね。

ジャケなどは如何にも黒魔術の儀式でもやってそうな雰囲気ですが、そんなサタニックな禍々しさも感じさせつつ、私は北欧プリブラ的な「寒々しさ」も強く感じるんですよね。ラストのアルペジオが入る箇所なんて正に凍死寸前、エンディングのインストで走馬灯が見えそう(笑)。また、ノイジーな音質とシンプルな構成によるプリブラ特有の陶酔感を演出しつつ、ドラムが
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SALTUS-Słowiańska Duma (2014-09-13 22:35:49)

99年発表のデモのCD化再発盤。
2001年と2004年、今までに二回再発しているそうです。

SALTUSと言えば、EMPERORのトリビュートアルバム「In Honor of Icon E」に「Curse you all men!」で参加したことで有名なバンドですね。今年出たEMPERORの1st再発盤の限定仕様にそのトリビュートが付属していたこともあって、結構このバンドの音自体を聴いた事のある人は多いんじゃないでしょうか。その音源や、近年の作品ではデス的なヘヴィネスやソリッドさを手に入れているようですが、この時点ではまだデモという事もあって、かなり荒削りな感じの音。

作風は、ペイガン方面に大分寄った感じのメロディックなブラック。ブラック特有の土着性が、サタニックな禍々しさではなく、ペイガン/ヴァイキング的な勇壮さに繋がっているタイプですね。…ぶっちゃ
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HAMMEMIT-Spires over the Burial Womb ★★ (2014-09-12 20:06:41)

2008年発表の、改名後は初となるフルアルバム。
EMIT時代も大量のデモやスプリット、音源集などをリリースしていたものの、フルアルバムは一枚のみだったようなので、実質的にはこれが2枚目という扱いになるのでしょうか。

改名前はブラックメタル/ダークアンビエントのバンドとして認知されていたらしいですが、この作品はメタル要素はほぼ皆無で、完全にダークアンビエント方向に舵を切ってますね。一応ディストーションギターの音色を加工したようなノイズも一部で使用してはいますが、基本はダークな音色のキーボードと、サンプリングなどを丁寧に組み合わせた、暗黒で頽廃的なアンビエント。

このアルバム、出音は完全にダークアンビエントながら、端々にブラックメタルへの敬意のようなものが感じられるんですよね。例えば1曲目のサンプリングの裏で密かに鳴っている、火花が散るようなノイズ、微妙に
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SUN OF THE SLEEPLESS-Poems to the Wretches Hearts ★★ (2014-09-12 20:02:11)

99年発表の3曲入りEP。

私は未聴なんですが、ネオフォークのシーンでは相当知名度の高いバンドであるEMPYRIUMのメンバーによる別プロジェクトという事で、大分叙情的な音を想像してましたが…何の前触れもなく刺々しいノイジーリフの洗礼を受けて驚きました(笑)。ヴォーカルも憎々しさ全開の絶叫スタイルですし、全体的に音に人を寄せ付けないようなノイジーさが感じられます。

ただし、そのノイジーなリフには、出自から分かるような土着的な哀愁メロディがたっぷりと練り込まれていて、実は相当にメロウな音。アトモスフェリックなキーなどの導入もありますが、基本ギターによるメロディが強く、それがブラック独特の寒々しさを強く感じさせます。樹氷の林立する中で吹雪が吹き荒れているかのような、自然の猛威を音で描いているような作品。

ちなみにこの作品は何処から見てもブラックメタル
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KRIEGSMASCHINE-Enemy of Man ★★★ (2014-09-11 19:44:45)

2014年発表の2nd。

基本的な路線としては、真性でどす黒いシリアスな雰囲気満点のブラックメタルで、レーベルで言うとAgoniaやWorld Terror Committee、Daemon Worship辺りが好みそうな感じ、関連バンドで言えばMGLAに近い音ではあるんですが…この作品はそれを踏まえつつ、ブラック特有の焼け付くようなリフをミッドテンポで聴かせることに特化し、より「どす黒い情景を描写する事」に重きを置いたような作風ですね。

疾走やメロウなメロディに頼らないスタイルですが、ドラムのそれだけでも邪悪さを感じられそうなダークなグルーブ感、リフのどす黒さの中に有機的な蠢きを感じられるようなグロテスクさなどもあり、この手の暗黒な音が好きであればまず退屈はしないであろうと思われます。ひたすらに黒く蠢くリフで情景を塗り潰しに掛かる様は、ストイックというか最早
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INFERNO (CZECH)-Black Devotion ★★★ (2014-09-11 19:39:52)

2009年発表の5th。

「チェコのINFERNOが素晴らしい」とは聴いてましたが、確かにこれはかなり良いですね。ブラックメタルとしての衝動性や宗教的な甘美さと、メタルとしてのクオリティを両立させた、どす黒く堂々とした音は「Sworn to the Dark」「Lawless Darkness」期のWATAINを思わせますが…こちらの方が甘美な邪悪さにおいて若干譲る代わり、よりオールドスクールで辛口に仕上がっている印象。直接衝動を叩き込んでくるような攻撃性の高さ。

こういうどす黒く真性な雰囲気を出すバンドは最近少なくないですけど、この作品はその中でも「楽曲の良さ」がかなり際立っているように思います。特にギターがメロウなメロディを奏でるインストの「Loyalty of Honor」から、EMPERORの「Ensorcelled by Khaos」へのリスペクトと
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MASSEMORD (POLAND)-The Madness Tongue Devouring Juices of Livid Hope ★★ (2014-09-08 20:09:54)

2010年発表の3rd。
関連バンドのNIGHT OF THE WORLDが素晴らしかったので、より古参のバンドであるこちらも聴いてみたんですが、こちらはかなり独特の世界観を持つブラックを演ってますね。

1曲で約35分という極端な構成も然る事ながら、その殆どをブラック特有のジリジリとした焼け付くようなリフと、破滅を告げる警報の如き不吉なメロディをミッドテンポに乗せて聴かせるパートに割いた曲作りも、世界観の演出への並々ならぬ拘りが感じられますね。「ただただ無残な光景が繰り広げられるだけの音」という感じで、ウォークマンで聴きながら歩いたら地面は焦土に、通行人はみんな死体に見えてしまいそうなドス黒さ。「大量殺人」を意味するバンド名は伊達じゃないです。

ただ、演ってる事はマニアックとしか言い様が無いですけど、それを表現する手腕の質は非常に高いです。ヴォーカルはN
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MASSEMORD (POLAND) ★★ (2014-09-08 20:08:46)

「大量殺人」を意味するバンド名を冠したブラックメタルバンド。
ノルウェーにも割と知名度の高い同名バンドが存在しますが、こちらはポーランド産。

COLORLESS FOREST-Those Who Come with the Rain ★★★ (2014-09-08 20:03:38)

2013年発表の2nd。

ミディアムテンポを中心に、ブラック特有のノイジーなギターリフと、アトモスフェリックなキーボードを融け合わせ、アンビエントな雰囲気を演出するブラックメタルで、手法としては昨今珍しくもないんですが…音の持つ重層感や、それによって演出される瞑想的で破滅的なムードなどは、似たような系統のバンドの中でも頭一つ抜けているのではないでしょうか。

このバンド、とにかく音による雰囲気作りが上手いです。まるでピアノの低音鍵盤をまとめてガーンと叩いた時の、あの腹に来るダークな響きの音を、引き伸ばしてバンドサウンドに絡めたかのような、音響に質量感が感じられるプロダクション。この音が、楽曲のネガティビティや神秘性に、強烈な説得力を持たせていて素晴らしいんですよね。ただ、音に膨らみがありすぎて若干音割れしているようにも聞こえますが…これはうちのスピーカーが悪いの
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COLORLESS FOREST ★★ (2014-09-08 20:00:02)

ロシア産アンビエントブラック。
メンバーの別プロジェクトWORTHLESS LAMENTが今年日本のレーベルから1stをリリースした事も記憶に新しいバンドですね。

HATE PROFILE-Opus II: The Soul Proceeds ★★★ (2014-09-06 17:14:04)

2013年発表の2nd。
BLACK FLAME、DEAD TO THIS WORLD、JANVSの現メンバーでSLAVIAやDISIPLINにも在籍した経験を持つ、M:A Fog氏がドラマーとして加入してからは初のフルアルバム。

北欧ブラックに通じる暗黒性を感じさせつつも、ギラついた不穏さを漂わせるリフ、凶悪に歪みつつも切れ味鋭くがなるヴォーカル、音のクリアさが楽曲の冷徹なムードを強調するプロダクションなど、近年のSATYRICONを思わせるハイクオリティなブラック。SATYRICONはロックのリズムを取り込む事で新たなファンベースを獲得しましたが、こちらはブラストも多用する、よりダイレクトな攻撃性に重きを置いた音なのが大きな違いですね。

SATYRICONは「Rebel Extravaganza」で極端なスピードと無機質な感触で近未来的な世界観を演出
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MYRD-Forbandet Fra Foedsel (2014-09-06 17:05:57)

2011年発表の2nd。

これ、CDショップから帰ってきて、戦果を確認がてらスピーカーで流し聴きしていた時は駄目だと思いました…なにぶん音が小さすぎて…。小さい音の作品アレルギーな私にはキツい作品なんですが、聴き返してみると存外に味が出てくるアルバムであるように思います。

ヴォーカルがMAKE A CHANGE…KILL YOURSELFやNOCTURNAL DEPRESSIONに関わっていた事からも予想される通り、鬱っ気の強い、Rawでミッドテンポ中心の、オールドスクールなブラック。ヴォーカルのやたら潰れた声質、小さな篭もった音のバンドサウンドといいやたら閉塞感の強い音。カビでも生えてきそうな薄暗さ。良く聴くと、アンビエント要素を強める前のBURZUMに影響を受けてると見受けられる箇所がある辺り、味があって良いんですよね。

…とは言っても、やっ
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NUMENOR-Colossal Darkness ★★ (2014-09-05 00:45:59)

2013年発表の1st。

シンフォニックなキーボードによる、ヴァイキングメタルにも通じるスケールの大きい華美なクサメロが、大仰なドラマ性を演出するエピックでメロディックなブラック。バンド名は指輪物語の中の五芒星の形をした島の名前から取ったらしく、ヴァイキングメタルそのものと比較すると、メロディは土着性よりもファンタジックな傾向が強い感じがします。

特筆すべきはそのファンタジックなメロディで、インスト明けの2曲目イントロのシンフォ具合から既に悶絶。そしてサビでクリーンに歌い上げられる、これまた大袈裟なメロディにまた悶絶。そもそも、この曲の「ジ・エターナル・チャンピオン」という曲名からしてクサいです(笑)。攻撃性もある程度備えており、暴虐な疾走と持ち前のクッサクサなメロディが絡む「Chronomancer」はアルバム随一の名曲。

ギターワークはどちら
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中山七里-アポロンの嘲笑 (2014-09-05 00:44:06)

つい先日発売された新刊。
…彼の作品は新刊が出るたびに買ってるんですが、今まで、一度として面白くないと思った事は無かったんですよね…ですが今回初めて、「イマイチ」だと思ったかもしれません…。ハードカバー新刊で買ったんだし、ちょっとくらい批判してもいいですよね…。

まず今作、プロット自体が正直面白くないです。
原発作業員の同僚を刺殺し移送中に逃走、ある目的を持って原発を目指す邦彦と、それを追う刑事の仁科の二つの視点で物語が進行していく訳ですが…邦彦が原発に辿り着くまでの間に様々なトラブルに巻き込まれたり、人生を回想したりする展開が本編の8割を占める構成は正直どうなんでしょう…。読んでも読んでも原発を目指して移動してるだけで、ストーリーの停滞感が半端ないです。一応、刑事視点で事件の真相を追う部分もありはしますけど…。

今作は3.11直後の福島を題材にし
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NIGHT OF THE WORLD-Drive the Knife Deeper ★★★ (2014-09-04 19:10:37)

2013年発表の1st。

これは凄まじくかっこいいですね。現DECAPITATEDのドラマーで、MELECHESHのライブメンバーも務めたという、若くしてひとかどのキャリアの持ち主であるML氏や、FURIAやMASSEMORDなどポーランドでも知名度の高いブラックにも所属するNTR氏らによるファストブラックという事で、当然クオリティの高さが期待されますが…それを満たした上で、更に期待以上のものを聴かせてくれてると思います。

この作品、他のファストブラックと比べても、「キレの良さ」が段違いなんですよね。完全に元の声が分からないほどエグく歪ませつつ、歯切れ良いリズムで言葉を吐き出すヴォーカル、単に速かったり、暴虐だったりだけではない、テンションの高さを感じさせるドラム、スラッシュ由来の切れ味やダイナミズムをたっぷり含んだリフが上手く噛み合い、聴いていて血が沸き立つ
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THE TRUE ENDLESS-Legacy of Hate ★★★ (2014-09-03 23:41:39)

2013年発表の6th。

一言で言うなら、「攻撃性」にパラメーターを極振りしつつ、クオリティの高さも備えたブラック。メロディを主張するよりもエクストリームメタル本来の苛烈さを叩き込むような攻撃的なリフ、蹴散らすような音色のバスドラムが心地良い、グルーブも感じさせつつ暴虐極まりないドラミング、ゴリゴリでえぐい音のベースが絡み、大地を焦土に変えるかの如き猛烈なテンションの高さで蹂躙していく作風。

潰れた声で憎しみを込めるようにがなるヴォーカル、バンドサウンドの暴虐を余すことなく伝えるクリアな音質もあり、ブラックとしては攻撃性がかなりダイレクトに表われている感じですね。ただし、攻撃性「極振り」で、「全振り」な音ではないのがミソでしょうか。リフはメロブラと比べるとかなり辛口なものの、一部にギターソロや管楽器、クリーンヴォーカルなどが取り入れられており、楽曲ごとに個性を
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THORNS OF BEAUTY-The Libra ★★★ (2014-09-02 22:17:38)

2011年発表の1st。
シンフォニックブラックをベースにインダストリアル要素も取り入れているという、国産バンドとしては珍しい作風のバンドですね。個人的な印象としては、良い所とそうでない所がはっきりしているアルバム、という感じですね。

まず特筆したいのは、どこか高貴さと自己陶酔感を感じさせるような、マイルドなクリーンヴォーカルですね。完全にEMPEROR期のIhsahnのスタイルに影響を受けている、声楽的で張りのある歌唱。マイルドなクリーンを取り入れるバンド自体は少なくないですけど、これくらい陶酔的で張りのある声は結構レアだと思う。このノーブルなクリーンボイスだけでも買う価値あり。時々おっさんめいたイガラっぽいダミ声でメロディ追うのは、まあご愛嬌で(笑)。

そしてシンフォニック・ブラックの生命線であるメロディのセンス、これがまた素晴らしい。こちらもIhs
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NAHAR-The Strange Inconvenience ★★★ (2014-09-01 03:30:19)

2013年発表の2nd。

前作では基本的にプリミティブブラックの形式を取りつつも、サイケデリックなアプローチを見せていましたが、今作ではスラッジ/ドゥーム方面に大きく接近、更にサイケで暗黒な路線へと舵を切ってきましたね…。暗黒なエナジーで塗り潰すような引き摺り系のリフと、やたら真に迫ったがなりヴォーカルが、純度の高い闇を生み出していくようなサウンドで、作風を変えつつも更に暗黒度を高めてきたという印象。

スローテンポが中心で、最早スラッジ要素がブラック要素より色濃いくらいの音ですが、ギターリフには元フレンチプリブラらしい色気のようなものがあるのが良いですね。神経が引き攣るようなフレーズ、どす黒い靄で包み込むようなフレーズなど、ノイジーな引き摺り系リフをベースにしつつしっかり変化を付けられている感じ。所々で聴ける、強烈なサイケデリックさを発散する、幻惑的なアルペジ
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PEST (SWEDEN)-The Crowning Hprror ★★★ (2014-08-30 19:42:46)

2013年発表の4th。
これ、何気に凄くセンスの良い作品なんじゃないでしょうか。

路線としては、オールドスクールなプリミティブブラックを更に先祖返りさせたような感じで、ブラックとしては飛び道具とも言える正統派なヘヴィメタル/ハードロック要素を取り入れた音。クリーンなど取り入れることは無く、いかつくドスの効いたがなりをカマす硬派なヴォーカル、スウェディッシュらしい叙情を感じさせつつ、ホラーな色合いも濃いメロディセンスなど、暗黒メタルとしての妥協を許すことは無く、変に温くなったりすることなくHM/HR由来の熱気を取り入れられているのが素晴らしいと思う。

元々アングラなブラックって、曲を構成するパーツが限定されるだけに楽曲が似通ったものになりがちですが、その点この作品は上手く回避出来てますよね。如何にもプリミティブブラック然とした、寒々しいトレモロを伴う疾走
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GREY WATERS-Below the Ever Setting Sun ★★ (2014-08-26 23:23:22)

2010年発表の5曲入りEP。

WOODS OF DESOLATION、AUSTERE、GERMなど、鬱ブラック好きには知名度の高いバンドの関連メンバーによるプロジェクトですが、こちらはブラックメタル的な要素は殆どなく、メランコリックなメロディを大フィーチャーした鬱っ気のあるロックで、ヴォーカルもマイルドなクリーン。一般的なロックよりやや強めな歪みのギターと、そこに込められた哀愁深いメロディが鬱ブラックの出自を感じさせます。

流石に鬱ブラックで名を馳せたメンバーがやっているだけあって、ムードの醸し出し方のセンスは一級品。個人的にはOPETHの「Damnation」やGREEN CARNATIONの「The Acoustic Verses」アルバムの雰囲気を、ディストーション強めなギターによるアプローチでやっているような印象。ただこの2作に比べると、雰囲気の演出
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OIZYS-Hymns to the Furies ★★ (2014-08-23 23:02:05)

2010年発表の1st。

オーストリアの女性ブラックメタラー、Witch氏による独りブラック。今でこそ女性のブラックメタラーも珍しくないですけど、流石にこういう独りブラックは珍しいですよね。ブックレットの裏の猫の写真は彼女の飼い猫でしょうか。かなり可愛いです(笑)。…その下にトレンドへの反感を露わにした声明文を載せても、逆効果な気がしてしまいますが(苦笑)。

ブックレットの猫は可愛いですけど、やってる音楽は可愛さの欠片もない邪悪なブラック。ギターの残響音が渦巻き不気味な霊場を形成しつつ、霊性が垂れ流されるようなメロディと老婆魔女の囁きのようなヴォーカルが不気味さを更に増幅させる、オカルトめいた雰囲気漂う音。一応バンドサウンドの体ではありますが、感覚としてはアンビエント系のブラックに近い印象で、このカルトな音像の中にあっては鳴りの悪い、打ち込みっぽいドラムの音も
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VOLUNTARIA-Solitary Songs ★★ (2014-08-23 22:58:30)

2010年に発表されたデモ「Solitary Songs to Leave This World Behind」を、改題してCD化再発したもの。リリースは鬱ブラックの名産レーベルSelf Mutilation Servicesから。このCD版も500枚限定。

鬱ブラックって、感情を込めて絶叫するヴォーカル、トレモロや平坦系、アルペジオなどによる鬱屈したメロディ、陰鬱さを強調する遅いテンポ…と、ほぼ形式が固定化されてるジャンルだと思うんですよね。その中で個性を出そうとすると、それらの要素を深く追求するか、もしくはそれらを踏まえつつ異なる音楽的要素を加えるかに分かれる印象ですが、このバンドは前者のパターンですね。

特にヴォーカルは、途中嗚咽しているように聞こえるほど感情を込めた叫びでありながらも、変に声が細くないのが良いですね。少なくとも、滑稽に聞こえないレベルで
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東野圭吾-マスカレード・イブ ★★★ (2014-08-23 22:55:03)

一昨日(2014/8/21)に発売された新刊。
発売日に買って速攻で読みました.

先日文庫にもなった「マスカレード・ホテル」の主人公であるホテルクラークの山岸尚美と、刑事の新田浩介が主役の短編を4本収録した、オムニバス形式の作品。タイトル作品は主人公二人の直接の絡みこそないものの、二つの視点で事件を見る形でなかなかにスリリング。前作の内容に直接繋がるのはエピローグくらいなので、先にこっちを読むのもそれはそれでアリかも。

…やっぱり東野圭吾さんの作品って、安定して面白いですよね。特に今作は短編集という事もあって、長編よりも語り口が軽妙で、それがエンターテイメント性をより強めてますね。「それぞれの仮面」における主人公と相談者のボケと突っ込み的なやりとり(山岸「(私は藁かよ)」)といい、「マスカレード・イブ」の狼狽しまくる容疑者といい、長編時にはあまりみられな
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