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朽木の灯 / ムック
Usher-to-the-ETHER ★★ (2004-09-03 18:40:00)
2004年発売の4thアルバムで、メジャーでは2枚目となるフルレンス。
…いきなりですが、これは凄い作品だと思います。前作に当たる「是空」が迷いを抱えながら
戦っている感じだとすると、今作の「朽木の灯」は全力で殺しにきている雰囲気、
とでも言えば良いでしょうか、全てにおいてパワーアップしています。
まずムックの世界観を支える歌詞ですが、前作では技巧に走った詞だったり、
音楽活動を続けるに当たっての決意や迷いについての個人的な詞が多かった感じがしますが、
今回はメディアに対する思いや幼少の頃の思い出など、テーマが広がった感じがします。
また偽りの「前向きさ」に対する嫌悪など、攻撃的なテーマの歌詞も扱っているのが
ロックっぽくて気に入りました。やっぱりロックには反骨精神が無いと(笑)。
特に思うのは達瑯さんの作詞能力の向上ですね。
前作はかっこいい言葉を使おうとし過ぎて滑っていた感がありますが、
今回は「誰も居ない家」「溺れる魚」のようにストーリーを紡ぎながらも叙情性を
出した曲が多く、リスナーを曲の世界に取り込むのに一役買っていると思います。
また、前作の延長線上にある造語などを使った「暁闇」も滑っている感は全くなく、
幻想的な世界観と心情描写を両立させた素晴らしいものに仕上がっています。
サウンド面での進化も見逃せません。
「是空」のレビューでは「この作品のノリのよさと葬ラ謳の作り込み具合が融合したら
素晴らしいものが出来そう」のような事を書きましたが、この作品はそれを地で行っていると思います。
是空の演奏のダイナミズムはそのままに、更にアレンジにドラマティックさが加わったように感じました。
ギターリフもいつも通り殺傷力抜群ですが、今回は高揚感や寂寥感を醸し出すメロディアスで
繊細なタイプのリフも弾いていたり、聴かせるタイプのギターソロが増えた所も嬉しいです。
ヴォーカルの表現力も凄まじく、特に「朽木の塔」のラストの慟哭パートでは
ノルウェーのブラックメタルの連中にも引けを取らない程の殺気を感じました。
あんなヴォーカリゼーションを使えるアーティストは他に知りません(笑)
…色々ぐだぐたと書きましたが要は素晴らしいアルバムって事です(笑)
まだV系好き、ヘヴィロック好きにしかアピール出来ていない印象がありますが、
興味があるならば是非を問わず購入を勧めます!!絶対損はしないと思います。
それにしても、コンスタントにクオリティの高い作品を発表するムックは
凄いアーティストだなぁ、と改めて思い知らされました。これからも期待です。
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