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Mirrors / BLUE OYSTER CULT
火薬バカ一代 ★★ (2008-04-16 06:12:00)
ウェスト/コースト・ロック風のソフト&メロウなサウンドが、ファンの間で賛否両論を巻き起こした、5th『SPECTERS』の
路線が更に押し進められた、間違いなくBLUE OYSTER CULTの作品史上、最大の問題作と言うべき'79年発表の6thアルバム。
プロデューサーに、CHIEP TRICKとの仕事で知られるトム・ワーマンを起用、ブリティッシュHR的な暗さや重さを
排除したサウンド・プロダクションの下、如何にもアメリカのバンドらしい、抜けるような青空を想起させる、
乾いた雰囲気がアルバム全編を包み込む作風は、従来の屈折した叙情性や劇的さが大幅に薄れ、
ポップでコマーシャル、且つアコースティカルな方向へと大きく足を踏み入れた仕上がり。
その口当たりの甘さゆえ、初めて聴いた時は余り好きになれなかったのだが、どっこい、今ではBOCのアルバムの中でも
五指に入る程お気に入りの1枚である本作。その最大の理由は、やはり強力なフックを備えたメロディの魅力であり、
特に、スウィートで爽やかなバラード③は、このバンドのポップ・サイドの魅力を余す所なく伝える名曲。
また、小粋で洗練された曲展開が魅力の⑤以降、哀メロとへヴィネス、そしてドラマ性のバランスが絶妙な⑥⑦、
LED ZEPPELINを彷彿とさせる(女性コーラスのフィーチュアも効果的な)⑨・・・と、このバンドならではの個性と、
優れたポップ・センスが巧みに組み合わされた楽曲が並ぶ、アルバム後半の聴き応えは半端じゃない。
手っ取り早いヒットを目論むレコード会社の横槍で、ポップでコマーシャルな作風に仕上がってしまったと言われる本作だが、
この楽曲の充実振りを聴くにつけ、メンバーもかなりノリノリで作曲作業に勤しんだんじゃないのかなぁ、と思わざるを得ないわけで。
BOCの作品としては、間違っても最初に聴くべき作品ではないが、かと言って「問題作である」という事を理由に無視するのは、
余りに勿体無さ過ぎる、優れた内容を誇る1枚。

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