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葬ラ謳 / ムック
Usher-to-the-ETHER ★★ (2003-11-22 18:49:00)
私の人生の中で、「このアルバムほど素晴らしいCDは後にも先にも存在し得ない!!」
と言って憚らない程の完成度を誇るアルバム。
とにかく歌詞が良く、将来への漠然とした不安を歌った③、周囲に合わせて作った自分と
本当の自分との乖離のリアルな苦しみが伝わる⑤、他人の痛みを理解出来ない奴等への
憎しみをぶちまけた⑫、父親の死を歌ったものであろう⑬などが、若さゆえの瑞々しい感性と
類稀な情景描写によって描かれています。
こう断言するのはやや乱暴な気がしますが、このアルバムを最後まで聴いて何も感じない人は
よっぽど能天気で平和ボケしているか、感性が欠落しているといっても過言では無いと
言い切れる程の心を突き刺す歌詞になっています。
肝心の楽曲の方ですが、これもホントにクオリティが高く、分かりやすく喩えるなら
ミクスチャーロックの激しさとフォークの叙情的メロディを混ぜたような音楽で、
倍音を駆使して歌うボーカルの力量にも目を見張るものがあります。
また、このアルバムはサビへのブリッジ部分にかなりこだわりが感じられ、
そこにも耳を傾けて欲しいところです。
静から動へのドラマティックな移り変わりが格好良い④、アルバム随一のキャッチーさを誇る⑥、
彼らの卓越したアレンジセンスが光る「およげ!たいやきくん」のカバーである⑨、
まくしたてる様なラップの要素も感じられる⑪、重々しい演奏と呪詛のような
ボーカルが恐ろしい⑭と、「捨て曲」とは全く無縁のアルバムです(ただ、メロコアが
嫌いな私にとって⑩はちょっと好きになれないです…)。
月並みな表現になってしまいますが、「死んだら棺桶に入れて欲しい」アルバムです。
ミクスチャー然とした七弦ギターと五弦ベースのへヴィな音には耐えられないと言う人以外には、
自信を持ってお勧め出来る作品だと思います。
ちなみに、初回盤はメロコア風の新曲「世界の終わり」、歌詞がダークなフォーク「夢の街」、
メンバーによるコメントを収録したボーナスCD、2ndプレスには「絶望」のプロモーションビデオが収録されています。
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