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Fire Breaks the Dawn / PROUD
火薬バカ一代 ★★ (2009-12-17 23:06:00)
北欧メタル・ファンの間で「隠れた名盤」として今に語り継がれる、スウェーデンはランツクルーナ出身の
5人組HMバンドが唯一残した'84年発表のデビュー作。
アルバムの作風をバッチリ伝える暗く怪しげなアートワークと、『情炎の白夜』なる邦題が非常に良い味を出している本作。
'93年に国内盤がCD化された際には速攻お店に買いに走りましたが、一聴して最初の感想は「音悪っ」(苦笑)。
Voもお世辞にも歌が上手いとは言えず、音質の酷さと拙い歌唱が相俟ってアルバムの貧乏臭さに拍車が掛かってますが、
しかし、それが一体なんだと言うのか。デビュー当時「虫歯になりそうなぐらい甘い」なんて評されたのは、
このバンドだったかSKAGARACKだったか忘れてしまったが、ともかく甘美にしてドラマティックなツイン・リードGを
前面に押し出した、北欧のバンドらしいリリカルな叙情性と、NWOBHM由来の攻撃性が丁度良い按配で
組み合わされた楽曲の数々が放つ鮮烈な輝きは、そうした諸所の欠点を差し引いて尚、霞む事はない。
個人的には、ツインGがメロディアスに切り込んで来るOPナンバー①のイントロを聴いた瞬間「買って良かった~」と
目尻を下げましたが、本作はそれ以降も、ラストを締めるシャープな疾走チューン⑧に至るまで優れた楽曲が目白押し。
これでシンガーがもっと上手かったら最高だったのに・・・と思わなくもないが、歌唱力は兎も角、このVoが朴訥と歌う
マイナー調のメロディは、本編の寒々とした空気を引き立てる役割を果たしていて切り捨て難い味わい有り。
正直なところ荒削りで垢抜けない作品だし、とても万人向けの代物ではないが、日々、泣きメロ/クサメロの探求に
余念がないメロディ愛好家の方なら、間違いなく生涯お付き合いしたくなる魅力を秘めた1枚かと。

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