この曲を聴け!
Hvis lyset tar oss / BURZUM
木札 ★★ (2007-06-03 02:42:00)
様式美という言葉で型を重視するメタルと、無形でBGMのようなアンビエント音楽、この相容れないふたつを「空虚」を接点にして結び付け、新たなダークメタルの創造/ブラックメタルの礎を築いた歴史的に偉大な存在、それがBURZUMであると思います。
で、これは94年発の、アトモスフェリックブラックの決定的なスタイルを提示した3rdアルバムだと思いますけど、前作からメタルらしいエッジもフック消え、フレーズの反復が冗長なほど繰り返されて、時間は①14分②8分…③8分……④14分……zzz…と、他の作品を知らなければ間違いなく単調で冗長で稚拙な0点メタルでしかないですけど、インストとしてもあまりに長い④「TOMHET」を他の曲と同次元の曲として違和感なく捉え、時間感覚を怠惰の域まで無理矢理遅くして聴くと、このアルバムは、見てはいけない虚無の世界を、死の瀬戸際まで近付いてまでメタルに落とし込もうとした、半分肉体・半分霊魂のようなアルバムとして気に入るはずです(…そんなことする必要は、本当に全くないんですけどw)。「聴く」と「浸る」を同時に起こさせるバランスで成り立っているというか。実体があるようで、ない。
単調さを補うかたちで目立って用いられ始めたシンセに、この後さらにBURZUMの中に膨らむ空虚の侵食を見ます…。
個人的に、盲目的に疾走する憎しみが、いつしか哀しみとなって空虚の中に吸い込まれていく③の感動的なドラマはメタルBURZUMの究極型、アウトロは涙なしに聴けない(誇張アリ)。
あと…ブラックメタルとしてシンセが「チープ」なのが最悪、という酷評がどうやらあって、おそらくその評価の反対には「ゴージャス」なシンセ、具体的にはDIMMU BORGIRやEMPERORやANOREXIA NERVOSAがあるんでしょうしそれはもっともな意見ですけど、そういう評価軸だけではなくて、暗く、不気味な(豪華にすればするほど輝いて見えなくなる)陰の感覚もブラックメタルの魅力のひとつだと思うんで、ま、ここはひとつ希望を投げ捨ててw、このチープさが良いと錯覚できるまで聴いてw、 BURZUMによる空虚で哀しい世界を愛して頂きたいです。
気合入れて書いたらあまりに長くなりました。駄文失礼しました。
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