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Cultösaurus Erectus / BLUE OYSTER CULT
火薬バカ一代 ★★ (2008-04-23 21:28:00)
NYにて、ビクター・ヴァン・パールマン教授によって発見された、幻の大恐竜カルトザウルス・エレクタスの
復元図をジャケット・アートワークに用いた、'80年発表の7thアルバム。
明るく、ポップでコマーシャルな作風が、「血迷った」とファンからエラく不評を買った6th『MIRRORS』
(個人的には愛して止まないアルバムなんだが)の出来を反省したのか、名手マーティン・バーチをプロデューサーに起用、
前作から一転して、へヴィ・メタル然とした疾走感や重さを取り戻した内容に仕上がっている本作。
「エターナル・チャンピオン」シリーズ等で知られる、SF作家のマイケル・ムアコックが歌詞を提供した
(というかエリック・ブルームの話だと、一緒に食事した時に「歌詞を書いたんだけど、使ってくんない?」と
いきなり渡されたらしい)、重厚でスケールの大きなOPナンバー①からして、その傾向はハッキリと表れていて、
他にも、ダイナミックな曲展開が魅力な(↑の方同様、例のフレーズにはちょっと笑った)⑤や、軽やかに疾走する⑥などを
聴くにつけ、このアルバムが、折からのNWOBHMムーブメントに沸くイギリスで高く評価され、ヒットを記録したという話も
大いに納得が行くというもの。ジャケットのユーモア・センスも、何となくイギリス人の好みっぽいし。
また、その一方で、アコギを用いたソフト&メロウな④、ドラマティックなピアノの調べが印象的なラスト・ナンバー⑨を筆頭に、
『SPECTERS』『MIRRORS』の頃を思わせる、メロディへの拘りも随所で確認でき、決して、へヴィ一辺倒の大味な作品に
なっていない辺りがニクイ。特に、サックスをフィーチュアしたジャズ風味の前半を経て、後半は劇的且つ華麗な疾走へと
転じる②は、BOCというバンドの美点が余すところなく表現された、彼ら屈指の名曲の1つではなかろうかな、と。
BOCのアルバムの中ではイマイチ影の薄い作品ながら、聴き応えは十分。

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