この曲を聴け! 

L'Araignée-Mal / ATOLL
うにぶ ★★ (2003-02-13 00:51:00)
原題で書くと何がなにやらわかりませんが、アトール『組曲「夢魔」』といえば「ああ、あれか」という人も多いかと思います。フランスのプログレ・バンドの2ndアルバムにして、ユーロ・プログレの超有名盤です。
もう邦題のかっこ良さと、奇怪で幻想的なアートワーク(むか~しの天野喜孝みたいに感じました)を見ただけで、聴いてみたくてたまらない気持ちにさせられてしまいます。
で、実際聴いてみると、内容はシンフォニックなジャズ・ロック風味のプログレッシヴ・ロック。
ヴァイオリンが導入されていて、不気味で不安を煽るようなメロディを奏でたり、マハビシュヌ・オーケストラみたいに緊迫感のあるプレイを聴かせてくれてかなり好みなんですが、この人はゲスト扱いらしいです…。
緊張と弛緩を繰り返して丹念に組み上げられていく楽曲は、プログレならではの味わい深さ。
しかしメタルを聴き慣れた耳には、ほんわかした雰囲気の曲が多くて刺激が足りないし、テクニカルで複雑な曲でもあんまり激しい感じではないので、正直ちょっととっつきにくかったです。メロディもいまいちとらえどころがない印象。
でも日本語の曲名「悪魔払いのフォトグラファー」「恍惚の盗人」「思考時間」「夢魔」「狂った操り人形」等々からイメージを広げて耳を傾けると、けっこう楽しめます。あと各曲が数パートに分かれてて、それぞれに魅力的な題がついているんですよね~。まるで不可思議な夢のような感触を曲から感じてしまうのは、ジャケ絵と曲名の発する雰囲気のせいかも。トータルなイメージで楽しみたいアルバムです。
プログレらしく難解な大作曲が入っていて、そこらへんで敬遠する人もいるかもしれませんが、物語性の強い音楽に魅力を感じる人ははまると思います。
ちなみに「仏のイエス」なんて言われて売り出されてたらしいですが、そんなにイエスっぽい印象はありません。

→同意