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Live in Moscow / URIAH HEEP
杉本 剛 ★★ (2008-03-18 23:18:00)
EQUATORリリースから3年半近くも経過して、突然新メンバーでのライヴ・アルバムとは不思議な気がしたものだが、更にスタジオでの後入れ等の処理までされている事が明らかに判ってしまう部分がある事にも首を傾げてしまう。現地調達の機材での録音があまりよくなかったことは容易に想像できるが、新ヴォーカリストが入っては抜け、活動不可能な時期がしばらく続いた彼らは、当時あまりよい状態ではなかった事も事実だ。これらを踏まえれば、このアルバムの価値は、このような状態にあった彼らが当時奇跡的とも思えるモスクワでのライヴを、連日満員にして更に追加公演まで行ったという記録の証明であるという事だ。当時の西側ロック・バンドで初めてのモスクワ公演を実現した事で、ユーライア・ヒープはその後の多数のバンドの先がけとなり、歴史に名を残すバンドとなったのだ。そういった歴史的価値を考えれば、サウンドをとやかく言うことは大したことではないのかもしれない。往年のヒット曲の合間に入っている新曲に違和感を覚えることも否定できないが、それでも彼らがこの偉業をきっかけに精力的な活動を再開したことを喜ぶべきなのだろう。新メンバーのバー二ー・ショウの伸びのあるヴォーカルとフィル・ランゾンのキーボード・スタイルは、80年代ヒープのハード・ポップ・スタイルを踏襲しながら、新しいサウンドをも担っていたことが容易に理解できる。
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