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Ænima / TOOL
青山ボウイ ★★ (2006-07-01 00:53:00)
卓越したカリスマ性、独自の精神世界、
それにもかかわらず時代性も並行したモンスターアルバム。
一体前作から何が起こったのか。ベース一人チェンジしただけで
これだけも印象が変わるバンドがいるだろうか。
いや、変化の原因はメンバーチェンジなどではないだろう。
単純に言えば、表現の切り口が変わったという印象である。
漠然と存在を意識させてきた暗黒面が今作ははっきりと体感できる。
前作で感じた曲の中の贅肉をそぎ落としてしなやかにした感じ。
ぼわーんっとしてた前作の曲の核に明確なヴィジョンが備わったと言うべきか。
それは「UNDERTOW」のブックレットに掲載されていたデブ中年から
今作のそれに掲載されたヨガに勤しむ人間に切り替わった感じと言っても良い。
肉体のグロさ、そんなものが紡ぎ出される長尺な曲には一切感じられない。
それはメイナードの無感情なボーカルが一因かもね。
とにかく無感情。冷たい。安心も無く、冷たい。
怒りと取って良いのかもわからない荒だたしい情景も垣間見れる。
しかし疲労感のあとに爽快とも不完全燃焼とも取れる印象が続く。
もしかして彼らは表現のネタがありすぎて戸惑っているのかも。
それを第三の眼として「無理やりこじ開けて」しまったのかもしれない。
それはアメンボさんが言う「表現の内面を表に引っ張り出した」とも近い印象なのだ。
まぁ空論に近い主観的な意見ですけれどもね。
僕はこのアルバムに
東洋的なエスニックさを取り入れたところに妙な心地よさをどうも感じる。
かき鳴らされる音は不安とも怒りとも爽快とも取れない。
聞き続けてもそれは見えてこない気がする。
このアルバムは無理やりTOOLの精神世界を第三の眼から覗かせてくれた、
ほんの一部のようだ。
カリスマ、それがそこには確かにある。
→同意