この曲を聴け! 

Restless Heart / WHITESNAKE
H・W ★★ (2010-02-26 03:25:00)
「Slip Of The Tongue」の曲が、実はほとんどエイドリアン・ヴァンデンバーグのペンによるものなのだということを、僕はたまに忘れる。
奇人変人ヴァイの存在感が強烈だから、あのアルバムはそのイメージしか無いが、よく聴いてみると、あのアルバム、元ネタの時点で結構ハードでヘヴィだと判る。
別に、「Gambler」のような渋い曲を、ヴァイが無理やりド派手に作り変えたというわけでもあるまい。
何が言いたいかというと、いかにエイドリアンが「ブルース回帰」を標榜したところで、あの時点では、どう転んでも初期の作風を彷彿とさせる程の渋さに戻ることは無かったのだ。
そう考えると、このアルバムで見せる恐ろしいほどの地味路線について、一体何がそうさせたのか、と首を傾げたくもなる。
ぶっちゃけ、それなりに御歳を重ねたお二人が、アコースティックアルバムを経由して、すっかり「そっち方向」に流れていったというのが真相なのかもしれない。
そういえば、このアルバムをして、「初期のような作風」というのも、ちょっと違う気もする。初期のホワスネは確かに曲は渋いが、中に宿している魂はとても若くて熱い。対して、このアルバムは曲は渋いし、魂も渋い。疲れている、というのではないが、ちょっと萎びた感じさえする。
あんまり、ステージに立って大観衆の前で歌うことを想定していないような感じ、とでも言おうか。
それこそ、「スターカーズ・イン・トーキョー」のようなシチュエーションで披露するのが真っ当な楽しみ方のような感じを受ける。
それを思うと、「商業的な成功から少し距離があって、少人数によるアコースティックライブなんかも踏まえつつ・・」という当時の環境が思いっきり創作活動に影響を与えた、という線も考えられなくは無い。
このアルバムを聴いていると、当時のWSをめぐる環境が、過去、彼らが置かれたどの時代よりも、萎びた境遇であったということなのかもしれないなあ、などと思い返されたりもするのだった。

→同意