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Coma of Souls / KREATOR
火薬バカ一代 ★★ (2006-08-08 21:53:00)
「おおぅ、こりゃ本当にパワー・メタル・アルバムだ」と、思わず感心してしまった、'90年発表の5thアルバム。
とは言っても、メロスピ/メロパワ・バンド宜しく、ミレ・ペトロッツァが朗々とハイトーンVoで歌い上げたり、
楽曲自体がメロディアスになったりする筈はなく、触れれば切れそうな疾走感も、高い殺傷力の誇るシャープなリフも、
ミレのヒステリックなシャウトも健在。それより寧ろ、とにかく勢い重視で、無軌道に暴走しまくっていた(そこが大きな魅力だった)
初期作品に比べ、楽曲の枠組みがキッチリ定まり、その枠内で「タメ」と「疾走」を繰り返しながら、
ダイナミックに盛り上がっていく曲展開、そして、これまで以上に流麗に、欧州へヴィ・メタリックな
ドラマ性に満ちたメロディを紡ぎ出すGの存在が、非常にパワー・メタル的なカッコ良さを感じさせる。
これを「大人しくなった」と不満に思う硬派スラッシャーも多かろうが、個人的には、前作「EXTREAM AGGRESSION」辺りから
明確になってきた、敢えてスピードよりも完成度の高さを追求する姿勢を支持したい。
特に(その甲斐あってか)アルバム前半の楽曲の充実度は半端でなく、中でも、JUDAS PRIESTの“THE HELLION"を
思わせるイントロを持つ⑤“TERROR ZONE"は、様式美的な「起承転結」がドラマチックな盛り上がりを演出する、
本作のハイライト・チューンとでも呼ぶべき逸品。
次作「RENEWAL」が、かなり実験色の濃い作品だったことを考えると、本作は、初期KREATORの集大成とも言えるのではなかろうか。
(ここから、1stアルバムへ向かって遡って聴いていくのが、KREATORの本質に迫る近道じゃないかな、と)

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