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JUDAS PRIEST

YOSI(実家) ★★ (2004-08-21 01:02:00)
The Slipperさんの意見はするどいところです。そうVoとしてフロントマンとしての資質として見逃せないのは歌メロ、そしてソングライターとしての資質です。これに関して僕の考察を述べさせてもらうなら・・・。ロブの歌メロに関する貢献というのは半分だと思います。ロブはキャッチーな歌メロを作ることができる。それはFIGHTやHALFORDを聴けば明らかです。しかし同時にロブの歌メロは僕にとって、彼固有の超人的な音域に頼りすぎて平坦で単純すぎると聞こえます(PRIEST脱退後)。PRIESTにおいて歌メロというのは、かならずしもロブの超人的な音域と性質だけにたよるものではなく、時には低い音域で、時にはシンプルなメロディで、時に複雑で、非常に多彩だった。PRIESTにおける歌とは、バッキングの上に普通に乗るだけではなく、それ自体がリズムでありリブであり効果音であり、非常に楽器的な使い方だった。これはグレンが常に主張していることであり、また作曲クレジットを見て、情報を集めればわかるのですが、PRIESTにおけるメロディとは必ずしもロブだけが作っていたのではないのです。たとえば初期の名曲THE RIPPERやHELL BENT FOR LEATHERにはロブのクレジットはなくグレンのみで作曲も作詞も担当している。LIVING AFTER MIDNIGHTはグレンが一晩中あのリフを弾いていたら、ロブがそれに歌詞を付けて完成したという曲ですが、しかしあの曲、リフとメロディがほとんど同じです。さらにHALFORDでのインタビューでロブは、彼自身が楽器はまったくできず、楽器陣のアレンジには関われないと明言しています。正直ギターとかベースとかコードを付けられる楽器がなくては作曲というのは非常にやりにくいのではないでしょうか。もちろん楽器とか音楽理論が出来なくても作曲に関わっているミュージシャン、つまりVoはいますが、その場合は多くは歌詞やイメージや雰囲気を、楽器が出来る人間に伝えて具現化してもらっていることが多いはずです。The Slipperさんの例に挙げるフレディなんかはピアノが弾けるからOKというわけです。それらがなくてVoだけが歌えるだけでは、正直今までに歌ったことがある歌メロの変形とか、ある程度コードやリズムやリフが決まった曲に合わせる形でしか曲がかけないはずです。だからロブはソロにおいて、ソングライターとなるパートナー、ギタリストなどを必要とし、しょっちゅうバンドメンバーを変える必要があるのです。そしてPAINKILLER的歌メロとかSENTINELっぽい歌メロとかが多いわけです。当然もとネタが良いから魅力的だし、ロブの声と歌唱力は最高です。しかしかつてのPRIEST時代のロブがそうであったように、アルバムごと、曲ごとの、これまで聴いたことのあない突拍子もない歌い方、声の使い方があまりない。過去の何かを思わせても。そしてロブのいなくなったPRIESTでは、確かにJUGULATORはメロディアスな作品ではなかった。しかしそれをいうならBRITISH STEELだってそうだったし、つまりリフとリズムを主眼に置き、歌もリフやリズムや効果音の役目を担う作品だったということではないのでしょうか?そしてその中でもBURN IN HELLやCATHEDRAL SPIRES、BULLET TRAINなどは極めて魅力的な歌メロをもっていたという事実です。特にCATHEDRAL SPIRESはPRIESTの中でも屈指の叙情的でドラマティックな歌で、PRIESTにはそれまでになかった立体的なコーラスを導入した曲です。さらに次のDEMOLITIONではアルバム全般において、ロブが歌ってもまったく違和感のないメロディはおろか、ディオやムスティンやジェフ・テイトやブルース・ディキンソン的なメロディも披露されていた。つまり別に歌メロというのはシンガーが書くだけではないのです。グレンは歌も歌え、歌詞が書け、ピアノも弾け、編曲、プロデュースが出来るマルチプレイヤー・ソングライターです。確かに本人の歌は下手だけど、たとえば映画監督や脚本家が演技が上手くて男前である必要はないでしょう。俳優が監督をかねることもあるけど、そんなに多くはない。リッチー・ブラックモアやイングウェイはVoにメロをかかせることはたまにあるけど、ほとんど自分がこう歌いたいというメロディを歌わせている。リッチーにとってロニーとは、「自分が歌えたらこう歌いたい」という歌を自分の考えたとおり歌ってくれる存在なわけです。PRIESTの作品解説や資料を読んでも、「グレンが曲をかき」、「ロブが歌詞を作る」というのが、実はPRIESTの構図であり、曲作りにおけるグレンの絶対的支配力こそが、実は一番新参者でよそ者たるグレンがPRIESTの作曲クレジットの筆頭にくる理由であり、またロブがPRIESTにあって音楽的に中心になっておらず、それに納得しつつも、やはり一度は自分が曲作り、方向性の全てにおいて中心者になってみたいという思いが、ソロ活動になり脱退につながったというのが僕の推測です。自分が好きなように音楽性を決定出来、曲に反映させられるなら、誰がバンドを脱退しようと思うのか?仲たがい以外の原因でバンドが分裂するのはたいていこれです。つまり僕はロブの声自体の魅力と、歌詞の魅力(僕は日本人なのであまり理解できませんが)には期待しても、ロブが名ソングライター・歌メロメイカーだとは思ってません。それが「半分期待」というわけです。ロブが中心になったほぼ唯一の曲「死の国のかなたに」が確かに名曲なのですが、逆に言えばそれだけともいえるわけで。新作はいつも通りグレンが主導なら、過去の名作のようにDEMOLITIONのように、いつもどおりのすばらしい作品だと信じています。