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Shadow King / SHADOW KING
火薬バカ一代 ★★★ (2024-11-25 23:44:14)
せっかく「SHADOW KING」なんて中二心をくすぐるバンド名を名乗ったのに、演っているのはファンタジー要素とかヒロイックなドラマ性とかとは無縁の、地に足の着いた大人のロック。何よりメンバーがFOREIGNERを脱退したばかりのルー・グラム(Vo)、DIO以降はなかなか安住の地が見つけられずにいたヴィヴィアン・キャンベル(G)、ルーの盟友にして作曲面で多大な貢献を果たすブルース・ターゴン(B)、KISSの裏方ドラマーを務めていた時期もあるケヴィン・ヴァレンタイン(Ds)って、顔触れが渋過ぎるだろ!と’91年の発売当時は若気の至りでスルーを決め込んでしまったSHADOW KINGの1stアルバム。
ところが時が経って改めて聴き直すと、これが実にグッと来る作品であったことに気付かされた次第。ミドル・テンポの楽曲中心に構成された本編は地味といえば地味。それでも押しと引きを心得たヴィヴィアンのダイナミックなGプレイ(レコーディングを手伝うだけの筈がいつの間にか正式メンバー扱いされていて困惑したそうですが)や、重厚にボトムを支えるリズム隊の仕事ぶりもあって、そのサウンドは落ち着き過ぎることなくHRのエッジが効いていますし、適宜Keyを取り入れた収録曲には大衆受けするキャッチーなポップ・センスもしっかりと息衝いています。中でもクールな哀愁を纏った都会派ロック・チューン③は思わずハッとさせられる名曲。この曲に限らず、単に音程が取れるとか高い声が出せるとかいった上手さだけではどうにもならないタイプの楽曲も難なく歌いこなしてしまうルー・グラムのシンガーとしての実力にゃ改めて感服させられますよ。
スーパー・バンドの宿命に則り、短命に終わってしまったことが惜しまれる1枚です。

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