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No Jive / NAZARETH
火薬バカ一代 ★★ (2024-08-28 00:35:58)
英国の重鎮NAZARETHが、オリジナル・メンバーのマニュエル・チャールストン(G)の脱退、後任としてビリー・ランキン(G)の出戻りという陣容替えを経て、セルフ・プロデュースでレコーディングを行い'91年に発表した18thアルバム。
とはいえ、申し訳ないことに血気盛んなメタル野郎だった当時はNAZARETHに対する興味はほぼゼロ。「まだやってたんだ」か、せいぜいで「GUNS ‘N’ ROSESのアクセル・ローズに影響を与えたベテラン・バンド」「ARTCHやARTILLERYが“RAZAMANAZ”をカヴァーしてたっけ?」程度の認識ぐらいしかなかったのですが、今もって現役を続行し新作までリリースする意気軒高ぶりをアピールする彼らゆえ、本作においても老け込みとは無縁。ダン・マッカファーティ(Vo)の特徴的な塩辛声を生かして、溌剌と疾走する③⑩あり、骨太なGリフをフィーチュアしてヘヴィに押し出してくる②⑥あり、枯れた哀愁にグッと来るバラード④あり、英国産ならではの魅力を湛えた二部構成からなる⑨あり、ジョニ・ミッチェルの“THIS FLIGHT TONIGHT”を再カヴァーした⑪あり…といった具合に、現役感と熟成感を程好く併せ持ったHRサウンドを自然体で奏でてくれて新鮮な印象を与えてくれます。中にはあからさまにヒット狙いの⑦みたいな(初期ファンが耳にしたら仰天しそうな)楽曲もあったりするのですが、バンドへの思い入れのなさが奏功してか普通に「ポップ&キャッチーで良い曲だなぁ」と感心させられたぐらいですよ。
これがNAZARETHの最高傑作なんてこたありませんが、噛むほどに味わいが増していく、ベテラン・バンドの技前が堪能できる一作に仕上がっています。
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