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Michael Bolton / MICHAEL BOLTON
火薬バカ一代 ★★★ (2022-09-22 00:09:34)
70年代後半にリリースした2枚のソロ・アルバムも、元KISSのブルース・キューリックと結成したBLACKJACKも不発に終わってしまいキャリアの岐路に立たされていたマイケル・ボロティンが、名前をマイケル・ボルトンと改めて’84年に発表した仕切り直しのソロ・デビュー作。邦題は『大いなる挑戦』。
どっぷりメタル・ライフに浸かりきっていた身には「バラードの帝王」の作品なんて興味の範疇外もいいところでしたが、《燃えよボルトン》という香港功夫スターばりに威勢の良い帯惹句と、「実はこの時期のボルトンはHRシンガーだったらしい」との情報に釣られて本作を手に取ってみれば、Keyが印象的に跳ねるOPナンバー①は何とTOUCHのマイク・マンゴールドが手掛けているじゃありませんか。この幕開けだけでガッチリとハートを掴まれてしまいましたね。
ボロティン時代のソロ作とは異なり、渋めのブルース/ソウル色は控えめ。ゲストに迎えたボブとブルースのキューリック兄弟が奏でる骨太なGや、楽曲をキャッチーに色付けるKeyを生かしたメロディアスHRサウンドは、『FRONTIERS』を発表した時期のJOURNEY辺りに通じるハードネスとメロウネスが絶妙にブレンドされています(チャック・バーギやアルド・ノヴァもゲスト参加)。特に躍動感溢れる曲調にフックの効いたメロディが絡む⑥や、都会的な哀感とクールさ漂わす⑧は、本作の(というかこの頃のマイケル・ボルトンの)魅力を凝縮した名曲と言えるのではないかと。
スルーされがちな1枚ですが、個人的には愛して止まない名盤です。

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