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Groundbreaker / GROUNDBREAKER
火薬バカ一代 ★★★ (2022-03-08 01:05:57)
ベテラン・シンガーと、お抱えの気鋭ミュージシャン/ソングライター達を組ませニュー・プロジェクトとして次々デビューさせるのがFRONTIERS RECORDSの得意技。今回白羽の矢が立ったのは、FMのスティーヴ・オーヴァーランド(Vo)、WORK OF ARTやW.E.Tでの活動で知られるロバート・サール(G)、そしてFRONTIERS RECORDS作品には欠かせないマルチプレイヤー、アレッサンドロ・デル・ヴェッキオ(Key)という顔触れ。
プロジェクト名はGROUNDBREAKER。名前だけ聞くとゴリゴリのパワーメタルでも演っていそうな感じですが、この座組であれば当然そんな筈もなく、’18年にリリースされた本デビュー作で披露されているのは、ポップで華やかなメロディアスHRサウンド。
面子が面子だけに完成度の高さは約束されたも同然で、その鉄壁の仕上がりに驚きや新鮮さは殆ど感じられないものの(むしろこの安定感こそが本作の魅力なわけで)、ただ一点だけ意外だったのは、スティーヴの持ち味であるブルージーなエッセンスがほぼほぼ排除されていること。本人も作曲には積極的に関与しているので、こうした作風はレーベルの意向を汲んだものと思われますが、透明感を湛えたAOR/産業ロック寄りの楽曲の数々を、流石の上手さで伸びやかに歌い上げるスティーヴのVoも乙なもの。特に躍動感溢れる曲調に爽やかなメロディが映えるアップテンポのロック・ナンバー③や⑩は、FMでは聴くことの出来ないタイプなので非常に新鮮で印象に残ります。
単発プロジェクトで終わるかと思いきや、'21年には2ndアルバムのリリースに漕ぎ着けており、そのことからも本作の評価の高さがお分かり頂けるのではないでしょうか。

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