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Silent Nation / ASIA
火薬バカ一代 ★★★ (2022-01-27 00:24:53)
'06年にオリジナルASIAの再集結が実現したため、ジェフ・ダウンズ/ジョン・ペイン体制によるASIAの最終作となってしまった’04年発表の11thアルバム。メンバーはダウンズ、ペインに加え、後にASIAハブられ組が結成したGPSにも参加するガスリー・コーヴァン(G)、それにAC/DCのクリス・スレイド(Ds)という面子。
まずビックリさせられるのは、ASIAのアルバムのお約束だった「Aに始まりAに終わる」タイトルが冠されていないこと。更にこれまでロジャー・ディーン、ロドニー・マシューズといった名匠たちが手掛けてきたアートワークも、ファンタジー色薄めの写実的なデザインに変更されていて、時節柄、これはもしかして流行りのモダン・メタル路線にでも手を出したのでは…?と嫌な予感を覚えたりしつつ聴き始めてみれば、別にそんなことはなく。いつも通りのASIA節が堪能できる仕上がりでホッと胸を撫で下ろしたという。
シンフォニックな味付けや、プログレッシブ・ロック然としたドラマティックな曲展開は抑え気味で、全体的に物憂げな雰囲気が漂ってくるのは00年代初頭作品っぽいと言えそうですが、それがむしろメロディの抒情味を増強してくれている面もあり、人肌の温もりを伝えるジョン・ペインのジェントリーな歌声も、リード楽器として楽曲を彩るダウンズの鍵盤捌きもしっかりと健在。特にグッとくる憂いに満ちたアルバム表題曲④は本作ならではの名曲と言えるのではないでしょうか。また③や⑨といったAISAの変わらぬポップ・センスが発揮された楽曲、ゴーヴァンの泣きのGが迫り来るバラード⑧等の冴えも特筆ものです。
この出来栄えでレビューの点数が50点台ってのは、そりゃ納得いかんわなぁ。
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