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Nude / CAMEL
火薬バカ一代 ★★★ (2021-12-28 00:35:59)
フランス映画『ONODA』を見たことでふと聴き直したくなって引っ張り出してきた、CAMELが'81年に発表した9thアルバム。邦題は『ヌード~Mr. Oの帰還』。
太平洋戦争終結後も29年間にわたりフィリピン・ルバング島に潜伏し続けた日本兵、小野田寛郎(タイトルの「ヌード」は「オノダ」のもじりなのだとか)の実話に着想を得たコンセプト・アルバムであり、フジヤマの描かれた日本画調のジャケットこそジャパネスク風味全開ですが、音楽性に奇をてらった「和」のテイストは殆ど感じられないのでご安心を。いやちょっぴり残念なような?
徴兵から南方戦線での長く孤独な戦いを経て日本へ帰還…という波乱万丈のストーリーに対し、サウンドの方はほぼアンディ・ラティマー(G)のソロ・プロジェクトと化していたこの時期のCAMELの作風を継承する、淡くポップな抒情メロディに彩られた(例えばASIA辺りにも通じる)洗練されたプログレ・ハード路線。一発でハート鷲掴みというよりは、聴くほどにじわじわ作品世界に惹き込まれていく味わい深い仕上がりとなっています。
こうした作りに物足りなさを表明する向きもあるやもしれませんが、曲間を廃して流麗に紡がれていく本編の緩急演出にはしっかりと気は払われており、穏やかな曲想を基調としつつも冗長感は皆無。特にラティマーのエモーショナルかつ抒情的に歌うGも曲展開を盛り上げる④⑤、そしてプロレス・ファン的には思わず「前田コール」を送りたくなる⑪といった楽曲からは、プログレッシブ・ロックらしいドラマ性が迸っていますよ。
題材的にもクオリティ的にも、一度はチェックしておいて損はない名作ではないでしょうか。
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