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Gypsy Rose / GYPSY ROSE
火薬バカ一代 ★★ (2021-11-08 23:53:29)
浅草のベテラン・ストリッパーみたいなバンド名ですが、出身はスウェーデン。結成は80年代初頭まで遡るキャリアの持ち主にも関わらず、レコード会社の方針転換による活動の停滞や、一度の解散と復活といった離散集合を経て、ようやくこの1stアルバムのリリースに漕ぎ着けたのは'05年になってからという苦労人バンドです。
中心メンバーのマーティン・クロンルンドは、その間にプロデューサー/エンジニアとしてメキメキ頭角を現し(再結成WHITE WOLFやマッツ・レヴィンのDOGPOUND等にも関与)、今やトム・ギャレーのロック・オペラ・プロジェクトPHENOMENAの仕切りを任されるほど。そうした彼が本作においてクリエイトしているのは、カラッとキャッチーなメロディ、陰に籠らない躍動感溢れる曲調、合唱を誘うビッグなコーラスをフィーチュした、80年代アメリカへの憧憬がとめどなく溢れ出すポップ・メタル・サウンド。
北欧風味を期待する向きには肩透かしもいいところな作風かもしれませんが、フックを盛り込んだ曲作りにはこの道一筋の職人的センスが迸っており、特にキャッチーで爽快なコーラス・ワークに胸躍る③は、もう一昔前に発表されていたならば必ずやヒット・チャートを賑わしていたであろう名曲ぶり。悪声のVoは評価の分かれ目なれど、バラード④における熱唱を聴けばお分かり頂ける通り歌唱能力自体に不足はなく、何よりこのクセの強い歌声が本作の80年代感を底上げしてくれていると言えなくもないような?
尚バンドはこの後、シンガーを元ACCEPTのデヴィッド・リースに替えてアルバムのリリースを重ねていますので、よろしければそちらも是非。

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