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Mane Attraction / WHITE LION
失恋船長 ★★★ (2021-09-27 12:38:06)
当然の如く弾け飛んだメタルバブルブーム。過剰だったMTV移行時代に陰りも見え始めたヘアメタル勢。ガンズも最初はL.A軍団のように見られたが、程なくして違うベクトルを放つグループと目され一躍シーンのトップへと上り詰めた。
路線変更を余儀なくされたメインストリームバンドたち、メタリカもブラックアルバム出したしね。もう昔の名前で出ていますな作風は支持されないことは分かっていたでしょう。
オープニングでゴリっとしたヘヴィグルーブも押し出し変革を知らしめた新生ホワイトライオン。やはりお前もかと、当時は直ぐにラックの底行き、まともに聴くこともなく埋もれていたのですが、最近になり今作のデモ音源を丸々聴くこととなり無視していた今作と再度向き合う事となる。
オープニングこそ今までと違うんだというインパクトを残すが、マイク・トランプの唄うメロディラインは間違いなくホワイトライオン印、ヘヴィでファットな音像の中に繊細なフレーズを盛り込み、らしさを失わない90年代仕様へと変換していた。その後も、新旧も魅力を散りばめバンドサウンドを展開。懐かしの②を持ち出したり、⑤⑥と言った流れは叙情派スタイルを愛するものに寄り添い、このバンドの魅力を堪能、ソリッドでハードな⑦へと流れ込む展開に息を飲む。
トリッキーなフレーズを難なく弾きこなすヴィトのギターは健在、思わずコピーしたくなるような美味しいフレーズとテクニカルなプレイを披露と見せ場は多い。
とどのつまり、ホワイトライオンは何も変わっていなかった、メロディの質も叙情的なフレーズも、繊細でダイナミックなサウンドも彼等は捨てていなかった事に今更ながらに気が付くわけです。
静と動のコントラストを描いた⑦など、今作でなければ生まれなかった名曲であろう。前作が完成度の割には思うようなヒットを残せなかったバンドサイドの思惑、紆余曲折を経て辿り着いた今作も、完成度の高さに文句はない。アメリカ人が喜びそうなモダンなエッセンス、ZEPのようなブルージーさ、必然的に求められた時代にL.A風と古典ロックを上手く取り込み作り上げた今作は、見直されるべき一枚でしょう。
そんなことは知っているよというマニアも多いでしょうが、時代を対峙した今作にネガティブな感情をお持ちの方は再度手に取って欲しいねぇ。そんなに持ち出ししなくとも気軽に聴ける時代ですのでね。

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