この曲を聴け!
Paleozoic Times / DUNGEON CRYPT
kamiko! ★★★ (2021-09-01 01:06:15)
チェコ産ヘヴィメタル2020年作
地球上で最も先進的で挑戦的な音楽が生まれている国はチェコ共和国だと常々感じている。が、メタルに関しては超のつく辺境国というイメージがある。
アヴァンロックやジャズではハイクオリティなバンドが多い国なので、メタルもスゴいバンドがある筈だと思いつつ結構普段から気になる国なんですが
多くが驚くほどのポンコツ作品だ。ゴアグラインド路線は結構気になる作品はあるものの、結局チェコ産でゲットするのは非メタルの別路線作品ばかりである。
このバンドはそんなチェコ産ポンコツメタルのひとつではあっても、何故か愛情を注ぎたくなるボクのツボを突くB級以下のポンコツ宅録独りメタルだ!
試聴段階では笑いを誘うそのポンコツっぷりに愕然としたんですが、ラストまで聴いてしまった上、2ドル払ってデジタル作品をゲットしてしまった。
まず、ジャケのセンスが笑える。夏休みの水彩画の宿題のようなクオリティのジャケだ。針葉樹でもない何の木かわからない木々に囲まれた三差路の中央に
ヘタクソなトンボが大々的に描かれる。バンド名からイメージすると、3Dダンジョンゲームでトンボの雑魚キャラが現れた的なジャケ。ウケる。
サウンドはローテクでチープなエフェクトのミドルテンポ以下のメタルだ。ヴォーカルはまるでカラオケのエコーがかかったような風呂場ヴォーカルなんだが
全く凄みの無い唸るようなデスヴォだ。そんなヴォイスでありながら、ほんの少しメロディに乗せようとする歌い方が愛らしい。とりあえずこのバンドに愛着
を感じる点はこの憎めない魅力を秘めるヴォーカルである。このヘタクソなダサい演奏に風呂場ヴォイスが乗るサウンドに、何故か中毒性がある。
この作品の最大の山場は、ラストのMorticianのカヴァーである。Morticianは米産ゾンビゴアグラインドだが、ゾンビ化する前の初期作品から
Dead And Buriedという曲をチョイスしている。この曲はPV化される代表曲だが、人々に捕らえられた男性が火あぶりに遭う内容である。
曲の導入部分で、焼かれる男の悲愴感溢れる悲鳴が聴けるなかなかイタイ作品なんだが、それを真面目にコピッて宅録で再現しているところが笑える。
いやー、悶絶してしまいました。そのラストの曲を聴いて気付いたんだが、この人の歌唱はMorticianをかなり意識している。よほど好きなんだろう。
この作品はポンコツサウンドに一喜一憂できるマニアにしか理解できないサウンドなので、クオリティを求めるリスナーはお金を出してゲットしてしまうと
ものすごーく情けない気持ちになると思うので気を付けよう。ボクはこの作品だけでなく、前作にも2ドル散財しているが、何故こんなポンコツ作品に散財
してしまったんだろうと、後悔こそナイが、そんな自分の感性にゲンナリしてしまう。
ふと仕事中にこのサウンドが脳裏に浮かび、帰宅してつい再生してしまう。たぶん次作が出ればまた2ドル払ってゲットするだろう。
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