この曲を聴け!
Exitivm / PESTILENCE
kamiko! ★★★ (2021-08-22 19:40:53)
オランダ産オールドスクールデス2021年作
前作「Hadeon」(2018年作)で、Pestilenceの復活の兆しを見たので、今作は結構期待していた。彼らの作品でボクが認めるのは初期の神盤2作品
CONSUMING IMPULSE (1989年)、TESTIMONY OF THE ANCIENTS (1991年)である。前作はその当時のサウンドに回帰した上、新たな挑戦を感じる
ギターワークに感銘を受けた。但し、前作はまだ完成形とも思えず、良い頃の作品に匹敵するとまでは言えない、と思っている。
今作品、とりあえず1曲目を聴いた瞬間、前作1曲目に酷似しているリフの感じで、全く前作と同じ音楽性かと猜疑心が沸いてしまう。
ところが、決してそうではなかった。没入感と楽曲の作り込み度合いは、こちらの方が素晴らしい。かなり内容の濃い作品に仕上がっている。
Pestilenceのギターリフの特徴として、敢えてスッキリと帰結しない、2度間隔の移動を駆使して調性のわからないリフを刻む独特のクセがある。
また、前作から前面に出してきたギターソロ部分の摩訶不思議な旋律という、この2つの固有の手法を元に、複雑に曲を構成している。
Patrick Mameliの手癖も含めて、オンリーワンな個性である。調性不明な不安定さを綿密に計算、複雑怪奇に組み立てている頭脳派な楽曲だ。
ドラムの手数が多く、ヴォーカルの攻撃性が増していることもあり、疲労感が半端ナイのはマイナスだが、やっと本領発揮の渾身作が聴けたと感じる。
まあ、神盤2作品を超えるのは厳しいにしても、ボクは相当気に入っている。難点はまあいくつかあるが、当時と比較して最も差を感じるのは
ヴォーカルスタイルだ。当時は、やるせない嘆きのようなデスヴォイスにマゾっ気があって、疫病に感染しちゃった感が素晴らしかったのだが
現在は無駄に攻撃力があってサディスティックなところに違和感を感じる。コレ、当時のマゾヴォイスだったら、相当素晴らしい盤になったのでは?
と思うんだけどねぇ。
→同意