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Trespass / GENESIS
火薬バカ一代 ★★★ (2021-08-10 00:48:33)
IRON MAIDENのスティーヴ・ハリスが影響を受けたバンドとして名前を挙げていたことが切っ掛けで、ボンクラ・メタラーたる我が身も興味を引かれたイギリスのプログレッシブ・ロック・バンドGENESIS。本作は彼らが所属レーベルを替えて出直しを図るべく’70年に発表した2ndアルバム(邦題は『侵入』)。
入口がIRON MAIDENだけに、『創世記』なるカッチョイイ邦題に惹かれて最初に手を出した1stは素朴なフォーク・ロック寄りの作風であまりピンと来なかったのですが、ピーター・ガブリエルの繊細な表現力が冴えるVoと、クラシカルな気品を楽曲に付与するKeyの活躍に彩られ、静と動のメリハリが効かされたドラマティックな曲展開等々、サウンドが各段にプログレッシブ・ロック然とした色合いを強めた本作は、弱火でコトコト沸騰させていくようなOPナンバー①で早くもハートを掴まれてしまいましたよ。
10分越えの大作ながら、Gが展開を先導して楽曲をかっちりとまとめ上げることで、プログレ物にありがちな弛緩した空気を漂わせない⑥なんかは、確かにIRON MAIDENに影響を与えたであろうドラマ性の高さを誇っていますし、軽快に疾走する曲調に乗って儚い泣きメロが迸る②なんて、GENESISの数ある名曲の中でも上位に食い込む逸品だと個人的には思っとります。
フィル・コリンズやスティーヴ・ハケットが加入して役者が揃い、ヒット街道を驀進していく次作『怪奇骨董音楽箱』以降の作品に比べると影は薄いものの、GENESISとして個性が形成され始めた重要作として無視は出来ない1枚ではないでしょうか。

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