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Vertical Smiles / BLACKFOOT
火薬バカ一代 ★★ (2021-06-15 00:12:07)
脚フェチ歓喜のジャケットが目印、BLACKFOOTが'84年に発表した6thアルバム。
長らくツインGの片翼を担っていたチャーリー・ハーグレットが脱退し、後任は入れずに4人編成でレコーディングが行われた本作は、ピーター・セテラの“夢のライムライト”のカヴァー②が物語る通り、音楽性も音作りもメロディアスな方向に振れた前作『革命と混乱/SIOGO』以上に更にポップな方向へ傾斜。というか、その“夢の~”含めカヴァーを3曲も収録し、しかもそれがOPから連打される構成の時点で「何があったのよ?」と不穏な予感を覚えずにはいられません。そして案の定というべきか、これを最後にBLACKFOOTは解散してしまうことになるわけですが。(その後リッキー・メドロックのソロ・バンド状態で再編されたり、リッキーを除くメンバーで復活したりと紆余曲折を辿る)
なので「BLACKFOOT=NWOBHMが盛り上がる英国で人気を博した男臭いサザン・ロック・バンド」ってなイメージで挑むと間違いなく肩透かしを食う薄味な内容ではあるものの、メロハー作品と割り切ればこれはこれで結構なお点前。カヴァー曲①⑦にしてもなかなかのハマリっぷりですし――特に⑦はカッコイイ――、ボビー・バース&マイケル・オズボーンというAXE組の名前がクレジットされているポップな③(ボビーはこの後ケン・ヘンズレーの後任としてBLACKFOOTに加入)、キャッチーでノリ良いヘンズレーとの共作曲④といった秀曲も印象に残る出来栄え。そして何と言っても哀愁のメロハーの名曲⑤がアルバムに山場を作り出してくれています。
入門作品にはお薦めし難いとはいえ、さりとて無視するには惜しいだけの質の高さをしっかりと備えた一作ですよ。
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