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SPIT / OUTRAGE
失恋船長 ★★★ (2021-06-04 16:49:31)
前作は自分たちの音を求めてドイツに渡りレコーディング、プロデューサーにACCEPTのステファン・カウフマンを迎えて気合いが入りまくっていた。特に表題曲だったMY FINALDAYは爆裂感とキャッチーさが共存されており、新たなる代表曲の誕生であり、国産メタルの歴史に名を残すような名盤の誕生だった。
そして海外でのディールも獲得、順風満帆のようにも感じるが、時代は脱スラッシュを掲げシーン全体の潮目となる時期だった。それだけに御多分漏れずOUTRAGEも速さよりヘヴィネスさを要求されバンドサウンドは変貌。②のような濃密な曲もあるが全体的な印象は、アウトレイジお前もかである。
それだけに、リリース当時のワタクシは、このバンドから遠ざかり橋本直樹が脱退するまで彼等のライブに足を向けないと言う不義理を果たすことになるのですが(スリーピースなら違うサウンドになるのに異論なしです)、こちらもたっぷりと耐性がついた今ならば、この変貌を受けとめられる器量を身に着け違う意味で楽しんでいます。

スピード重視から重々しいサウンドへと軸足を置きスタイルを変えてきた意欲作。豊潤なバックボーンを持つメンバーが新たな引出しを開け表現した世界観は、違う意味で生々しい人間臭さを醸し出し、武骨なストロングスタイルの中で有機的な響きを打ち鳴らしている。
鋭利な感性よりも熟成された重量感を楽しめと言う事なのだろう。キャリアを重ねたバンドだから挑戦できた新機軸。今更ながら楽しんでいますよ。

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