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Extreme Cold Weather / MESSIAH
kamiko! ★★★ (2021-02-22 23:40:13)
スイス産スラッシュメタル1987年作
MESSIAHを初めて体験したのは高校時代友人が持っていたこの盤を聴かされた時だったが、当時は魅力がさっぱり理解できなかった。
スイスといえば、Hellhammer~Celtic Frost、Coronerというレジェンド級バンドがいるが、当時はメタル未開拓な辺境のイメージは持っていた。
国籍による情緒の違いを意識し始めた頃で、スイスメタルに興味を持った頃に初体験をしたワケだが、少なくとも音楽性よりもアンバランスなジャケの
インパクトがとにかく印象に残ったバンドだった。高校時代から随分経ってからこの盤をゲットしたが(たぶんリマスター盤で2002年ロシア盤)
ジャケが可愛いといって当時の女友達に持ち帰られすぐに紛失。昨年再び購入に至ったワケだが、とりあえず同じ作品を何度か体験してわかったのは、
原盤、2002年露リマスター盤、今回ゲットしている2018年独リマスター盤では、中盤以降の収録曲が異なっている。リマスター盤はそれぞれお得感があるが、
2018年独リマスター盤には迷曲Space Invadersが収録されているのが嬉しい。ちなみにロシア盤にはデモ時代の音源が数曲収録されていた。
もしゲットしたいと考えているなら、どのリマスター盤にするかをよく調べてからゲットして欲しい。
凍てついた氷の大地にホッキョクグマがいる実写のジャケに、トゲトゲしいバンドロゴが大胆に描かれる、メタルジャケとしては珍しいデザインである。
そのジャケのインパクトは絶大で、初体験時には全く理解不能だった世界観も、今となっては辺境メタル特有の味わいが感じられて素晴らしい。
ジャケのインパクトが強いため、そちらの話題性が先行しがちだが、MESSIAHの音楽は唯一無二の個性、激しさ、豪胆さがあり、ハマれば抜け出せない。
この盤のサウンドの特徴としては、低音をカットし中音域以上を強調したかのようなエクストリームなギターの音にディレイをかけた感じが他には無い個性を放つ。
また、デモテープ時代「Powertrash(1985年)」には、まるでHellhammerのような、ポンコツ紙一重でありながら魔性・暴虐さが前面に出た強烈な独創性があったが
そこで培われた豪胆さ、突発的な、爆発的な勢いがこの盤には宿っている。ジャケイメージが手伝って、ホッキョクグマの獰猛さを描いているように感じられて
とても深い味わいがある。また、一応ジャンルはスラッシュメタルとしたが、デモテープ時代にはアンチクリスチャン的な楽曲もあり、ブラックメタル要素もある。
ヴォーカルはどちらかというとブラックメタルスタイルだ。また、ドゥーミーな要素もあり、結構多彩な楽曲である。ギターソロは滅茶苦茶に掻き毟るような
勢い任せの激しさがある。同郷Hellhammer全盛期頃に世にデモテープが出ていることもあって、Hellhammerの影響を強く感じさせる音楽性である。
このバンドはマニア向けだとは思うが、地元スイスでは絶大な人気があるようで、その魅力はもっと広く知られて然りだ、と思う。

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