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The Symbol Remains / BLUE OYSTER CULT
火薬バカ一代 ★★★ (2020-12-24 01:11:28)
結局日本盤が出なかった前作『CURSE OF THE HIDDEN MIRROR』(’99年)は未だに持っていないので(そもリリースされていたことさえ結構最近まで知らなかったという)、BLUE OYSTER CULTの新作を買うのは前世紀以来となる、’20年発表の13thアルバム。
ピアノ好きの身には欠かせない存在だったKey奏者アレン・レニアーは既に亡く、ヘヴィ・リフが無骨に刻まれ、レゲエ調のアレンジまで飛び出すOPナンバー①が始まった時にゃ思わず眉間に皴が寄りそうになったりもしましたが(冷静になれば十分良い曲)、硬質なバッキングとポップなメロディのコントラストが印象的な②以降は、メロディは泣いていてもベタつかない③、オールディーズをBOC流の解釈で料理してみせた④…と、エリック・ブルームの浮遊する歌声、立体的に組まれたボーカル・ハーモニー、そして都会的な仄暗さ/冷ややかさを纏ったメロディといった、BOCならではの魅力と個性が刻印された逸曲が連続。
クレジットを見るに、この収録曲の充実ぶりには新参メンバー、リッチー・カステラーノ(G)の貢献も大きかったようで、特に彼が単独で手掛けた、重厚かつ劇的な盛り上がりと随所で流麗に閃くピアノの美旋律に力瘤って仕方ない⑪の、名盤『IMAGINOS』(’89年)に収録されていたって違和感のない名曲ぶりは本作の白眉。しみじみと「優秀な人材をゲットしましたなぁ」と呟かずにはいられませんよ。
《NYの醒めた狂気》とか《文科系BLACK SABBATH》とか、何かと敷居の高い枕詞が冠せられることの多い彼らですが、本作にこれみよがしの難解さは皆無。キャッチーな哀メロを粋なアレンジと有機的な演奏で楽しませてくれる、シンプルに親しみ易い1枚です。

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