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Charlemagne: The Omens of Death / CHRISTOPHER LEE
火薬バカ一代 ★★★ (2020-11-10 00:04:37)
ドラキュラ俳優として世界的にブレイクし、近年は『スターウォーズ』『ロード・オブ・ザ・リング』といったヒット作で重厚な存在感を放っていた名優クリストファー・リー。カール大帝の血筋に連なる名門貴族の家系に生まれ、堪能な語学能力を買われて大戦中は特殊部隊に出向、1939年にはフランスで行われたギロチンによる最後の公開処刑を目撃する等、映画以上に波乱万丈な生涯を送った御大が'13年に発表した2枚目のHMソロ・アルバム。
仕切りはカイリー・ミノーグ等との仕事で知られるマルコ・サビューで、「ヨーロッパの父」とも言われるカール大帝の生涯をテーマに据えたコンセプト作なのも前作同様(いくつかの楽曲の編曲はJUDAS PRIESTのリッチー・フォークナーが担当しています)。MANOWAR、RHAPSODYとの共演をきっかけにHR/HM界隈と縁を結んだ御仁ゆえ、本作で披露されているのもドラマティックなシンフォニック・メタルであり、そこに持ち前の美声を活かした朗々たる歌い上げから厳粛な語りまで、齢90を越えるご老体とは思えぬリー翁の、カール大帝を憑依させたような張りと威厳に満ちた熱唱が乗っかるという塩梅。
まぁいくら名優といえども本業のシンガーではないので、良く言えば泰然自若、ぶっちゃけリズムに乗り切れていない感もあるVoに当初やや違和感を覚えたりもしましたが、なにしろ「声」の圧と説得力が半端ないので、繰り返し聴き込むうちに強引にねじ伏せられてしまうという。攻撃的な曲調に乗せてゲストVoと白熱の歌合戦を繰り広げる④を筆頭に、聴いているだけで思わず平伏したくなってしまう堂々たるパフォーマンスはやはり圧巻です。
メタル・シンガーとしては本作が最終作となってしまったことが残念でなりません。
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