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Faster / KEN HENSLEY & LIVE FIRE
失恋船長 ★★ (2020-11-07 15:13:45)
新たに動き出したケン・ヘンズレーのロックプロジェクト。シンガーにエリック・ホークを迎え、HEEPとメイデンの融合という、マニア心を擽る人選に否応なしに反応しますよね。

ケンの幻想的なイマジネーションを喚起するエレガントなオルガンプレイも随所にねじ込み、往年の空気を現代に再考。その空気感は①②で一気に惹き寄せてきます、浮遊感のあるハードでヘヴィな音像、ケン・ヘンズレーここにありと言った味わいを堪能、その流れを壊すことなく、メロウな③と流れていきます。歌い手としては、定評のあるエリックも、ここでは個性を抑え気味、というかブルース・デッキンソン臭を封じているように感じる。力めばブルースになるのだが、③で聴ける、黄昏た歌い回しの新鮮に響きます。

流石にファンタジーな初期型HEEPにブルースが参加と言う、こちらの安易な発想は木っ端微塵に砕いていますが、ある意味、ライブでケン・ヘンズレーでも歌えるような形、もしくはガイドヴォーカルに沿ってというような、裏事情を深読みして楽しんでいます。

押しなべて古典サウンドです。ポップセンスもそこそこに、60年、70年代と生き抜いてきた男の等身大の感性が無理なく披露させています。ある意味、峠を過ぎたアーティストと呼ばれるケン・ヘンズレー、もう少し絶対的な説得力のあるキラーチェーンがあれば良いのですが、持続させられなかったのが残念、その為、全体的に小さく収まったと感じるのも難点。やはりエリックはもっと歌える、ギターももっと我を出させるべき、そういうゲスト参加したアーティストが借りてきた猫状態に陥るプロデュース力には、些か疑問もあるが(自己顕示欲が強そうだと何故か感じる)概ね、彼に期待する音楽性を披露しており、古典サウンドを所望するマニアなら安心して手が出せる一枚です。

いい雰囲気なのに、余所行きの空気が個人的には感じてしまう。贅沢な悩みを吐露させるほど、ケン・ヘンズレーは偉大なアーティストだったはずである。

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