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Empire of the Blind / HEATHEN
火薬バカ一代 ★★★ (2020-10-12 23:21:26)
復活作となった前作『THE EVOLUSION OF CHAOS』から実に10年のブランクを経て、'20年に発表されたHEATHENの最新アルバム。(通算4作目)
ここまで間が空いてしまったのは、バンドがのんべんだらりと食っちゃ寝していたから…なわけはなく、質量共に80年代を上回るツアーに忙殺されたのと、ジェフ・ハンネマンの急死により空席となったSLAYERのギタリストの座を急遽EXODUSのゲイリー・ホルトが埋めることとなり、その代わりに空席となってしまったEXODUSのギタリストの座をリー・アルタスが埋めるという、スラッシュ・メタル界隈の玉突き衝突的な人材交流の影響でアルバム作りに取り組む時間が作れなかったためだとか。
そうした事情ゆえ今回リーは曲作りにタッチしておらず、代わりに作曲を一手に担ったのは前作からバンドに参加したクラーゲン・ラム(G)。となると出来栄えに関して若干の不安を覚えなくもなかったわけですが、それも泣きのGを配したイントロから猛然と突撃に転じるOPナンバー①②の血沸き肉躍る流れを聴くまでの話。前作同様、本作においても、デヴィッド・ホワイトのデビュー作とは隔世の感を覚える見事な歌唱が堪能できるHEATHEN流バラード⑧や、疾走するツインGの劇的且つ濃密な絡みにグッとくる⑩等、クラーゲンはその作曲センスを立派に証明する優れた楽曲を提供してくれています。
敢えて指摘すると、全体を覆うダークな雰囲気と、前作“DYYING SEASON”に匹敵するようなキメ曲が本編に見当たらないことが相俟って、起伏の乏しさが気にならなくもないかなと。まぁこんなん小姑スラッシャーによる「良く出来ているからこその粗探し」みたいなもんですよ。

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