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Tetrad / TOWARDS DARKNESS
kamiko! ★★★ (2020-08-27 00:59:32)
カナダ産ポストドゥーム2020年作
ドゥーム路線ではボクの中でかなり上位に位置する彼ら。今年の新作は充分に聴き込んでレビューしようと思い、かなり聴き込んだが・・
処女作の非常に判りやすい世界観から、前作は独創的な世界観に変貌、今作は更に難解なサウンドに進化しており、一体どう捉えればいいのか
随分と悩みながら聴いた。アルバムタイトルTetrad(4つの組?4元素?)から受ける印象もなんだか小難しい。ただ、楽曲タイトルから
割と前作に近い延長上の世界観かな、とボクは捉えている。ちなみに前作は、不毛の土地をテーマにした固有なインダストリアルな
フューネラルドゥームを展開した。今作はややフューネラル臭が薄まった。曲の骨格自体は至ってシンプルで、相当地味に聴こえるが、
音に含まれる強調された倍音からその音素材への相当なコダワリは感じる。その迫力に圧倒されるが、疲労感も伴う。
元々凄みを効かせるヴォーカルスタイルだが、今作でも同様に凄みがある。インダストリアルなギターの感触が更にアップしている分、
このヴォーカルが乗ると更に疲れが増して集中力が削がれる。但し、地味な楽曲構成とのバランスが取れていて、疲れるものの聴き易さもある。
このサウンドを愛聴して繰り返し聴けば、この疲れは慣れてくる。
こういう難解な盤は、慣れるまでひたすら繰り返し聴かないと、その魅力になかなか辿り着けない。最近やっと耳が馴染んで慣れてきた感じだ。
このサウンドの魅力をなかなか一口で言い表せないが、このバンドが影響を受けたとされるミュージシャンを挙げると、その志向性が見えてくる。
Sonic Youth、Sun O)))、Pink Floyd、Chelsea Wolfe,、Russian Circlesに影響を受けたらしいが、まぁ、Sun O)))あたりはドローン的な志向が
あるバンドがよく挙げるので納得だし、スピリチュアル志向があればPink Floydの影響も頷ける。面白いのは、女性シンガーChelsea Wolfeを挙げている点だ。
Chelsea WolfeのBirth of Violence(2019年作)の世界観や雰囲気が結構近い。また、Rossian Circlesはボクは未所持だが、一聴した感じからすると
このバンドのポストロック感やギターの質感は結構近いものがある。濃いドゥームサウンドでありながらも、純然なドゥームバンドからの影響を
公言していないところが面白い。
処女作から完成されたサウンドだったが、2nd、今作とアルバムを発表する度、全く新しい難解な要素を盛り込んでくる。
下手すれば消化不良に陥るかも知れないが、想像力を働かせて自分なりに解釈しつつ、このサウンドと付き合う必要がある。処女作のストレートさは
もはや微塵も感じられないが、このバンドは独創性を発揮してどんどん難解な世界を描いていって欲しい。ただ、これ以上疲れるサウンドは困るけどね。

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