この曲を聴け! 

Assault Attack / MICHAEL SCHENKER GROUP
Tamasa ★★★ (2020-08-20 00:21:34)
重い様式美溢れるメタルと極端にポップな曲が同居する、M.S.G.版Down To Earth(Rainbow)という感じ。グラハムの活かし方として、リッチーとマイケルが(もしくはPが)同じ判断を下したのが面白い。
グラハムは流石のパワー。マイケルのアルバムの中で、ヴォーカルがギターと対等に戦えているのはこのアルバムだけ。マイケルのギターには、ディオタイプのこねる暑さよりも、グラハムのストレートに突き抜ける熱いタイプの方がより対比が利いてマッチする。思えばディオのフォロワーの多さに比べてグラハムフォロワーって余りいないね。

このアルバムの成立は良く知られているが、本当に一瞬の偶然、隙間みたいなもの。
ゲイリー・ムーア・バンドの空中分解で流れて来たコージー・パウエルは、ゲイリー・バーデンの実力不足を不満に思い、デヴィカヴァを引き入れようとするも失敗。そこで、Rainbow時代の親友グラハムを引き入れることに成功するも、今度は自分がデヴィカヴァに引き抜かれることに。理由はイアン・ペイスがゲイリー・ムーア・バンドに行っちゃったから。何このPulple Rainbow Gary MSG近親相姦的ドロドロぶり。
人誘っておいてレコーディング前に何で抜ける!?と、厄介なギタリストの面倒を押し付けられたグラハムはこの時点でほとんどやる気なし。何とかレコーディングは終えたものの、お披露目ギグで(わざと?)下半身を晒して逃亡。そのままクビに…と、もう何が何やら(笑) まあ、ポップスの歌メロしか作れないグラハムと、歌メロ他人任せのマイケルが続く訳もなかったのだが。それでも、数年前に中野サンプラザでお披露目ギグ以来の和解競演を観ることが出来た時には、何故か涙が流れましたが(笑)


HR/HMの世界は、他のジャンルに比べて職人集団の色合いが強い。
腕一本で稼ぐことの出来る彼らだからこそ、頻繁にメンバーチェンジを繰り返しながら、時に夢の組み合わせを実現して名作を残してくれる。Assault Attackもそんな1枚。これをもし当初の目論見通りデイヴィッド・カヴァデールが歌い、コージーが叩いていたら…と想像して楽しめるのもHRならでは。

→同意