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Forever Black / CIRITH UNGOL
kamiko! ★★★ (2020-07-06 09:52:27)
米産カルトメタル2020年作
初期のポンコツ感満載の作品はB級愛を持っていないと愛聴できない作品だったが、その大きな原因は奥行きの無い録音状態がチープさを際立たせていたことだ。
ドタバタ感のあるドラム、モコモコと浮き出たようなベース、加えて低音をカットしたかのようなシケたギター、金切り声が奇抜なヴォーカルスタイルなど
強烈な個性と本来改善すべき課題が紙一重な状態で存在していた。もし、個性を掻き消す形で難点を克服する作品を作ったとしたら、凡作になっていただろう。
ポンコツ感が話題になりがちなバンドではあっても、元々楽曲の構成には目を見張るものがあり、総合的に見てB級愛を感じつつもどこか捨て置けない光るものを
常に宿していた作品を作り続けていた。特にメタルサウンドのトレンドとも言える疾走感やヘヴィネスに偏ることのない作風は、とても惹きつけられるモノがある。
今作は過去のそういう個性を消滅させることなく、録音状態を最善の方法で改善している。過去作のシケてペラい音質の難点をクリアし得る必要最小限の厚みを補填。
よりナマ音に近い音質を保ち、浅めのエフェクトで済ませることで、初期から感じるポンコツ感の残り香を最適な状態で残し、唯一無二の個性へと昇華している。
ギターサウンドは薄めの歪みで残響音が少なめな状態でとても乾燥した質感があるものの、かなり粘り気のあるギターワークで聴かせる。
バラード調の曲でほんの一部歌っているのはご愛敬、金切り声が特有のヴォーカルスタイルも初期から変わらず健在だ。騒々しくも豪胆で奇抜な個性を放っている。
ミドルテンポ主体の楽曲で、ブレイクの入れ方やテンポの緩急のつけ方は、もはや職人芸とも言える。元来ある楽曲の良さは、録音状態の課題をクリアしたことで
より深く味わうことができる。とりあえず、初期作品から聴き続けているリスナーは、この頑固にスタイルを堅持しつつ進化したサウンドに凄みを感じると同時に
完成形でありながらも、特有な濃厚な個性、異様な存在感に、B級愛が失われることがナイ、ということに気付かされるだろう。
少なくともボクは、このバンドは、理想的な形で進化したと感じている。もはやこのバンドスタイルは他のバンドには真似のできない深ーい味わいがあるね。
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