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Forever Black / CIRITH UNGOL
失恋船長 ★★★ (2020-05-12 19:04:22)
昨年、ライブアルバムをリリースしてマニアを歓喜させたUS産カルトメタルバンドの復活作。通算5枚目にあたるアルバムであろう。のっけから特濃エピカルサウンドが展開、絶対に走り出すことのないヘヴィネススタイルに、耐性のないマニアは恐れおののくでしょうね。
この復活は単なるノスタルジーの再興ではない、現役としての威厳がある。このスタイルを極めんとする男たちによる、紛うことなき世界観を演出。70年代のJPからの影響も滲ませる米国産ブリティッシュロックの濃密さに、改めて唸らされました。もはや伝統芸のとも言える、唯一無二の音楽性、独特の静かに跳ねながら、うねるアンサンブルの不穏なる奇妙な響き、地下で蠢く魑魅魍魎の如く這いずり回る音色に、こちらの神経が逆なでされ不快感もMAXだ。
この背徳的な美意識、何物にも属することなく、己が信じた道を突き進むからこそ、成し得た境地だろう。マニア度が高いし、大衆性もゼロ。あまりに媚びを売らないため、どこに需要があるのかと心配になる音だが、これを待ち望んでいるマニアがエピカルメタルの世界にはごまんといる。
今やパッケージ商品を売る時代ではない、デジタル配信なら実数も分かるし、余計な経費も掛からない。レコード会社のプレッシャーを受けることなく、やりたいことをやれる環境は素晴らしいことだ。
Metal Bladeの助力も当然あるが、今のテクノロジーを取り込み演出しただけに、過去の作品よりも厚みが増している。あのシケシケ感が好きな人には、少々寂しいかもしれないが、MANILLA ROADなどのUS産カルトエピックメタルを愛するものならマストな一枚でしょう。
主要メンバーたる、ティム・ベイカー、ロバート・ガーヴェン、グレッグ・リンドストロームの三人が揃った意味は大きい。それだけで歓喜するマニアも多いでしょうね。それにしてもアッパレな奴でしたよ。恐れ入りました。過去をなぞるだけではない、現役感を盛り込めたのが良かったですね。

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