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Kill or Be Killed / BLESSED DEATH
火薬バカ一代 ★★★ (2020-03-30 01:19:11)
ケヴィン(B)とクリス(Ds)、双子のパウエルソン兄弟を擁して'84年に結成されたニュージャージー州出身の5人組が’85年にMEGAFORCE RECORDSから発表したデビュー作。
野太いシャウト/鼓膜をつんざくハイトーン/朗々とした歌い上げを使い分けるラリー・ポーテロの超クセの強いVo、強引なリズム・チェンジを捻じ込んで来るパウエルソン兄弟、攻撃的にリフを刻み、泣きを孕んだソロを奏でもするジェフ・アンダーソンのGとが複雑怪奇に絡み合い、次から次へと展開していく特異なサウンドが本作の持ち味…と書くと「要はインテレクチュアル・スラッシュ・メタルでしょ?」と思うやもしれませんが、あの手のバンドが醸し出す火花散るテクニックの応酬や緊張感の類は然程でもなく。ラリーの変幻自在のVoに圧倒される⑤、泣きの導入部に始まって転調を繰り返す⑦といった大作ナンバーに特に強く表れている通り、メンバー各々が好き勝手に自己主張しまくったら不思議と帳尻が合っちゃっいました…ってなスポンテニアスな感性が勝るサウンドは、バンドの埃っぽいルックスやサイケなアートワークも相俟って、「突如スラッシュ化した70年代HR」という前評判が非常に腑に落ちる仕上がり。一方でKING DIAMONDがドーピングしたみたいな③、噛み付くように突っ走る⑥といった攻撃性剥き出しのスラッシュ・ナンバーも本編にはあったりと、とにかくどこを切っても独特の個性が渦巻く1枚です。
音質はイマイチ、楽曲もキャッチーとは言い難いのですが、そうした聴き手のことなんぞ全く斟酌しないバンドの我が道を往く姿勢が、結果として本作の孤高性を高めることに貢献したのではないかと。

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