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Hellraiser / KROKUS
火薬バカ一代 ★★ (2020-03-02 00:37:38)
スイスの国民的HRバンドKROKUSが、ドイツのAFM RECORDSに移籍後、1stアルバムのリリースから丁度30年というタイミング(’06年)で発表した15thアルバム。ちなみにプロデュースはPINK CREAM 69のデニス・ワードが担当しています。
タイトルが『HELLRAISER』と何やら厳めしい感じなので、もしかしたら名作『髑髏の紋章』ばりの80年代ヘヴィ・メタリックなサウンドを演ってくれているかも…と、仄かな期待を胸に聴き始めてみれば、立ち上がりからロックンロール・ナンバーが連打されるマッタリとしたお出迎え。やはりAC/DC路線には微塵の揺るぎもなかったという。そりゃそうか。
ただ、母国のアルバム・チャートで№1ヒットとなった前作『ROCK THE BROCK』(’03年)に続き、本作も最高第2位をマークしてゴールド・ディスクを獲得する等、KROKUSの健在ぶりを示す成功作となっただけあって、質の高さは折り紙付き。特に、大味にならぬようメロディにはさりげなくフックが仕込まれ、80年代に比べグッと表現力を増したマーク・ストレイスの歌声と、マンディ・メイヤーのツボを心得たGプレイが好サポートを得た本編は、物悲しさ漂わせつつ重厚に展開する④や、ヘヴィに押し出す⑤、哀メロが胸に沁み入るバラード⑥、仄かな憂いを纏った曲調とGソロが印象的な⑫といった、スロー~ミドル・テンポ系の楽曲の魅力が際立つ仕上がり。それでいて、名曲“HEADHUNTER”を彷彿とさせるスピード・ナンバー⑦をちゃんと用意してくれている抜かりなさも素敵です。
強烈なインパクトを受けることはなくとも、聴き込むほどに味わいが増して来る、ベテラン・バンドの業前が堪能できる1枚。

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