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Virgin Steele / VIRGIN STEELE
火薬バカ一代 ★★★ (2020-02-16 23:56:29)
USエピック・メタルの開祖バンドの一つとして名前が挙げられるVIRGIN STEELEが、MUSIC FOR NATIONS第一弾アーティストとして’82年に発表した1stアルバム。ちなみに当時ちゃんと日本盤もリリースされていて、その際の邦題は『危険地帯』だったという。
さてその本作、'82年という時代を考慮しても音が悪い。また彼らならではの大仰でオペラティックなサウンドを期待すると、本編の半数を占めるのはラフなノリのロックンロールだったり、ついでにデイヴィッド・ディフェイ(Vo)が繰り出すシャウトは「子犬の鳴き声」と評したくなる線の細さだったりと、VIRGIN STEELE入門盤にチョイスするにはなかなかクセの強い仕上がりです。
要は個性確立を模索する過渡期の作品と言えるのかもしれませんが、クラシカルなイントロ序曲からパワフルに炸裂するアルバム表題曲にして、VSの名をマニアに知らしめた名曲①を手始めに、ピアノの小曲④を導入に濃厚な泣きを発散しながら綴られる⑤、ジャック・スターのGとデイヴィッドが奏でるKeyが火花を散らす様式美HMナンバー⑥、バンドのテーマ曲としてアルバムのトリを飾る⑫等、VIRGIN STEELE節がギラリと牙を剥く劇的な楽曲もしっかりと配されており、決して退屈な内容でない。…というか、むしろクオリティは高いレベルを維持していて、既に曲作りの手腕には必要十分な冴えが感じられます。
イマサンな音質に、強めのロックンロール・テイスト、それでいて要所を締めるドラマティックな楽曲の強力な存在等々…。個人的にはMANOWARの1st『地獄の鎮魂歌』に通じる魅力が見い出せる1枚かと。

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