この曲を聴け! 

Live & Learn / VIXEN
火薬バカ一代 ★★ (2020-01-04 00:45:43)
女性ミュージシャンだけの本格派HRバンドとして話題を呼び、2枚のスタジオ・アルバムを残して解散したVIXENが再結成を遂げたのは90年代後半のこと。中心メンバーであったジャン・クーネムンド(G)を欠いた編成でレコーディング、'98年に発表された復活作『TAGERINE』が当時のHR/HMシーンの流行に寄せた結果空回り感の半端ない惨状を呈していたため、こちとらVIXENに対する興味は急速にフェードアウトしてしまったのですが、ジャンがバンドに復帰し、ほぼ彼女のソロ・プロジェクト状態で制作されている本作(4th、’06年)は、やはり流石の出来栄えを誇っていたという。
無論、初期2作のようなキャピキャピ(死語)した感じは薄れ――50過ぎてもそんなノリを維持していたらそれはそれで凄いですが――全体的にシリアスさを増したサウンドは、ムーディで落ち着いた雰囲気が支配的。かつてのような華やかなポップ・メタル路線を期待する向きには少々地味に思える楽曲も散見される仕上がりながら、要所でキラリと光るジャンの曲作りの腕前は健在ですし、年齢を重ねて円熟味を増したGプレイも楽曲を魅力的に彩ってくれていますよ。特に、憂いを帯びたキャッチーなメロディと小気味良く動き回るGが印象的なアルバム表題曲②や、物悲しく駆け抜けていくポップ・チューン③辺りの出来栄えは秀逸です。
かように優れたアルバムを残してくれたジャン・クーネムンドでしたが、'13年に癌との闘病の末に逝去。彼女の志を受け継ぎVIXENのオリジナル・メンバー再結集が実現したものの、残念ながら現在に至るも新作アルバムは発表されていません。

→同意