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The Raging Tides / EXUMER
火薬バカ一代 ★★★ (2019-08-15 23:24:49)
80年代に2枚のアルバムを残し解散したEXUMERが、1st『POSSESSED BY FIRE』(’86年)発表後にバンドを去った中心メンバー、メム・フォン・シュタイン(Vo、G)を擁するラインナップで復活を果たしたのは00年代初頭のお話。ただ、その後待てど暮らせど作品リリースの動きはなかったので「ああ、ライブで小銭を稼ぐだけなのね」と油断していたら、ここ数年で3枚のスタジオ・アルバムを次々発表。それまでのブランクを取り返すようなアクティブな活動っぷりを見せてくれて意表を突かれましたよ。
本作は’16年発表の復活第2弾アルバム(通算4作目)で、プロデュースは前作同様ヴァルデマー・ゾリヒタが担当。アートワークには『13日の金曜日』のジェイソンと『北斗の拳』の雑魚キャラを足して2で割ったようなお馴染みのマスコットキャラが登場しています。
再結成後の彼らの音には本作で初めて触れたのですが、ストレートに突っ走るピュアピュアなスラッシュ・サウンドはそのままに、演奏にしろ楽曲にしろ随分とスマートになっていて、「おお、普通だ」と。1stの悪路をダンプカーで強引に走破するような出鱈目っぷりが影を潜めていることを残念に思う向きもありましょうが、アレは若き日のEXUMERのガムシャラさが生んだ奇跡であり、決して狙って再現できるものではないので諦めるしかねぇ。
鋭利且つキャッチーに刻まれるGリフと、欧州風味のダークネスを孕んだGソロが疾走するOPナンバー①でいきなりMAXに達したテンションが、本編の一本調子な構成とリズムのキレ不足が相俟って、聴き進めるうちに徐々にパワーダウンしていくいかにもB級スラッシュ然とした弱点さえも、「味」として愛しく思えてしまう1枚。

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