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Traveller / DANNY VAUGHN
火薬バカ一代 ★★★ (2019-07-02 00:43:08)
FRONTIERS RECORDS肝煎りのメロハー・プロジェクトFROM THE INSIDEの成功に手応えを感じたダニー・ヴォーン(Vo)が、WAYSTEDから数えてキャリア20周年の節目を迎え、自身の原点である「クラシカルなメロディアス・ロックのスタイル」をこれまで以上に尊重するべく'07年に発表した1stソロ・アルバム。
レーベルの意向で北欧メロハーに通じる透明感と哀愁を湛えたメロディアスHR路線が徹底されていたFROM THE INSIDEに比べ、意表を突いてアイリッシュ風味漂うOPナンバー①で幕が上がる本作は、そこにほんのりアメリカンな要素(土の薫り)も加味。全ての曲作りをダニー本人が手掛けていることもあって、より彼自身のシンガーとしての資質に寄り添ったサウンドが展開されています。
それでいて、例えば以前VAUGHN名義でリリースされた作品ほどアーシー過ぎないのもポイントで、共作者としてクレジットされているSHOTGUN SYMPHONYのチャーリー・カルヴや、CONTAGIOUSのトニー・マーシャルといった手練れのソングライター勢の助力を得ることで、過度な泥臭さを抑え、ポップ且つ爽やかな味付けがなされた収録楽曲の数々は実に美味。中でも快活な曲調にピアノの隠し味が映える④と、ポップな高揚感に満ち溢れたキャッチーな⑦はアルバムのハイライトを飾る名曲ですよ。
聴く者の心を暖めるエモーショナルな歌声の素晴らしさについては既に広く周知されていますが、フックを巧みに盛り込んだ曲作りの腕前もこのレベルだったとは…と感心しきりの、TYKETTOの名盤『FOREVER YOUNG』(’91年)に匹敵するクオリティを有する1枚。おみそれしました。

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