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Ⅱ / FORTUNE(L.A.)
火薬バカ一代 ★★★ (2019-05-18 07:06:19)
あのFORTUNEが帰ってきた!と喜んでも「だからどのFORTUNEだよ?」と突っ込まれるぐらい、HR/HMシーンには同名バンドが存在していますが、こちらはスウェーデンでもボストンでもなく、1st『聖未来』(’85年)が未だメロディ愛好家の間で神盤として奉られているLA出身のFORTUNEのこと。本作はイギリスで開催されたロック・フェスへの参加を契機に再結成を遂げた彼らが、34年ぶりに発表した2ndアルバム。
レコーディングは、リチャード(G)とミック(Ds)のフォーチュン兄弟に、映画『トップガン』のサントラへの楽曲提供や、HARLAN CAGEとしての活動で知られるLAグリーン(Vo)といったお馴染みの面子によって行われていて、HARLAN CAGEでグリーンと行動を共にしていたロジャー・S・クレイグの不参加が惜しまれるものの、ソングライターとしては制作過程に関わってくれているようなので落胆には当たりません。
そうして作り上げられたのは、意図的にデビュー作を踏襲したアートワークが如実に物語る通り、キャッチー且つ哀愁に満ちたメロディ、煌びやかなKeyとボーカル・ハーモニーが全編を彩る、嘗ての作風をブレることなく受け継いだメロディアスHRサウンド。特に抒情メロハーの様式美というべきKeyリフが弾む②は、まさに「これを待っていました!」と膝を打つ名曲ぶりで、本年度ベスト・チューン候補にランクインしましたよ。俺の中で。
メンバーが年齢を重ねた分サウンドの方には落ち着きが感じられるようになり、本編後半では若干息切れの気配も漂いますが、それでも再結成バンドがここまで質の高い作品を発表してくれたならば、文句よりもお礼の言葉しか思い浮かびませんて。

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