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Breaking Point / TENSION
失恋船長 ★★★ (2019-04-15 15:53:11)
アメリカはメリーランド州出身を拠点に活動していた4人組が1986年にリリースした1st。実は直前までDeuceというバンド名で活動。初期のメンバーにはマーティー・フリードマンが在籍しており、今作にはマーティー時代の曲も収録されているというのがマニアにとっては興味深い。

欧州産のバンドほど、湿り気や叙情的な要素はないが、アメリカのバンドのような大味な要素も少なく、垢ぬけない妙な暗さと、それに相反する快活さがあり、何とも言えない味わいがある。迫力不足の低音は、手数の多いドラムのキレを損ねていたりとバランスにも難があり、メジャーになりきれない男達であったが、その転調を繰り返し忙しなく迫ってくる構成はアイデア的にも悪くない。

そういった魅力はDeuce時代から大切にしてきたダークなイントロが不穏な空気と悲しみを生み出す④などにも表れており、派手に動き回るナンバー以外も聴かせるという手腕は、若手のデビュー作として考えると将来性を感じずにはいられません。

このバンド次の一手が出ないまま解散してしまったが為にイマイチ認知度は低いのだが、パワフルかつテクニカルなパートを盛り込む硬派なスタイルはUS産としては貴重な存在であり、今でも巷に溢れるメイデンよりのサウンドではあるが、このバンドは単なる亜流では終わらない可能性を秘めていただけに残念でしたね。

この薄っぺらい音質で無ければ伝わる迫力も違ったはずだ。ベースだってバキバキ言ってんぞ。メイデン風味のあるパワーメタルソングって80年代にはけっこういたけど上位に食い込む実力もあったぞ。Torrid Recordsの倹約主義に埋もれたんだろう。

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