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March of Progress / THRESHOLD
火薬バカ一代 ★★★ (2019-04-08 00:02:54)
90年代初頭から堅実な活動を継続し、本国やドイツではチャート入りを果たせるぐらいのファン・ベースを築き上げた、カール・グルーム(G)率いる英国のベテラン・プログレッシブHMバンドが'12年に発表した8thアルバム。
このバンドの作品を購入したのは1st『WOUNDED LAND』(’93年)以来かなり久々でしたが、前任シンガーだった元SARGENT FURYのアンディ・マクダウェルが体調不良のため脱退し(その後腎不全で亡くなられていたとは…)、恋愛体質カップルばりに別れたりヨリ戻したりを繰り返しているダミアン・ウィルソン(Vo)がバンドへ三度復帰を果たした本作は、音作りや構成にやや詰めの甘さも見受けられたデビュー当時とは段違いの成長ぶりが披露されていて、感嘆を禁じ得ませんでしたよ。
プロダクションの質の向上は当然のこととして、収録曲の殆どが7~10分台と相変わらずの大作主義を主張しつつも、楽曲の輪郭を明瞭に描き出すエッジの立ったリフを刻み、美しいソロを奏でるG、重厚にしてメリハリの効いたリズム、壮大且つミスティックに奏でられるKeyとが曲展開にドラマと緊張感をもたらし、サウンド全体をグッと引き締めてくれています。キャッチーな抒情メロディを、湿り気を含んだ声質で柔らかに歌い上げるダミアンのVoも、この手のジャンルが露呈しがちな中弛み感や冗長さを排除するのに大きく貢献。特に緩急自在にしてドラマティックな⑤はアルバムのハイライトであると同時に、現行THRESHOLDの魅力の粋を結集した名曲と言えるのではないでしょうか。
「継続は力なり」という格言の意味を教えてくれる1枚でしたね。

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