この曲を聴け! 

Coastline / COASTLINE
火薬バカ一代 ★★ (2019-02-13 00:08:28)
紅一点の女性シンガー、ヘレナ・ローゼンタールを擁し、“名前のない馬”や“銀色の髪の少女”等のヒット曲で知られるイギリスのフォーク/ロック・グループAMERICAのアルバム・タイトルからバンド名を拝借して、「COASTLINE」を名乗ったスウェーデンの5人組が、'03年にVINNY RECORDSに残した最初で最後のフル・アルバム。
Keyが軽やかに弾むイントロからして絵に描いたようなメロハー感を醸し出すOPナンバー①や、明るくキャッチーな③が作品全体の方向性を示唆する通り、本作はポップな「歌」を主役に据えたメロディアスHRアルバム。お世辞にも上質とは言い難いプロダクションと、ベタ足気味のリズム・ワークが、本来サウンドが持ち得る筈の躍動感を多少スポイルしている感は否めないものの、ヘレナ嬢の耳に心地よく響く健康的な歌声と、そのVoをメロディアスな演奏で堅実にサポートするG、煌めくKey、それに北欧産ハードポップらしい透明感とフックを宿すメロディに彩られた楽曲の完成度の高さは、そうした粗を補って大いに余りあるという。
特にアルバムの締め括り役を担うハード・ナンバー⑪は、Gによる泣きのイントロからテンポアップ、哀感と爽快感を併せ持って走り抜ける曲調に思わず「おっ」と声が出てしまう、曲名通りまさに“MIRACLE”な魅力を湛えた本編のハイライト的名曲です。
かように今後の成長が楽しみな逸材だっただけに、本作以降は消息不明になってしまったのが残念な限り。頑張ってもう2、3枚、アルバムを発表してくれたら大傑作をものにしてくれそうだったのですが…。

→同意